働き方改革関連法ノート

厚生労働省の労働政策審議会(労政審)労働条件分科会や労働基準関係法制研究会などの議論に関する雑記帳

裁量労働制など労働時間制度に関する検討会(第13回)

2022年05月18日 | 裁量労働制
これからの労働時間制度に関する検討会(第13回)
厚生労働省の裁量労働制など労働時間制度見直し検討会(正式名称:これからの労働時間制度に関する検討会)、本日(2022年5月18日)開催。議題は労働時間制度に係る個別の論点等について、年次有給休暇について、勤務間インターバル制度について。

労働時間制度に係る個別の論点
「労働時間制度に係る個別の論点」は第10回、第12回でも議題とされており、今回で三度目の議論の場となる。

労働時間制度に係る個別の論点としては「みなし労働時間」「処遇と評価」「健康確保」の3つの論点が「これからの労働時間制度に関する検討会」では議論されている。そして「健康確保」(健康・福祉確保措置)が最も重要な論点であろう。

主な論点
・それぞれの労働時間制度の意義をどう考えるか
・裁量労働制が、その制度の趣旨を踏まえたものとなるための方策についてどう考えるか
 労働時間、健康・福祉確保措置、処遇・評価
 対象業務、対象労働者、本人同意、同意の撤回
・集団的労使コミュニケーション、導入後の運用 等○年次有給休暇(時間単位年休を含む)の取得促進の在り方についてどう考えるか
・経済社会の変化、デジタル化による働き方の変化、コロナ禍等による労働者の意識変化
の中、アフターコロナの働き方を見据えた労働時間制度等についてどう考えるか(第13回「これからの労働時間制度に関する検討会」参考資料2)


裁量労働制の健康確保措置
経団連の「当面の課題に関する考え方」(2022年5月9日)には「テレワークの活用など多様で柔軟な働き方を推進するとともに、働き手の健康確保を前提とした裁量労働制の対象拡大等、自律的・主体的な働き方に適した新しい労働時間制度の実現を目指す」と記載されている。

また、内閣総理大臣諮問機関・規制改革推進会議「当面の規制改革の実施事項」(2021年12月)には「厚生労働省は、働き手がそれぞれの事情に応じた多様な働き方を選択できる環境整備を促進するため、『これからの労働時間制度に関する検討会』における議論を加速し、令和4年度中に一定の結論を得る。その際、裁量労働制については、健康・福祉確保措置や労使コミュニケーションの在り方等を含めた検討を行うとともに、労働者の柔軟な働き方や健康確保の観点を含め、裁量労働制を含む労働時間制度全体が制度の趣旨に沿って労使双方にとって有益な制度となるよう十分留意して検討を進める。同検討会における結論を踏まえ、裁量労働制を含む労働時間制度の見直しに関し、必要な措置を講ずる」と記載されている。

経団連の文書には「働き手の健康確保を前提とした」と書かれ、また規制改革推進会議の文書では「健康・福祉確保措置」とも記載されている。

厚労省「これからの労働時間制度に関する検討会」では裁量労働制において必要な健康確保措置として勤務間インターバル制度が検討されている。しかし、テレワークや裁量労働制における健康確保措置としては、勤務間インターバル制度だけではなく「つながらない権利」が必要だと思う。

久保智英氏は『睡眠の質の確保が大切「つながらない権利」の議論を』と題した記事を情報労連のサイトに書いており、その記事の中で「ストレスの解消には、休息の質と量の確保が大切です。勤務間インターバル制度は量の確保である一方、『つながらない権利』は質の確保と言えます」と述べている。

これからの労働時間制度に関する検討会(厚生労働省サイト)

追記:規制改革推進会議「規制改革推進に関する答申」
内閣総理大臣諮問機関・規制改革推進会議の第13回会議が先週の金曜日(2022年5月27日)にオンライン開催されたが、議題は「規制改革推進に関する答申(案)について」。そして、規制改革推進会議開催後、「規制改革推進に関する答申」が内閣府サイトで公表された。

内閣府サイトで公表された「規制改革推進に関する答申」には「3.人への投資」「(3)柔軟な働き方の実現に向けた各種制度の活用・見直し」の中に「ア 労働時間制度(特に裁量労働制)の見直し」という項目がある。

3.人への投資
(3)柔軟な働き方の実現に向けた各種制度の活用・見直し
ア 労働時間制度(特に裁量労働制)の見直し

【a:令和4年度中に検討・結論、結論を得次第速やかに措置、b:令和4年度検討開始】

<基本的考え方>
働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律(平成30年法律第71号)により、罰則付きの時間外労働の上限規制や高度プロフェッショナル制度が設けられ、働く方がその健康を確保しつつ、ワークライフバランスの実現を図り、能力を有効に発揮することができる労働環境整備が進められているところであるが、裁量労働制については、時間配分や仕事の進め方を労働者の裁量に委ね、自律的、創造的に働くことを可能とする制度であるものの、対象業務の範囲や労働者の裁量と健康を確保する方策等について課題が指摘されている。
現在、厚生労働省では裁量労働制実態調査の結果を踏まえて制度の見直しに関する検討が行われているが、その際、上記の労働環境整備の趣旨を踏まえれば、裁量労働制だけでなく、それ以外の労働時間制度も含めて、その在り方について広く検討することが求められる。
また、労働基準法(昭和22年法律第49号)では、事業場単位で労使協定等を
締結することとされ、届出等も原則「事業場単位」で行われているが、本社主導で人事制度を検討・運用する企業もある中、「本社一括届出」が可能とされている手続は就業規則や 36 協定等に限定されている。また、各種届出は電子申請が可能とされているものの利用率が低く、より企業の利便性を高める必要がある。
以上の基本的考え方に基づき、以下の措置を講ずるべきである。

<実施事項>
a 厚生労働省は、働き手がそれぞれの事情に応じた多様な働き方を選択できる環境整備を促進するため、「これからの労働時間制度に関する検討会」における議論を加速し、令和4年度中に一定の結論を得る。その際、裁量労働制については、健康・福祉確保措置や労使コミュニケーションの在り方等を含めた検討を行うとともに、労働者の柔軟な働き方や健康確保の観点を含め、裁量労働制を含む労働時間制度全体が制度の趣旨に沿って労使双方にとって有益な制度となるよう十分留意して検討を進める。同検討会における結論を踏まえ、裁量労働制を含む労働時間制度の見直しに関し、必要な措置を講ずる。

b 厚生労働省は、労働基準法(昭和 22 年法律第 49 号)上の労使協定等に関わる届出等の手続について、労使慣行の変化や社会保険手続を含めた政府全体の電子申請の状況も注視しつつ、「本社一括届出」の対象手続の拡大等、より企業の利便性を高める方策を検討し、必要な措置を講ずる。(「規制改革推進に関する答申」41頁~42頁)


規制改革推進に関する答申(全文)(PDFファイル)

<関連記事>

つながらない権利と勤務間インターバル-テレワークと裁量労働制 - 働き方改革関連法ノート

労働者の健康確保に係るヒアリング(これからの労働時間制度に関する検討会)これからの労働時間制度に関する検討会(厚生労働省の裁量労働制など労働時間制度見直しを検討...

goo blog

 

裁量労働制など労働時間制度に関する検討会(第12回) - 働き方改革関連法ノート

これからの労働時間制度に関する検討会(第12回)厚生労働省の裁量労働制など労働時間制度見直しに関する検討会(正式名称:これからの労働時間制度に関する検討会)第12回...

goo blog

 


最新の画像もっと見る