ゆっくり読書

読んだ本の感想を中心に、日々、思ったことをつれづれに記します。

ダライ・ラマの「中論」講義 第18・24・26章

2011-07-31 13:18:43 | Weblog
ダライ・ラマ14世テンジンギャツォ著、マリア・リンチェン訳、大蔵出版

龍樹(ナーガルジュナ)の『中論』の中核を、ダライ・ラマ法王が説かれ、それをまとめた本。
「空」というものを、とてもわかりやすく教えてくださる。
そして、言葉としては「空」をわかったような気になるけれど、
これが心の底までしみこむには、果てしない自己研鑽が必要だとも
改めて気づかせてくれる。

そして、ダライ・ラマ法王がいつも心にかけてくださる仏教の「初心者たち」。
私のような人間にもわかるよう、仏教の入り口から誘導してくださる話の構成力は、
仏教が理論に基づくものであることを、自然と納得させてくれる。

とにかく信じなさい。信じれば救われる、とは言わない。
信じるだけでは救われないでしょ、から始まる。
だから、惹かれる。

上海の自宅で、この本読んでいても、別に公安に踏み込まれたりはしない。
ちなみに、仏教を歴史、ひとつの宗教史、チベット自治区にひとつの文化としてとらえる本なら、
中国語でもちゃんと出版されている。
ダライ・ラマの研究書もある。
「ないもの」とするには、存在が大き過ぎる。
でも、公然とダライ・ラマ法王の賛美につながる行動をおこすと、怒られる。

日本人に生まれてよかったと思う瞬間は、
ダライ・ラマ法王による仏教の教えに触れることができること。
でもこれはひとえに、チベット語から日本語に訳してくださるマリア・リンチェンさんのおかげによる。
日本語は、世界の中でも使用している人数が少ない言葉。
自分の知りたいことを知るため、そして自分のことを相手に伝えるためには、
ダライ・ラマ法王がおっしゃるように、外国語、特に英語を積極的に学ぶ必要がある。

とはいえ、日本語でもままならない会話を、外国語でできるわけがないから、
やっぱり、一番大切なのは、母語の力だよなあ。


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