『絶叫仮面』(by吉見知子&平山けいこ)、読了。
古本市で見かけ、挿絵の多さに惹かれて入手。
(作者名は文担当と画担当)
この本を読む際には、初出が2009年である事を踏まえる必要がある。
この本の発表当時は、まだLINEが無い。スマホが無い。
SNSではmixiが強かった。前略プロフも賑わっていた。
ケータイはガラケーで、PC含めて個人サイトが力を持っていた。そんな時代。
「その声を聞いたら死ぬ」と伝えられる怪人・絶叫仮面。
主人公である少女・神山沙月は、アヤメというハンドルネームで、その絶叫仮面についてサイトを運営している。
そんな折、絶叫仮面を知っているという投稿から、沙月は現地へ赴く。
読んでいて、何とも言えない不安感が付いて回った。
この話は、ホラーなのか、ミステリなのか。
絶叫仮面は実在するのか。
目撃者を名乗る「カエ」は実在するのか。
そもそも主人公は信用できる語り手なのか。
最後まで読んでみて、ジュブナイルという言葉が一番相応しいと結論。
登場人物全員が一応幸せに終わっているから、読後感は悪くない。
ただ、そう結論するには中盤の、主人公から妹への暴力が非常にノイズ。
すんでのところで堪える描写にして欲しかった。
ところでこの作品、作中に秘密が隠されているそうで。
公式サイトにクイズが載っているというからスマホでアクセスしたところ……ことごとく文字化けしてしまっていた。
栄枯盛衰の激しいネットと、不変の小説とは、相性がよろしくないかもしれない。
それでは。また次回。