里山の山野草

里山と山野草の復活日記。

“県民の森”の花木達

2008年11月15日 | 野外講座

森には鳥達の食べ残した実が僅かに残っていたので、カマツカ・ヤドリギの実を横
取りして食べてみたが結構甘みがあった。

落葉樹はかなり落葉し、来春に備えてシッカリ葉芽や花芽をつけている。
これから厳しい冬を迎えるわけで、この蕾が開く来年の春まで野外講座は少し寂し
くなってしまう。 暫く花達とお別れだ!
公園センター


秋を彩るカエデ達

2008年11月14日 | 野外講座

今回のテーマは、“広島県民の森”のカエデ類だったのだが、残念ながら少し紅葉
の時期は過ぎたようで、お天気ほど綺麗な紅葉は見られなかった!
(公園センター、駐車場の風景)

気を取り直して先ず小手始めに、食堂前のオオモミジの葉を観察だ。

ウオーミングアップが済んだところで、いよいよ出雲峠を目指して出発。

緩やかな登りを、落ち葉を捜しながら出雲峠に到着。 背後の毛無山を眺めながら
ノンビリ昼食を楽しむ。 まるで小学校の遠足だ!

昼食のあと早速カエデ類の葉を観察したが、今回は次の7種が確認できた。
世界では150種ほどのカエデがあるといわれ、日本ではその内の26種があり
中国についで2番目に多い国なのだそうだ。

イロハモミジイロハモミジ

葉身は4~7㎝
5~9裂し、粗い重鋸歯

紅葉
コミネカエデコミネカエデ


普通は5裂し、中央の3裂は尾状に長く伸びる
細脈は窪まず、葉柄に溝が無い
紅葉
オオモミジオオモミジ

イロハモミジより葉が大きい
細かい短鋸歯で大きさが揃っている

黄色~赤色
コハウチワカエデコハウチワカエデ

葉身は5~8cm
5~11裂
葉柄は葉身とほぼ同長で、毛がある
紅葉
ハウチワカエデハウチハカエデ



葉柄は短く、若い時には毛がある
紅葉
イタヤカエデイタヤカエデ


5~7中裂又は浅裂し、鋸歯はない

黄葉
ウリハダカエデウリハダカエデ

葉身は10~15㎝
浅く3~5裂
細脈は窪まず、葉柄には溝がある
黄葉・紅葉



道後山の植物

2008年10月16日 | 野外講座
今回の山野草講座は道後山。

山では花も終わりの時期だが、その代わりにナナカマドやウリハダカエデなどの紅
葉も始まっており綺麗だった。
お天気も良く久しぶりに大山も見る事も出来、のんびりとハイキングを楽しんだ!

(山頂からの眺望)
<山頂間近
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植物達は、今は殆ど実が熟す時期でイチイの実などは食べると甘い。
花盛りのリンドウやそのほかの名残りの花、随分遅れて花をつけたアカモノまで
様々に楽しませてくれる。 感謝、感謝だ! 

(道後山の植物)
<リンドウ
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朝日自然教室「宮島」(2)

2008年09月29日 | 野外講座

昔、神様が自分のあちこちの体毛で色々な樹木をつくり、杉や楠からは船を、桧か
らは家をつくれと人間に教えたのだそうだ。
又、お尻の毛から高野槙をつくりこれからは棺おけをつくれと教えたのだそうだが、
死人を神様の尻の毛で葬れとは…!?
しかし、神様の真意は全く分からないものの、高野槙からつくられた棺おけは最高
なのだそうだ。

余談はさて置き、宮島には楠が多く自生しているが、
水に強い性質を持っている事から、神様の教えを応用して平安時代から水中に立つ
大鳥居に用いられていて、今はその鳥居を建て直す為に1000年委員会を作って楠の
木を保護しているのだそうだ。

しかし、何しろこの大きさ、島の楠の木は度々の台風で相当数が倒れてしまい、果
たして1000年後に鳥居用の楠の木が確保できるのかどうか危ぶまれているという。

(海側から見た大鳥居→社殿)
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このような努力をしている人達がいる反面、宮島では今年山頂に至る登山道の樹木
や岩などに多くの赤い印がつけられる騒動があった。
ただ単に世界遺産であるだけではなく、神様のつくった木にこのようなに落書きをす
るとは許し難い連中だ!



朝日自然教室「宮島」(1)

2008年09月28日 | 野外講座
昨日、朝日新聞と森林文化協会の共催で、「厳島神社弥山原始林山麓を歩く」とい
う催しがあったので、一昨年の3月に続き2回目の参加をした。


講師は、宮島にある「広島大学宮島自然植物実験所」の先生で、概要の説明の後で
早速探索を開始した。 すると、いきなり「宮島では珍しい植物」を紹介された。

(講師の説明を聞く参加者→宮島では珍しい植物)
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珍しい理由は鹿の食害で無くなるからなのだそうだ。 何しろ鹿が立ち上がった高
さまでは、どこまで行っても全く植物が見当たらない!

(鹿→食害跡)
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僅かに食害から逃れたのは、ハスノハカズラ・トラノオジソ・ダンドボロギクくら
いなもので、これらは余程嫌いらしい!



大鬼谷の植物(2)

2008年09月19日 | 野外講座

特に珍しい植物は無かったが、オオハンゴンソウが蔓延っているのが気にかかった!

オオハンゴンソウは北米原産の繁殖力旺盛な帰化植物で、在来植物の生態に大きな
影響を与える恐れがある事から、他の植物11種と共に特定外来生物に指定されている。

特定外来生物に指定された植物は、野外へ播いたり植えたりする事が禁止されてい
て、個人の場合懲役3年以下もしくは300万円以下の罰金に処される事になって
いるのだが、大鬼谷では既に随分と蔓延っていて先行きが非常に心配だ!

大鬼谷オートキャンプ場


大鬼谷の植物(1)

2008年09月18日 | 野外講座
2ヶ月ぶりの野外講座で、庄原市高野町大鬼谷オートキャンプ場周辺を訪ねた。

今回のテーマはつる性のマメ類で、この時期に咲いて実をつける10種類に注目し
て探索したが、ありふれたクズを除いて4種類を見つける事が出来た。

調べて見ると、改良されて野菜になったものや、自身で食用になるものもあり、古
くから興味を持たれていた事が窺われ興味深い!
・ホドイモは、地下茎の所々に小塊根をつけ食用になるが余り美味しくない。
・ヤブツルアズキを改良してアズキをつくった。
・ヤブマメは、地下の閉鎖花に種子を1個つけ食用になる。
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ノササゲ(別名:キツネササゲ)→実ノササゲ(小葉は3枚)
ホドイモ?ホドイモ(小葉は3又は5枚)
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ヤブツルアズキ→花ヤブツルアズキ(小葉は3枚)
ヤブマメヤブマメ(小葉は3枚)

(見つけられなかった種類)
ハナナタマメ(海岸)、ツルマメ、ノアズキ(別名:ヒメクズ)、タンキリマメ、
トキリマメ


天狗高原の花達(2)

2008年08月02日 | 野外講座

宿泊した国民宿舎“天狗荘”の内外には、面白い事に県境の線が引かれていた!
税金は高知県へ納めているそうだが、言われてみると確かに高知県側の方が広そう
だった。
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流石に標高1355mの場所に建っているだけに、翌朝の気温は18℃で涼しい。
起き抜けに直ぐ近くの“カルスト学習館”へ行ってみると、天狗高原に咲く花達の
パネル(→)が掲げられており、周囲には多くの花が咲いていた。
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シギンカラマツ(→)シモツケソウ
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ヒメユリ(→)ユウスゲ

朝食を済ませ、今度は“天狗荘”東側の、天狗の森(標高:1485m)→ヒメユリ平
→ヒメユリコースの探索だ!

“天狗の森”は、田中澄江さんの「花の百名山」に選ばれているし、探索コースに
はヒメユリ平、ヒメユリコースと書かれているので皆張り切って出発した!

ところがだッ! コースの殆どは広葉樹林で、肝心なヒメユリは無い! 
その代わりに蚋の大群に襲われて、それを撃退するのに大童で余計に大汗を掻かさ
れてしまった! 養蜂家が被るネットを持って来るのを忘れ大失敗だった。

そんな訳でようやく数種類の花をゲットしたが、いやはや散々な目に遭わされた!
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ツクシクサボタン(→)ミカエリソウ(蕾)
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ホソバシュロソウツチアケビ(→)
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チョウセンナニワズ(→)ギンバイソウ(→)

這う這うの体でようやく帰り着いた! バイクの若者達(→)もたくさん来ていて
大賑わいだ! 
正面に見える丘は昨日登った場所で、そこからは北に石鎚山、南方には足摺岬や室
戸岬までみえるそうだが、その麓から石鎚山を眺めるのがやっとだった。
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帰りは正面の“来島海峡大橋”を渡り、しまなみ海道を一目散に帰るだけだ。
息子が松山で中高を過ごした頃には、未だこの橋は影も形も無かった。 
時の経つのは早い!


天狗高原の花達(1)

2008年08月01日 | 野外講座


午後4時前、天狗高原の山頂近くにある“高原ふれあいの家、天狗荘”に到着した
が、生憎のにわか雨と霧で周囲は何も見えない!

ところが我がロートル軍団、雨が小降りになるや否や全員集合し、天狗荘西側の見
晴台周辺まで探索する事になった。 後期高齢者と言えども元気なものだ!

早速、ヒメユリ(→アップ)に遭遇。 一同「可愛いー!」の大合唱だ。
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しかし、もう一つのお目当てのキレンゲショウマは、群落はあるものの残念ながら
未だ蕾(→)で、その代わりにフクリンササユリ(→葉)が1輪だけ残っていた。
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その他にもたくさんの花達が咲いていたが、楽しみは翌日に残し早々に退散した。
イケマウバユリ
カキランノリウツギ
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ハンカイソウ(→)ヤマホトトギス
ホタルブクロホタルブクロ



牧野植物園

2008年07月31日 | 野外講座
今年の夏季特別講座は、高知県の牧野植物園と天狗高原だった。
何でも、天狗高原ではヒメユリとキレンゲショウマが自生しているという。
自生しているキレンゲショウマは見た事がないので、それを見たさに先週の土日に
心弾ませながら参加した!

ところがだッ!
例によってついて来た家内のお喋りでスッカリ恥を掻かされた上に、天狗高原では
蚋の集中攻撃に遭い、目はお岩さん、耳は柔道家、腕はポパイのようになってしま
って、痒いのなんの何もする気が無くなってしまった! 今日になってようやく痒み
が取れた。 ヤレヤレだ!

さて、先ず最初に訪ねたのは“牧野植物園”。
 
何しろ18haもある広大な敷地を、「昼食も含めて2時間で見ろ!」と言う。
土台無理な話だが、正門→①土佐の植物生態園→②博士ゆかりの植物→南門へと見
学した。


そこで、何といっても先ず目についたのがカノコユリ。 
園内の至る所で咲き、強い芳香を放っている。 花弁が後ろに反り返るので少し品
が悪いが、花の色と芳香は初めて見ただけに強烈だった!
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カノコユリの花(→拡大)カノコユリの葉

次は、展示館周辺に植えてある、博士ゆかりの植物達だ。
中でもスエコザサは、見た目にはどこにでもありそうな笹だが、奥さん(寿衛子)
が亡くなった年に仙台市で発見した品種で、亡き妻に感謝して献名したのだそうだ。
墓碑には、
「家守りし妻の恵みや 我が学び 世の中のあらん限りや すゑ子笹」
と書かれていた。
夫の研究をそっと支え、家を守った妻に感謝する気持ちが溢れている!

声を出して読んでいたら、隣に居た家内がいつの間にか居なくなってしまった。
どうやら、寿衛子さんの足元にも及ばない事を恥じたらしい!
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スエコザサ(→墓碑)ビロードムラサキ
ヒロハコンロンカヨコグラノキ

それにしても高知の人は幸せだ!
偉大な先人のお陰で立派な植物園が出来、ここへ来さえすれば大抵の植物の名前が
分かるのだから、図鑑と首っ引きで思案しなくても済む。

牧野植物園
高知県が生んだ世界的植物学者である牧野富太郎博士(1862~1957年)の業績を
讃えて1958年(昭和33年)に高知市五台山に開園。
園内には、高知県の植物を中心に約3000種の植物が四季を彩っている。

1999年(平成11年)には、面積を18haに拡大し、“牧野富太郎記念館”を新設。
2008年(平成20年)には、南園に“50周年記念園”が設けられ、伝統的な東洋
園芸植物が楽しめる。

カノコユリ(ユリ科、ユリ属)
四国と九州で海岸や渓谷の崖に自生する多年草。 
崖から垂れ下がって咲き花弁が球形に反り返るものを“タキユリ”、茎が直立して
花弁がタキユリほど反り返らないものを“カノコユリ”と分けて扱ったり、併せて
“カノコユリ”と扱われたりする。

草丈は1~1.5m。 葉は互生し、楕円形で先が尖っている。
花期は7~8月で、2~3個の芳香のある花をつける。 花は下向きに咲き、花被
片は反り返る。 花被片の基部には突起がある。 花の色は白色・桃色・紅色など
で、鮮紅色の斑点がある。 鱗茎は食用になる。

シーボルトがヨーロッパに持ち帰って紹介したところ大人気を博し、欧米などで品
種改良に使われ、オリエンタル・ハイブリッドと呼ばれる多くの品種が作られた。

(名前の由来)
花弁に鹿の子絞りに似た斑点や突起がある事から“鹿の子百合”と名づけられた。
“タキユリ”については生育する場所が崖で、滝とも呼ばれる事から“滝百合”と名
づけられた。