皆さんのお役に立てば幸いです

色々の無料ホームページからお役に立て様な記事を探して掲載します。主に健康・くらしです。

「10年間ずっと麻雀させるだけ」患者を囲い込む悪徳精神科リハビリ施設の卑劣さ

2021-12-25 15:30:14 | 日記

下記の記事はプレジデントオンライン様のホームページからお借りして紹介します。(コピー)です。

 

精神医療では、患者を囲い込んで儲ける悪質な現場がある。精神医療現場における人権侵害の問題に取り組む米田倫康さんは「たとえば精神科デイケアでは、10年以上も麻雀をさせるだけという現場があった。これでは社会復帰にはつながらない」という――。

※本稿は、米田倫康『ブラック精神医療 「こころのケア」の不都合な真実』(扶桑社新書)の一部を再編集したものです。

写真=iStock.com/sudok1

※写真はイメージです

全ての画像を見る(3枚)

素人同然の精神科クリニックが乱立

うつ病キャンペーンの成功により、精神科、心療内科の開業ラッシュが起きました。商機と見るや、次々と畑違いの医師からの新規参入も増えました。この異常な開業ラッシュの原因となったのは以下の要素です。

・初期投資が少ない(極端な場合、机と椅子さえあればよい)

・目立たない雑居ビルの一角が来院者に好まれるので一等地である必要がない

・適当な診断と投薬でも成り立つので医師の能力を必要としない

・訴訟リスクが少ない(患者側が誤診や医療ミスを証明するのは困難)

・医師免許さえあれば誰でも精神科医や心療内科医を標榜できる

・調剤薬局関連会社が先に施設を作ってそこに雇われ院長を据えるというビジネスモデルが広がる

雨後の筍のように乱立した精神科、心療内科クリニックの質はひどいものでした。つい先日まで産婦人科医や眼科医だった医師が、突然精神科クリニックの院長となってうつ病診断や投薬をするというような話は普通のことでした。では、古参の精神科医や、精神保健指定医あるいは専門学会の専門医の資格を持っている精神科医の診療の質は高かったのでしょうか? 私はそれに対しても心の底から「NO!」と叫びたいです。

むしろ、にわか精神科医よりも、大学病院の精神科や精神科病院での実務経験を積んでいた精神科医こそ、躊躇なく安易な診断や多剤大量処方をしていたというのが私の印象です。精神科病院の入院患者に対して、ただ管理しやすくする目的で過剰に投薬してきた経験がそのまま反映されていたのでしょう。

あくどい精神科クリニックは、処方する薬で意図的に患者を薬物依存に陥らせ、頻回に受診させるという、麻薬売人も真っ青な手口で患者を囲い込みました。そのようなクリニックでは無診察処方という違法行為など当たり前でした。秒単位で診察を終わらせる「秒察」というグレーゾーンの行為も頻発していました。薬物依存に陥った患者は薬さえもらえたらよいという思考に陥るため、患者にとってもありがたいことでした。

しかし、それは新たな形態の薬物汚染そのものであり、保険診療や福祉制度を崩壊させ、人々の平穏な生活を脅かすレベルにまで悪影響をもたらすものでした。

社会問題となった「リタリン中毒」

2005〜08年あたりには「リタリン中毒」が大きな社会問題となりました。リタリンとは、メチルフェニデートを成分とする中枢神経刺激薬の商品名であり、海外では主にADHD(注意欠如・多動性障害)に対して処方されていました。

日本では特別にうつ病に対して処方されていましたが、覚せい剤に類似し、即効性があって多幸感が得られるため、劇的な効き目があると患者が錯覚しやすく、依存しやすいことが問題になりました。特定の精神科クリニックで安易にリタリンが処方された結果、多くの若者がリタリン中毒に陥り、リタリンを求めて処方箋偽造や薬局への強盗、違法売買などが頻発するようになったのです。

薬を簡単に出してくれる精神科クリニックには患者が列をなし、たった一人の医師である院長が、1日で300人の患者を診る(実際にはほとんどが無診察処方)という状況でした。

2000年代前半は、無診察処方など普通のことで、クリニック受付に「薬だけの患者さんはこちら」などと堂々と表示を掲げているところすらありました。今ならすぐにSNSにアップされて炎上する案件ですが、当時はまるで厳罰化前の飲酒運転のように、どこでもやっているという状況でした。

写真=iStock.com/juststock

※写真はイメージです

 

 

「秒察」や無診察で、たった1日で100万円以上荒稼ぎ

さすがに看過できなくなったのは、リタリン中毒という健康被害が各地で発生したことに加え、通院精神療法が無節操に算定されるようになったためです。通院精神療法とは、精神科クリニックにとって主な収入源となる保険診療です。1回につき高額な医療費(1998〜2003年度は3920円、2004〜05年度は3700円、2006〜07年度は3600円)が算定できるのですが、1日に200人や300人も一人で診るような精神科クリニックが、たった1日で100万円以上荒稼ぎすることができたのです。

しかし、「精神療法」と名のつく通り、本来の通院精神療法は「秒察」や無診察で算定できるはずがありません。実際、通院・在宅精神療法では「精神科を担当する医師(研修医を除く)が一定の治療計画のもとに危機介入、対人関係の改善、社会適応能力の向上を図るための指示、助言等の働きかけを継続的に行う治療方法」と定義されています。

さすがに通院・在宅精神療法の無節操な請求が目に余ったため、厚生労働省は2008年度から「診療に要した時間が5分を超えたときに限り算定する」と時間要件を新たに設けました。時間で縛りを設けるなんて非科学的だ、などと精神科クリニック関係者からは大きな不満の声が上がりましたが、そうでもしない限り、有限で貴重な社会保障費が一部のデタラメ精神科クリニックに食いつぶされるのを防ぐことができませんでした。

私は、2006年頃からマスコミや行政機関、国会議員らと協力し、デタラメな精神科クリニックの違法行為(無診察処方、医師法違反、不正請求、麻薬および向精神薬取締法違反など)を徹底的に暴き出しました。その結果大きな社会問題となり、これらの無法状態に規制が入るようになりました。

規制を強化しても精神科医の心根は変わらない

その後も、リタリンをはじめとする問題ある向精神薬(商品名:デパス、ベゲタミンなど)自体に規制がかかるようになり(2016年)、多剤大量処方や長期漫然処方などの不適切処方に対しても保険診療上の規制がかかるようになりました。しかし、これらの規制は結局いたちごっこにすぎません。結局、抜け穴があったり、別の手段に取って代わるだけだからです。

広告

 

考えたら分かることです。いくら規制を強化したところで、患者の命や健康を犠牲にし、隙あらば公金から金をかすめ取ろうと考えているような精神科医の心根が変わるわけではありません。彼らはその規制を逃れるように別の手段を見つけ出すだけなのです。医療現場から排除されない限りそのループは続くのです。現実的には、医師免許を剝奪するのは非常にハードルが高く、どんなに悪徳な精神科医でもそう簡単には排除できない仕組みになっています。

薬で患者を依存させ、無診察あるいは「秒察」で患者の回転を速め、通院精神療法で際限なく荒稼ぎするビジネスモデルは通用しなくなりましたが、賢い精神科医は規制がかかる前から別のビジネスモデルに切り替えていました。精神科デイケア施設を併設し、そこに患者を囲い込むというビジネスモデルです。

 

 

精神科デイケア施設への患者の囲い込み

精神科デイケアとは、病気の再発防止、社会復帰、社会参加を目指すリハビリテーションとされていますが、患者の社会復帰など微塵も考えていない、悪質な囲い込み型の精神科デイケアも珍しくありません。プログラムの一環としてビデオ鑑賞、カラオケ、ボードゲーム、テレビゲーム、麻雀などをさせて適当に遊ばせているだけで、何の方針も目的もないような行為が「治療」とされ、さらにはその多くが我々の税金である「自立支援医療費」から消費されています。

10年以上同じ精神科デイケアに通っている患者に、どんなことをしているのか尋ねてみたことがあります。すると「ずっと麻雀してるよ」と驚くべき答えが返って来ました。10年もひたすら麻雀を打ち続け、結局社会復帰などしていないのです。

私はマスコミとともに、質が低い精神科デイケアに違法に患者を囲い込んでいる精神科クリニックの実態を2015年に暴きました。それはパンドラの箱でした。行政機関の闇も同時に暴いてしまったからです。昔から行政機関にとっては、特定の精神医療機関はありがたい存在でした。行政にとって厄介な人や行き場のない人を引き取ってくれるからです。しかし、その持ちつ持たれつの関係が、違法行為や人権侵害を見過ごすことになり、宇都宮病院事件(1983年)や大和川病院事件(1993年)につながったのです。行政が貧困ビジネスと手を組んで人権侵害を助長するという構図が21世紀に引き継がれていました。

福祉事務所の相談員が、自分たちのクリニックに不適切に受診誘導

大田区、江戸川区、港区は、都内のある精神科クリニックに随意契約で業務委託し、クリニック職員を相談員として福祉事務所に配置していました。その相談員が、自分たちのクリニックに不適切に受診誘導していたことが判明しました。しかも、受診することが生活保護を受給できるようになる要件であるかのような説明もしていたのです。そのような経緯で同クリニックにつながれた人々が、劣悪な住環境のシェアハウスに囲い込まれたうえに不適切な金銭管理までされていたことが発覚しました。

ちなみに、同クリニックは結局大したお咎めもなく、それ以降も系列クリニックを増やして大規模な精神科デイケアビジネスを展開しています。ただ、ようやく精神科デイケアの暗部が世に知られるようになりました。その結果、2016年度診療報酬改定の際には、「長期かつ頻回の精神科デイ・ケア等の適正化」が取り上げられ、算定に制限が設けられるようになったのです。

 

 

自己負担3割のうち2割を公費負担としてカバーする「自立支援医療費」

このようにして、問題を暴いて規制を設けても、また別の問題が発生するということの繰り返しになっています。これは決して一部の精神医療機関だけの問題ではありません。私は、精神科治療が成果を上げ、患者の容体が改善して自立しているのであれば何も文句など言いません。しかし、今や精神科通院に消費される自立支援医療費はうなぎ上りです。つまり、全体的に見ても患者を自立させてはいないのです。

米田倫康『ブラック精神医療 「こころのケア」の不都合な真実』(扶桑社新書)

自立支援医療費(精神通院医療費)とは、健康保険適用の場合、精神科に通院する患者の自己負担3割のうち2割を公費負担としてカバーする制度です。2006年度以前は別の制度(通院医療費公費負担制度)によって、通院患者の自己負担は5%以下でした。地方自治体によってはその5%分も負担することで患者の自己負担が実質無料でした。それは不正請求の温床でもありました。患者の自己負担がないので、不正な請求がされていても気づかないためです。

生活保護受給者の場合、自立支援医療費が適用される治療に対しては、生活保護の医療扶助ではなく、自立支援医療費から治療費が負担されます。精神科デイケア施設に1日中いるような患者であれば生活保護を受給していることも多いのですが、精神科デイ・ナイトケアの医療費1日当たり1万円が、すべて自立支援医療費からその精神科クリニックに支払われることになります。

精神医療による貧困ビジネスの実態

以前は、精神病院への囲い込みが効率的で儲かる貧困ビジネスでした。身寄りのない人を精神病院にぶちこみ、生活保護の受給をさせれば医療費の取りっぱぐれがないため、不必要に長期入院させることで安定した経営が可能でした。まるで牧畜業だと精神病院は揶揄

やゆ

されましたが、その存在をありがたがる人たちがいました。治安維持や景観維持(ホームレス排除)、姥捨て山としての機能など、本来精神病院に任せるべきではありません。しかし、あえてその役目を半ば公然と引き受けることで成長してきたのが精神病院でした。

1980、1990年代になると精神病院内での暴力・虐待・支配・搾取が世間を揺るがすようになり、その元凶である隔離収容主義に対する国際的な非難が高まり、政府は長期的な囲い込みができないように政策を誘導せざるを得なくなりました。しかし、精神医療による貧困ビジネスがなくなったわけではありませんでした。さまざまな形態に変化し、現在に至ります。その形態の一つが精神科デイケアを利用した囲い込みなのです。この世界は、根本から変えない限りいつまでもいたちごっこが続くのです。

 

  • 米田 倫康(よねだ・のりやす)
  • 市民の人権擁護の会日本支部代表世話役
  • 1978年生まれ。東京大学工学部卒業。市民の人権擁護の会日本支部代表世話役。在学中より、精神医療現場で起きている人権侵害の問題に取り組み、メンタルヘルスの改善を目指す同会の活動に参加する。被害者や内部告発者らの声を拾い上げ、報道機関や行政機関、議員、警察、麻薬取締官等と共に、数多くの精神医療機関の不正の摘発に関わる

小林麻央さんが選んだ「在宅ホスピス」の実態

2021-12-25 13:30:00 | 日記

東洋経済様のホームページより下記の記事をお借りして紹介します。(コピー)です。

 

乳がんで闘病中だった小林麻央さんが、2017年6月22日夜に旅立たれたことが報じられました。麻央さんは自分のがんを公表し、その闘病生活をブログ上でつづってこられました。そして、200万人を超える人がその記事を読み、共感し、励まされ、勇気づけられました。

人生の最期を迎えようとするその生き方を、リアルタイムでこれ程多くの人から注目されてきた人は、今までいなかったのではないでしょうか。幼いお子様を遺して他界しなければならなくなったことに悔しい思いをされてきたことと思いますが、心からご冥福をお祈りしたいと思います。

小林麻央さんがブログにつづってきた闘病生活は、多くの人にとって病気になったときの生き方を考えさせられるだけでなく、人生そのものについて再考させられるよい機会となりました。

「自宅で最期を迎える」という選択

麻央さんは、2017年5月29日に病院を退院され、在宅医療に切り替えられました。

在宅で麻央さんが受けた医療とは、いわゆるホスピス医療であり、現在は「緩和ケア」や「エンド オブ ライフ・ケア」と呼ばれているものです。がんなど病気に伴う症状を緩和することによって、最後の時間を少しでもよりその人らしく生活してもらうことを目指します。がんを治すという有効な治療法を失った時、医療の中心が治療を優先する「キュア」から生活を大事にする「ケア」へと向かうのです。

緩和ケア病棟(いわゆるホスピス)は、わが国では1990年に施設の認定が始まり、その後飛躍的に増加してきました。2016年11月の集計では378施設7695床あります(日本ホスピス緩和ケア協会調べ)。そして、このような終末期医療の専門施設である緩和ケア病棟ではなく、麻央さんのように自宅で最期を迎える人も次第に増えてきています。全死亡の中でがんの病気により自宅で亡くなる人の割合、がん在宅死率は2007年までは6%台でしたが、2015年には10.4%となり急速に増加しています(厚生労働省「人口動態統計」)。

緩和ケアの中で、大きなテーマとなるのが身体の疼痛コントロールです。WHO方式の「がん疼痛治療法」が発表されてからすでに4半世紀が過ぎ、現在は世界各国で実施されて、70~80%で鎮痛効果が得られると報告されています。特にここ10年間、疼痛治療に使うことのできる薬物の種類も増え、急速に進歩してきた領域です。

特に患者さんに知ってもらいたいことは、身体的な痛みのコントロール目標として次の3つの状態があることです。

① 痛みにより夜間の睡眠が妨げられない状態

 ② 静かにじっとしていれば痛みがない状態

 ③ 体を動かしても痛みがない状態

つまり、身体を動かす生活をできる状態へもっていくことが疼痛コントロールの最終目標になるのです。

さらに、症状緩和においては、痛みのコントロールだけでなく、呼吸困難、咳、吐き気と嘔吐、下痢や便秘、脱水、悪液質(衰弱状態)と食思(欲)不振、腹水、吃逆(しゃっくり)など、その他の症状を和らげることも目標となります。

患者さんが、このような症状コントロールの目標を知っておくことは大切です。なぜなら、医療者と共通の目標をもつことによって、医療が患者と医療者の協働作業となり、よりよい緩和医療を実現することが可能になるからです。そのためには、患者さんが医療者に対して遠慮することなく対話をできることが前提となります。また、そのようなことが可能な医療者を探すことが大切です。

在宅でも施設と同程度のケアが可能に

ただ、自宅で死を迎えることに対して不安を抱く方も少なくないでしょう。自宅でも痛みのコントロールはきちんとできるのだろうか、容態が急変した時にはどうすればよいのだろうか、家族が介護で疲労してしまうのではないか、医療者はすぐに対応してくれるのだろうか、などです。

わが国で在宅ホスピスを開拓してきた第一任者である川越厚医師は、現在では制度も整備され、在宅でも施設ホスピスと同程度のケアを提供できると断言されています。そして、在宅ホスピスの利点を、次のように述べられています。

・自宅では束縛のない“生”を全うできる

 ・家には最期までその人の役割(生きる希望)がある

 ・住みなれた場所であり最も居心地が良い

 ・いつも家族がそばにいるため孤独から開放される

 ・家族は病院と家の二重生活をしないですむ

麻央さんも在宅医療であったからこそ、家族と濃密な時間を過ごすことができたのではないでしょうか。

さらに、在宅ケアをする家族をサポートする「レスパイトケア」というサービスも注目されてきています。レスパイトケアとは、難病をもつ乳幼児を在宅でケアしている家族の精神的疲労を軽減するため、小児ホスピスなどで一時的に子供をあずかりケアの代替を行うサービスです。在宅ケアで介護につかれた家族にとって、そのケアを持続して行うためには、このようなサービスが必要でしょう。このようケアもあることを知っておくと、将来必要となったときに自分の身近に見つけることができ、利用が可能となるかもしれません。

「心の痛み」のケアにも注目が集まってきた

最後に、緩和医療の分野で今起きてきている大きな変化についても知っておいて欲しいと思います。それはスピリチュアルケアにようやく焦点が当てられるようになってきたことです。

がんなど、いのちに関わる大病や進行性の難病を抱えたとき、「なぜ私はこんなに苦しまなければならないのか」「何のために生きているのだろうか」「自分の一生は何だったのだろう」「私が死ねば、残された家族はどうなるのだろう」「他人(家族)に迷惑をかけたくない」「他の人にお世話になるのはつらい」「もう逝かせて欲しい」「死んだ後はどうなるのだろう」など、様々な悩み、すなわち「スピリチュアルペイン」を抱えます。スピリチュアルケアはそれらに対処しようとするケアです。

欧米の病院では、病院の中に祈る場所やこころのケアをする人(チャプレンなどと呼ばれる)が存在することが当たり前になっています。ただ、明治の初期にわが国に西洋医学を導入し病院が創られたとき、スピリチュアルケアをすっかりはずす形で行われたのです。それ以来、医療が科学中心となりスピリチュアルなことは疎まれてきたのです。

1990年頃からようやくその重要性が注目されはじめ、2007年には、日本スピリチュアルケア学会が起ち上がり、教育や認定の制度が整えられてきました。また、2016年2月にスピリチュアルペインに関わる宗教者の会、臨床宗教師の会も発足しました。

このようなこころのケアが医療の中に導入され、上手く機能することになれば、患者さんが受ける終末期医療自体に大きな変化が訪れるだけでなく、医療そのものが人間全体をみるものになることでしょう。

加藤 眞三 : 慶應義塾大学看護医療学部教授


「ワクチンにより効き目は違う?」「変異ウイルスへの効果は?」 医師が解説

2021-12-25 12:00:00 | 日記

下記の記事は日経グッディ様のホームページからお借りして紹介します。(コピー)です。

 

Q.1

新型コロナワクチン接種後に新型コロナに感染するリスクはどれくらいですか。

 

A. 2021年半ば頃から徐々に、新型コロナワクチンの感染予防効果そのものについても報告が出てきています。米国などの研究では、接種後の感染予防効果は、ファイザーのワクチンは約88%(1カ月以内)、モデルナのワクチンは約97%(1~4カ月)であったことが報告されています。

しかし新型コロナワクチンの感染予防効果は、接種後、時間が経過するにつれて徐々に低下することもわかってきました。加えて、感染力が強い変異株「デルタ株」が流行の主流になってきたことで、ブレークスルー感染(Q.2参照)が増えています。このような状況を考慮して、1、2回目のワクチン接種を完了して一定期間が経過した人に対して、免疫を補強するために3回目のワクチン接種(ブースター接種)を実施する国が増えています。

なお、重症化予防効果については、米国の研究報告などから、感染予防効果と比較して時間が経過しても維持されやすいことが示唆されています。

 

Q.2

ファイザーとモデルナの新型コロナワクチンは、効き目に差がありますか。

 

A. ファイザーのワクチンとモデルナのワクチンはいずれもmRNAワクチンです。臨床試験ではほぼ同等の有効性が示されていました。これら2つのメーカーのワクチンはいち早く全世界で使用されるようになったので、様々な研究が行われ、データが蓄積してきています。最近わかってきたことは、ファイザーのワクチンに比べてモデルナのワクチンの方が、効果がやや高いのではないかということです。2回目接種完了から120日以上経過した人を対象とした米国の研究では、ファイザーのワクチン接種者の入院予防効果が77%であったのに対し、モデルナのワクチンでは92%と上回っていました。

また、感染予防に重要な役割を果たすと考えられるワクチン接種後の抗体の量の上がり具合にも違いがあり、モデルナの方がやや高いと報告されています。さらに接種から6カ月後に抗体の量がどれだけ維持されているかについても、ファイザーのワクチンを接種したグループに比べてモデルナのワクチンを接種したグループの方が高かったと報告されています。

このような差が生じる理由として、ワクチンに含まれているmRNAの量がファイザーに比べてモデルナの方が多いこと、1回目と2回目の接種間隔がファイザー(3週間)に比べてモデルナ(4週間)の方が長いことなどが考えられています。1回目と2回目のワクチンの接種間隔については、ワクチンの種類は異なりますがアストラゼネカのワクチン(ウイルスベクターワクチン)に関する研究があり、間隔をより長くあけた方が高い効果が得られる、という結果が得られています。mRNAワクチンについても同様の傾向がある可能性が考えられます。

ただしモデルナのワクチンとの比較で効果がやや劣るとしても、大きな差ではなく、ファイザーのワクチンにも十分な効果があることは間違いありません。ワクチンの副反応についてはファイザーの方が頻度が低いとの報告もあるなど、それぞれのワクチンに別々の小さな長所があると考えればよいと思います。

Q.3

変異ウイルスが次々と出てくるから、新型コロナワクチンを打っても意味がないのではないですか。

 

(イラスト:串子)

A. 現在、流行の主流となっている変異ウイルス「デルタ株」(編集部注:2021年夏の第5波の主流だった変異ウイルス)は、以前のウイルス株と比べてワクチンがやや効きにくいとされ、実際にブレークスルー感染が増えています。しかし今後登場するすべての変異ウイルスが、ワクチンが効きにくい性質を持っているとは限りません。例えば、デルタ株の前に世界的に広がっていた「アルファ株」は、感染力はそれ以前のウイルス株より強くなっていましたが、ワクチンの効果は維持されていました。

デルタ株に対しても、ワクチンの重症化予防効果は十分に保たれていることがわかっています。ワクチン接種が進んでいったん減少した感染者数が、デルタ株の流行で再び増えた国もありますが、重症化率や死亡率はワクチン接種が広まる以前と比べて低く抑えることができています。

今後も、ワクチンが効きにくい新たなタイプの変異株が出現する可能性はあります。現に2021年11月下旬に世界保健機関(WHO)により「懸念すべき変異株」に指定された「オミクロン株」は、その変異の多さから既存のワクチンの効果が低下するのではないかと疑われています。ただし、その場合でもワクチンの効果がゼロになるとは考えにくいです。また、新たな変異株に対応したワクチンの開発・改良も常に行われているので、変異ウイルスが原因でワクチン接種が無意味になることはまずないでしょう。

 

Q.4

新型コロナワクチン接種で心臓の病気のリスクが高まるというのは本当ですか。

 

A. 頻度はまれなものの、新型コロナワクチン接種後に心筋炎や心膜炎を疑う事例が国内外で報告されています。心臓の筋肉である心筋に炎症が起こるのが心筋炎で、心臓を包む表面の膜に炎症が起こるのが心膜炎です。10代~30代の男性、1回目接種よりも2回目接種で発生頻度が高く、接種後1週間以内に発症する傾向が高いようです。

なお、10代、20代の男性については、ファイザーのワクチンに比べてモデルナワクチンで心筋炎・心膜炎の頻度が高い可能性が示唆されています(表参照)。希望する場合には、モデルナのワクチンをすでに予約中、あるいは1回目にすでにモデルナのワクチンを接種していても、ファイザーのワクチン接種に変更することができます。

心筋炎は重症化すると、心不全や不整脈などの原因になることがありますが、新型コロナワクチン接種後に発症した心筋炎や心膜炎の多くは幸い軽症であり、適切な治療によって後遺症を残すことなく速やかに改善しています。

心筋炎や心膜炎は、新型コロナウイルスに感染した場合にも、合併症として起こることがあります。合併する確率はワクチン接種後に発症する確率よりも高く、より重症であることがわかっています。したがって現時点では、ワクチン接種のメリットが副反応のリスクのデメリットを上回っているとの考えから、接種対象のすべての世代の人にワクチン接種が推奨されています。

なお、心臓の病気は早期発見、一刻も早い治療がとても重要です。ワクチンの副反応かどうかにかかわらず、今までになかった胸痛、息切れ、動悸などに気付いたら、すぐに医療機関を受診してください。

Q.5

新型コロナワクチンの種類によって副反応のリスクに差はありますか。

 

(イラスト:串子)

A. 別々に臨床試験が実施されているので単純に比較はできませんが、ファイザーのワクチンよりもモデルナのワクチンの方が一般的な副反応の発生頻度は高いようです。またモデルナのワクチンでは、接種から約1週間後に、接種した部位の痛みや腫れなどが遅れて出ることが多かったと報告されています。ただしほとんどが軽症で、速やかに回復しています。

まれに起こる重篤な副反応としては、心筋炎や心膜炎が疑われる報告の頻度が、ファイザーのワクチンに比べてモデルナのワクチンの方が高いことが知られています。アストラゼネカのワクチンに関しては、ワクチン接種後に血小板減少症を伴う血栓症、毛細血管漏出症候群、ギラン・バレー症候群などの神経疾患を発症した例が、海外で報告されています。血小板減少症を伴う血栓症についてはファイザー、モデルナのワクチンでも疑い例が出ていますが、これまでのところ、アストラゼネカのワクチンほどには関連性が明らかになっていません。

なお、まれなアレルギー反応との関連が懸念されているポリエチレングリコール(PEG)は、添加剤として3種のワクチン(ファイザー、モデルナ、アストラゼネカ)すべてに含まれています。

3種いずれのワクチンにも高い有効性があること、いずれも重篤な副反応の頻度がまれであることを踏まえると、現時点では接種のメリットが副反応のリスクのデメリットを上回っていると考えられます。いずれかのワクチンを接種できるときに接種することをお勧めします。

 

Q.6

新型コロナワクチンの接種率が上昇したら、イベントや飲み会に自由に参加しても大丈夫ですか。

 

A. ワクチンを打ったら絶対に新型コロナウイルスに感染しないわけではありません。ワクチン接種から時間がたつとワクチンの効果が少しずつ低下するので、ブレークスルー感染が起きやすくなります。イベントへの参加、飲み会での交流などを再開する際には、感染流行の状況に加えて、そういったことも念頭に置いてください。

現在、日本では、大規模イベントなどへの参加条件としてワクチン接種歴などの提示を求める「ワクチン・検査パッケージ」制度が検討され、効果を確認するための実証実験が行われています。しかしそういった仕組みに頼るだけでなく、お互いの健康を守るために、それぞれの参加者がイベント前後に密になる場所に行くのを避ける、イベント参加者同士で声を掛け合って健康チェックをするといった1人ひとりの心がけが引き続き大切です。

Q.7

「ワクチンパスポート」とはなんですか。

 

A. 「ワクチンパスポート」とは、新型コロナワクチン接種を受けたことを証明する海外渡航用のワクチン接種証明書のことです。日本から他国に渡航する際、入国時に提示すると防疫措置(一定期間の隔離やPCR検査など)の免除・緩和が受けられる場合があります。日本の「ワクチンパスポート」は、2021年12月1日現在、76カ国でワクチン接種証明書として認められています。

「ワクチンパスポート」を取得するには、ワクチン接種を受けた居住地の自治体に申請します。申請方法、必要な書類などは変更されることがあるので、自治体のホームページなどで最新情報を確認してください。

(イラスト:串子)

日本では現在、ワクチンパスポートの制度とは別に、新型コロナワクチンの接種完了時に発行される「予防接種済証」または「接種記録書」を活用する「ワクチン・検査パッケージ」制度の導入が進められています。これは、飲食店利用者やイベント参加者が入店・入場する際に、事業者・主催者が、予防接種済証か接種記録書、または新型コロナの陰性証明書を確認することを条件に、緊急事態宣言が出ている新型コロナの流行期であっても行動制限を緩和する制度です。具体的には、都道府県をまたぐ移動が可能、飲食グループの人数制限なし、イベント参加人数は収容人数までOKなどとなります。民間の事業者、イベント主催者などが独自に、入店・参加の条件として入店・入場者にワクチン接種歴や検査結果の提示を求めることも原則として自由とされています。

 

Q.8

海外ではもうマスクをしていなかったり、大規模なイベントを満員で開催している国もあるようです。日本とは何が違うのですか。

 

A. 2021年夏に行われた欧州のサッカー大会「EURO2020」などで、多くの人がスタジアムに詰めかけマスクなしで観戦しているのをテレビなどで見て疑問に思った人もいるかもしれません。日本よりも先に、新型コロナワクチン接種が2021年初頭から本格化した欧州各国、米国などでは、ワクチン接種率の上昇も日本より早く、2021年5~6月頃からはレストランやスポーツジム、美術館などの利用が段階的に再開され、企業の在宅勤務も解除されました。

また、もともと感染症に対してマスクを着用する習慣がなかった欧米では、新型コロナウイルス感染症対策の一環としてマスク着用を促進するために法律でマスク着用を義務化していましたが、感染率が低下して義務化が解除されると同時に、マスクを着用しなくなったと考えられます。例えば英国では2021年7月から室内を含めてマスク着用は法的義務ではなくなり、それと同時に公共交通機関などでもマスクをしている人は少数派となっています。

ただし新型コロナワクチンの接種率が上がっても、感染が完全に防げるわけではありません。ワクチンの効果で重症者数、死者数は抑えられてはいますが、再び感染者数が増えてきている国も少なくありません。重症化リスクが高い人に感染を広げないためにも、感染流行が続いている間は、イベント参加やスポーツ観戦、近距離で人と話す際などには引き続きマスクを着用するなど感染予防対策を取ることが、正しい対応だと考えられます。

倉沢正樹=日経メディカル元編集長


愛子さま、成年行事「薄白のジャケット」に見る雅子さまの願い

2021-12-25 11:00:00 | 日記

下記の記事はNEWSポストセブン様のホームページからお借りして紹介します。(コピー)です。

 

12月9日、58才のお誕生日を迎えられた雅子さま(12月、東京・千代田区・写真/JMPA)

皇室に入られてからの雅子さまの前には、いくつもの苦難が立ちはだかった。満足に公務を担うことができず、時にバッシングの嵐に晒された。心の支えとなったのは、屈託のない娘の笑顔。20才を迎え、成年皇族としての今後を歩まれる愛子さまに向けた、雅子さまからのメッセージ──。

「子供っていうのは、変な言い方ですけれども、本当に生きるために、そして、親に愛されるべくして生まれてくるんだということを強く感じました」

2002年4月、前年12月に愛子さまを出産してからはじめて臨まれた会見で、雅子さまは涙ぐみながらそう話された。それから約20年──12月9日、58才のお誕生日に寄せられた文書に、雅子さまは次のように綴られた。

《愛子が生まれてからの20年間は長かったようにも、あっという間だったようにも感じられますが、様々な思い出が思い起こされて感慨深く思います。同時に、あの幼かった愛子がもう成年かと思いますと、信じられないような気持ちもいたします。》

文書には、20年前と変わらない愛子さまへの深い愛情、そして期待がにじんでいた。

12月5日、愛子さまは成年行事へと臨まれた。控えめなメイクを施された愛子さまは、女性皇族にとって最上位の正装であるローブ・デコルテに身を包まれていた。

療養中の雅子さまへの配慮から、それまでほとんど経験のなかったはずの無数のフラッシュにも、物おじされることはない。背筋を伸ばして笑みをたたえられ、報道陣の「おめでとうございます」という問いかけに、「ありがとうございます」とはっきりとした口調で答えられた。実は、愛子さまはその日のために、両陛下と何度も所作や動線を確認されたという。

「愛子さまは重要なポイントをメモに取られることもあったそうです。ご一家で入念に準備を重ねられ、立派にまっとうされました。以前の愛子さまは、不登校や“激やせ”など心配事もおありでしたが、両陛下は、時に優しく時に厳しく、愛情とご覚悟をもって、愛子さまが成年皇族としてのご自覚を結実させるまで育てられました。その日を迎え、雅子さまとしても万感の思いだったことでしょう」(宮内庁関係者)

愛子さまから両陛下へご提案

堂々たる立ち居振る舞いとともに注目されたのが、愛子さまのお召し物だった。愛子さまは、成人した女性皇族の証であるティアラを新調されず、かつて黒田清子さん(紀宮さま)がお使いだったものをリメークして使用することを選ばれた。

「コロナ禍で苦難にさらされている国民の現状を心配される雅子さまを間近にご覧になっていたからでしょう。愛子さまから、両陛下に対してご提案があったそうです。新調するとなれば、3000万円はくだりません。3人で話し合われた結果、リメーク使用が決まったといいます」(別の宮内庁関係者)

ローブ・デコルテには、控えめで落ち着きのある薄白を選ばれた。ファッション評論家の石原裕子さんが解説する。

「白地に白糸の総刺繍で、清潔感にあふれ、派手さを極力抑えています。できるだけ質素にという思いがおありだったのではないでしょうか。国民とともに歩もうとされる雅子さまのお考えが反映されているように思えます。小室眞子さんや佳子さまは、クリーム色を帯びた生地に金糸を使って花を思わせる立体的な刺繍を施し、本来の華麗さを強調していました。

一方の愛子さまは、純白のシルクに、やはり純白の糸で唐草模様の控えめな刺繍を選ばれました。この模様はティアラのデザインとも見事にマッチしています。雅子さまもご相談にのられたのではないでしょうか」

愛子さまのテーラードカラーに込められた思いとは(写真/JMPA)

 

誇り高い人生を歩んでほしい

ドレスに合わせたジャケットも目を引いた。色みは同じ薄白ながら、襟部分にV字に切り込みの入ったテーラードカラー。テーラードは「紳士服仕立ての」、カラーは「襟」を表す。眞子さんのノーカラー(襟なし)や、佳子さまのショールカラー(肩掛けのような形の襟)と比べると違いは一目瞭然で、愛子さまならではの個性が表現されている。

「テーラードカラーは“働く女性”のユニフォームのようなものです。雅子さまもたびたび公務でお召しになっており、現在も定番ファッションの1つといえます。2019年、“雅子さまの外交力は日本の宝”と外務省を唸らせたという、トランプ前アメリカ大統領夫妻を迎えての歓迎式典でも、雅子さまはアイボリーのテーラードカラーのジャケット姿でした。

愛子さまがこのデザインを選ばれた背景には、そうした雅子さまへの尊敬と憧れが感じられます。また、これから成年皇族となり、しっかりと務めを果たしていきたいというご覚悟の表れでもあると思います」(前出・石原さん)

雅子さまは、ハーバード大学を卒業後、東大在学中に外交官試験に合格し、外務省でキャリアを積まれたという経歴をお持ちである。天皇陛下とのご結婚が決まった頃は「究極のキャリアウーマン」ともいわれていた。しかし、皇室入り後はさまざまな問題に直面されることになり、2004年には適応障害を発症される。

「雅子さまがテーラードカラーのジャケットを愛用されてきた背景には、キャリアを重ねてきた女性としての強い思いもあったのではないでしょうか。ローブ・デコルテと同じく、ジャケットデザインに関しても、おふたりで話し合われる機会があったでしょう。

愛子さまは、今後女性皇族としてさまざまなお務めを果たされていくと思います。雅子さまは、成年行事の際のジャケットを通して“自信につながるようなキャリアを積み重ねて、誇り高い人生を歩んでほしい”という願いを託したのかもしれません」(前出・石原さん)

御料牧場を散策されている雅子さまと愛子さま(2002年10月、栃木県塩谷郡。写真/JMPA)

 

愛子さまの将来は、女性皇族をめぐる議論次第で、いまだ不透明である。それでも不安は一切見受けられなかった。

「雅子さまは、どのような将来であっても、愛子さまには充足した人生を歩んでほしいと願われています。愛子さまも雅子さまの思いを、正面から受け止められている。天皇ご一家の3人の絆は固いでしょう」(前出・宮内庁関係者)

12月9日、雅子さまは天皇陛下とご一緒に、上皇ご夫妻のもとを訪ねられた。滞在時間は予定より10分ほど延びたうえ、帰り際、スタンバイする警察をよそにしばらく両陛下を乗せた車は出てこなかった。理由は、仙洞仮御所の玄関での上皇ご夫妻との会話が途切れなかったからだという。きっとそこでは、雅子さまの誕生日を祝うと同時に、“母としての役割”への感謝や労いもあったことだろう。雅子さまの20年が、いま、実を結んだのだ。


オミクロン株「弱毒化」説を検証 終息への“救世主”となる可能性も

2021-12-25 10:00:00 | 日記

下記の記事はデイリー新潮オンライン様のホームページからお借りして紹介します。(コピー)です。

 

デルタ株が蔓延した第5波、最も痛ましかったのは、自宅療養者の急死が相次いだことだ。オミクロン株が蔓延した場合、はたして入院できるのか。ただし、この変異株、12月13日時点で重症者も死者も報告されておらず、終息への救世主になるとの見方も出ている。

***

【写真4枚】オミクロン株にも効果があるとされる飲み薬「モルヌピラビル」

年末に向けて華やぎを増す師走。新型コロナウイルスの感染者数が増える兆しは、こと日本ではいまのところ見えず、気の置けない仲間との会食など、当たり前の日常を久しぶりに味わっている方も多いと思う。

一方、ネガティブな予定変更に奔走している人たちも少なからずいる。たとえば、今月9~12日に大阪で開催予定だったフィギュアスケートのグランプリファイナルは中止され、年末の風物詩であるベートーヴェン「第九」の演奏会は、外国人指揮者らが来日不能になり、各地で変更を余儀なくされている。

 

小池百合子都知事(他の写真を見る

コロナ禍の終息は後ろ倒しになるのか

言うまでもなく、南アフリカで感染が広がる新しい変異ウイルス、オミクロン株の流入を防ぐために、全世界からの外国人の新規入国が、11月末日から原則として停止されたからである。徐々に緩められていた入国規制はふりだしに戻り、帰国した日本人の待機期間も、最短3日にまで短縮されていたのが、一挙に元の14日間に戻された。

日本の水際対策はイスラエルと並んで、世界で最も厳しいものとなったが、欧米諸国も、アフリカ南部に対象国を絞りながらも、渡航を制限している。

日本を含む各国が、オミクロン株への警戒を強めたのは、WHO(世界保健機関)が11月26日に、この変異株を「懸念すべき変異株」(VOC)に指定してからだ。新たなVOCの登場は今年初めてで、しかも、感染力はデルタ株よりもさらに高い可能性があるというから、各国が警戒するのも、もっともな話である。

事実、オミクロン株はすでに、世界四十数カ国に広がっている。また、震源地の南アでは、12月3日の新型コロナの新規感染者が1万6055人と、2週間前の20倍以上に激増。その7割以上がオミクロン株と考えられるという。

こうした展開を受け、われわれが最も気にし、心配するのは、端的に、以下のことではないだろうか。オミクロン株は日本でも蔓延する可能性があるか。デルタ株などと同様に重症化リスクはあるか。もし重症化した場合は入院できるのか。すなわち、自宅で待機中に重症化し、命を落とすという不幸は繰り返さずにすむのか。そして、新たな変異株の登場によって、コロナ禍の終息は、さらに後ろ倒しになるのか――。

 

ワクチンの有効率次第

ところで、オミクロン株が登場しなくても、近く第6波は発生すると見られていた。ただし、日本のワクチン2回接種率は、すでに77%に達しており、波の高さは第5波よりかなり低い、というのが大方の見方であった。たとえばAIを使い、第5波が8月下旬にしぼむと予測していた名古屋工業大学の平田晃正教授(医用工学)のチームは、第6波のピークは東京では来年1月14日で、新規感染者数は370人程度、大阪では140人程度としていた。

この予測も、オミクロン株の登場で上方修正を余儀なくされるのだろうか。平田教授に尋ねると、

「前回予測したデータは、オミクロン株など変異株の出現を、考慮したものではありません。ワクチンがどの程度有効であるかという点が、シミュレーションの結果を最も左右するのですが、その値をファイザー社が発表していないため、まだなんとも言えません」

と言い、こう続ける。

「現在、オミクロン株は、デルタ株の2倍ほどのスピードで感染者が増えているようですが、ただし、それはワクチンの2回接種率が25%程度にすぎない、南アでの数字。国民の77%が2回接種を終えている日本でどのような結果になるかについては、ファイザーのワクチンの有効率次第で変わってきます。また、すでに新型コロナに感染した人の再感染リスクは3倍、という発表もありますが、まだ統計の詳細に読めない部分があり、こうした見解がどれだけ有効であるか、判断しにくいのです」

日本と異なる南アの条件

要は、まだデータが揃わず、感染力や毒性を含めたオミクロン株の性質を、判断できないという。

ところが、オミクロン株への注意を、真っ先に世界に喚起したWHOは、「危険性の判断は早すぎる」と警鐘を鳴らし、「ワクチンの改良が必要かどうかの判断は時期尚早」と言う。日本が外国人の新規入国を禁じたことに対しても、「疫学的に理解しがたい」と批判している。こうした発言をどう読みとればいいのか。

むろん、まだわからないことが多い。だが、現状で能(あた)うかぎりの鮮明なオミクロン像を、最新のデータや見解を交えて、以下に示していきたいと思う。

Q.オミクロン株の感染力はどの程度強いか?

東京歯科大学市川総合病院の寺嶋毅教授が言う。

「現在、南アの一定の州や地域では、感染者の90%近くをオミクロン株が占めています。10月まではほぼ100%がデルタ株だったことを考えると、やはり広がりやすいのでしょう。他国で発見されるまでのスピードも速く、11月に南アで増えはじめて約1カ月しか経たないのに、40カ国以上で発見されているのは、感染力が増しているからだと考えられると思います」

感染力が高いのは、スパイクたんぱく質に、30もの変異が起きたからだといわれる。東京農工大学農学部附属感染症未来疫学研究センターの水谷哲也教授が、その仕組みを説明する。

「ウイルスがヒトの細胞に感染する際、足掛かりになるのがスパイクたんぱく質で、そこに起きている変異が、従来株とはくらべものにならないくらい多い。そのうえ、スパイクたんぱく質のなかの“受容体結合領域”で起きている変異があります。これは、ウイルスが体内に侵入する際、ヒトの細胞と直接接する領域で、ここに変異が起きると、感染のしやすさに変化が起きやすいのです」

そして、オミクロン株の、この領域の変異には、

「ヒト細胞とウイルスとの結合を促進することがわかっているもの、中和抗体から逃れる可能性があるもの、すでに感染性を高めることがわかっているもの、などがあります。今後、オミクロン株が感染の主流になっていくなら、感染しやすくなる変異が起きた、といえると思います。その意味でも、米国やドイツなど、感染力の強いデルタ株の流行地域で、オミクロンがデルタに置き換わるかどうか、注視したいところです」

感染力と再感染のしやすさは別問題

Q.南アでは、すでに新型コロナに感染した人の再感染リスクが、従来の3倍だという。感染力の強さの証左ではないのか?

寺嶋教授は、

「南アの複数の研究機関の発表では、11月以降の感染者の内訳を調べると、すでに感染したことがある人が多く含まれ、デルタ株などにくらべ、再感染リスクが2~3倍ということです」

と言ったうえで、「しかし」と続ける。

「これは感染力の強さに直結するデータではありません。感染力の強さは、ウイルスが細胞の受容体にどれだけくっつきやすく、くっついた後、どれだけ細胞内に入りやすいかに関係します。一方、再感染のしやすさは、ウイルスが抗体をすり抜けるということで、スパイクたんぱく質が変異し、抗体にくっつきにくくなったかどうか。別問題です」

浜松医療センター感染症管理特別顧問の矢野邦夫医師が、補って説明する。

「新型コロナウイルスに感染すると、体内に抗体ができ、免疫がつきます。しかし、1回感染した程度では抗体が薄く、弱い可能性がある。実は、感染することで備わった免疫と、ワクチンを接種して得られた免疫とをくらべれば、後者のほうが断然強い。感染して得られる免疫には、それほど期待できません。南アではワクチン接種率が低いので、再感染者が多いのは当然ともいえます」

ワクチン接種率が高い日本とは、条件が違いすぎるといえるだろう。

子どもの感染は大丈夫か

Q.南アでは子どもへの感染が拡大している。受験シーズンを控え、日本の子どもたちは大丈夫か?

寺嶋教授の話を聞こう。

「現在、南アでは感染者は20~40代が、入院するのは0~2歳が多いといいます。小児の感染が多い理由としては、10歳未満の人口が多いことと、親世代のワクチン接種率が低く、両親などから家庭内感染していることが考えられます。デルタ株になって、10歳未満の感染者が増えたように、感染力が高い変異株では、いままで感染者数が少なかった世代に、症状のある感染者が増えました。その延長で、オミクロン株は感染力がさらに高まっているなら、子どもの感染者が増える可能性もあるでしょう」

とはいえ、「必ずしも日本に当てはまらない」と、寺嶋教授。事実、親世代のワクチン接種率からも、家庭内感染の危険性は低いのではないだろうか。

「南アで入院が一番多いのは0~1歳。発熱やせきで、5歳以上の子どもより、脱水や呼吸器症状を来しやすいのだと思われ、これをもって、重症度が上がったとはいえません。親や保護者がワクチンを接種し、お子さんも打てる年齢なら前向きに考える。それから不織布マスクを密着させて着用し、換気や密の回避を心がける。そうした基本的なことが大事で、過剰に恐れる必要はないと思います」

また、矢野医師も、「11歳以下の子どもに、ワクチンを打てるようにしてあげたい」と言ったうえで、すでに打てるのであれば、

「将来の副反応を心配する親御さんの気持ちもわかりますが、まずは感染させないことが重要。接種をお勧めします」

と強調する。また、後述するが、少なくとも若い感染者に重症者がいないという情報も、参考になるのではないだろうか。

行動制限は必要か

Q.大人を含め、日本でも感染は拡大するか?

事実、日本でも17人(12月13日現在)の感染者が見つかり、対岸の火事とは到底思えない。寺嶋教授が続ける。

「水際対策をどれだけ厳しくしても、流入を完全に止めるのは難しく、感染が拡大する可能性はあると思います。その際、オミクロン株自体の感染力のほか、ワクチンの効果、感染対策の状況などが関係し、特に波の高さに関しては、感染者が増えてきたとき、行政が早めに対策を講じられるかに関わると思います」

ただし、今後はこれまでとは状況が異なるという。

「今後は内服薬など、新たな要素も加わる。わが国で承認申請中の米メルク社のモルヌピラビルは、入院予防効果が30%、それに続くファイザー製は、80~90%といいます。仮にそれらのおかげで、入院を50%減らせるようになったとすると、感染者数に対して入院者数は、これまでの半分になります。そうなれば、感染者を減らすための行動制限も、いままでほどは必要でなくなります」

 

岸田文雄内閣総理大臣(他の写真を見る

揃いつつある病床数

Q.仮に感染が予想を超えて爆発した場合、医療逼迫は避けられるのか?

第5波の最大の不幸は自宅療養中の急死だった。岸田文雄総理は、二度とそういう事態を招かないために、病床の3割増を打ち出したが、実現できているのか。

東京都政策企画局の最新の資料によれば、第5波にくらべ、病床数は240増やして6891床に、宿泊療養施設も16施設、約3200室から、31施設、約7900室にまで拡大されている。このデータを見て寺嶋教授が評価する。

「次の波に対し、東京都はしっかり準備していると思います。“保健所や発熱相談センターを介さない診療・検査態勢の拡充”も打ち出され、私はこれが一番重要だと思います。いままでのように保健所がパンクしてしまっては、早く内服薬を処方できれば重症化を防げるケースでも、間に合わず、結果的に医療が逼迫してしまう。都はいろいろと対策を練っているようですが、あとはどれだけスムーズに働くかが重要です」

では、大阪はどうか。第5波が猛威をふるっていた9月1日に確保されていた病床数は、重症病床589床、軽症中等症病床2665床、宿泊療養施設の部屋は6131室だった。12月5日現在、それぞれが606床、3031床、8514室に拡大され、大阪府健康医療部保健医療室保健医療企画課計画推進グループによれば、

「重症病床610床、軽症中等症病床3100床、宿泊療養施設1万室を目標に据えています」

少なくとも病床数は、揃いつつあるようだ。

 

既存のワクチンは効く?

Q.そもそも既存のワクチンは効くのか?

病床が整備されてもワクチンが効かなければ、不安は募る。まず懸念材料から。前出の水谷教授が言う。

「ワクチンを打つと、体のなかに中和抗体が作られます。これはウイルスに結合し、ウイルスが細胞に感染するのを邪魔する、つまり中和する抗体です。ところが、オミクロン株のスパイクたんぱく質には、30カ所の変異がある。スパイクたんぱく質は、いくつものアミノ酸が連なって構成され、そのアミノ酸のうち、30カ所以上が変異しているわけです。それはすなわち、中和抗体から逃れる変異なので、ワクチンの効果が多少なりとも低下することが懸念されるのです」

だが、話はこう続く。

「しかし、中和抗体はスパイクたんぱく質にある複数のアミノ酸を認識して結合しているため、いくつかのアミノ酸が変異しても、ほかの部分でウイルスを認識し、感染を抑えます。ではファイザーとモデルナのワクチンは、オミクロンにどの程度効くか。デルタ株に対し、感染予防効果が70%まで下がったと考えるなら、いまのところ、70%以下と見ておいたほうがいいかもしれません」

ただし、「警戒の意味も含めて」と加えるのだ。

また、埼玉医科大学の松井政則准教授は、ワクチンに関して「もうひとつ重要なこと」を、こう話す。

「ワクチンで作られる免疫では、T細胞も誘導される点です。免疫はT細胞とB細胞が誘導されることで作られます。抗体を作るB細胞が注目されますが、ここでは抗体にくらべて変異に強いT細胞も重要です。こんなデータがあります。新型コロナに感染して無症状や軽症だった人と、重症化した人とで血液をくらべると、抗体は両者とも十分誘導されていた。一方、T細胞は、前者では多く活性化していたのが、後者ではその数が極めて少なかった。つまり、重症化予防にはT細胞が重要ですが、ファイザーやモデルナのワクチンは、T細胞を誘導するので、オミクロンに対しても、重症化予防はしっかり保たれるのではないでしょうか」

危険なのは3回目の接種をしないこと

Q.3回目のワクチン接種も、やはり必須か?

松井准教授が続ける。

「二つの理由から必要だと考えます。一つは、まだデルタ株が主流で、その感染を防ぐ必要がある。もう一つは、仮にオミクロン株に対してワクチンの有効性が下がったとすれば、なおさらブースター接種で、抗体量をぐんと上げておく必要があります。一番危険なのは、“このワクチンはオミクロン株には効かない”と決めつけ、3回目の接種をしないことです」

寺嶋教授が補う。

「デルタ株に対するものですが、イスラエルの実社会での研究結果では、3回目を打った人は、2回だけの人にくらべ、感染予防効果が11倍、重症化予防効果が20倍弱になったと示されています。オミクロンに対しても、同じだけ効果を発揮するかわかりませんが、抗体価を十分に上げておいてこそ、感染予防につながると思います」

Q.間もなく特例承認される飲み薬は、オミクロン株にも効きそうか?

松井准教授によれば、

「メルク社のモルヌピラビル、ファイザーのパクスロビド、塩野義製薬のものなどは、ウイルスが細胞に侵入してから、増殖するのを防ぐ薬。オミクロン株で見られるスパイクたんぱく質の変異は、細胞に侵入する段階に関係する変異なので、内服薬の効果に大きな影響が出るとは考えにくい」

とのこと。すると、先ほど寺嶋教授は、内服薬の重症化予防効果に触れていたが、それがそのまま期待できるということだろうか。

「ただし、モルヌピラビルは、重症化予防効果は30%程度。日本でも年内に承認されるでしょうが、ワクチンにくらべると効果は弱いので、頼りすぎは危険です。ファイザーのパクスロビドは重症化を89%防いだ、とのデータがありますが、日本で使えるのは少し先になりそう。しばらくは、一番頼りになるのはワクチンだと思います」(寺嶋教授)

インフルエンザに近いものに

ところで、大山鳴動している割には南アでも欧米でも、12月6日現在、オミクロン株の感染者に、死者も重症者もいないという。

アメリカの金融持ち株会社JPモルガン・チェースは、オミクロン株は感染力が高くても致死性は低そうで、「重症度が低く感染力の強い株が重症度の高い株を急速に駆逐するという、過去のパターンに適合し、新型コロナを季節性インフルエンザに近いものに変容させる可能性がある」との見解を示した。100年前に猛威をふるったスペイン風邪も、こうして終息したようだが、すると、

Q.ウイルスが弱毒化した可能性もあるのか?

「現状、重症者や死者が出ていないからといって、重症化率が下がったとはいえません。ただ、もし重症化率がすごく高まっているなら、これだけ感染者が出ている以上、報告があってもいいはず。そうしたことを考えると、弱毒化している可能性も高いと思うし、そうであればいいとは思います。今後も重症者や死者が増えなければ、風邪に近いウイルスになったといえなくもないでしょう」

これは松井准教授の見解である。矢野医師も、

「感染者の年齢が若く、高齢者や基礎疾患がある人に広がっていません。それにワクチン接種者も感染しているから、わからないところがありますが」

と断ったうえで、言う。

「もしかしたらオミクロン株は“救世主”になってくれるのではないか、という期待をもっています。感染力は高くて致死性は低いのが、生き残れる賢いウイルス。日本には風邪として生き残っているコロナウイルスが4種類ありますが、感染しても鼻水など軽い症状のみ。それらも大昔は死に至る病だったのが、ある程度無害化して定着したと考えられます。オミクロン株もそうなったらいいと思う。デルタ株などを駆逐して、人間が重症化しなくなれば、うれしいことです」

「入院がいらない」との証言も

では、先に引用したJPモルガンの見解にも、妥当性があるということか。

「妥当性はあります。もしオミクロン株が重症化させないウイルスであったならば、このコロナパンデミックを、インフルエンザに近いものに変容させる可能性があります」

たしかに、「デルタ株では肺の奥からせきが出るため、多くの酸素が必要だったが、オミクロン株の感染者のせきは、のどにとどまるので、入院が要らない」との、南アの医師の証言もある。これを受け、矢野医師は、

「新型コロナ感染者の重症化には、感染者の免疫細胞がウイルスと戦うために作るサイトカインが、制御不能となって放出され続けるサイトカイン・ストームが関わっていますが、オミクロン株は変異によって、そのような性格をなくしたのかもしれません」

と話す。もっとも、矢野医師も「そうなればうれしい」と加えるし、オミクロン株が予断を許さないのは言うまでもない。だが、最悪の事態を念頭に置く必要がある一方で、恐れすぎて混乱を招かないためにも、終息を見通す目もまた、必要ではないだろうか。