最近購入した『くるり』という奈良のガイドブックを読んで、これまであまり訪れたことのなかった郡山へ足を向けました。
JR郡山駅近くの「豆パン屋アポロ」は、イートインできるパン屋さんです。立ち寄る前に電話して店内に入れるかどうか確認してから向かったところ、入店の際はお店の方が手伝ってくださいました。
ドア前の段差で前輪を上げてもらったり、店内の通路を通りやすくあけてもらって、とても助かりました。店内に並べられたパンはどれもおいしそうで迷いましたが、3種類を選んでカフェオレとともに奥のイートインスペースで頂きました。
選んだのは「トマト&ベーコンフランス」「田舎パンで作るグラタントースト」「あんバター」の3つです。温め直されたフランスパンは、カリッと軽くかみ切れる歯応えが香ばしく、どれもおいしい! 注文してからドリップされるコーヒーとミルクパンで温められた牛乳を合わせたカフェオレで、身体が温まりました。
郡山城の外堀の一部を利用した外堀緑地公園には、車いすで利用できるトイレがあります。おかげで安心して散策することができました。公園の中は石畳がでこぼこしていますが、散歩コースとしても良さそうです。
近くには、かつて藍染職人が集まった「紺屋町」があり、道路の中央を紺屋川が流れています。江戸時代に染めた布をさらすのに使われた用水路です。今回は通りがかっただけですが、川に面した「箱本館 紺屋」では藍染の指導や歴史資料の展示を行っているそうです。
近鉄郡山駅の東側、柳町商店街の南端にあるコーヒースタンド「K COFFEE」の店頭には、金魚が泳ぐ電話ボックスの水槽があります。以前は小さなガソリンスタンドだった建物を使った店で、給油スペースだったところに置かれたベンチで自家焙煎コーヒーを頂けます。
ベンチから通りに目を向けると、陽の光を浴びた電話ボックスの中を金魚がひらひらと泳ぐのが見えます。飾られているレゴで作られた電話の色合いも鮮やかです。車が通りすぎる様子が水槽の向こうに透けて見え、何とも不思議な光景に時間を忘れそうでした。
同じく柳町商店街にある「とほん」は、6坪の本と雑貨のお店です。車いすで奥まで進むことはできませんでしたが、入り口近くのポストカードコーナーで活版印刷のかわいらしいカードを見つけたり、同行の友人に本を取ってもらって眺めたりしました。
建物の奥にはギャラリースペースがあり、車いすでも入れます。訪れたときは「月とミトン」というグループ展を開催中で、ニット帽と猫の写真のポストカードを購入しました。思いがけない出合いは、楽しいですね。(波子)
【プロフィル】波子 昭和49年生まれ。脊柱側弯症、先天性ミオパチーのため、昨年12月から簡易型電動車いすを使用。便利な道具や文房具が好き。奈良市で生まれ育ち、大阪・東京での暮らしを経て現在奈良市在住。ブログは(http://nam-kid.hatenablog.com/)。