東京都美術館でマティス展が開催されているというので、上野まで出かけた。個人的には、印象派以降の絵画にはあまり興味がないので、パスしようと思っていたが、友人がとても良かったというので、出かけてみる気になった。
マティスは「強烈な色彩によって美術史に大きな影響を与えたフォービズム(野獣派)の中心的な存在として活動したのち、絵画の改革者として、84歳で亡くなるまでの生涯を、感覚に直接訴えかけるような鮮やかな色彩とかたちの探求に捧げました。」とある。確かに巨匠なのだろうが、ぐるりと一回りして1時間ぐらいで切り上げた。
その足で、日本橋高島屋で開催されている「高野光正コレクション・発見された日本の風景」を観に行った。これがとても素晴らしかった。今まで見たこともない絵がずらりと勢ぞろいしていた。作者の名前もほとんど初めて知った。それもそのはず、ほとんどの作品は専門家にとっても、その存在が明らかになったのは、つい最近の事なのだそうだ。
高野光正は、半生をかけて海外でこれらの絵を収集し、日本に持ち帰ったそうだ。そのほとんどは、明治のころの風景や人々の姿で、日本人画家のみならず、当時、日本を訪れた外国人画家たちの手によるものもたくさん含まれている。中でも幻の画家と言われていて、どのような人物かわからなかった「J. Kasagi」の作品が11点展示されていて、これが圧巻だった。高野氏は、絵に惹かれて収集したものの、J. Kasagi については何もわからなかった。その後、電話帳片手に笠木姓の家に、片っ端から連絡を取り子孫を探し当てたと言われている。
私が入場しようとした時、ちょうどギャラリートークが始まる時間で、京都国立近代美術館主任研究員の梶岡氏の興味深いお話が聞けたのもラッキーだった。
日本橋を後にして、今度は有楽町。私の大好きな出光美術館で、「しりとり日本美術」というのが開催されていることを知り、訪ねてみた。酒井抱一の風神雷神図屏風から始まり、葛飾北斎の春秋二美人図等、「ふたつでひとつ」というテーマが見ごたえがあった。俵屋宗達伝の龍虎図やら小杉放菴の梅花小禽なども良かった。他にもテーマがあったが、個人的には「ふたつでひとつ」の章で満足した。
暑い暑い毎日だが、寒いくらいの美術館で1日中、楽しい時間が過ごせた。♪~