『イーロン・マスク氏は、「新封建主義」時代突入を象徴する存在』という記事が年末にあった。この記事の内容を反面教師として、相も変わらぬ・こんな社会を夢見たいものだ、という話をしてみたい。
先ずは記事(原題:Musk’s rise is symptomatic of our neo-feudal capitalist times
Al Jazeera, 12月 26日,イーラン・カプール氏記す)を掻い摘んで紹介する。
世界は、ロシアと中国が金権政治体質の権威主義資本主義国だと、見なしてきた。
例えばプーチン氏の周りにはユーリ・コワルチューク、ゲンナジー・ティムチェンコ、ローテンベルグ兄弟などが、中国共産党の周りにはゾン・シャンシャンやマー・フアテング等、中国で有名な1000人の億万長者らがいるとされる。彼らが全体として強力な寡頭政治を支配していると、話題にされる。
そして現在、自由と民主を標榜する諸国で、金権体質の様相が強まっている、という。トランプ次期大統領が典型例で、彼の周りには「億万長者男子クラブ」なるものがあり、そこにはイーロン・マスク、ハワード・ラトニック、ヴィヴェック・ラマスワミなどが名を連ねている。
同様なことが、インドのモジ政権にもあり、モジ氏はムケシュ・アンバニ、ゴ-ダム・アダニ、サジヤン・ジンダルといった一握りの大物実業家と親密になり「企業に優しい」政策を推進し、経済をさらに新自由主義化することを目指しているという。
そして「億万長者の支配」が優先される方向への転換を目指す自由と民主の国として、ブラジル・韓国・台湾やトルコも挙げられている。
アメリカでは、そのマスク氏が「政府無駄遣い約二兆ドル」削減と、「過剰な州規制」削減を目指す新設予定の「政府効率化局〈Department of Government Efficiency〉」の長に任命される見込みとされる。
億万長者が、経済を牛耳り、政治をも支配する先例のない世界金権化の流れを前に、学者のジョジ・ディーン氏は、世界が「新自由主義・市場至上主義」から、「新封建主義(Neo-feudalism)」へと構造変化を起こしており、「一握りの億万ドル長者」と「十億人の不安定な労働者」が共存する時代へと転換していると表現している。
先例のない格差拡大が現在世界で起こっていることは、例えば1980年代以降、ほぼ全ての主導的先進工業諸国や主要な新興市場の各地域で起こった格差拡大の結果、総計すると世界のほぼ3分の2の人が先例のない格差拡大の影響を受けている事実から明白である。
アメリカ・中国・インド・ブラジルとロシアが格差拡大の影響の顕著な国であり、これらの諸国では金権政治による支配が遂行されている。
新封建主義時代の象徴が、多分現在進行中の「プラットフォーム経済」の下で起こっている事柄だろう。アップル・グーグル・メタ・ウ―バー・エアビーエヌビーといったごく少数の技術指向型企業が、そのプラットフォームのもと台頭し、低コスト・過酷で不安定な労働条件・税の優遇や投資への誘導といった手段を駆使して、超富裕化していき、ビジネス界の大立者となり、政権中枢への関与を高めている。
トランプやマスク、アダニやベルルスコーニといった人は、自分たちを「市民側の人間」と見せかけているが、彼らの取る政策は、企業への減税・企業にとっては魅力的なインセンティブの付与・海外との競争に打ち勝つ国内産業の保護・企業に邪魔な政府規制や投資規制の削減といったものであり、「新封建主義下での経済と政治」の実態なのである。
世界は新封建主義時代に向かい、億万長者らの金権政治が台頭し、そして自由で民主を標榜する国々では、ますます権威主義的な政府の形態が進行している。
現今の「ギグ経済」や「プラットフォーム経済」の遂行上、「新封建主義型」の政権執行者が求められている。
さて、こんな社会を夢見たいものだ、との考えからすると、世界では全くもって望ましくない状況が、上に見たとおり既に蔓延し、市民は窒息状況にあると思う。そしてこの状況は我が国にも間違いなくある。
これは政権を司るエリート層の行うトップダウン様式の政治を放置しっぱなしにしていることに加えて、そこにマルチステークホルダー主義のもと巨大企業が入りこむことを許したことから、現状の政策実態が、企業の利益の優先と政権エリート層の金権体質との間に相互にウィン-ウィンになる仕組みが出来上がり、その具合の悪さや矛盾を市民層が正していく力や行動が極端に弱かったことが、根本原因だと感じている。
即ち、トップダウン型政治・行政は社会に蔓延しているのに対して、市民が参加するボトムアップ型解決策の思想は欠乏状態だということが根本原因です。
そこで、夢の話ですが、夢の実現の目標となるキーワードを掲げます。
キーワードは「もったいない」。
この「もったいない」を市民が参加するボトムアップ運動に持ち込みたいと考えます。
簡単に説明すると、
例えば、日本の森に眠る木々。木々は充分育っているが、不充分にしか利用されていない。全くもって「もったいない」。何故に都市部に林立する超高層ビル群の、例えば2階または3階以上は木造を優先するといった政策を組み込んで利用の拡大を図ろうとしないのか?
例えば、児童。上に紹介した「新自由主義」における格差の拡大どころか、既に進む「新封建主義」社会では、格差に苦しむ家庭で勉学に励むどころでない児童が多くいることだろう。全ての児童は、それぞれに当然ながら無限の能力の可能性を秘めている。勉学に支障を抱えている多く子供らを放置していることは、全くもって「もったいない」。
例えば、我が国の農地。休耕田畑や放置田畑が全くもって多い、そして放置されている。
これまた、全くもって「もったいない」。
例えば、不安定な非正規で働いている人々。林業や農業の分野で、働く場は多く作ることが出来るだろうし、それにより職の安定化が図れるだろう。そして都市部に集中しがちな、都市部と田園部のバランスの回復の一つの方策ともなろう。不安定であり非正規の人々の放置は「もったいない」。
例えば、田園部向けの技術革新への誘導。田園部の魅力を拡大することを目指す技術革新というものは余り聞かない。現在の技術革新を目指す技術者科学者らの見つめる先に農村部等は少ないのではないか。この原因は、都市部住民向けの技術革新が企業の利益にかなう分野であり、田園部には資金という資源が大きく欠けていることが原因であろう。
この原資は都市部からの資金供与になれば良いな、と夢見る。森林税の様なものである。都市部を目指す企業の事業計画に、この分を上乗せする社会が許容されないものだろうか?
田園部に資金という資源がつけ加われば、それに見合った田園部向けの技術の革新もまたビジネスチャンスとなり、地場企業の活性化に結び付く可能性があるのではとの夢もある。
まだまだ多くの「もったいない」が、我が国・わが社会では見て見ぬふりをされて見過ごされていることだろう。
トップダウンの政治で窒息する社会から、「もったいなく」見捨てられている分野に目を向ける市民の参加型ボトムアップ社会運動の展開を、夢見ています。
「トップダウン」と「ボトムアップ」も均衡化させることが大切であり、その為の努力が市民に求められていると思っています。
なお、話題のテスラやXのマスク氏は、ドイツの年末の事件(サウジアラビア人医師が運転する車がクリスマスで賑わう群衆に突っ込んでいったというマグデブルク市で起きた事故)を背景にして、ドイツの命運はAfDの消長に掛かっている、とブログに書き、来るドイツの選挙(2月に総選挙の予定)に不当な干渉をしているとの非難を受けております。
但し、マスク氏という超億万長者の言動とそれを選挙妨害とする新聞等の言動のどちらが、ドイツ社会に実際に響いていくのか、は世の中の流れを作っていく「物語」の力という観点からこれはこれで興味深いものと思って見つめていきたいと考えております。
「護憲+BBS」「新聞記事などの紹介」より
yo-chan
先ずは記事(原題:Musk’s rise is symptomatic of our neo-feudal capitalist times
Al Jazeera, 12月 26日,イーラン・カプール氏記す)を掻い摘んで紹介する。
世界は、ロシアと中国が金権政治体質の権威主義資本主義国だと、見なしてきた。
例えばプーチン氏の周りにはユーリ・コワルチューク、ゲンナジー・ティムチェンコ、ローテンベルグ兄弟などが、中国共産党の周りにはゾン・シャンシャンやマー・フアテング等、中国で有名な1000人の億万長者らがいるとされる。彼らが全体として強力な寡頭政治を支配していると、話題にされる。
そして現在、自由と民主を標榜する諸国で、金権体質の様相が強まっている、という。トランプ次期大統領が典型例で、彼の周りには「億万長者男子クラブ」なるものがあり、そこにはイーロン・マスク、ハワード・ラトニック、ヴィヴェック・ラマスワミなどが名を連ねている。
同様なことが、インドのモジ政権にもあり、モジ氏はムケシュ・アンバニ、ゴ-ダム・アダニ、サジヤン・ジンダルといった一握りの大物実業家と親密になり「企業に優しい」政策を推進し、経済をさらに新自由主義化することを目指しているという。
そして「億万長者の支配」が優先される方向への転換を目指す自由と民主の国として、ブラジル・韓国・台湾やトルコも挙げられている。
アメリカでは、そのマスク氏が「政府無駄遣い約二兆ドル」削減と、「過剰な州規制」削減を目指す新設予定の「政府効率化局〈Department of Government Efficiency〉」の長に任命される見込みとされる。
億万長者が、経済を牛耳り、政治をも支配する先例のない世界金権化の流れを前に、学者のジョジ・ディーン氏は、世界が「新自由主義・市場至上主義」から、「新封建主義(Neo-feudalism)」へと構造変化を起こしており、「一握りの億万ドル長者」と「十億人の不安定な労働者」が共存する時代へと転換していると表現している。
先例のない格差拡大が現在世界で起こっていることは、例えば1980年代以降、ほぼ全ての主導的先進工業諸国や主要な新興市場の各地域で起こった格差拡大の結果、総計すると世界のほぼ3分の2の人が先例のない格差拡大の影響を受けている事実から明白である。
アメリカ・中国・インド・ブラジルとロシアが格差拡大の影響の顕著な国であり、これらの諸国では金権政治による支配が遂行されている。
新封建主義時代の象徴が、多分現在進行中の「プラットフォーム経済」の下で起こっている事柄だろう。アップル・グーグル・メタ・ウ―バー・エアビーエヌビーといったごく少数の技術指向型企業が、そのプラットフォームのもと台頭し、低コスト・過酷で不安定な労働条件・税の優遇や投資への誘導といった手段を駆使して、超富裕化していき、ビジネス界の大立者となり、政権中枢への関与を高めている。
トランプやマスク、アダニやベルルスコーニといった人は、自分たちを「市民側の人間」と見せかけているが、彼らの取る政策は、企業への減税・企業にとっては魅力的なインセンティブの付与・海外との競争に打ち勝つ国内産業の保護・企業に邪魔な政府規制や投資規制の削減といったものであり、「新封建主義下での経済と政治」の実態なのである。
世界は新封建主義時代に向かい、億万長者らの金権政治が台頭し、そして自由で民主を標榜する国々では、ますます権威主義的な政府の形態が進行している。
現今の「ギグ経済」や「プラットフォーム経済」の遂行上、「新封建主義型」の政権執行者が求められている。
さて、こんな社会を夢見たいものだ、との考えからすると、世界では全くもって望ましくない状況が、上に見たとおり既に蔓延し、市民は窒息状況にあると思う。そしてこの状況は我が国にも間違いなくある。
これは政権を司るエリート層の行うトップダウン様式の政治を放置しっぱなしにしていることに加えて、そこにマルチステークホルダー主義のもと巨大企業が入りこむことを許したことから、現状の政策実態が、企業の利益の優先と政権エリート層の金権体質との間に相互にウィン-ウィンになる仕組みが出来上がり、その具合の悪さや矛盾を市民層が正していく力や行動が極端に弱かったことが、根本原因だと感じている。
即ち、トップダウン型政治・行政は社会に蔓延しているのに対して、市民が参加するボトムアップ型解決策の思想は欠乏状態だということが根本原因です。
そこで、夢の話ですが、夢の実現の目標となるキーワードを掲げます。
キーワードは「もったいない」。
この「もったいない」を市民が参加するボトムアップ運動に持ち込みたいと考えます。
簡単に説明すると、
例えば、日本の森に眠る木々。木々は充分育っているが、不充分にしか利用されていない。全くもって「もったいない」。何故に都市部に林立する超高層ビル群の、例えば2階または3階以上は木造を優先するといった政策を組み込んで利用の拡大を図ろうとしないのか?
例えば、児童。上に紹介した「新自由主義」における格差の拡大どころか、既に進む「新封建主義」社会では、格差に苦しむ家庭で勉学に励むどころでない児童が多くいることだろう。全ての児童は、それぞれに当然ながら無限の能力の可能性を秘めている。勉学に支障を抱えている多く子供らを放置していることは、全くもって「もったいない」。
例えば、我が国の農地。休耕田畑や放置田畑が全くもって多い、そして放置されている。
これまた、全くもって「もったいない」。
例えば、不安定な非正規で働いている人々。林業や農業の分野で、働く場は多く作ることが出来るだろうし、それにより職の安定化が図れるだろう。そして都市部に集中しがちな、都市部と田園部のバランスの回復の一つの方策ともなろう。不安定であり非正規の人々の放置は「もったいない」。
例えば、田園部向けの技術革新への誘導。田園部の魅力を拡大することを目指す技術革新というものは余り聞かない。現在の技術革新を目指す技術者科学者らの見つめる先に農村部等は少ないのではないか。この原因は、都市部住民向けの技術革新が企業の利益にかなう分野であり、田園部には資金という資源が大きく欠けていることが原因であろう。
この原資は都市部からの資金供与になれば良いな、と夢見る。森林税の様なものである。都市部を目指す企業の事業計画に、この分を上乗せする社会が許容されないものだろうか?
田園部に資金という資源がつけ加われば、それに見合った田園部向けの技術の革新もまたビジネスチャンスとなり、地場企業の活性化に結び付く可能性があるのではとの夢もある。
まだまだ多くの「もったいない」が、我が国・わが社会では見て見ぬふりをされて見過ごされていることだろう。
トップダウンの政治で窒息する社会から、「もったいなく」見捨てられている分野に目を向ける市民の参加型ボトムアップ社会運動の展開を、夢見ています。
「トップダウン」と「ボトムアップ」も均衡化させることが大切であり、その為の努力が市民に求められていると思っています。
なお、話題のテスラやXのマスク氏は、ドイツの年末の事件(サウジアラビア人医師が運転する車がクリスマスで賑わう群衆に突っ込んでいったというマグデブルク市で起きた事故)を背景にして、ドイツの命運はAfDの消長に掛かっている、とブログに書き、来るドイツの選挙(2月に総選挙の予定)に不当な干渉をしているとの非難を受けております。
但し、マスク氏という超億万長者の言動とそれを選挙妨害とする新聞等の言動のどちらが、ドイツ社会に実際に響いていくのか、は世の中の流れを作っていく「物語」の力という観点からこれはこれで興味深いものと思って見つめていきたいと考えております。
「護憲+BBS」「新聞記事などの紹介」より
yo-chan
