癒しの空間

職場の近くに小さなカトリック教会があり、そこに身の丈60～70センチのマリア像がある。ほんの少し頭を右に傾け、両手を胸の前で合わせて静かに穏やかに視線をこちらに投げかけている。昼間の教会堂には人影は無く、前庭では緑の木立が涼しげに風に吹かれている。

私はクリスチャンではないが、ここが好きだ。心がひどく疲れている時、ここに来るとなんだか落ち着く。ここが教会ではなくて、お寺であっても、私にとっての効果は同じだろうと思う。そんないい加減な私でも、黙っていつでも受け入れてくれるのが、カトリック教会の良いところだ。プロテスタントの教会では、こうはいかない。歴史的にはいろいろあったが、これがカトリック教会の一番好きなところだ。

マリア様の足元と中央の祭壇に鬼百合が飾ってある。そのため、小さな祈りの空間はユリの香りで充満している。一枚板で作られた立派な祈祷台が存在感を示し、緑のクロスがかけられてデンとかまえている。小さな十字架のイエス像がその上に置かれている。

この静かな空間にいると、自然に祈りの気持ちが湧いてくる。自分を越えた何か大きなものに語りかけると、心が多少穏やかになる。宗教とは不思議だ。

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