ままちゃんのアメリカ

結婚42年目のAZ生まれと東京生まれの空の巣夫婦の思い出/アメリカ事情と家族や社会について。

蟹とたはむる

2021-08-18 | わたしの思い

Pinterestから。

 

 

人生の目的やゴールやこの世での自分の使命について、はっきりとせず、混沌とした中でいつの間にか惑わなくなると言う不惑をとっくのとうに超えてもまだぼんやり、と言うことはないだろうか。あるいは、育児を終え、子供も成人し、家を離れて独立して、ある日ふと「私の人生、なんだったのだろう?」と考えてみることもあろうか。

若い頃に、一度や二度はこれから続く長い人生に何か大きなことを為したい、ヒーローになってみたい、社会的にも経済的にも成功したい、などなどと夢を膨らませたことだろう。そうなるよう大変な努力をしてきても、人生のどこかで挫折を味わい、苦しみにのたうちまわることもあるかもしれない。あるいは健康に恵まれなかったり、健康だったのにそれを害してしまうこともある。

希望に満ちていた若い頃が苦く思い出され、自分の使命が果されていないと悔やむことも往々にしてあることだろう。この世はちっとも公平ではなく、平坦でもなく、終生凪の穏やかな海でもないのは、それはこの世が荒波を私たちが乗り越えていくための修行の場であるからに他ならない。それでも悲嘆にくれるばかりではないのも人生だ。深い闇の淵の底に行き着いた時でさえ、救いの光や差し伸べられる手は、本当はある。

最近友人は、ある人からメイルを貰った。そこには、「自分の人生の使命がなんなのかわからない」とあった。それを読んで友人は、かつての自分を思い出した。

友人が若い頃、妻子をやっとのことで養い、臨時教師としてあちらこちらの学校で仕事をしていた。幼稚園から高校三年生までのクラスを教え、あらゆる科目をカバーしていた。学年末には、特に授業直前にクラスを教えて欲しいと言う要請が特に多かった。学期末には、来る夏の間の仕事不足が、心配の種でもあった。また、受け持ったクラスが荒廃していたと言うのさえも、その悪さを過小評価しているに過ぎないこともあった。臨時の代用教員への生徒の態度の悪さは、無関心だけでなく、何一つ彼が言ったことに注意を向けてはいなかった。

休み時間に、暑い教室を走り出して校庭へと走っていく生徒たちが外でその有り余るエネルギーをすっかり使い果たしてくれるように期待していたものだった。午後が午前中ほど厳しくないようになることを望みつつ生徒たちを見ていた。すると、その時、小さな女の子が彼に駆け寄ってきた。彼女は一握りの摘んだばかりの野に咲くデイジーを手に持っていた。少女は彼にデイジーを持った手を差し伸べて、「これは先生のためです。」と言った。その瞬間、彼は今まで感じてこなかった喜びを感じた。少女が喜びながら駆け去り、彼は微笑んで彼女の贈り物に感謝していた。

その少女はここ地球上で彼女が存在する目的の一部を瞬時に完了したのだった。友人は、私たちが行うすべてのことが、ここ、この世での生活する目的の一部だと理解したのだった。私たちが行うすべてのことは私たちの生きる使命の一部でもあるとわかった。神は私たちをこの世に於いて、ご自身が私たちを愛しておられるように、お互いを愛することを学ぶようにされた。そしてそれは生涯にわたる過程なので、一人一人の使命や生きる目的について心配することはないのだ、と友人は気がついた。そしてそのことを先のメイルの送り主に書いて送った。

その友人もあなたも私もそんな過程を毎日生きている。

友人がその日瞬時に気づいたことは、私たち全員にも当てはまる。あなたの人生の一日が、学び、そして愛に満ちあふれますように。たまに「東海の小島の磯の白砂にわれ泣きぬれて蟹とたはむる」日があるとしても。

 

 


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2 コメント

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Unknown (びこ)
2021-08-18 00:38:45
今日もよいお話を聞かせていただきました。
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びこ様 (ままちゃん)
2021-08-24 06:47:08
コメントをありがとうございました。
びこ様のブログをお読みして、コメントが無視されているかの様にお感じになられることがあると知り、大変に恐縮いたしました。遅筆であることは日々戒めなければと思うのですが。ごめんなさい。

私もびこ様の様に歌を詠むことが出来たらどんなによろしいでしょうか。
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