２月１３日

森下は昨夜京都に帰った。
久しぶりにさつきを送る、時刻はいつものように午前１時。
ダイキが揺れている、津西か津東か。
高校に入っても野球を続けるのかどうか。
陵（津東１年）に聞く。
「津東野球部の調子はどうや」
「今年は強いよ」
「そりゃよかった、じゃあオマエらの代は？」
「弱いな」
「なんやそれ、それじゃあ今年の新入生に賭けてるんでっか」
「まあね」
「ダイキがオマエんとこにいくかもしれん」
「えっ、津西じゃないの」
「分からん、揺れてる。去年のオマエと同じや」
これには陵、苦笑しきり。
血が逆流するかのようにのたうちまわった１年前の記憶が蘇ったのだろう。

高校なんて普通に進んでくれればどこだっていい。
物理や化学が最後まで終わらないような高校じゃなければどこでも構わない。
肝心要は本人である。
いつも例に出すのが箱根駅伝。
中学の３年間は箱根までの往路だ。
そして高校入学後に復路が始まる。

優哉は憑き物がとれたかの表情が印象的だった。
公立を受けずに皇学館進学。
それに関して話がしたいと瞭（津高１年）が優哉と２時間ほどのランデブー。
何を話したか・・・詳細は聞いていない。
しかし皇学館進学の流れを断ち切ることはできなかったようだ。
「慎也ちゃん（津高１年）と、合格発表の日にレク体抜け出してコーラをかけに行こうって計画してたんやけどな」
所在なさげに瞭がつぶやく。
１年前、津高正門横でのコーラかけ。
瞭も慎也も祐も理恵も、100本以上のコーラで全身ずぶ濡れ。
あの時にビディオを撮っていたのが優哉・・・。
あれから１年、往路が終わり復路を迎える。

さつきもまた津と津西の間で揺れることになる。
何度でも言おう、高校なんてどこでもいいのだ。
復路の３年間を着実に走ることができたらだ。
久しぶりに戸木の迷路からオークワに寄り豆腐を調達。
教室で一人、いいちこを飲みながら豆腐を食らう。
今日は岡林の結婚式の引き出物、焼津産の鰹節。
なかなか酔えないなか、今まで何度も読んだ「花神」を再び手に取る。
ストラティジィとタクティクス・・・日本にいながらにしてヨーロッパにおける戦術と戦略を自己のなかに再現してみせた村田蔵六。
四境戦争において、蔵六の想像力を具現化した奇兵隊がフランス人士官指揮下にある幕軍と対峙する。
そういえば村田蔵六、毎晩豆腐を食らいながら酒を飲んでいたとか。
同じく豆腐好きな指揮官ではあるが、俺はどうしようもなくヘタレな指揮官やな。



朝、雑紙を出しに行くと偶然岡林のお母さんと出会う。
体育館の公園に犬の散歩。
結婚式ネタで盛り上がる。

豊（サンケイスポーツ・デスク）が亡くなって２年。
奥さんのアッチャンから電話があった。
「元気ですか」
いつものようにアントニオ猪木バージョンで来やがる。
一時は生涯の伴侶にと願った女性だった。
15日に迫った内視鏡検査について話す。
「別にオマエが癌だって構わないから、・・・だけど絶対に死ぬなよ。オマエが死んだら私は価値観が変わっちまうよ」

岡南（津高３年）の唯一の私立大学、慶応大学理工学部受験のために東京に出発。
俺は最近できなかった掃除を再び始める。
明日は埋め立てゴミだ。

小学生の英語は未来形に入る。
中１が追いつかれそうである。
未来形の仕組みが分かったら、英語で書く日記に戻るつもり。

皇学館６年制の中２、浩彰は火・水・土の週３階塾に来ることに決めたようだ。
さすが６年制だけあって、中２のこの時期に高１範囲の個数の処理や確率をやっている。
高１同様、コンビネイションとパピュテイションで悩んでいる。
佇まいはヤンチャそうだが、極真空手を習ってるだけあり礼儀に関しては筋金入り。
たぶん明日は寂しい一日になるだろうと、里恵がくれたチョコレートを渡すと「ありがとうございます」
この浩彰、やっかいなのは公立高校を受けなおそうと考えていること。
皇学館を巡る各人各様の綾。

優哉が来て英単語をやっている。
授業のプリントをコピーしている大森の背中に尋ねる、「今日の授業は何や」
「中心になるのが敬語表現ですね」
「そうか、・・・そこにいる優哉も授業にまいたってや」
「古典やってるんですか！」
「全然、まあほとんど分からんやろけど雰囲気だけでもな」

啓介と飛鳥の中３体育会系が登場。
啓介は朝明高校に合格した。
まあ、ろくすっぽルールも知らずに出場した全国中学生レスリング大会で全国４位を取った実力だ。
打倒・鳥羽高！が旗頭の朝明高校としたら垂涎の人材。
飛鳥の立命館宇治高の発表は明日。
「作文のテーマは何やった」と俺。
「いじめ防止の対策でした」
「やられた！　試験直前の作文添削の次のテーマやん。で、400字詰で４枚書けたか」
「なんとか」

中３の去年の公立高校入試問題終了。
真梨子以外のほぼ全員がG線上じゃねえ、ボーダー線上のアリア達・・・。