日経ウーマン様のホームページより下記の記事をお借りして紹介します。(コピー)です。
今回は、モデルの私が思う「美しさ」について、話したいと思います。
「モデルは、常に食事制限をしているのではないか」「少しでも体重が増えると、事務所から怒られるのではないか」――。「モデル」に対して、そんなイメージを持っているかもしれません。けれど、私も含め、周りのモデル仲間はみんなよく食べる! もちろん、体のラインが出る服を着る撮影が控えているときは、数日前から食事に気を使います。けれど基本的には毎日、お肉もご飯も甘いものも、なんでもおいしく食べています。
そんな私ですが、モデル事務所に入る前に過食がやめられない時期がありました。
「太りたくない」から、過食に走った私
それは10代の終わり頃だったと思います。高校生から、大学に入った頃だったかな。
小学生のときから「将来モデルになる!」と決めていた私。モデル事務所に入るまでは、「モデルになるには、細い体でいなければ」と、ずっと思い込んでいました。
幼い頃からクラシックバレエを習っていたこともあり痩せ形でしたが、高校生くらいになると女性は体つきがふっくらしてきますよね。顔も、今よりもずっとまん丸で。「痩せなきゃ」というより、「太りたくない」思いが強かったんです。その不安定な気持ちが、過食に向かわせたのだと思います。
「食べたいけれど、太りたくないから我慢しなければ」と思うあまり、その張り詰めていた糸が切れた瞬間に、我慢していたはずのお菓子を食べてしまう。おなかが空いていなくても、です。
「太りたくない」という不安定な気持ちが、過食に向かわせたのだと思います
「太りたくない」という不安定な気持ちが、過食に向かわせたのだと思います
当時は実家で暮らしていて、キッチンにはファミリーパックのお菓子が常備してありました。それを1袋食べ切ってしまって。家にお菓子がないときは、コンビニエンスストアで板チョコを買い、そのままぽりぽりと平らげてしまう……。
食べている間は、無心です。お菓子の食べ過ぎで、夕飯が食べられない日もありました。「夕飯が食べられなくなると、せっかく作ってくれた母を悲しませてしまう」「お菓子を食べるのは、今日で終わりにしよう」――、そう思っても、やめられませんでした。
私は甘いものが大好きで、中でも一番はチョコレート。ファミリーパックは個包装されているから、食べたあとの「残骸」が目の前に残ります。その山を見て、「またやってしまった」と罪悪感を抱く。「あしたこそは、食べないようにしよう」と決意してもまた食べてしまう。その繰り返しでした。
モデル事務所に所属したばかりの頃も、まだその習慣から抜け出せずにいました。痩せない理由は分かっている。とはいえ、どうしたらやめられるのかは分からない。出口が見えなくて、苦しかったですね。
けれどその不安定な気持ちは、マネージャーさんからの「ある一言」で変わりました。
食べるのは悪いことじゃない
その頃私は、所属事務所でモデルのレッスン生をしていました。そのときに付いてくれていたマネージャーさんに、「甘いものがやめられなくて、だめだと分かっているのに、どうしても食べてしまう」と打ち明けたんです。とても気さくで、話しやすい雰囲気を持つ人だったので、私も心を開いて話すことができました。
私が「痩せたい」と言っている割には体重が減らないので、「何かあるのではないか」と思ってくれたのかもしれません。彼女はそのとき、こう言ったんです。
「ケーキや甘いものをご飯代わりにしたっていい。それで誰も怒ったりしないから。食べるのは悪いことじゃない。だから、『食べてしまった』と自分を責めないで」と。食べることは悪くないんだと、このとき初めて気づきました。
どうして食べてしまうのかと責めもせず、甘いものが太る要因なのだからやめなさいとも強要せず。ただただ「食べること自体を嫌いにならないでほしい」という彼女の言葉に、心が救われた気がしました。
体は食べたものでできている
「食べてもいい」ことに気づいてからは、まず「ご飯」を先に食べるように。それまでのお菓子が主食のような食生活では、炭水化物(ご飯などの主食)の摂取を控えていたので、真逆です。「バランスのよい食事を取る」という、至極当然の食生活を心がけるようになると、自然と体がお菓子を欲しなくなっていきました。
「当時は今よりも顔が丸くて、小顔矯正に行ったり、マッサージをしたり頑張っていました。今YouTubeチャンネルでマッサージ動画を作れているのは、そのときの経験があったから」
「当時は今よりも顔が丸くて、小顔矯正に行ったり、マッサージをしたり頑張っていました。今YouTubeチャンネルでマッサージ動画を作れているのは、そのときの経験があったから」
ちょうどその頃、オーディションを受け始めるようになり、さまざまなモデルの人たちとの出会いがありました。そこで知ったのは、みんな「ご飯をしっかりと食べている」こと。先輩方と一緒に食事に行くと、「こんなに食べるの?」と驚くくらい食べていて。モデルは体が資本。きちんと食べて、しっかりと体を動かして体形を維持していることを、間近で学びました。
過食に走っていた10代の頃は、雑誌で活躍しているモデルの人たちが何を食べ、どんな努力をして体形を維持しているのかが、まったく分からなくて。「痩せているのは、食べていないから」と、私自身が勝手に思い込んでいました。
今、私がYouTubeチャンネルで「モデルの食事公開」をしているのも、将来モデルを目指す人が、かつての自分と同じ経験をしてほしくないし、「痩せている=食べない」と思ってほしくないから。体は食べたものでつくられているのだと伝えたいからです。
10年続けられないものは、やらない
さまざまなダイエット方法があるけれど、これまで自分が試して失敗した経験から、「10年続けられないものは、やらない」と決めています。それくらい、生活の一部となり無理なく長期的にできるものがベスト。食事だったり運動だったりと、何が向いているかは人それぞれ違うので、自分に「これは10年続けられるか?」と聞いてから取り入れるようにするといいですね。
「理想の自分をつくったら、『人生を楽しむ』部分にフォーカスしてほしい。何よりも自分が楽しくなきゃ」
「○キロ痩せたら△△しよう」と考える人も多いと思います。けれど、それでは準備運動が長過ぎて、ゴールにたどり着く前に挫折してしまうかもしれないし、何より時間がかかる。
例えば、「着てみたいワンピースがあるけれど、○キロ痩せたら買おう」と思ったのなら、その服をお店で試着することから始めてみる。そこでまず、「キツくてファスナーが閉まらない」といった現実と出会えますよね。「現実をしっかり見る」のは、実は大事なことだと思っています。
でも、実際に試着をしてみると、「ウエスト周りはキツいけれど、腕のあたりはちょうどいいな」と思うかもしれません。そこに気づいたら、おなかを意識して姿勢を正すようにしたり、ウエストを絞るエクササイズを日常生活に取り入れてみたり。
そうやって、ゴールを決めたら少しずつ体験し、学びながら前に進んでいったほうが、結果的に早くゴールにたどり着くと思います。常にトライ&エラーで理想の自分をつくっていくといいんじゃないかな。
石井亜美をハッピーにするもの
チョコレート
「私は甘党! 特にチョコレートが大好き過ぎる」
食生活は、生理の周期に影響を受けていると思っています。生理が終わってから2週間くらいは、体が自然とヘルシーな食事を欲している気がします。この時期は猛烈に「甘いものが食べたい!」とはならず、カカオ70%のチョコレートを少し食べると、気持ちが満たされる。
反対に、生理の2週間前にさしかかると、カカオ70%のチョコレートでは満足できない(笑)。このときは、甘いミルクチョコレートを解禁しています。
といっても、スーパーなどで手軽に購入できるものだと、過去に板チョコをぺろりと食べ切っていた私は同じことやりかねません(笑)。そこで、「ゴディバ」や「リンツ」といった高価なブランドのミルクチョコレートを買って、少しずつ食べるようにしています。
あみしぃさんの、お気に入りのカカオ70%のチョコレートたち
あみしぃさんの、お気に入りのカカオ70%のチョコレートたち
ミルクチョコレートは、自宅に買い置きしておくと食べてしまうから、欲しいと思ったら都度買いに行くようにしています。逆に、カカオ70%のチョコレートはストックがあります。濃厚すぎて少量で満たされるため、食べても適量でやめられるんですよね。
自分を好きになるために、今日からできること
→きのうより、ちょっと多く歩いてみよう
リモートワークが続き、歩く機会が減った人も多いと思います。走るまではいかなくとも、少し意識をしてウオーキングすることをおすすめします。きのうより、少し遠くのスーパーまで行ってみたり、1駅前で降りて歩いて帰ったり。日常生活に、「歩く」ことを取り入れてみるといいですね。
そして、歩くことと同じくらい大切なのは呼吸です。私は、PC作業の合間、一段落ついたときなど深呼吸をするようにしています。緊張しているときや、仕事が忙しいときは呼吸が浅くなりがち。意識して、呼吸を深めるようにするのは大事だと思います。吸って、吐いて。この記事を読んでいる今、ぜひ深い呼吸をしてみてくださいね。
取材・文/尾崎悠子(日経xwoman doors)写真/稲垣純也
石井亜美
いしいあみ
1989年、東京都生まれ。モデル。メイク、ファッション、ダイエット、エクササイズ、旅行など日常で今すぐ生かせるような「為になる!ハッピーになる!」をテーマにモデルを軸にYouTuberとして活躍中。
下記の記事はビヨンドヘルスからの借用(コピー)です。
シンデレラ体重
シンデレラ体重とは、若い女性たちにとっての「理想の体型」の象徴のこと。「モデル体重」とも呼ばれる。
2016年ごろから女子高生を中心にSNSで盛んに発信されたワードである。由来を探ると、「ガラスの靴を履いても割れないほどの体重」「細身の王子様が抱きかかえられる体重」「お伽話でしかありえない体重」など諸説あるもよう。若い女性たちがこの体重を目指して涙ぐましいダイエットをしていることも、ネットへの様々な書き込みから読み取ることができる。
ところでこのシンデレラ体重は、「理想の体重」どころか、女性たちの健康を脅かすものと言える。不妊や病気の原因にもなり、さらには、次世代の病気のリスクも高める「危険な体重」である。
シンデレラ体重の具体的な計算式は、「身長(m)×身長(m)×20×0.9」とされている。これを、体格指数(BMI)の数値に置き換えると18となる。BMI18というと、日本肥満学会が定めた基準で、やせ(低体重)と分類される体形。同学会は、BMI18.5未満を、体調不良や病気のリスクが高まる体形と位置付けている。つまり、シンデレラ体重を達成した女性は、かなり不健康な体形であることになる。
痩せ過ぎの体形では、想像以上に広範な健康リスクが生じるが、その深刻さが当の若い女性たちはもとより、一般の社会にもあまり認識されていない。痩せている=エネルギー不足で栄養失調の状態は、ホルモン、血管、精神、骨、月経、免疫、代謝、消化、心血管など全身の健康状態に悪影響を及ぼす。そのため、不定愁訴や疾病の原因になり、無月経のリスクも高まるため、妊孕性にも悪影響を及ぼす。
さらに近年、痩せた女性が妊娠すると、生まれてきた子どもが将来、糖尿病や高血圧などの生活習慣病になるリスクが高まるという事実が明らかになってきた。本人だけでなく、健康リスクは次世代にも受け継がれるわけだ。
だが、日本の女性は「痩せ願望」が強く、20代女性の5人に1人(20.7%、2019年)がBMI18.5未満だ。成人女性全体で見ても、やせ女性の割合は先進国の中で最も高く、国際的にその異常事態が指摘されているほどだ。
もちろん、国内でも問題は認識されており、2000年に設定された「健康日本21」では、「20歳代女性のやせの者」(23.3%、1997年)を10年後には15%以下にするという目標が示されていた。だが、実際の評価時(2009年)には22.3%で未達。第二次「健康日本21」では、2020年に20%以下にするとの目標になったが、最新の2019年の数字を見ても20.7%(20年度、21年度はコロナウイルス流行により調査自体が中止)で、この約20年間、20代女性のやせ割合はほぼ横ばいのまま。その結果として、20年後の今、やせた妊婦から生まれた子供たちが、妊娠・出産年齢にさしかかっており、この世代の妊婦では妊娠糖尿病などが増えているという。
一刻も早く、シンデレラ体重を目指すことの危険さを女性たちに啓発し、極端なやせ願望を軌道修正しなければならない。例えば企業は、健康経営で「女性のやせを減らす」というテーマに取り組むべきだろうし、ダイエットをあおりすぎる広告やメディアの在り様なども、今一度、考えてみる必要があるだろう。健診などで痩せすぎを早期に発見し、適切な体重管理をするようなサービス、商品の開発などが待たれている。