罪深い体質の国と組織

原発の後始末代がこの１０年で１３兆円に及んだという報道が少し前にあった。年間に直すと1.3兆円。ということは市民一人当たり年1万円、月に840円になる計算。資金の出所は最終的には市民の負担になるだろう。

翻って典型的な老人は、概ね月の年金5－6万円、夫婦2人でも10万円程で生活していると言われている。840円の後始末代は、多くの年金生活者にとってほぼ1％に相当する額である。その840円が２－３日の食事代に相当する生活を送っていることと思われる。

原発後始末に10年が過ぎたが、まだまだ３0年４0年いやそれ以上かかるだろう。終の生活を送る老人世帯に余りに酷な負担を今までかけ続け、これからは更に大きくなる負担を強いていくことも目に見えている。

この背景の原因の一つに、電力業界に昔から言われている積上型総括原価方式が指摘出来よう。新たな施策を行うごとに、従来の構造に手を付けず単にその経費をのせて、新たな電気代とする方式である。

翻って庶民は何か新たに追加する場合、今までの中で不用不急のものを何とか見つけて帳尻を合わせる知恵を働かせて生活しているものである。

国は、電力会社は、ほとほと罪深い存在だと思う。少なくともそう自覚して知恵を働かさないといけないと思いを致す体質の国・組織になってほしいものである。酷暑に関わらずエアコンを節約してしまう老人を増やさないためにも、本気で積上型総括原価方式の理不尽さを皆で追及したいものだ。次の悲惨な事故を起こす前に、市民の声で原発に退場してもらう運動は当然のことだ。

何も原発後始末代だけが問題ではない。例を出せばきりがないが、一、二挙げれば、NHKは年8千億円程も徴収している。月々世帯当たり2000円強の受信料と聞く。原発後始末代を大きく超える負担をかけ続けていることになる。不公正な報道姿勢の点は今回目をつぶるとして、せいぜい町会費並みの月150円程度がお付き合いの妥当な額と思うところだ。それで回せる体質になる努力をする姿勢をＮＨＫが見せれば、全世帯が気分良く支払うのではと思う。

たしか最小限の金で計画実施するとしてスタートした筈のオリンピックが、気づけば3兆円強になってしまった、了解しろと逆に脅かされる始末だ。小賢しい人間がやる小さく産んで大きく育てるという悪い典型例をまた市民にぶつけてきたという感じだ。1、2年限定の発生費用とはいうものの、やはり気にかかるし、ほとほと罪深い事をする国であり組織であると思う。

この展開からすると、コロナでの支出分も合わせてそのうち消費税ＵＰという手痛い仕打ちを仕掛けてくるでしょう。市民はそれでも声を上げないのでしょうか？声を拾っていく智恵と努力も必要と考えております。

「護憲＋BBS」「メンバーの今日の、今週の、今月のひとこと」より
yo-chan