credit: youtube dreamy sound
もちろん、末娘の部屋とは大違い。理想的な書斎・図書室。
夜明け前に私が書斎代わりにしている末娘の部屋で、書き物をしていると、雨垂れに混じって、紛れもないホホウと言う鳴き声。 ここは市街地、住宅地と言えど、背の高い見上げるレッドウッドやコットンウッドなども植えられているし、野鼠、リス、オポッサムそして狐さえ豊富にいるから、フクロウもシエラ・ネヴァダの麓の森やもっと遠くの古い森から飛来しても不思議はない。 ただその鳴き声を聞くのは、ここへ越してきて25年で、これがただの2度目である。 あれはアメリカコノハズクだろうか。
夜明け前の闇を突くように連れ合いや仲間に何かを知らせたのだろうか。 隣の市では、人通りの多い、交通量もある街区で、昼間ボブキャットが平然と歩いていたのが、つい最近新聞の記事になった。 ボブキャットは小型の野生ネコで、クーガーやマウンテイン・ライオンやプーマほどの大きさではないが、野生は野生、不用心に近づいたり、触れることは危険である。 シリコンヴァレーのサンノゼ市中や住宅地でさえ、そしてサンフランシスコの丘にさえ、クーガーは出没するのだ。 クーガーやクマは困るけれど、コノハズクや古い納屋に住み着くメンフクロウなどは、いくらでもいらっしゃいと歓迎したい。
あれはあなたでしたか、アメリカコノハズクさん。
まだ暗いうち(と言ってもほぼ7時)に下へ行き、ガラージから日曜版の分厚い新聞を拾おうとすると、すでにガラージの外へのシャッターが暗い外へ全開していて、湿った冷たい空気が入っている。 2台の車はガラージに整然と収まっているし、夫は2階でまだ寝ているし、はて、一体どういうことだろうと首を傾げた。 土曜日は午後からずっと子供たち家族が来て、クリスマスクッキーを焼き、飾り付けていたから、誰かが帰宅する折、壁のオープニング・ボタンを押して外に駐車した車へ向かい、そのまま閉め忘れたに違いない。 ということは、一晩中ガラージ・ドアは開けられていて、野鼠や虫や野良猫などが、冷たい雨と風をさけて入ってきていたのかもしれない。 幸い人間が侵入した気配はなく、第一ガラージの片隅にはハスキーのブーがクレイトのふかふかの寝床でカバーもされて寝ていたから、おそらく何事も起こらなかったのだろう。 よかった。 それで気がついた。 さっきのホホウは、ガラージに侵入せんとした野鼠のような小動物を獲得後の鳴き声だったのかもしれない。 やけに2階の私の「書斎」近くで聞こえたのだから。 完全に私の妄想かもしれないが、なんだか嬉しくなった。 カリフォルニア州農家が広大な畑のあちらこちらに猛禽類、特にフクロウの巣箱を設置しているのは、以前ブログに書いたが、その恩恵を受ける農業従事者のような気持ちになった。 フクロウや猛禽類による農業への多大な恩恵は、計り知れない。
しばらく前に、大学図書館の駐車場に駐車した車へ向かい歩いていると、夕焼け空に聳える図書館屋上の端に鳩を威嚇するために置いてあるフクロウにそっくりのディコイ(偽物)をふと見上げると、その偽物がホーホーと言ったので思わず足が止まった。 「最近のディコイはなんと精巧に出来ているんだろう、鳴き声も発するなんて、」とじっくり眺めてしまった。 するとそのディコイは突如大きく翼を広げ、飛び立ち、その時初めて本物だと気がついた。 あの大きさからすると、あれは、アメリカワシミミズクに違いない。
Credits: Alan Andrew / Copyright: RichardSeeley
アメリカワシミミズク
南カリフォルニアではついぞお目にかからなかった野鳥である。 もともとそう複雑な精神構造ではない私は、感激した。 そして今でもあの時お目にかかれて幸いだったと思う。 カリフォルニア州のこの種のフクロウは比較的アラスカ州のよりも小さいが、それでも平均50センチの長さがある。 おそらくこのアメリカワシミミズクが一番大きなフクロウだとすると、一番小さいと思われるジョニーフクロウは、南カリフォルニアに住んでいた頃しょっちゅう見かけたものだった。 子猫のような大きさだが、獰猛なところが多く、教会の側壁のところに簡単な巣を作って家族で住んでいた。 そして畑地を流れる水路の土手に穴がたくさん開いていて、そこには大抵ジョニーフクロウが住んでいるのだ。
Credit: Alan Vernon 2010
Burrowing Owl ジョニーフクロウ
人間社会の軋轢や生きることのしがらみに心が擦れているような時、自然はこんな形でも癒してくれる。 朝早起きして書き物をしていて、ラッキーだった、と思える日曜は幸先の良い一週間が待っているような気がする。 頑張れば、こんなことでもご褒美が与えられるものなのね、と妙にうなずいた。