ゆっくり読書

読んだ本の感想を中心に、日々、思ったことをつれづれに記します。

偽物

2014-03-14 22:13:53 | Weblog
昨晩、上海古北の日本料理屋の前から、友人とタクシーに乗った。
運転手さんの発音が、上海人ではなかったので、
「あなた、どこの出身?」と聞いたら、「河南省」との答えだった。

素直に答えてしまうような、朴訥な河南の人。
中国でもっとも貧しい地域と言われ、上海人にとことんバカにされている河南の人。

ほぼ間違いなく、本物の運転手さんではない。
タクシー自体が偽物か、上海人の代わりに運転手をやって、
上納しつつ小銭を稼いでいる人だ。

上海のタクシーは、外省の人も運転手をできるようになったけれど、
外省の人はまだまだ少ない。
上海語しか話せない運転手もいるくらいで、
上海人がタクシーを利用する時は、絶対に上海語で話す。

で、きわめて偽物くさい運転手さんが、私に話しかけてきた。
運「お前以外はみんな日本人か?」←いつものパターンだが、一緒にいた日本人は大喜び。
私「いや、私も日本人だよ」
運「うそだろう」
私「父も母も揃って日本人だから、どうしようもなく私も日本人だよ」
運「両親が日本人なら、そりゃお前も日本人だな。
  ところで、魚釣島(尖閣諸島)は中国のものだし、中国はこんなに大きな国だから、
  いくら日本が無謀でも、攻めて来られないだろう」←田舎者が大好きな話題だ。
私「中国と日本が戦争をしても、
  私たちのような老百姓(庶民)に、何ひとついいことないじゃん。
  それに、アメリカが喜ぶだけだよ」
運「でも、日本は欲しいんだろ」←彼は中国の領土であることを疑っていない。
私「日本はアメリカの植民地だから、どうしようもないんだよ。
  戦争をしてアメリカを喜ばせても、私たち庶民は苦しむだけ。
  あなたのためにも、私のためにも、日中友好がいちばん!」
運「そうだなあ」←いまいち納得してないが、私の勢いに押され負けた感じ。
でも車内の雰囲気は非常によくなった。たぶん、表面上は仲良くなった。

一緒にいた日本人は「そんな論法あるんだ~!」と、これまた大喜び。
これは女子が得意とする、誰かを悪者にして仲良くなってしまうパターンだ。
私としては、尖閣諸島に対する主張をすることなく、論点をずらし、
運転手さんと仲良くなった。

これこそが、中国の田舎者と付き合うコツだろうと思う。
そもそも、相手もそんなにちゃんと考えてないのだから。