リーメンシュナイダーを歩く 

ドイツ後期ゴシックの彫刻家リーメンシュナイダーたちの作品を訪ねて歩いた記録をドイツの友人との交流を交えて書いていく。

277. 17回目のドイツ旅行(5) シュトゥットガルト市内見学

2023年01月19日 | 旅行

▶この日はシュトゥットガルト市内の見学です。

 


シュトゥットガルト、アカデミーガルテン 奥は新宮殿


▶シュトゥットガルトのヴュルテンベルク州立博物館訪問は12年ぶりでした。

◆2022年9月6日(火曜日)
 
今回の旅の目的の一つ、ダニエル・マウホの4枚のレリーフが見たくて、火曜日はシュトゥットガルトのヴュルテンベルク州立博物館(旧宮殿 美術館・博物館①)を訪ねました。元々ここにはリーメンシュナイダーの選りすぐりの作品「大ヤコブ」「マリア・クロパヨとアルパヨ」「悲しむ女性」の3点があり、私は2010年までに4回この博物館に来ていましたから今回で5回目の訪問となります。ただ、当時はマウホの名前も知らず、数ある作品の中で彼の作品はまったく記憶には残っていなかったのです。「今回はリーメンシュナイダー作品はここにはないけど大丈夫?」と予めアンゲリカが心配して知らせてくれていました。啓子さんには残念ですが、シュヴェービッシュ・ハルのヨハニターキルヒェに貸し出されているそうです。「まぁ、それなら私たちはあとでシュヴェービッシュ・ハルに行って会えるわね」と思っていました。

 うっかりしたことに、この日は博物館前の写真を撮り忘れてしまったので、便宜的に2009年1月に写した写真を載せておきます。


シュトゥットガルト、ヴュルテンベルク州立博物館(2009.01.31撮影)(美術館・博物館①)  


 しかし、入館したときに大きな違和感を感じてしまいました。12年の間にすっかり内部改築をしていたようで、以前と造りも展示の仕方も内容も大きく違うのです。「これがあのときと同じ博物館?」と頭が混乱しました。もしかしたら私の記憶が間違っているのかもしれないのですが。
 そして、ぐるっと一回りのなんと早いこと。圧倒的に展示作品数が減っていました。あるはずのマウホのレリーフも全く見当たらず、会場の人に聞いてもわからないのです。保管庫にあるというのならまた見る機会はあると思うのですが。大きな改築の後で訪ねたら以前あった作品が見つからなくなっていたというのは、過去いくつかの博物館で経験していますので、「リーメンシュナイダー作品も本当にちゃんと戻ってくるのかしら。戻ってきたとしても置き場所はあるのかしら」と少々心配になりました。

 展示作品の解説を見て、作者名を知っていたのはミヒェル・エーアハルト(磔刑像)とニクラウス・ヴェックマン(祭壇)だけでした。二人ともウルムの彫刻家で、ヴェックマンはマウホの師匠と考えられています。優しげなキリストや兵隊たちの様子からもマウホとの師弟関係がうかがわれましたが、ヴェックマンの作品の方が男性像の顔つきもまろやかに彫られているような感じがしました。一方、ミヒェル・エーアハルトはリーメンシュナイダーの師匠と言われています。ウルムは中世後期の大彫刻家を産み、育てた町だったのですね。


▶シュトゥットガルトの町並み

 以前来たときは駅前に大きなケーニッヒ・シュトラーセがあり、町並みも目の前に広がって見渡しやすかったのですが、シュトゥットガルト中央駅の大工事が始まってからは通りも分断され、町全体が工事中という感じで落ち着かない景色となってしまいました。「一体あと何年かかったら出来上がるんだ。日本の京都駅を見習え!」とヴィリーの怒りは収まりません。

 啓子さんは前回来たときにこの町を散策する時間が取れなかったので、今回は少しでも町を見てもらいたいと思ってこの時間を取りました。アンゲリカとヴィリーがガイド役であちらこちら説明をしながら歩いてくれました。歩いているうちに小腹も空いて入ったレストラン。アンゲリカ宅の朝食でパンもおかずもサラダもしっかり食べたので、昼食はあまり入りそうもありませんでしたが、確かに喉は渇きました。「それならこういうのはどうだ」とヴィリーが注文してくれたのがこの写真です。ピザより軽く、でもそこそこお腹に溜まりました。料理名を今度教えてもらっておき、次回の旅では自分で注文できるようにしたいと思っています。



カフェレストランにて


 このレストランで面白かったことが一つありました。三津夫たちの後ろの席で子どもがスマホばかり見ていてちっとも食べていないのを知ったウェイターが「食べるまでそのスマホを預かるから寄越しなさい。スマホは食べてからするものです」と何度も強く促したそうです。両親も苦笑していました。こう注意できるウェイターは偉いですね。
 ただ、ドイツでは食事中にタバコを吸う人が日本よりずっと多いと感じます。この両親もしょっちゅうタバコを吹かすので、私は喉が痛くなって困りました。三津夫と私だけなら煙の来ない建物の中の席に座るのですが友人たちは外が大好きなので辛いところです。


▶この日の夜はバーベキュー

 一昨年だったと思いますが、シルヴィアとクラウスは住まいの近くの林の中に庭を買いました。その庭を整えてこの日の夜に初バーベキューパーティーをすることになっていました。その準備でシルヴィアは今日は家で過ごし、シュトゥットガルトにはヴィリーとアンゲリカが連れて来てくれたのでした。それまでまだ時間があるので、ヴィリーのアパートで一休みするということになっていました。彼は市内に家があり、アンゲリカは高台に家があって再婚同士の別居夫婦です。この日はアンゲリカがコロナ禍でずっと会えずにいたお友だちとの会が入っていたため、まずアンゲリカ宅に行き、ここで彼女とはお別れ。
 その後、残った4人でヴィリー宅へ。三津夫と私は余程疲れた顔をしていたからか、「別室で休んでいいよ」といわれてバタン・グー。確かにドイツに着いた早々、朝早くから出かけていたので時差惚けも残っていました。一眠りして起きると、ヴィリーと啓子さんは今までの旅行の話などして盛り上がっていました。啓子さんはほっそりしているけどとてもパワフルです。ただ、テーブルの上にはまたしても飲み物とケーキが…! お腹を空かせてバーベキューに行きたいと楽しみに思っていたけれど、これでは無理なようです。

 一休みした後で、今度はシルヴィアの家へ。ここも何だか大忙し。永年使っていたキッチンの備え付けソファーを取り替えたいと新しい椅子を買ったものの、そのソファーがなかなかはずせずにクラウスが大汗をかいていたのです。そこにヴィリーと三津夫もできるところは手助けに入り、シルヴィアの友だち夫妻が電動工具を持って来て更に大がかりな工事に突入。しばし電動鋸の音が響き渡っていました。この日も暑い日で、働いているみんなは汗びっしょりでした。

 ようやく片付けができて新しい椅子を据え付け、いざシルヴィアとクラウスの庭へ出発。車で数分の移動でしたが、食材や飲み物やクッションと、運ぶ荷物がたくさんありました。庭先に車を停めてシルヴィアの案内で庭を見て回りました。なかなか広々とした庭で、日本とは規模が違います。彼女が1人で時間をかけて作った池も見せてもらいました。何度も家から水を持って来てはこの池に入れてきたそうです。生き物が大好きでチビちゃんと名付けたバルトアガメ(エリマキトカゲに似たような動物。彼女はこうして保護された生き物を引き取っています。下の写真)というペットを飼うほどのシルヴィア。それにしても自力でこんなに大きな池を作るとはすごいエネルギーです。





 いよいよバーベキューが始まりました。クラウスは初めて使うというバーベキューセットでグリル担当。他のみんなでテーブルセッティング。美味しく焼けたソーセージに会話も弾みます。星が輝く時間になるとさすがに冷えてきて少々寒さを感じるほどとなり、お開き。
 シルヴィア、クラウス、ヴィリー、お友だち夫婦に準備をありがとうと感謝しながら再度ヴィリーの運転でアンゲリカの待つアパートに戻ったのでした。







たくさん食べてたくさんおしゃべりして、楽しいバーベキューでした。

  次回はケンプテンへのドライブ旅行です。

※このブログに掲載したすべての写真のコピーをお断りします。© 2015-2023  Midori FUKUDA

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