以前、空耳英語を取り上げました(第225回ー文末にリンクを貼っています)。日本語としてそれなりに意味のある言い回しが、英語としても、「通じる」(例:「岐阜には割烹着で来い」="Give me a cup of coffee.")というもので、遊び心を楽しむ「工夫」ではありました。
英語に限らず、新しい言葉を習得するのに、文法とか発音とかも大事ですけど、「単語」を覚えなければ話になりません。他の国、他の言葉の場合どうなのか、よく分かりませんが、いかにも日本的で、脱力系の工夫だなぁと思うのは、「語呂あわせ」
開高健のエッセイに、彼が終戦直後の古本屋で見つけた明治時代出版の英和辞典の話が出ています。
democracy 民主主義、なん「でも暮らし」よいがよい
money 金(かね)はある「真似」、ない「真似」、苦しい「真似」
doctor 医者を「毒たぁ」、これ如何(いか)に
中学校時代の学習雑誌にもそんな趣向の付録が付いてました。今でも覚えているのは、
「狂える(cruel)とは、あまりに「残酷な」」というベタなもの。受験英語として重要度は低そうで、「ムダっ」と思いながらも、覚えてしまったのが、我ながら、可笑しかったです。
で、私らの世代で、英単語でバイブル的存在といえば、「赤尾の豆単」(旺文社)。でも、どういう基準で選んだのか分からない単語の意味と例文が、アルファベット順に載ってるだけ。受験英語としての重要度とか、関連単語の引用とか、今にして思えば、もっと工夫の余地はあったのに、と思います。
それでも覚えるしかないかと、最初のページを開いたら、(アルファベット順なので)いきなり、abandon(捨てる)という単語に出くわして、不吉な予感がしました。
womb(子宮)なんて絶対入試問題に出ない単語が載ってるのも不思議でした。これも興味本位で覚えてしまったのが口惜しいですけど。
さて、英単語を覚えるための参考書も進化しているようで、「萌える英単語もえたん」(渡辺益好/鈴木政浩 三才ブックス)というのがあります。こちらです。
英語が苦手で、合格が危ない「ナオくん」に、「ぱすてるインクちゃん」という「萌え系」の女の子が、萌えるオーラ出しまくりで、英単語の勉強のお手伝いをする、という設定です。
例文がとにかく秀逸で、いやでもアタマに残るように工夫されているのに感心します。「うんこ漢字ドリル」の英語版といったところでしょうか。さっそく、いくつかを、ご紹介します。
broadcast
[動詞]~を放送する、~を吹聴する
[名詞]放送
(例文)国民的アイドルのパンチラが、全国ネットで放送された。
They broadcasted a peek at the panties of the national icon.
consume
[動詞]~を消費する、~を食べる
(例文)彼は一日にティッシュ一箱を消費する
He consumes a box of tissues a day.
naked
[形容詞]裸の、むき出しの
(例文)彼女は、変身のたびに半裸になってしまう。
She becomes half naked at every transformation.
いかがですか?
放送のところでは、日本語にあわせて受身形にせず、Theyを主語にした自然な英語にしています。アイドルって、icon(アイコン)でええのか~。そうなんですよ。覚えときましょうね。
ティッシュ一箱をconsumeする彼、きっとひどい風邪なんでしょうか?「一日に」を、”a day "で表現できるのも、受験生には必須の知識かも。
変身(変形)なんて、難しい単語も、これで身に付きそう。「~のたびに」の "at every "も応用が効く言い回しですね。
私らの時代に、こんな参考書が出てたら、もっと「萌えて」「楽できた」(?)かどうかは、分かりませんが・・・「第225回 空耳英語」へのリンクは、<こちら>です。
いかがでしたか?次回をお楽しみに。