Four Season Colors

現代詩とスポーツ、エンタメ、時事など雑文を掲載
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継ぎ目

2023-01-12 | 
繋ぎ目をさりげなくくるむ

望むことのなかった繋ぎ目

繋ぎ目がなだらかにとどめ

痛むことはもうない繋ぎ目

繋ぎ目をゆっくりとなぞる

臨むことのなかった繋ぎ目

繋ぎ目がはっきりとたがい

悼むことはもうない繋ぎ目

ツキイチ映画館賞(2022年版)

2023-01-09 | 雑文
月に一度は、映画館へ。昨年2022年は新
型コロナウイルス感染症の流行後、久しぶり
に年間の完走をはたすことができた。

月1本しばりでタイミングや前後月の作品も
選択に影響するツキイチ映画。

無論、観ていない優良なものもたくさんある
が、一つの運命として、鑑賞した12作品で
勝手に振り返りツキイチ映画賞を。

1月から順に「クライ・マッチョ」「シラノ」
「ザ・バットマン新作」「ファンタスティッ
ク・ビースト新作」「トップガン2」「峠」

「ジュラシック・ワールド新作」「ソニック
・ザ・ムービー2」「沈黙のパレード」「R
RR」「犯罪都市2」「Dr.コトー診療所」

これらがノミネートであるが、所詮は1年で
12本新作を観るだけの素人なので、技術的
なことはなく、以下は個人の好みと感性。

パッケージとして一番良かった最優秀賞は、
「トップガン マーベリック」。

鑑賞直後もベタ褒めしているが、こうして時
間が経過しても変わらずベタ褒めできる。

前作ファンの満足は当然に、前作を観ていな
い人も満足でき、観ていないならば、むしろ
観ないで予習なんてしない方が〇(マル)。

一番印象的な主演賞は、ザ・バットマンの主
役ブルース・ウェイン(ロバート・パティン
ソン)。

現代映画らしい内面的苦悩を演じつつ、ハリ
ウッド系の主人公らしい存在感も満たし、ち
ゃんとかっこいい。

一番印象的な助演賞は、ソニック・ザ・ムー
ビー2の敵役ドクター・ロボトニック(ジム
・キャリー)。

2作連続、あれ、意外と面白いを支える2人
の内の1人(もう1人はトーマス・マイケル
・ワカウスキー(ジェームズ・マースデン)。

立ち位置的に悪役助演であるが、もはや主役
といっても過言ではないくらいによく、ある
意味でこのシリーズのすべて。

一番リアリティのある(没入できる)世界観
賞(映像・音楽)は、「シラノ」。

ミュージカル系なので音楽はちょっとズルい
感もあるが、とくに戦場のシーンは映像・音
楽ともにとても印象的。

一番ではないけれど、の優秀賞(敢闘賞)は、
「シラノ」「RRR」「犯罪都市2」。

一番残念だった(つまり、つまらない)12
位賞は、「沈黙のパレード」。

以上が2022年の勝手気ままな総括である。

こうして振り返ることができるのは、本当に
幸せなことであると実感する1年となったし、
2023年もこうありたく思う。

さて、2023年1月のツキイチ映画館は、
どの作品にしようかな。

どこか

2023-01-05 | 
目的地に着くのはX号線

道は行く先を知っている

生れ出づる場所はY地点

親は行く先を知っている

降水確率はZパーセント

雲は行く先を知っている

還る先は知らないZYX

往く先だけを知っている

読書のよもやま(2023.01.02)

2023-01-02 | 雑文
「司馬遷」武田泰淳(中公文庫)

中国は漢代の行政官であり、貴重な歴史書と
して今も残る「史記」の著者である司馬遷に
ついての本。

1943年に刊行され、数度の再版があるよ
うで、今回読んだのは2022年に出たもの。

本書の著者についても、司馬遷についてもま
ったく詳しくなく、書店でぱらぱらしてそれ
ほど難しくなさそうだったので購入。

人物の一生を追うのではなく、「史記」がど
ういうつくり、内容かを解説し、そこから司
馬遷という人物の像を追う。

「司馬遷は生き恥さらした男である。」とい
う読み手をぐっと引き込むはじまり。

中国古典をテーマにしているが、文体はくせ
がなく読みやすく、最後まで切れのよい文章
が続く。

史記を著すにあたって影響した人生の重要な
できごとについて説明した後、史記の構成や
意図を内容を解説しながら進める。

そしてそこから司馬遷がどういう人物であっ
たかに迫るから、どちらかといえば、史記の
解説が厚いともいえる。

司馬遷の人物と意図のわかる箇所を中心にか
なりピンポイントで解説をするため、史記に
ついてとても詳しくなれるわけではない。

しかし、史記をまったく知らない自分のよう
な人でも、史記とはどういうものかを知るこ
とができる。

順番に一つ一つを丁寧に解説していくと読み
手も息が切れてしまうし、そういう意味でも、
入門ものとしてよかった。

著者の二十代後半の作品らしく、最後三分の
一はやや構成のブレと悪い意味での淡々さが
見えるが、思想と表現力に学ばされる。

戦争や職業における武田泰淳の人生観などの
解説もあるが、「司馬遷」と「史記」の入門
として読むのであれば、意識しなくてもよく。

自分のような中国古典ド素人は読み進めるの
に少し時間がかかるが、若いころはこういう
系を今よりは積極的に読んでいた。

そうした懐かしさもあり、2023年は古典
に学ぶように、自己の原点回帰の年にしよう
かとも考えながら。

分厚い古典や解説は読めないが、司馬遷や史
記がどういう人、ものかちょっと知りたい気
持ちもあるという方に、おススメ。