あかりは「気の病」の持病を持っています。ほぼ寛解状態だったのが、ある日突然、大きな波に心がさらわれてしまいます。
自分のことも周りの事も何もかもが理解できなくなり、暴れて叫んで目を離すと逃げようとします。彼女は好きな人に会いたいのに、もう会えない、自分が裏切ったから彼に他の恋人ができても私のせいだと叫び続けます。
アオイは、側に付きっきりで対処療法を行なっていますが、そのアオイも認識できず殴りかかります。彼女は、自分の心を見失ったまま1年半が経過しています。
何故、こんなに突然病気が悪化したのか。
あかりは、やがて黒髪の青い目の異人の女性が泣いている幻覚に囚われていきます。その人は、自分と同じ気持ちだと理由もわからずおもいこみます。
この人なら、私の気持ちをわかってくれると信じるようになります。
そして、アオイとヒカルの目の前で、突然起き上がって庭に出ると消えて何処かに行ってしまいます。
病が重篤になって行くにつれ、表情が子供っぽくなり、いつも泣いています。
アオイは、あかりを探し始めます。「大球」と呼ばれている直径一尺の水晶球を使って。すると、翔の妻シャインが水晶のオーナメントを持って走っているのを見ます。
彼女の姿は、1年半前に会った時と変わっていました。一年半前、桃花が日記の存在に気づいてしまい、アオイと桃花は翔の家に訪ねて行っていたのです。
あかりが急変したのは、その一ヶ月前。あかりが倒れた同日同時刻、シャインは翔の裏切りを知りました。
あかりとシャイン。この2人は共鳴しているのでした。
あかりは、翔の事務所の前で、ぼんやりして、独り言を言ってるのを翔が見つけます。子供っぽい表情は、遥か昔、夫婦だった時に最後に見た顔と同じでした。16才だった。。。自分がした仕打ちで病気になったと思っている翔は泣きながら、彼女を背負って事務所に入ります。
そして、妻のシャインに電話で「純度の高い水晶で出来たものを持ってきて」と頼みます。
「愛情の行方」のその後の話。
シャインは、西の神界人になる宿命の祈りの乙女。西の神界は「愛」に対して厳しいところ。あかりは、この物語で翔を地獄に落とす決断をします。
あかりは、天然でぼんやりしている性格ですが、自分の役割には忠実です。時には、残酷なことも、躊躇いなく行います。
この重篤な状態は、私が最も具合が悪かった時を再現しています。世界が理解できない。何もかもが信じられない。現実と妄想の境目がハッキリしない。
分かってもらえなくて泣いてばかりいる。
辛かった。