今、大倉集古館で篁牛人展が開催されている。「篁牛人(たかむら ぎゅうじん)」の名前は、今回TVで紹介されるまで全く知らなかった。富山出身であり、富山市篁牛人記念美術館がある地元では知られているものの、それ以外ではほとんどその名前は知られていないようだ。どこの美術団体にも属さず、特定の師もおらず、生涯孤独と酒を愛した異色の水墨画家・牛人。生誕120年記念として、大倉集古館で展覧会が開催されていると聞き、出かけてみた。
まず度肝を抜かれる。その迫力。その熱気。「渇筆」という独特の筆使いで麻紙に擦るようにして描く。作品の大きさにも圧倒される。
富山県立工芸学校を卒業後、工芸作品の図案を制作し商工省工芸展などで受賞を重ねるも、画家になる夢を捨てきれず、戦後復員してから画業に専念する。しかし、当時の画壇には認められず、苦しい放浪の旅をし、その後パトロンを得た牛人は、再度、大作に挑戦する。篁牛人記念美術館には700点ほどの作品が残されているようだ。その中から、大倉集古館で60点近くが展示されている。
テレビで紹介されたからだろうか、かなりの人で賑わっていた。これまで注目を浴びなかったのが不思議なくらい素晴らしい作品の数々。今回の出会いに感謝したい。