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「なぜ喫煙者はコロナに感染しづらいのか」広島大学が発見した意外なメカニズム

2021-12-10 15:30:00 | 日記

下記の記事をプレジデントオンライン様のホームページからお借りして紹介します。(コピー)です。

 

新型コロナをめぐっては、喫煙者は重症化リスクが高くなることが知られている。その一方で、喫煙者はコロナそのものには感染しづらいというデータもある。広島大学原爆放射線医科学研究所の谷本圭司准教授は「たばこは、感染後の重症化リスクを高めるが、感染するリスクを低下させる効果があるのではないか、という仮説を立てたところ、治療薬につながる意外なメカニズムがわかった」という――。

欧米で「新型コロナ感染者に喫煙者が少ない」報告

新型コロナウイルスが世界的に流行して1年以上になります。日本におけるワクチン接種率は全人口の6割を超え(2021年10月現在)、近いうちに国民の希望者全員が完了する見込みですが、治療薬についてはいまだ開発中です。

 

私は現在、広島大学で「低酸素応答機構」を研究しています。高山など、酸素濃度の低い環境に長期間身を置いていると身体がその環境に順応していきますが、このとき体内で起こる防御反応を遺伝子や分子のレベルで解き明かし、それをがんなどの疾患治療や創薬につなげようという研究が私のテーマです。

 

新型コロナウイルスによるパンデミックが世界中に拡大する中、私も研究者の一人として何か貢献できないか……。そんな思いから、ウイルス学にあかるい広島大学・坂口剛正教授、坊農秀雅特任教授、関西医科大学・廣田喜一教授の協力のもと、研究を始めました。

 

これまで、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の病態に、喫煙が悪影響を与えていることが多くの疫学調査から示唆されています。しかしその一方で、「新型コロナ感染者に喫煙者が少ない」「喫煙者の新型コロナウイルス陽性者が少ない」という報告が英、米、仏などの研究グループから複数報告されていることがわかりました。

 

 

非喫煙者は約21%に対して、喫煙者は約10%の陽性率

例えば、イギリスのオックスフォードロイヤルカレッジの研究で、『lancet infectious diseases』という権威ある医学誌に掲載された論文では、PCR検査を受けた3802人のうち、非喫煙者では17.5%、前喫煙者(以前は喫煙していたが現在は喫煙していない)では17.3%、現喫煙者では11.4%が陽性という結果が出ています。

 

また、アメリカ退役軍人医療システムの電子健康記録データでも、非喫煙者に占める陽性者の割合が20.7%、前喫煙者が20.3%なのに対して、現喫煙者が9.9%と、喫煙者の新型コロナウイルス陽性者が少ないという結果でした。

 

喫煙と新型コロナウイルス感染の関係について書かれた論文は数多く発表されていますが、中には、研究の組み立てとして質の悪いものも含まれています。そこで、549件の論文の中から質のいい87件だけを選び出しているものを見つけましたので、くわしく調べてみることにしました。すると、ほとんどの論文で、「現喫煙者は、非喫煙者と比べて新型コロナウイルス感染のリスクが低かった」という報告がなされているのです。

 

そこで私は、「たばこは、感染後の重症化リスクを高めるが、感染するリスクを低下させる効果があるのではないか」という仮説を立て、研究を始めました。

ウイルスが細胞に感染するための「ドア」

ここで、新型コロナウイルスが人体に感染するメカニズムを確認しておきましょう。

 

新型コロナウイルスがヒトの体内に入ると、表面にある突起状のトゲトゲ(スパイクたんぱく質)を、細胞膜の表面にある「ACE2受容体」にぴったりとくっつきます。これは、われわれの体内にウイルスが侵入するための“ドア”のようなものです。

 

そして、細胞膜にあるたんぱく質の分解酵素「TMPRSS2」が、ウイルスのスパイクたんぱく質を適切な位置で切断し、やがてウイルスと細胞が融合。私たちは“ウイルスに感染”した状態になります。その後ウイルスは細胞内に侵入し、自らの遺伝物質(RNA)を注入することで、私たちの細胞を「工場」としてウイルスを大量に自己複製するという仕組みです。

 

今回、研究の対象としたのは、この“感染のドア”となる「ACE2受容体」です。

たばこの煙成分が「ドア」を減らす

最初に、ACE2やTMPRSS2が、特にたばこの煙の成分によってどのように変化するのかを調べてみました。たばこの煙成分を抽出し、生理食塩水に溶かし込んだ液体をヒトの細胞にかけてみると、ACE2遺伝子の発現量がぐっと減ったのです。さらに煙成分の濃度を上げて観察してみると、濃度が高いほどACE2遺伝子の発現量が減っていくというデータが確認できました。この実験によって、たばこの煙に含まれる物質によりACE2、つまり「ドア」の発現を抑制することがわかりました。

次に、なぜ「ドア」の数を抑制できるのか、その仕組みを解明する実験を行いました。細胞内の約4万の遺伝子それぞれの増減を観察する「RNA-Seq(RNAシーケンス)」という方法を用いて遺伝子発現量の変化を確認したところ、たばこの煙成分が「AHR(芳香族炭化水素受容体)」を活性化させることによってACE2の発現を抑制していることがわかりました。

しかし、たばこの煙成分そのものを治療に応用することはできません。そこで、「AHRを活性化させる安全な化合物」がないかを探索したところ、ある2つのモノを発見したのです。

胃潰瘍の薬とブロッコリーなどに含まれる成分が効果を発揮

最初に思い浮かんだのは、胃潰瘍の治療薬として使われている「オメプラゾール」です。これは個人的なエピソードですが、私が1997年にスウェーデンに留学した初日に、担当教授が「最近、こんな論文を発表したんだ」と見せてくれたのが、「オメプラゾールという胃潰瘍の薬で、AHRが活性化する」という論文でした。

今回の研究でAHRという名称を見た瞬間に当時の記憶がよみがえり、「これは使えるんじゃないか」と考え、実験を実施。結果、「AHRという受容体を介して『ドア(ACE2)』の量を減らす」というところまでは確認できました。

他にもAHRを活性化させるものはないか、論文を調べたり実験を重ねたりしたところ、もうひとつの化合物を発見しました。それが、ブロッコリーなどに含まれる「トリプトファンの代謝物」です。

 

本当に、新型コロナ感染を抑制するのか

トリプトファンとは、必須アミノ酸(タンパク質を構成するアミノ酸のうち、体内で十分な量を合成できず栄養分として摂取しなければならないアミノ酸)の一種で、ブロッコリーをはじめ、豆や鶏卵などの食品にも含まれています。このトリプトファンが、体内で酵素や腸内細菌によって分解された結果として生じた化合物が「トリプトファン代謝物」で、これがAHRを活性化することが報告されています。

ここまでさまざまな研究を重ねてきましたが、「本当に新型コロナウイルスに感染しにくくなるのか?」という点を明らかにしなくてはなりません。そこで、オメプラゾールとトリプトファン代謝物を用いて、新型コロナウイルスが細胞に感染する(細胞に侵入する)量が抑制できるかどうかの実験を行いました。

実験では、ヒト細胞の培養液にAHRを活性化する化合物(オメプラゾールまたはトリプトファン代謝物)を加えた状態で、新型コロナウイルスを感染させた後、細胞内に入り込んだ(感染した)ウイルス量を比較しました。その結果、化合物の濃度が高くなればなるほど感染ウイルス量が低下することが確認できました。

「オメプラゾールやトリプトファン代謝物によってAHRが活性化することで、ウイルス受容体であるACE2発現量を抑制し、その結果としてウイルス感染量を減らすことができる」ことが証明されたのです。

これらの結果から、新型コロナウイルス治療薬としての可能性が示されました。今後は、今回の研究結果をさらに深化・発展させ、治療薬の開発に応用したいと考えています。

ウイルス変異株でも影響しない

現在、新型コロナウイルスに感染した患者の治療には、他の病気の薬で新型コロナへの効果が確認されたものなどが使われていますが、まだ特効薬はありません。また、国内外の製薬会社をはじめ、多くの新型コロナウイルス感染阻害薬の開発が行われていますが、いずれも治験段階です。

現在、開発が進められている治療薬は、「感染しにくくするための薬」と「感染後に重症化するのを防ぐ薬」の2つのタイプに分類できますが、私たちが目指す治療薬は前者のタイプで、「感染予防または感染初期の軽症患者に投与することで重症化を防ぐ薬」です。

最大の特徴は、新型コロナウイルスの感染受容体という「ドア」の数を減らすメカニズムを利用している点にあります。中和抗体など抗体を利用した薬の場合、特定のウイルスに対して効果を発揮するため、変異株などウイルス自体が変化してしまった場合、効果が低下する可能性があります。一方、この治療薬は、「ドア」自体を減らすため、たとえウイルスが変異しても対応することができるのです。

 

 

抗ウイルス薬との併用を想定

実際の使用にあたっては抗ウイルス薬との併用療法をイメージしています。「ドア」の数を減らすことでウイルス感染量は減らせても、感染してしまったウイルスの増幅は阻害できないからです。入ってくるウイルス量を減らせれば、抗ウイルス薬の投与量も減らせるため、副作用リスクの軽減が期待できます。

現在は、広島大学が主導する大規模な疫学研究プロジェクトにおいて、実際のコロナ患者で、胃潰瘍治療薬を使っている患者さんを対象に、感染率や重症化率の傾向、その他の有害事象などについて観察を行っています。今後は動物実験モデルなどを用いた評価を経て、臨床研究での効果評価へと進めたいと考えています。

 

谷本 圭司(たにもと・けいじ)

広島大学 原爆放射線医科学研究所 准教授

1970年広島県広島市生まれ。1994年広島大学歯学部卒業、1998年同大学大学院歯学研究科にて博士(歯学)取得。埼玉県立がんセンターに研究生として勤務後、スウェーデン王立カロリンスカ研究所ノーベル医学研究所へ留学し、日本学術振興会特別研究員を経て、現在の研究の基盤を作る。2020年より現職。低酸素環境下における防御反応の研究を行う。

 


「空腹」が老化を遅らせる! 最新研究で分かった老化を制御する食事術

2021-12-10 13:30:00 | 日記

下記の記事を日経グッディ様のホームページからお借りして紹介します。(コピー)です。

 

老化を抑える効果が期待できる食品とは? やっぱり発酵食品はよかった

 

ここ数年、老化や寿命のメカニズムが解明されて抗老化研究が急速に進み、「老化の進行を遅らせること」が現実のものとなる日が近づいている。臓器の中にたまった老化細胞を除去する薬の開発などと並行して、誰でも実践できそうな老化制御法の研究も進んできた。最新のサイエンスで分かってきた、老化の制御に欠かせない食事のとり方や食品とはどのようなものなのか? 世界の抗老化研究に詳しい慶應義塾大学医学部精神・神経科学教室特任講師の早野元詞さんに解説してもらった。

 

古くから老化を抑える効果が知られていた「カロリー制限」

 

古くから老化を抑える効果が知られていた「カロリー制限」

「老眼で近くの文字が見えにくい」「寝つきが悪い」「白髪やしわが増えた」……。そんな老化現象を実感する前から、徐々に細胞レベルでの老化は始まっている、ということを本特集の第1回ではお伝えした。できる限り細胞レベルの老化を抑え、年を取っても病気にならずに元気に過ごしたいと考える人は多いのではないだろうか。

「小中高校時代の同級生でも20~30代以降になると、学生時代とあまり変わらない人と年老いて見える人の差が開いてくるように、人によって、また臓器によって、老化が進むスピードは異なります。細胞レベルで、命の回数券とも呼ばれるテロメアの短縮、遺伝子発現の状態の変化(エピジェネティックな変化)や細胞老化など、複合的変化が起こって徐々に臓器や身体的な機能、認知機能が低下していくのが老化です」と早野さんは説明する。

老化の原因として考えられること

[画像のクリックで拡大表示]

老化の主な原因として考えられている9つの要素(それぞれの要素の解説は本特集の第1回に掲載)。出所:Cell. 2013 Jun 6;153(6):1194-217.を基に作成

早野さんは、慶應義塾大学医学部で老化の原因解明と治療法の開発を行う抗老化研究者の一人だ。世界的なベストセラー『LIFESPAN(ライフスパン) 老いなき世界』の著者で、「健康なまま120歳まで生きられる時代が近づいている」と説く、米ハーバード大学医学大学院のデビッド・シンクレア教授(遺伝学)の研究室で抗老化研究に取り組んだ経験を持つ。

抗老化研究とは、老化や寿命の仕組みを解明し、細胞レベルでの老化を抑え、心臓病やがん、認知症、サルコペニア(筋肉減少症)などの加齢性疾患を防いで健康寿命をできるだけ延ばすための具体的な方法を探るというものだ。

寿命に寄与している老化制御遺伝子として、アルツハイマー型認知症の発症リスクと関係があるAPOE、活性化していると長寿になるFOXOなどが知られており、「老化のスピードや寿命は、生まれる前から遺伝によって大体決められている」と思っている人も多いかもしれない。しかし国内外の研究により、老化のスピードや寿命の長さへの「遺伝」の影響は15~25%程度で、実は「生活習慣や環境」の影響が大きいことが分かってきた。(本特集第1回参照)

では、どのような生活習慣や環境なら、老化の進行を遅らせられるのか? 世界中の研究結果から信頼性の高い老化制御法として、米国立老化研究所(NIA)が2014年に発表したのが「ライフスパンを延ばす7つのメソッド」(次ページの表)だ。

中でも注目されるのは、免疫抑制剤のラパマイシン、糖尿病の治療薬としても使われ老化細胞を除去する効果が期待されるメトホルミンなどの薬剤と並んで、食に関する項目が4つも挙げられていることだ。

薬剤のラパマイシンは、とると寿命が延びることがマウスの実験で分かっており、また、メトホルミンは糖尿病ではない高齢者を対象にした臨床試験でも心血管疾患など老化に伴って増える病気が減り健康寿命が延びる可能性が示されている。これらをもとに現在、米国では、ヒトに対するメトホルミンの老化制御効果を見る検証研究TAME(Targeting Aging with MEtformin)が行われている。どちらの薬剤も抗老化効果が期待されているが医師の処方が必要で、健康な人が服用することはできない。

 

有酸素運動が長寿遺伝子のサーチュインを活性化させる酵素を増やす

「最近忘れっぽい」「老眼で近くの文字が見えない」――。こうした老化現象を本人が意識する前から、実は、細胞レベルでの老化は始まっている。この老化のスピードには、遺伝以外の要因が強く影響しており、同じ遺伝子を持つ一卵性双生児でも寿命には違いがあることや、見た目が老けていると若々しい人より早死にする確率が高く、体の中の老化も進んでいる可能性があることが分かってきた(第1回参照)。

信頼性の高い老化制御法として、世界中の研究成果を基に米国立老化研究所(NIA)が2014年に発表したのが、前回紹介した「ライフスパンを延ばす7つのメソッド」(*1)だ。NIAは、マウスで寿命を延ばす効果が示されている免疫抑制剤の「ラパマイシン」、体の中にたまった老化細胞を除去する可能性がある「メトホルミン」といった薬剤とともに、食に関する項目を4つ挙げている。

 

 

Cell. 2014 Jun 19;157(7):1515-1526.を基に作成

その4つとは、栄養バランスを損なわずに1日の摂取カロリーを抑える「カロリー制限」、1カ月のうち5日間だけ食事の摂取量を減らすなどの「断食」、赤ワインなどに含まれるポリフェノールの「レスベラトロール」、納豆などの発酵食品に多く含まれる食品成分の「スペルミジン」だ。

2014年以降の抗老化研究によって、長寿遺伝子のサーチュインを活性化させる「NMN(ニコチンアミドモノヌクレオチド)」や「NR(ニコチンアミドリボシド)」といったサプリメントや、鶏の軟骨や皮、牛スジなど動物性コラーゲンに多く含まれるアミノ酸の「グリシン」も、摂取によって健康寿命を延ばすことが期待されている(第2回参照)。

「空腹になってから食事をとり、腹八分目を心がけるだけでも、使用済みとなったタンパク質をリサイクルするオートファジーという機能が働き、長寿遺伝子のサーチュインが活性化して老化の進行抑制を期待できます」と早野さんは説明する。

そして、もう一つ、NIAが「ライフスパンを延ばす7つのメソッド」の中で、心血管疾患、糖尿病、サルコペニア(筋力低下および身体機能の低下)、うつ病を予防し、健康寿命や最大寿命を延ばす方法の一つとして勧めているのが、運動

 

追記:以下は別サイトからコピーしたものです。

レスベラトロールとは?

抗酸化作用を持つポリフェノールの一種で、赤ワインに含まれる成分です。黒ぶどうの種や皮のほか、ピーナッツの薄皮などに含まれます。

カロリー制限をすると活性化する長寿遺伝子SIRT1がありますが、レスベラトロールはこの遺伝子のスイッチをオンにする働きがあると言われています。

 レスベラトロールは何に多く含まれる?

レスベラトロールはブドウ果皮部や新芽、ピーナッツの薄皮、赤ワイン当に多く含まれています。

副作用はあるの?

今現在、レスベラトロールによる副作用の報告はございません。

原材料をご確認の上、食品アレルギーのある方はお召し上がりをお控えください。

より良いサプリメントを選ぶために

むやみに、口コミを妄信してしまったり、広告を信用せず、自分自身でしっかりとした知識を持つことが大切です。

是非覚えておいてもらいたいこととして「レスベラトロールサプリメントを選ぶポイント」を簡単にまとめさせていただきます。

  • 原材料や栄養成分等がしっかりと表記されているもの。
  • 『総レスベラトロール量』ではなく、「トランスレスベラトロール量」がしっかりと表記されているもの。
  • 「合成品」や「イタドリ由来原料」を含まないもの
  • 健康補助食品GMP認定工場で製造されている、品質管理がされているもの。
  • 余分な成分を含まないもの。

を確認するよう心がけましょう。

 

奇跡の腸内物質「スペルミジン」で長生き、そして認知症も防げる

ーースペルミジンは、どんな物質なのですか?

「少しややこしいのですが、スペルミジンは、『スペルミン』や『プトレッシン』などとともに、『ポリアミン』と呼ばれる物質のひとつとして知られています。これらポリアミンは、すべての生物の細胞の中に存在している。

細胞分裂を助け、細胞の状態を正常に保つ働きを持つ重要な物質です。

このポリアミン、もちろん人間の細胞にも、生まれた時から存在し、その後も細胞内でつくられているのですが、年を取るにつれて、その量が減っていくことがわかっています。

だから我々は、ポリアミンを合成する(つくる)能力が衰えることが、老化のスタートなのではないかと考えているのです。一方で、ポリアミンを多く含む食品を食べたり、腸内細菌にポリアミンをつくらせたりすることで、補充することもできます。

スペルミジンは、ポリアミンの中でも特に研究が進んでいます。近年、世界中で多く長寿化に関する研究成果が出てきており、注目が集まっているのです」

つまり、スペルミジン(ポリアミン)が減ると老化が進む、増えると老化が緩やかになるということ。人間の老化の根本には、スペルミジンが関わっているのである。

健康長寿で知られる人物の腸内を調べると、スペルミジンがたくさん見つかるケースが少なくない。

食材1: 「大豆」

〜新たに注目されているブレインフード〜

 

ホスファチジルセリンの研究は世界中で行われ、アメリカではすでに認知症の進行を食い止める成分として広く普及しています。

 

副作用の報告もなく、安心して摂取することのできる成分です。

 

ホスファチジルセリンの臨床データ

 

・アルツハイマー病患者にホスファチジルセリンを1日200〜300㎎、60日〜6ヵ月間摂取させたところ、認識力や記憶力、注意力、集中力、学習力の向上、また異常行動が改善しました。

 

・アメリカで実施された臨床試験において、1日300㎎のホスファチジルセリンを加齢性記憶障害の患者149名に12週間投与した結果、神経学的指標における改善が認められました。

 

・ホスファチジルセリンを毎日飲料水に混ぜて投与した老齢ラットは、海馬の密度が若齢ラットに近いレベルで維持されていました。

 

 

 

実は老化とは、私たちの細胞が「サビていく」ことによって引き起こされる現象です。これを「酸化」といいます。鉄が赤茶けたサビに覆われていく現象、これも酸化ですね。

 

私たちの体は、年をとるにつれて日々サビついているのです。

 

ただし、私たちの体にも、あらかじめ細胞の酸化を防ぐ酵素が備わっています。それがSODと言われる「抗酸化酵素」です。

 

しかし、40代を超えた頃から、急激に抗酸化酵素は減少していきます。すると私たちの体は酸化が進み、外見・内臓ともに老け始めます。

 

 

そして私たちの臓器の中でも、特に酸化しやすい部位が「脳」です。脳の大部分を構成する脂肪は非常に酸化しやすい物質なのです。

 

脳の老化が進めば、記憶力や認知力が低下し、本来の聡明さは失われていきます。さらに、酸化ダメージを受けた神経細胞はアミロイドβを分泌することが分かっています。

 

こうして、老化した脳はアルツハイマー病をはじめとする認知症への坂を転がり落ちていくことになります。

 

 

では、脳の老化を防ぐためにはどうしたらいいか? もっとも簡単な方法は、抗酸化力の高いものを毎日食べるということです。加齢により失われる抗酸化酵素は、実は食によって補うことができます。

 

ここで登場するのが、玄米に含まれるフェルラ酸という成分です。

 

フェルラ酸はポリフェノールの一種です。植物を酸化から守る機能があり、私たちの体内に入ると抗酸化物質として作用します。

 

ちなみに今までに最も長生きしたのは、122歳まで生きたフランス人女性のジャンヌ・カルマンだと言われます。彼女の大好物は赤ワインとチョコレート。どちらもポリフェノールが多く含まれる食べ物です。

 

 

ポリフェノールは自体はほとんどの野菜やフルーツに含まれ、現在8000種類以上が確認されています。その中でも近年注目されているのが、玄米や米ぬかに含まれるフェルラ酸です。数あるポリフェノール中でも、フェルラ酸は体内への吸収率や利用率が極めて高いのです。

 

フェルラ酸の効果については、非常に多くの学会報告がなされています。

食材2 :「玄米」

〜加齢によるサビつきを防ぐ強力な効果〜

 

 

フェルラ酸に関する臨床データ

 

・韓国の斡林大学生薬研究所が、フェルラ酸を与えたマウスは、アミロイドβによる記憶や学習力の低下を抑制できるという研究成果をイギリスの薬学雑誌に掲載。 

 

・2008年の広島大学における研究において、フェルラ酸を含むサプリメントを摂取し続けた軽度の認知症患者に、記憶や判断力の改善が見られました。

 

・アルツハイマー病患者143名にフェルラ酸を含むサプリメントを9ヶ月間投与したところ、75%に認知機能低下の抑制が見られました。

 

・株式会社ファンケルが2016年に行った実験によると、神経細胞にフェルラ酸を投与したところ、アルツハイマー病の原因物質の一つであるタウが40%減少したことが確認されました。

 

食材3 :「ヤマブシタケ」

〜2つの成分がうっかりを改善〜

 

 

あなたはヤマブシタケというキノコをご存知ですか?

 

森の奥深くに自生する白い球状のキノコで、その採取の困難さから「幻のキノコ」とも呼ばれます。中国では古くから漢方薬としても利用されていました。

 

このヤマブシタケに含まれる特有の成分が、認知症予防に画期的な効果があることが判明し、ヤマブシタケは認知症を防ぐキノコとして一躍有名になりました。

 

ヤマブシタケから発見されたヘリセノンは、NGF(神経細胞成長因子)を活性化させる働きがあります。NGFとは、いわば神経細胞の栄養剤です。アミロイドβによって破壊された神経細胞を修復・再成長させる働きがあります。

 

通常、NGFを食べ物から摂取しても、血液脳関門というバリア機能に阻まれ、脳の必要な部位に届きません。しかしヘリセノンは、脳のバリアを容易に通過し、脳内のNGFに直接たっぷりと栄養を届けることができます。

 

またもう一つ、アミロバンという成分も近年、同じヤマブシタケから分離に成功しました。ヘリセノンが神経細胞の栄養であるのに対し、アミロバンは神経細胞を保護する物質です。

 

脳内に蓄積したアミロイドβの毒性を弱める働きがあり、静岡大学、中国薬科大学をはじめ、国内外の研究施設、クリニックで研究・利用されています。

 

ヘリセノン、アミロバンに関する臨床データ

 

・脳細胞にヤマブシタケ抽出物を加えた試験管実験では、NGFの分泌量が通常の4倍に増加。その培養液を神経分化モデル細胞に与えると、神経細胞の突起(シナプス)が顕著に伸びることがわかりました。

 

・軽度認知症患者のグループにヤマブシタケ乾燥錠剤を16週間摂取してもらい、長谷川式簡易知能評価スケールで調べたところ、全員開始時に比べて1~6ポイント、スコアを上昇させました。長く摂取するほどテストの成績は向上し、16週目以降に摂取を中止したところ、スコアの低下がみられました。

 

・認知症患者10人にヤマブシタケ錠剤を1日12粒、24か月間飲み続けてもらったところ、24か月連続でテストの成績が向上しました。

ヤマブシタケはいつでもどこでも入手できるというわけではありません。「今後スーパーから消える可能性がある食品」としてテレビ番組でも紹介されたほどです。

 

また、実験データからもわかるように、長期間続けることによって効果を発揮するタイプの成分でもあります。安定して摂取し続けるには、サプリメントの利用がおすすめです。

 

食材4 :「卵黄」

〜神経伝達物質の原料となる成分"〜

 

 

 

卵黄も認知症を予防する大事な食品です。なぜなら卵黄にはコリンという成分が多く含まれているからです(レシチンという名称でも有名です)。

 

コリンは記憶力の維持に欠かせません。脳神経や神経組織を構成し、神経伝達物質であるアセチルコリンを作る原料となるからです。 

 

コリンが不足すれば、伝達物質アセチルコリンの量が減少します。伝達物質の量が減少するということは、すなわち脳内での情報のやりとりがうまくいかなくなるということです。結果、記憶を引き出せなくなったり、思考力・判断力が衰えたりします。

 

アルツハイマー病患者の脳では必ずと言っていいほどこのアセチルコリンの量が低下していることから、アルツハイマー病の発症にも関わっているのではないかと考える研究もあります。 

 

ちなみに現在のアルツハイマー病の主な薬剤は、伝達物質アセチルコリンの低下を防ぎ、その活動を活性化することで、認知症の進行をゆるやかにしよう、という考えをもとに作られています。これには一定の効果が認められています。

 

しかし残念ながら、こうした薬剤は認知症と診断されてからでないと処方されず、副作用の懸念もあるため、予防段階で使えるものではありません。そのかわり、コリンを多く含む食品を普段から積極的に摂ることで、アセチルコリンの不足を防ぎ、ひいては記憶力の維持に役立てることができます。

 

コリンに関する臨床データ

 

・ノルウェーにおける70-74歳の2195人の研究で、コリンの血中濃度が低いグループは、感覚運動速度、知覚速度、実行機能および全般的な認知機能が、血中濃度が高いグループより劣っていたことが明らかにされました。

 

・36-83歳の1391名を対象としたアメリカの調査では、より多くコリンを摂取していた人ほど、言語記憶と視覚記憶をより高く維持していたことがわかりました。

 

・ウェストバレー大学の研究で、大学生80名に3.75gのコリンを摂取してもらったところ、90分後に連続学習タスクによって測定した顕在記憶の改善が見られました。

コリンは卵黄のほか、肉、大豆、乳製品などにも含まれますが、肉食中心のアメリカですら不足が問題視されていますので、あまり肉や卵を食べない日本人はまず不足していると考えて間違いありません。

 

特に食が細くなり、普段それらをあまり口にしていない高齢の方は注意が必要です。

 

 


老化を遅らせる方法は? 第一人者が語る「すぐ実践できる3つの法則」

2021-12-10 12:00:00 | 日記

下記の記事を日経グッディ様のホームページからお借りして紹介します。(コピー)です。

 

最新の抗老化研究によって、健康寿命を延ばし、何歳になっても心身ともに元気で社会貢献し続ける「プロダクティブ・エイジング」の実現が可能になりつつある。そのカギを握る一つが、私たちが生きていくうえで欠かせない体内物質であるNAD(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)を増加させ、長寿遺伝子からつくられる酵素サーチュインを活性化させること。NADを高めて老化を遅らせるために、今すぐできることはあるのだろうか。前回に続き、哺乳類の老化・寿命のメカニズムの研究と抗老化方法の確立を目指す、ワシントン大学医学部発生生物学部門・医学部門の今井眞一郎教授に聞く。

法則1 「運動」で老化制御に欠かせないNADを増やす

老化を遅らせるために、40~50代の人が今すぐ始めたほうがいいことはありますか。

老化制御に欠かせないNADを増やすには、軽~中程度の有酸素運動、筋トレがよい。写真はイメージ=(C)Darya Petrenko-123RF

今井 すぐに始めてほしいことの一つが、運動です。運動が老化を遅らせることは、複数の研究で科学的にも証明されている間違いのない事実です。

アスリートのような非常に激しい運動をする必要はなく、ウォーキング、ジョギング、自転車こぎ、水泳などの軽~中程度の有酸素運動、筋トレが効果的です。

運動をすると筋肉中のNAMPT(ニコチンアミド・ホスホリボシルトランスフェラーゼ)の量が上昇して、エネルギーの産生とサーチュイン(老化や寿命をコントロールする酵素)の活性化に不可欠なNAD(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)の量が増えます。NAMPTというのは、体の中でNADを合成するために必要な酵素です。

運動が体にいいことは分かっていても、忙しくて続けられない人も多いのですが、継続の秘訣はありますか。

今井 私は週2回、スポーツジムへ行き、筋トレをするようにしています。日本の多くのビジネスパーソンがそうであるように、私もなかなか運動をする時間が取れないのですが、スケジュールの中にあらかじめジムへ行く時間を組み込むようにしています。普段からエレベーターやエスカレーターではなく階段を使うなど、日常生活の中で意識的に体を動かすことも大切です。

法則2 「朝食」をがっつり食べて生体リズムを整える

今井 そして、もう一つ、NADを増やすために重要なのが、生体リズムを整えることです。私たちの体の中のNADの量は、サーカディアンリズム(概日リズム)と呼ばれる生体リズムに従って増えたり減ったりしています。マウスは夜行性なので、NADの量が昼間の明るいときに減り、夜は多くなります。人間は逆で昼にNADの量が増え、夜には減るようになっています。

要するに、NADはエネルギーを生み出すうえで必須の物質なので、活動期に増えるようになっているのです。NADの値を昼間にしっかり高めてサーチュインを活性化させるためには、人間が本来持っている生体リズムを保ち、午前中にNADをしっかり増やすことが大切なのです。

そのために有効なのが、1日の始まりのエネルギー源となる朝食を最もカロリーの高い食事にすることです。実は、私もかつては、夜遅く帰ってデザートまでたっぷり食べ、その2時間後には寝るような生活をしていました。2014年に生体リズムに関する学会に呼ばれて講演したときに、栄養が生体リズムに与える影響についての最新の知見を聞き、家内と相談して、それまで夜に食べていたような食事を朝にとるようになりました。

次に紹介する写真が我が家の朝食の一例です。

朝に良質のタンパク質をしっかりとることが重要なので百数十グラムのステーキや大きな魚を食べ、ポリフェノールが豊富なカカオ90%のチョコレートなどのデザートも楽しみます。昼は普通に食べ、夜は軽くワイン1~2杯とチーズやハム、フルーツをとるくらいで、20時以降は何も食べないようにしています。

血糖値が下がるのには食後4時間くらいかかるので、ベッドに入るときには血糖値が下がっている状態にすることが大切です。また、ブルーライトは生体リズムを乱しますので、就寝前にスマートフォンなどデジタル機器を使わないようにしてください。

今井教授の朝食の一例。百数十グラムのステーキや大きな魚を食べ、朝に良質のタンパク質をしっかりとるようにしているという。黒っぽい長方形のものはチョコレート

法則3 長生きしたいなら少し「小太り」くらいがベター

アカゲザルやマウスの研究でカロリー制限が寿命を延ばすと報告されています。老化を遅らせるためには、カロリー制限も有効ですか。

今井 ヒトでのカロリー制限についての報告では、ある程度、老化を遅らせる効果があるということになっています。ただ、カロリー制限をしたマウスやサルをウイルスに感染させるとあっという間に死んでしまいます。体の代謝が良くなるのは間違いないのですが、病原体に対する抵抗性が相当落ちることには注意が必要です。

特に、ダイエット志向の強い日本の女性に知っておいていただきたいのは、BMIが20未満になるようなダイエットは危険だということです。BMI20未満の人は特に高齢になると肺炎や感染症、心臓病などでの死亡率が上がります。日本人を対象にした疫学調査(*1)では最も死亡率が低いBMIは女性が23.0~24.9、男性25.0~26.9で、ちょっと小太りの人のほうが長生きできる可能性が高いのです。

世界的に見てもBMIは女性で22~23程度、男性25~26くらいが最も死亡率が低くなります。BMIが30を超えるような太り過ぎはメタボリックシンドロームのリスクを上げるので良くありませんが、臨床医の間では、少し小太りの人のほうが手術後の合併症の発症リスクが低く、透析での予後が良好であるなど、ある程度脂肪があったほうがいいのはよく知られた事実です。

*1 J Epidemiol. 2011;21(6):417-30.

BMIと全死因の死亡リスク(ハザード比)の関係

死亡リスクは、BMIが23.0~24.9の場合を1とした値(J Epidemiol. 2011;21(6):417-30.)

さらに、私たちの研究で分かってきたのは、脂肪から分泌されNADの合成に欠かせないeNAMPT(細胞外に分泌されるNAMPT)という酵素が、脳の視床下部という老化のコントロールセンターの機能を支える重要な役割を果たしているということです。前回、NADが加齢に伴って減るという話をしましたが、同じようにeNAMPTも減少します。マウスでは血液中のeNAMPTが多いほど長生きできることが分かっており、知りたいかどうかは別にして、ヒトでも血液中のeNAMPT量を測れば、どの程度長生きできるか予測できる可能性があります。

老化を遅らせるためにはある程度は脂肪も必要で、脂肪から分泌されるeNAMPTの量をある程度維持できれば、長生きできる可能性も高いということでしょうか。

 

今井 そうです。遺伝子操作で脂肪からeNAMPTを分泌する量を高めたマウスの実験では、人間の70代くらいに相当する18カ月齢になっても身体活動量や睡眠の質、血糖値を下げるインスリンの分泌量、目の網膜の機能、学習・記憶能力が若いマウス並みに保たれ、健康寿命が延びることが分かっています。ただし、健康寿命は延びたのですが、最大寿命はeNAMPTを高めていないマウスと変わりませんでした。人間でもそうですが、マウスは高齢になると脂肪が失われやすくなります。そのことが、最大寿命が延びなかった原因ではないかと考えています。

私たちの研究室ではさらに、若いマウスの血液から取り出したeNAMPTを26 カ月齢の高齢マウスに3カ月間週1回注射する実験を行いました。すると、人間の90代に相当する29カ月齢になっても活発に動き回り、毛並みもつやつやした状態になり、最大寿命も延びました。人間では、若い人のeNAMPTを注射するというわけにはいきませんが、eNAMPTの量は脂肪量とある程度比例します。

太り過ぎはもちろんよくありませんが、脂肪の組織から老化・寿命のコントロールセンターである視床下部に非常に重要な酵素が送り込まれているわけですから、老化を遅らせるためには、ある程度、最適な量の脂肪を蓄えておくことが必要なのです。

運動をすることや脂肪を蓄えることはある程度実現できるとしても、朝食をメインディッシュに変え、夕食を少しにして20時以降は何も食べないようにするのは、残業が多い日本のビジネスパーソンには難しいように思います。

今井 市民公開講座などで朝食を最もカロリーの高い食事にし、20時以降は食べないという話をすると、よく「日本では無理ですよ」と言われます。日本人が、それほど太らなくても糖尿病などの老化関連疾患になりやすいのは、残業が多くて夜たくさん食べて朝食を抜くような生活をしている人が多いからなのかもしれません。前日からある程度準備をする必要はありますが、これまで夕食に食べていたようなものを朝食に回すようにしてみる価値はあります。私自身、もう6年間そういう生活を続けていますが、体調もいいですし、夜は熟睡できます。

ドイツと中国には、「朝食は皇帝のように、昼食は王様のように、夕食は物乞いのように食べろ」という意味のことわざがあるそうです。私が最先端の科学の成果を実践しようとした末にたどり着きつつあるのは、先人の知恵に学べ、ということです。

結局は、日の出と共に起きて体を動かして働き、夕食を軽めに食べて日が暮れると共に寝る、太陽の周期と共に動く生活が生体リズムを整え、老化を遅らせる方向にも働くわけです。皆さんもぜひ、3つの法則を実践して老化を遅らせ、死ぬ直前まで自分の人生をフルに楽しみつつ社会貢献もするプロダクティブ・エイジングを実現していただきたいと思います。

今井眞一郎(いまい しんいちろう)さん

ワシントン大学医学部発生生物学部門・医学部門教授/神戸医療産業都市推進機構先端医療研究センター・老化機構研究部特任部長

1964年、東京生まれ。89年、慶應義塾大学医学部を卒業後、同大大学院で細胞の老化をテーマに研究。97年に渡米し、マサチューセッツ工科大学のレオナルド・ガランテ教授のもとで、老化と寿命のメカニズムの研究を続ける。2000年にサーチュインという全く新しい酵素の働きが酵母の老化・寿命を制御していることを発見。01年よりワシントン大学(米国ミズーリ州・セントルイス)助教授、08年より准教授(テニュア)、13年より現職。専門は、哺乳類の老化・寿命の制御のメカニズムの解明および科学的基盤に基づいた抗老化方法論の確立。世界的に注目される抗老化研究の第一人者。


「女性天皇になるか主婦になるか」引き裂かれ続けた愛子さまの20年

2021-12-10 11:00:00 | 日記

プジデントオンライン様のホームページからお借りして紹介します。(コピー)です。

 

天皇陛下の長女、愛子さまが12月1日、20歳の誕生日を迎えられた。神道学者で皇室研究者の高森明勅さんは、女性天皇に関する議論が先延ばしにされているために「敬宮殿下(愛子内親王)はお生まれになった時から、女性天皇になられるか、それとも主婦になられるかという、極端に異なる2つの未来像に引き裂かれたまますごしてこられたことになる」という――。

※本稿は、高森明勅『「女性天皇」の成立』(幻冬舎新書)の一部を再編集したものです。

 

全ての男女で“格差”を設けることが許されるのか

そもそも、女系天皇とセットにならない女性天皇・女性宮家は、およそ常識外れな、かなりイビツなものになるのを避けられない。同じ「天皇」なのに、男性ならお子様に皇位継承資格が認められ、女性なら認められない。このような差別の客観的・合理的な根拠は何か。性別だけを理由として“一人前の天皇(お子様に継承資格あり)”と“半人前の天皇(お子様に継承資格なし)”とを峻別するというのは、現代において相当「野蛮」な制度と自覚すべきではあるまいか。「日本国の象徴」「日本国民統合の象徴」である天皇どうしの間に、男女で“格差”を設けること自体、不自然だろう。

 

 

そもそも、女性天皇にせよ女性宮家にせよ、ご結婚相手の男性は、皇族の身分を取得されるのか、それとも国民のままなのか。天皇又は宮家の当主のご結婚相手が国民のままというのは、かなり無理があるのではないだろうか。国民のままなら憲法第3章の適用対象だから、さまざまな権利や自由が保障されていなければならない。政治・経済・宗教上の活動における自由も最大限、尊重されるべきだろう。しかし、そのことと、「国民統合の象徴」である天皇の地位や、その天皇のご近親である宮家の当主の配偶者としてのお立場は、はたして整合的なのか。それ以前に、一つの世帯を営むのに、一方が天皇又は皇族で、もう一方が国民という形は、いささか異常ではないか。

従って、女性天皇および女性宮家の当主の配偶者は当然、男性皇族の場合の配偶者と“同じよう”に、皇籍を取得されるべきだ。又、そのようにご両親が皇族であれば、その間にお生まれになったお子様にも皇族の身分が与えられるのは、当たり前だろう。

しかし、そのお子様は皇族であられながら、しかも、男子にも女子にも皇位継承資格が認められている制度のもとで、親でいらっしゃる天皇、宮家の当主たる方が「女性」であるというだけの理由で、決して継承資格が認められないことになる。

 

高くなる結婚のハードル

そのような格差をことさら設けることは、女性天皇や女性宮家の当主のご結婚に際し、大きくマイナスに作用することはあっても、決してプラスには働かないだろう。その上、もし配偶者には皇族の身分すら与えられないとすれば、皇室のメンバーの中で、自分だけが(男性皇族のご結婚相手の女性は皇族とされているのに)“国民のまま”であるにもかかわらず、一方では国民に認められている権利や自由の多くが事実上、制約されかねないことになって、ご結婚のハードルは極めて高くなるだろう。

女性天皇と女性宮家は制度上、セットで認めなければならないし、その場合、女系天皇も決して欠かしてはならない。消去法で残ったのは結局、女性天皇、女性宮家、女系天皇のセットだった。

憲法も世論も「女性天皇」を否定しない

「女性天皇」という選択肢について、近年の各種世論調査の結果では、コンスタントに国民の高い支持を集めている。

平成30年(2018年)4月の「朝日新聞」の調査では、賛成76%に対し反対が19%。

同年9月のNHKの調査では、賛成92%に対し反対が12%。

同年10月の共同通信の調査では、賛成が82%に対し反対が14%。

同年11月の時事通信の調査では、賛成が76%に対し反対が19%。

平成31年(2019年)4月の共同通信の調査では、賛成が85%に対し反対が15%。

令和元年(2019年)5月の「読売新聞」の調査では、賛成が67%に対し反対が8%(ただし、同調査の設問には不備が指摘されている)。

令和3年(2021年)4月の共同通信の調査では、賛成が87%に対し反対が12%。

右のような実情だ。いずれも賛成が反対を圧倒している。もちろん、皇位継承という厳粛なテーマを変動幅がある世論調査の結果“だけ”で判断すべきではない。しかし一方、天皇が憲法で「国民統合の象徴」とされている以上、国民の受け止め方をまったく無視してしまうわけにもいかないだろう。その意味では、世論調査の結果にも、一定の関心を払う必要があるのは確かだ。

又、女性天皇は過去に10代・8方おられた事実がある。そのため、有力な否定論を見かけない。せいぜい「女系天皇につながるから反対」といった程度だ。旧時代的な「男尊女卑」の価値観に立たない限り、女性天皇の可能性を一方的には否定できまい。

憲法上も、帝国憲法の場合は「皇男子孫」(第2条)と条文自体によって女性天皇を排除していたのに対し、今の憲法では「世襲」(第2条)と規定するだけなので、特に女性天皇が問題視される余地はない。むしろ、「国民統合の象徴」であるはずの天皇に、男性しかなれない現在の制度は、国民の半数が女性である事実を考えると、いささか奇妙ではあるまいか。

皇族と憲法第3章

しいて問題点をあげるとすれば、次のような懸念が表明されるかも知れない。すなわち、もし女性天皇を可能にした場合、(継承順位の設け方にもよるが)急な制度変更によって当事者の人生プランが、根底からくつがえされることになるのではないか、と。

この点についてはどう考えるべきか。

まずは、少し冷酷に聞こえるかも知れないが、制度論的な整理をしておく必要がある。旧宮家案が“純然たる国民”を対象としているのに対し、女性天皇を可能にする制度改正の場合は、あくまで皇族が対象だという、基本的な前提条件に違いがある点を見逃してはならない。

対象が国民であれば、繰り返すまでもなく、当然ご本人の同意が絶対的な前提条件になる。しかし、対象が皇族の場合だと、憲法第3章の全面的な適用は受けず、むしろ第1章、なかんずく第2条「皇位は、世襲」の適用が優先される。よって、当事者のご意向は不可欠の要件とはされないというのが、少なくとも制度論上の考え方になる。

 

誕生時に触れられた「女性天皇」の可能性

しかも、重要な事実がある。それは天皇陛下のご長女、敬宮

としのみや

(愛子内親王)殿下がお生まれになった時(平成13年(2001年)12月1日)、昭和天皇の弟宮でいらっしゃった高松宮たかまつのみやのお妃きさき、喜久子きくこ妃ひが『婦人公論』(平成14年(2002年)1月22日号)にお祝いの一文を寄せられ、その中で「女性天皇」の可能性について、はっきりとお触れになったことだ。

「女性の天皇が第127代の天皇さまとして御即位遊ばす場合のあり得ること、それを考えておくのは、長い日本の歴史に鑑みて決して不自然なことではないと存じます」と。

この文章は敬宮殿下ご本人のお誕生を祝したものである以上、殿下のご成長のさほど遅くない時点で、必ずやお目にとまる機会があったに違いないと考えるのが自然だろう。敬宮殿下にとって「女性天皇」という選択肢が政治の場で浮上することは、決して唐突な事実ではなかったはずだ。

しかも、小泉純一郎内閣の時に設置された「皇室典範に関する有識者会議」(吉川弘之よしかわひろゆき座長)が平成17年(2005年)11月に提出した報告書では、「今後の望ましい皇位継承資格の在り方」として次のように結論づけていた(同会議のヒアリングには私も応じた)。

「今後における皇位継承資格については、女子や女系の皇族に拡大することが適当である」と。

「先延ばし」で将来像が宙ぶらりんの状態に

敬宮殿下をはじめ、内親王・女王方は制度変更の当事者でいらっしゃる。当時はメディアによるさまざまな報道もなされていた。それらの女性皇族の皆さまが、今さら「女性天皇」容認をまったく予想外の制度変更と受け取られるとは考えにくい。それよりもむしろ、制度の見直しがいたずらに“先延ばし”され、その結果、ご自身の人生の将来が「皇室に残るか、ご結婚と共に国民の仲間入りをされるか」鋭く2つに分裂したまま、いつまでも宙ぶらりんの状態で放置され続けてきた事実こそ、残酷この上ない仕打ちだったと言えるだろう。

 

特に敬宮殿下の場合は、女性天皇になられるか、それとも主婦になられるかという、極端に異なる2つの未来像に引き裂かれたまま、これまで20年間の歳月をすごしてこられたことになる。

それはすべて政治の怠慢、無為無策とそれを見すごしてきた国民の無関心が原因だ。

 

 

「女系天皇」も欠かせない

次に「女性宮家」を取り上げよう。

これについては、女性天皇の可能性を認める場合、未婚の女性皇族(内親王・女王)がご結婚と共に皇籍を離れるルールを一方で維持していては、制度として機能しがたい。よって、女性天皇の選択肢を採用するのであれば、女性宮家も当然採用しなければ、制度上の整合性が保てない。女性天皇と女性宮家はセットで認めるべきだ。

しかも、女性天皇と女性宮家を認めながら「女系天皇」を認めないというやり方も、皇位の安定継承を目指すのであれば、ツジツマが合わない。その意味では“女性天皇は女系天皇につながる”“女性宮家は女系天皇につながる”という男系限定維持派の言い分は間違っていない。もっと踏み込んで言えば、「女系天皇」を排除しながら「女性天皇」「女性宮家」を認めても、しょせんは“一代限り”にとどまり、将来に向けた皇位の安定継承には寄与しない。「象徴天皇の務めが常に途切れることなく、安定的に続いていく」(上皇陛下の平成28年(2016年)8月8日のビデオメッセージ)ことにはならないのだ。

普通に考えてみれば分かることだ。女性皇族がご結婚後、「女性宮家」の当主になられ、お子様に恵まれられた場合、そのお子様が男子であれ女子であれ、「女系」ということになる。女系天皇を認めなければ、皇位継承資格のない女系のお子様方はご結婚と共に皇族の身分を離れて、国民の仲間入りをされることになる。結局、その女性宮家は“一代限り”で幕を閉じる他ない。

内廷の女性皇族がご結婚され、お子様に恵まれた後、女性天皇として即位されても、同じように皇位継承の“行き詰まり”をただ一代だけ先送りするにすぎない。皇位の安定継承にはまるでつながらない。ただ“目先”だけ「皇族数の減少」に歯止めがかかったような錯覚を与えるだけだ。

そんなことのために、対象となる女性皇族方のたった一度しかない人生を犠牲にしていただくのは、あまりにも申し訳ないことではあるまいか。

男女で“格差”を設けることが許されるのか

そもそも、女系天皇とセットにならない女性天皇・女性宮家は、およそ常識外れな、かなりイビツなものになるのを避けられない。同じ「天皇」なのに、男性ならお子様に皇位継承資格が認められ、女性なら認められない。このような差別の客観的・合理的な根拠は何か。性別だけを理由として“一人前の天皇(お子様に継承資格あり)”と“半人前の天皇(お子様に継承資格なし)”とを峻別するというのは、現代において相当「野蛮」な制度と自覚すべきではあるまいか。「日本国の象徴」「日本国民統合の象徴」である天皇どうしの間に、男女で“格差”を設けること自体、不自然だろう。

 

 

そもそも、女性天皇にせよ女性宮家にせよ、ご結婚相手の男性は、皇族の身分を取得されるのか、それとも国民のままなのか。天皇又は宮家の当主のご結婚相手が国民のままというのは、かなり無理があるのではないだろうか。国民のままなら憲法第3章の適用対象だから、さまざまな権利や自由が保障されていなければならない。政治・経済・宗教上の活動における自由も最大限、尊重されるべきだろう。しかし、そのことと、「国民統合の象徴」である天皇の地位や、その天皇のご近親である宮家の当主の配偶者としてのお立場は、はたして整合的なのか。それ以前に、一つの世帯を営むのに、一方が天皇又は皇族で、もう一方が国民という形は、いささか異常ではないか。

従って、女性天皇および女性宮家の当主の配偶者は当然、男性皇族の場合の配偶者と“同じよう”に、皇籍を取得されるべきだ。又、そのようにご両親が皇族であれば、その間にお生まれになったお子様にも皇族の身分が与えられるのは、当たり前だろう。

しかし、そのお子様は皇族であられながら、しかも、男子にも女子にも皇位継承資格が認められている制度のもとで、親でいらっしゃる天皇、宮家の当主たる方が「女性」であるというだけの理由で、決して継承資格が認められないことになる。

 

高くなる結婚のハードル

そのような格差をことさら設けることは、女性天皇や女性宮家の当主のご結婚に際し、大きくマイナスに作用することはあっても、決してプラスには働かないだろう。その上、もし配偶者には皇族の身分すら与えられないとすれば、皇室のメンバーの中で、自分だけが(男性皇族のご結婚相手の女性は皇族とされているのに)“国民のまま”であるにもかかわらず、一方では国民に認められている権利や自由の多くが事実上、制約されかねないことになって、ご結婚のハードルは極めて高くなるだろう。

女性天皇と女性宮家は制度上、セットで認めなければならないし、その場合、女系天皇も決して欠かしてはならない。消去法で残ったのは結局、女性天皇、女性宮家、女系天皇のセットだった。男女で“格差”を設けることが許されるのか

そもそも、女系天皇とセットにならない女性天皇・女性宮家は、およそ常識外れな、かなりイビツなものになるのを避けられない。同じ「天皇」なのに、男性ならお子様に皇位継承資格が認められ、女性なら認められない。このような差別の客観的・合理的な根拠は何か。性別だけを理由として“一人前の天皇(お子様に継承資格あり)”と“半人前の天皇(お子様に継承資格なし)”とを峻別するというのは、現代において相当「野蛮」な制度と自覚すべきではあるまいか。「日本国の象徴」「日本国民統合の象徴」である天皇どうしの間に、男女で“格差”を設けること自体、不自然だろう。

 

 

そもそも、女性天皇にせよ女性宮家にせよ、ご結婚相手の男性は、皇族の身分を取得されるのか、それとも国民のままなのか。天皇又は宮家の当主のご結婚相手が国民のままというのは、かなり無理があるのではないだろうか。国民のままなら憲法第3章の適用対象だから、さまざまな権利や自由が保障されていなければならない。政治・経済・宗教上の活動における自由も最大限、尊重されるべきだろう。しかし、そのことと、「国民統合の象徴」である天皇の地位や、その天皇のご近親である宮家の当主の配偶者としてのお立場は、はたして整合的なのか。それ以前に、一つの世帯を営むのに、一方が天皇又は皇族で、もう一方が国民という形は、いささか異常ではないか。

従って、女性天皇および女性宮家の当主の配偶者は当然、男性皇族の場合の配偶者と“同じよう”に、皇籍を取得されるべきだ。又、そのようにご両親が皇族であれば、その間にお生まれになったお子様にも皇族の身分が与えられるのは、当たり前だろう。

しかし、そのお子様は皇族であられながら、しかも、男子にも女子にも皇位継承資格が認められている制度のもとで、親でいらっしゃる天皇、宮家の当主たる方が「女性」であるというだけの理由で、決して継承資格が認められないことになる。

 

高くなる結婚のハードル

そのような格差をことさら設けることは、女性天皇や女性宮家の当主のご結婚に際し、大きくマイナスに作用することはあっても、決してプラスには働かないだろう。その上、もし配偶者には皇族の身分すら与えられないとすれば、皇室のメンバーの中で、自分だけが(男性皇族のご結婚相手の女性は皇族とされているのに)“国民のまま”であるにもかかわらず、一方では国民に認められている権利や自由の多くが事実上、制約されかねないことになって、ご結婚のハードルは極めて高くなるだろう。

女性天皇と女性宮家は制度上、セットで認めなければならないし、その場合、女系天皇も決して欠かしてはならない。消去法で残ったのは結局、女性天皇、女性宮家、女系天皇のセットだった。


「小室眞子さんに言及なし」雅子さまがお誕生日文書で“祝意”を綴らなかった深刻理由

2021-12-10 08:58:35 | 日記

下記の記事を週間女性プライム様のホームページからお借りして紹介します。(コピー)です。

 

雅子さまと小室眞子さん

【激レア写真】雅子さまがご自身で車を運転、陛下とサイクリングを楽しまれるお姿ほか

「58歳になられるにあたって公表された文書を読んで、とても驚きました……。10月末に小室圭さんと結婚された眞子さんへの言及がいっさい、なかったからです。

 '17年のお誕生日文書では、その年の9月に小室さん夫妻の婚約が内定したことに祝意を綴られていたのに、今回のご結婚に触れられていなかったのは、とても違和感がありました」(皇室担当記者)

 

12月9日にお誕生日をお迎えになった雅子さまは、文書の冒頭に愛子さまが成年を迎えられたご感想を。その後、新型コロナの世界的な影響を案じられ、東日本大震災について、この1年に起こった自然災害なども記されるなど、多岐にわたる話題について文書で綴られた。

眞子さんに対する4年前のコメント

「通常であればお誕生日の数日前、新聞社やテレビ局が所属する『宮内記者会』に事前に文書がわたります。しかし、皇后になられてからの一昨年と昨年のお誕生日文書に関しては、誕生日の前日に『宮内記者会』に渡されました。

そして、今年もぎりぎりまで時間をかけて推敲を重ねられたため、3年連続で誕生日の前日、しかも夕方に『宮内記者会』へと内容が公表されたのです。雅子さまは“完璧主義”のような一面がおありで、文書の細部までかなりこだわっておられます。今年は愛子さまの成年についても触れられているため、大変ご苦労されたと拝察しております」(同・前)

今年はお誕生日文書以外にも、ご負担の大きいお仕事が重なっておられた雅子さま。

「来年初めの新年一般参賀が中止となったため、今年のお正月同様に、両陛下が新年のビデオメッセージを収録される予定だと聞いています。さらに、今年は愛子さまが成人をお迎えになった誕生日当日に公表された文書や、来年3月の記者会見も控えています。特に、先日の愛子さまの感想文書は雅子さまが何度も手直しされて、その推敲は当日まで続いたそう。来年の成年会見も今から入念な準備を始められるそうで、例年以上にご負担が大きいのです」(侍従職関係者)

それほどお誕生日文書にこだわっておられるだけに、雅子さまが先日の出来事である眞子さんの結婚に祝意を示されなかったのは、不可解ではある。

ちなみに'17年のお誕生日文書では、

《9月には、秋篠宮家の眞子内親王殿下のご婚約が内定し、喜ばしく思っております。私が皇室に入りました時には、東宮仮御所の隣にお住まいの、まだ1歳半余りの活発なかわいらしい女の子でいらっしゃった眞子様が、すっかり立派に成長された姿を感慨深く思います。日頃から、愛子にも優しく、また、楽しく接していただき、私たちにとっても、いつも楽しい時間をご一緒してきた眞子様には、心からのお幸せをお祈りしております》

眞子さんの婚約内定に、このような喜びの声を綴られていたのだ。しかも、眞子さんにとって雅子さまは頼れる“先輩”だったという。

「婚約が内定したころから、眞子さんは時折、雅子さまに結婚生活や海外生活に関する相談をしたり、アドバイスをもらっていたそうです。天皇ご一家は、皇居に移られる前は秋篠宮邸もある赤坂御用地にお住まいでしたし、交流の機会もほかの皇族方よりも多いのです。

 ご自分のお母さまである紀子さまよりも、伯母にあたる雅子さまのほうが気兼ねなく相談できた部分はあったのでしょうね。雅子さまも、眞子さんが幼いころから成長を見守られていましたし、ご自分の経験を生かしてもらえるように、いろいろなことをお伝えになっていたと思います」(秋篠宮家関係者)

「両陛下」に触れられなかった理由

結婚される数日前も、皇居を訪れて天皇ご一家と和やかに懇談されており、関係は良好なはず。それでは、なぜ雅子さまは眞子さんの結婚について触れられなかったのだろうか。

まず1つに、眞子さんへのお気遣いがあったのだと思います。もし文書の中で眞子さんの結婚に触れてしまうと、結婚に反発的だった国民が再び、秋篠宮家に対してネガティブな反応を引き起こす恐れがあります。できるだけ眞子さんの話題を避けて、批判の矛先が彼女に向かないように配慮されたのでしょう」(前出・侍従職関係者)

 

可愛い姪っ子の結婚に対する祝意を文書に盛り込みたいお気持ちはおありだっただろうが、そうされなかったところに、雅子さまのお心遣いが深く感じられる。

もう1つの理由として「両陛下と秋篠宮家の間で“協定”が存在している可能性がある」と、事情を知る宮内庁関係者が語る。

結婚記者会見での小室眞子さんと小室圭さん(2021年10月26日)

【激レア写真】雅子さまがご自身で車を運転、陛下とサイクリングを楽しまれるお姿ほか

「今年2月に行われた天皇陛下のお誕生日会見で“眞子内親王がご両親とよく話し合い、秋篠宮が言ったように、多くの人が納得し喜んでくれる状況になることを願っています”と発言されたところ、国民の間では“眞子さんの結婚問題が陛下にまで波及してしまった”と、秋篠宮家に対して非難の声が噴出してしまいました。

それからというもの、今年4月の小室圭さんが公表した文書や10月末の結婚会見、同日に公表された秋篠宮ご夫妻のコメントにも“両陛下にご迷惑をお掛けした”といった文言は入っていません。

 

 文言を入れてしまうことで、逆に両陛下にも迷惑がかかる可能性を危惧された結果なのだと思います。天皇陛下を中心とする皇室にこれ以上ダメージを与えないよう、雅子さまや秋篠宮家は公的な文書にお互いの話を盛り込まれなかったのかもしれません」(同・宮内庁関係者)

令和皇室のため、努力と工夫を重ねておられる雅子さまのお心遣いがつまったお誕生日文書だったということだ。