Four Season Colors

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読書のよもやま(2022.09.05)

2022-09-05 | 雑文
「数学の世界」森毅・竹内啓(中公文庫)

躊躇いながらも気軽な気持ちで購入した、苦
手ジャンル数学について「理系」の先生が対
談をしている本書。

数学が理解できないという消極的な理由によ
り文系を選び、十代半ばで数学からドロップ
アウトした自分。

自分を含め消極的文系人は、数学が理解でき
る人種に、ある種のひけ目があることが多い。

であるからして、こうしたド真ん中直球の数
学の本を読もうとする時は、精神は正座をし
て読むような緊張感がある。

本書は学校教育における数学について(とい
うか批判)と、数学の発展の歴史と人物につ
いての2部構成となっている。

前半においては、合間合間に対談中に出てく
る「数学」の解説が入る。

これはもう、最初の数行を読んで(というか
もはや読めない)、その後の解説ページはす
べてスキップした。

学校教育の、いわゆる教科書でないからスキ
ップが許されて(自分から購入しているのだ
が)、なぜか幸せを感じる。

日本語は理解できるのであるが、数学の話は
マジで理解が出来ず、前半は雰囲気を感じな
がら流し読む。

後半は歴史上の人物の話や数学というそのも
のの話となり、理解できているかは怪しいが、
文書に対してきちんと感情が動く。

特に現代における数学信仰については、ある
意味で消極的文系人の心に突き刺さり、とて
も言葉が印象に残る。

それも劣等感を慰めるような、ありがちな精
神論ではなく、理系といえば理系な、明確さ
によって。

自分のように数学の話の部分はさっぱり分か
らなくても、この数学信仰に対する分析だけ
でも楽しめるのではないか。

もちろん、理解できる人には劣りまくるし、
もったいないことこの上ないのだけれども、
少なくとも無駄ではないから。