ゆっくり読書

読んだ本の感想を中心に、日々、思ったことをつれづれに記します。

アンケセナーメン

2009-07-29 22:22:37 | Weblog
先日のNHKスペシャルで古代エジプトをやっていた。
王家の谷で新たに見つかったお墓が、
ツタンカーメンの王妃、アンケセナーメンのものではないかというニュースは、
少し前の新聞に載っていた。
その真偽を追う内容だった。

アンケセナーメンの名前を初めて知ったのは小学校5年生の時。
たしか『悲劇の王妃アンケセナーメン』というタイトルだったと思うが、
そんな感じの書名の本が、小学校の図書室にあった。

何となく手に取ったのが、古代エジプトとの出会いになった。

その後、ハワード・カーターのツタンカーメン王墓発掘記や、ピラミッド、
古代エジプトの神話、クレオパトラなど、いろいろな本を読んだ。

そして、いつも心のどこかにあったのはアンケセナーメンのこと。
ツタンカーメンの柩から見つかったヤグルマギクの花輪は、
アンケセナーメンが贈ったものと言われている。

思春期の入り口に立っていた私にとって、
20歳くらいで愛する人を失った王妃の話は、とてもとても強烈だった。
どんな気持ちで葬列にしたがい、最後に花束を手向けたのだろう。

幼い頃から一緒に育ち、将来は一緒にエジプトを統べると言われ、
でも、単なる政略結婚ではなくて、2人はきっと恋をしたのだろう。
ツタンカーメン王墓から見つかった黄金の玉座のレリーフには、
アンケセナーメンがツタンカーメンに香油を塗る様子が描かれている。
2人のとてもやさしい姿。

アンケセナーメンは、ツタンカーメンが亡くなった後、
王座を継いだアイと結婚したと言われている。
祖父ほどに年齢が離れた人との、王家を継ぐための結婚。
いったい、どんな気持ちだったのだろう。

私は、恋愛をして、とても楽しい時であっても、
ふと、相手を失った時のことを想像してしまう。
それは私がネガティブな性格だ、という理由だけではなくて、
きっと、小学生の頃、深く深くアンケセナーメンの気持ちを思ったためだと思う。

結局、今回の発掘ではアンケセナーメンのミイラは見つからなくて、
彼女はまだ、歴史の闇の中にいる。

彼女は、その後、いったいどんな人生を送ったのだろう。
きっと死ぬ間際、ようやく開放される、という安堵感が彼女を包んだのではないか。
なんとなく、そんな気がする。
いまは、静かで穏やかなところで眠っていますように。


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