中国レアアース“完敗” 来月から輸出税も撤廃
【上海=河崎真澄】中国国務院(政府)の関税税則委員会は23日、世界貿易機関(WTO)から昨年、ルール違反と最終判断されたレアアース(希土類)の輸出税を、5月1日から撤廃すると発表した。すでに今年1月には、レアアースの輸出枠を撤廃している。
中国は世界最大のレアアース輸出国だが、輸出に15~25%の関税を適用するなど、規制をかけていた。
2010年9月に尖閣諸島(沖縄県石垣市)沖で起きた中国の漁船衝突事件の後、制裁措置としてレアアースの対日輸出を制限した中国。欧米向けも“売り惜しみ”で輸出が滞った。これを受けて日米欧が共同で提訴したWTOで敗訴。輸出枠に続いて輸出税も撤廃することで、レアアース問題で完敗を認めた形だ。
レアアースはハイブリッド車(HV)のモーターなど、ハイテク製品に欠かせない素材。最高指導者だったトウ小平氏が「中東に石油あり、中国にレアアースあり」と述べるなど、外交ツールと位置づけてきた。
だが、日米欧はWTO提訴に加え、米国産レアアース調達拡大などで中国依存からの脱却も進めた。このため中国レアアース業界は大幅な在庫を抱えるなど苦境に陥り、経営破綻する業者も目立ち始めていた。