老人党リアルグループ「護憲+」ブログ

現憲法の基本理念(国民主権、平和、人権)の視点で「世直し」を志す「護憲+」メンバーのメッセージ

中国への死刑執行猶予要請について

2010-04-05 16:14:01 | 民主主義・人権
中国国内で日本人が麻薬密売の犯罪で裁判にかけられ、死刑が確定し、間もなく死刑が執行されると報じられ、これに対し菅副総理や岡田外務大臣が中国側政府高官に婉曲に死刑執行の猶予を要請したと報じられている。

婉曲にと言う意味は中国への内政干渉にならないようにと言うことである。しかしそれ以前に、日本も死刑制度を維持している限り、日本では麻薬の密売では死刑にはならないとの量刑の違いを訴えるようなもので、国が違えば制度が違うのは当然であり、説得力に欠けるように思う。

仮に日本が「死刑廃止国」であれば、例え内政干渉と言われようが、堂々と死刑回避を要請できるはずである。その根底には例え犯罪者であろうとも、人命は尊重するという普遍的な価値観と同時に、死刑は報復的で、見せしめ的なものであり、死刑で犯罪の再発は防止できないとの見方と、更には犯罪の発生原因は個人的責任もさることながら、一方ではどの国の社会にも犯罪発生原因があるとの見方があるからである。

例えば麻薬の密売はケシを栽培しなくては生計が立てられない世界の貧困地域を無くさなければ根絶できない。これは世界的な社会問題であるにもかかわらず、国際的に放置されているのが現状であり、この状態が続けば、密売に手を染める者だけを死刑にしてみてもモグラ叩きと同じことであろう。

一方死刑制度を維持している国の考え方は、犯罪発生原因を一元的に個人の問題として捉え、犯罪を犯すのはあくまで個人が悪く、個人の責任に帰せしめる考え方である。最近日本でも非正規社員にされるのは社会制度の問題ではなく「個人責任」と言う風潮が蔓延した様に、犯罪者には特にそのような偏見や見方が過去から根強い。

今は中国も大同小異の考え方でないかと思われる。かつて日中戦争の日本人戦犯を死刑から救った周恩来と言う実力ある親日政治家が居て日中国交も成立したが、今回も超法規的にそのような温情のある政治的美談に期待するより方法はないであろう。

「護憲+BBS」「新政権ウォッチング」より
厚顔の美少年
コメント
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