男がヒゲを生やす、ヤラシイ本当の理由が明らかに!(最新研究)
ほとんどの成人男性が日々決断を迫られている選択、それはヒゲを伸ばすか剃るか、だ――。もちろん職業柄ヒゲを伸ばせないケースも多いだろうが、伸ばすか剃るかの判断に影響を与えている決定的要因は何なのか? 先頃、ヒゲをめぐる新たな学説が登場して注目を集めている。
■"ヒゲ男子"ブーム終焉なのか!?
ジョニー・デップやデビッド・ベッカムなど、ここ数年、世界的流行を見せていたという"ヒゲ男子"だが、一説では昨年で人気はピークに達し、今はゆっくりと終息しつつあるという。昨年結婚したジョージ・クルーニーも最近はほとんどヒゲ面を見せないというし、数年前から"髭キャラ"だったキアヌ・リーブスも昨年から髭を剃っているということだ。本当にヒゲ男子ブームは終わってしまったのだろうか......。
ヒゲにまつわる話題として、昨年話題を呼んだのが「負の頻度依存選択」という学説だ。この学説の骨子を誤解を怖れずにざっくり言ってしまうと、注目を集める新奇な物や存在も、その人気ゆえに増えてマイナーではなくなったときにブームが終焉するという、よく考ればもっともな学説だ。つまり世にヒゲ男子が増えてありきたりの存在になれば、それまでヒゲを生やしていた者に"利益"と、続けていく"動機"が失われ、一人、また一人とヒゲを剃りはじめ、ヒゲ男子ブームが終わるということだ。この学説によれば、ヒゲもまたファッションの流行と同じような「はやりすたり」のサイクルにあるものだということになりそうだ。
■サルの社会でヒゲは「権力の象徴」
"ヒゲ男子"の人気もその時々の流行だという見解が主流になったかに思われる中、男性がヒゲを生やすのはもっと根源的な理由かあるのだという学説が発表されて様々なメディアで反響を呼んでいる。
科学誌「Evolution and Human Behaviour」に3月14日に発表された論文で、西オーストラリア大学のシリル・グロイテル博士が率いる研究チームは、人間を含む霊長類のオスは集団の中で苛酷な競争に晒されているからこそヒゲを生やすのだ、という見解を述べている。
研究ではマントヒヒやオランウータンなど154種の霊長類の生態を調査することによって、ヒゲは「権力の象徴」であり「女性を惹きつける装飾」であると結論づけている。確かに立派なヒゲを蓄えた人物は、組織の中で重要な地位にある一角の人間だというイメージを抱きやすいかもしれない。
立派なヒゲは女性よりもむしろ男性に対して効果を発揮するもので、霊長類の世界では多くの競争を勝ち抜いてきた男性であればあるほど毛むくじゃらで派手なヒゲを蓄えているといういことだ。また、集団の規模が大きいほど、ボスのヒゲは派手さを増すという。まさに男の顔はこれまでのキャリアを物語る"履歴書"なのである。
この「権力の象徴」である逞しい立派なヒゲは、女性に対しては「性的な魅力」として作用し、事実、アカゲザルの世界では繁殖期になると顔が毛深いオスほど多くのメスを相手にするということだ。
■ヒゲを生やす男性は大勢の競争相手に囲まれている!?
サルの社会では、フサフサのヒゲを蓄え威風堂々とした面持ちの個体はグループ内で高い地位にあるという、実にわかりやすい世界が形成されているのだが、一方、少数のメンバーや家族だけで集団を構成する種には極端にヒゲを生やす個体は見られないということだ。これは、少数グループでは普段からメンバー同士が密接に交流しており、見た目で地位や権力を誇示する必要がなくなるためだと解釈されている。
これを人間にあてはめてみれば、好んでヒゲを生やす男性は、大勢の競争相手に囲まれて日々苛酷な状況に置かれているのかもしれない......!? しかしながら人間の場合、別にヒゲでなくとも「権力の象徴」には高級ファッションや装飾品類、あるいはタトゥーやジムで鍛えた肉体、はたまた単純に刃物や銃器を装備することなども含めればかなりの選択肢がある。むしろわかりやすいサルの社会にノスタルジーを感じるというべきか......。
ともあれ今回の研究をそのまま人間に適用するのはなかなか難しそうな感もあるが、同じ題材を取り上げた「Telegraph」の記者は面白いことを述べている。
記事では、確かに現代人の男性は現実の生活の中でサルの社会のように多くの競争相手に囲まれているわけではないが、現代のインターネット環境、特にSNSの発達によって接触できる人間の数が飛躍的に増えたため"強そうな見た目"の必要性が再び意識されはじめたのではないか、と考察している。接触できる人間は味方にもなれば敵にもなり得るわけで、これにより人間の"オス"の本能が呼び覚まされ、ここ数年で"ヒゲ男子"が世界的に増えたのだというのだ。この理屈でいけば、ネット人口が減らない限り、今後も"ヒゲ男子"は減ることはないということになる。最近ヒゲを生やしはじめた男性が身近にいないかどうか、ちょっと気に留めてみてもよさそうだ(!?)。
(文=仲田しんじ)
※画像は、Wikipediaより
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