ティ
移民キ メキシコ北西の国境ティファナが騒がしい。ャラバンの人々であふれる国境だ。
ホンジュラスなど中南米諸国から、悪化する治安と貧困を逃れるために、2500人が「キャラバン」第一陣として、アメリカとメキシコの国境に到着したのだ。着の身着のままの人々を待っていたのは、トランプ米大統領の派遣した五千人の兵士と有刺鉄線の壁だった。
命からがら幼い子供を連れた女性も多く、キャラバンを収容するテント小屋は満員で、衛生状態も非常に悪いという。それでもアメリカへの移住を目指してメキシコ入りをする人々はすでに1万を超えている。
我々夫婦には懐かしい思い出の町だ。
カリフォルニア州のサンフランシスコから、時速六十マイルしか出ないぼろ車でメキシコシティを目指したのは1971年、沖縄返還の前年だった。当時のレートは1ドルが360円で、日本から来た若者は皆、貧乏だった。
しかしサンディエゴの美しい街並みを過ぎて国境へ続く道は広々とした1直線、その両側にはデニーズ、マクドナルド、ケンタッキーフライドチキンなどが並んでいて、自分たちもこの豊かな国側にいることを感じた。
国境のゲートの向こうは土埃が舞い、左の山肌にはしがみつくように色とりどりのトタン屋根が見えていたのだ。あれほどに劇的な国境を見たことはなく、50年近くが過ぎても印象は消えることがない。
当時、麻薬と売春の町という冠詞の付いたティファナは、食事だけで通り過ぎたけれど、 税関検査員との穏やかなやり取りや小学生くらいに見えたガソリンスタンドの少年の自信に満ちた埃だらけの笑顔が記憶に残っている。
メキシコ北西の国境ティファナが騒がしい。移民キャラバンの人々であふれる国境だ。
ホンジュラスなど中南米諸国から、悪化する治安と貧困を逃れるために、2500人が「キャラバン」第一陣として、アメリカとメキシコの国境に到着したのだ。着の身着のままの人々を待っていたのは、トランプ米大統領の派遣した五千人の兵士と有刺鉄線の壁だった。
命からがら幼い子供を連れた女性も多く、キャラバンを収容するテント小屋は満員で、衛生状態も非常に悪いという。それでもアメリカへの移住を目指してメキシコ入りをする人々はすでに1万を超えている。
我々夫婦には懐かしい思い出の町だ。
カリフォルニア州のサンフランシスコから、時速六十マイルしか出ないぼろ車でメキシコシティを目指したのは1971年、沖縄返還の前年だった。当時のレートは1ドルが360円で、日本から来た若者は皆、貧乏だった。
しかしサンディエゴの美しい街並みを過ぎて国境へ続く道は広々とした1直線、その両側にはデニーズ、マクドナルド、ケンタッキーフライドチキンなどが並んでいて、自分たちもこの豊かな国側にいることを感じた。
国境のゲートの向こうは土埃が舞い、左の山肌にはしがみつくように色とりどりのトタン屋根が見えていたのだ。あれほどに劇的な国境を見たことはなく、50年近くが過ぎても印象は消えることがない。
当時、麻薬と売春の町という冠詞の付いたティファナは、食事だけで通り過ぎたけれど、 税関検査員との穏やかなやり取りや小学生くらいに見えたガソリンスタンドの少年の自信に満ちた埃だらけの笑顔が記憶に残っている。
あのゲートは今や巨大な建物と化し、入国審査は日本人でも3時間待ちの混雑だとか。ましてやビザのない移民希望者たちにはどうにもならない状況が想像される。そこへ、敵意丸出しのトランプ政権だ。難民の先鋒50人ほどが強行突破を試みても、アメリカ兵士群の前で何ができるのだろう。
日本政府は一貫して難民は受け入れないという態度を示している。今年一月には「難民申請の厳格化」が決定され、「難民鎖国」はさらに悪化しそうだ。狭い国土と単一民族で言語的障害が大きいことなどを言い訳にしている。日本人はロヒンギャに対するミャンマー人の迫害に心を痛め、スーチーさんの政権を非難しても、政府は逃げてきた2人のロヒンギャの人を受け入れようとせず、収容施設に閉じ込めたままなのだ。
「技能実習生」という名のもとに最低賃金を無視した奴隷的な労働状況に対して、安倍首相は「知らないから答えようがない」と言った。
その一方で人手不足解消のために家族を伴わない外国人労働者の受け入れ法案は無理やり通している。
世界を見回すとフランスも中国も恐ろしいことだらけ。人々はますます自己主張を強めるばかりだし、他国を平気で敵扱いするようになっていはしないか。
その中で「ノーと言えない安倍政権」はアメリカに言われるがまま際限なく兵器の購入に補正予算を当てている。ノーベル賞の本庶さんが案じるように、予算の回ってこない日本の教育界は縮んで行くばかりだ。あと何年、私達は無事でいられるのだろ
あのゲートは今や巨大な建物と化し、入国審査は日本人でも3時間待ちの混雑だとか。ましてやビザのない移民希望者たちにはどうにもならない状況が想像される。そこへ、敵意丸出しのトランプ政権だ。難民の先鋒50人ほどが強行突破を試みても、アメリカ兵士群の前で何ができるのだろう。
日本政府は一貫して難民は受け入れないという態度を示している。今年一月には「難民申請の厳格化」が決定され、「難民鎖国」はさらに悪化しそうだ。狭い国土と単一民族で言語的障害が大きいことなどを言い訳にしている。日本人はロヒンギャに対するミャンマー人の迫害に心を痛め、スーチーさんの政権を非難しても、政府は逃げてきた2人のロヒンギャの人を受け入れようとせず、収容施設に閉じ込めたままなのだ。
「技能実習生」という名のもとに最低賃金を無視した奴隷的な労働状況に対して、安倍首相は「知らないから答えようがない」と言った。
その一方で人手不足解消のために家族を伴わない外国人労働者の受け入れ法案は無理やり通している。
世界を見回すとフランスも中国も恐ろしいことだらけ。人々はますます自己主張を強めるばかりだし、他国を平気で敵扱いするようになっていはしないか。
その中で「ノーと言えない安倍政権」はアメリカに言われるがまま際限なく兵器の購入に補正予算を当てている。ノーベル賞の本庶さんが案じるように、予算の回ってこない日本の教育界は縮んで行くばかりだ。あと何年、私達は無事でいられるのだろう。 〈201812〉
ファナそして