今年の夏季特別講座は、高知県の牧野植物園と天狗高原だった。
何でも、天狗高原ではヒメユリとキレンゲショウマが自生しているという。
自生しているキレンゲショウマは見た事がないので、それを見たさに先週の土日に
心弾ませながら参加した!
ところがだッ!
例によってついて来た家内のお喋りでスッカリ恥を掻かされた上に、天狗高原では
蚋の集中攻撃に遭い、目はお岩さん、耳は柔道家、腕はポパイのようになってしま
って、痒いのなんの何もする気が無くなってしまった! 今日になってようやく痒み
が取れた。 ヤレヤレだ!
さて、先ず最初に訪ねたのは“牧野植物園”。
何しろ18haもある広大な敷地を、「昼食も含めて2時間で見ろ!」と言う。
土台無理な話だが、正門→①土佐の植物生態園→②博士ゆかりの植物→南門へと見
学した。
そこで、何といっても先ず目についたのがカノコユリ。
園内の至る所で咲き、強い芳香を放っている。 花弁が後ろに反り返るので少し品
が悪いが、花の色と芳香は初めて見ただけに強烈だった!
次は、展示館周辺に植えてある、博士ゆかりの植物達だ。
中でもスエコザサは、見た目にはどこにでもありそうな笹だが、奥さん(寿衛子)
が亡くなった年に仙台市で発見した品種で、亡き妻に感謝して献名したのだそうだ。
墓碑には、
「家守りし妻の恵みや 我が学び 世の中のあらん限りや すゑ子笹」
と書かれていた。
夫の研究をそっと支え、家を守った妻に感謝する気持ちが溢れている!
声を出して読んでいたら、隣に居た家内がいつの間にか居なくなってしまった。
どうやら、寿衛子さんの足元にも及ばない事を恥じたらしい!
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スエコザサ(→墓碑) | ビロードムラサキ |
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ヒロハコンロンカ | ヨコグラノキ |
それにしても高知の人は幸せだ!
偉大な先人のお陰で立派な植物園が出来、ここへ来さえすれば大抵の植物の名前が
分かるのだから、図鑑と首っ引きで思案しなくても済む。
牧野植物園
高知県が生んだ世界的植物学者である牧野富太郎博士(1862~1957年)の業績を
讃えて1958年(昭和33年)に高知市五台山に開園。
園内には、高知県の植物を中心に約3000種の植物が四季を彩っている。
1999年(平成11年)には、面積を18haに拡大し、“牧野富太郎記念館”を新設。
2008年(平成20年)には、南園に“50周年記念園”が設けられ、伝統的な東洋
園芸植物が楽しめる。
カノコユリ(ユリ科、ユリ属)
四国と九州で海岸や渓谷の崖に自生する多年草。
崖から垂れ下がって咲き花弁が球形に反り返るものを“
タキユリ”、茎が直立して
花弁がタキユリほど反り返らないものを“
カノコユリ”と分けて扱ったり、併せて
“カノコユリ”と扱われたりする。
草丈は1~1.5m。 葉は互生し、楕円形で先が尖っている。
花期は7~8月で、2~3個の芳香のある花をつける。 花は下向きに咲き、花被
片は反り返る。 花被片の基部には突起がある。 花の色は白色・桃色・紅色など
で、鮮紅色の斑点がある。 鱗茎は食用になる。
シーボルトがヨーロッパに持ち帰って紹介したところ大人気を博し、欧米などで品
種改良に使われ、オリエンタル・ハイブリッドと呼ばれる多くの品種が作られた。
(名前の由来)
花弁に鹿の子絞りに似た斑点や突起がある事から“鹿の子百合”と名づけられた。
“タキユリ”については生育する場所が崖で、滝とも呼ばれる事から“滝百合”と名
づけられた。