「帰れソレントへ」は聞いたことのある人が多いと思うが,私のお気に入りを紹介しておく。
歌うはルチアーノ・パヴァロッティ(Luciano Pavarotti),世界三大テノールの一人で,髪もヒゲももじゃもじゃで一番体格がよく高音の出るイタリア人だ。
伴奏は「女王陛下のオーケストラ」と言われる,由緒正しいロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団,場所は金を出しただけではなかなか演奏させてもらえなさそうなロイヤル・アルバート・ホール,7千人の前でのソロだ。
"Recorded in April 13th 1982"とのコメントがあるのでパヴァロッティが46歳の春だと思うが,非常に脂がのっている時期だ。
スタンディング・オベーションの後,ソレントのイントロの入りで聴衆が「待ってました」とばかりに拍手しているので(妄想だが)アンコールの2曲目あたりだろうか(羨ましすぎる場面だぜ)
Pavarotti - Torna a Surriento - DeCurtis
この演奏をはじめて聴いたときに,もう理屈でなくシビレました。
背筋がゾクゾクして,思わず何度も聴き直すのですが,聴いている間しばらく震えがとまらない。
もちろんパヴァロッティは素晴らしいテナーだけどそれだけじゃない。
イタリア人の血というか,やはりソレントはイタリアの曲なんだな,と思いました。
独特のリズム,テンポ,名調子,全てが混ざり合わないと,ここまでシビれることもないだろう。
そしてこの指揮者が素晴らしいですね。
名演を生かしきるセンスを感じる。
背中にパヴァロッティを感じつつ,前には楽団員を感じて,両方を生かしきっている。
勉強させられます。
もうひとつ,パヴァロッティの演奏がありました。こちらは55歳の頃。
Pavarotti torna a sorriento - roma 1990
サラッと入っているように感じるかも知れませんが,イントロと歌のテンポや調子など,何もかもがズレまくっている。
バブリーだった頃の扇子振ってる女子みたいな,必死すぎて残念な指揮です。
演奏自体より,自身の指揮法そのものに気持ちがいっているようです。
女王陛下のオケに比べると,せっかくのパバロッティの力を生かせず,というかわざわざ殺してしまっているみたい。
背中(肌)で感じれば,それまでのことなんだけれど。
そして3本目は,わが日本から。
しかもテノールは酒田出身の市原多朗氏。
さらに「しかも」なのですが,彼は私とピアノが同門です。たまたま姉と同期です。
東京芸大,同大学院に学び,在学中に日伊コンソルソか何かで優勝し渡欧したんでしたっけ?
20代前半の頃に,ヴォイトレを受けたことがあります。ちょうど遊佐のホールだったなぁ。
名曲アルバム エルネスト・デ・クルティス 帰れソレントヘ
日本人としては,イタリア語も流暢で,とても「立派な演奏」です。
が,ソレントって,そんな立派な曲じゃないです。
あまりに「たっぷり」過ぎて,曲の良さ,質感,情感,イタリア・ソレントの港町の風景とか浮かんできませんね。
市原氏は,有名になってからも何度も「凱旋公演」で酒田市民会館で歌っておられますが,私もこのソレントはピアノ伴奏で聴きました。
やはり違和感を感じていました,歌い込みすぎなんです。
また一発目のパバロッティに戻ってもらうと,この曲の良さというか,すごさが理解いただけるでしょう(先輩,ごめんね)
にしてもこの曲,作者を「デ・クルティス」と紹介しているのが殆どですが,作詞が兄で,作曲が弟という「ライト兄弟」状態なのは,今回はじめて知りました。
歌うはルチアーノ・パヴァロッティ(Luciano Pavarotti),世界三大テノールの一人で,髪もヒゲももじゃもじゃで一番体格がよく高音の出るイタリア人だ。
伴奏は「女王陛下のオーケストラ」と言われる,由緒正しいロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団,場所は金を出しただけではなかなか演奏させてもらえなさそうなロイヤル・アルバート・ホール,7千人の前でのソロだ。
"Recorded in April 13th 1982"とのコメントがあるのでパヴァロッティが46歳の春だと思うが,非常に脂がのっている時期だ。
スタンディング・オベーションの後,ソレントのイントロの入りで聴衆が「待ってました」とばかりに拍手しているので(妄想だが)アンコールの2曲目あたりだろうか(羨ましすぎる場面だぜ)
Pavarotti - Torna a Surriento - DeCurtis
この演奏をはじめて聴いたときに,もう理屈でなくシビレました。
背筋がゾクゾクして,思わず何度も聴き直すのですが,聴いている間しばらく震えがとまらない。
もちろんパヴァロッティは素晴らしいテナーだけどそれだけじゃない。
イタリア人の血というか,やはりソレントはイタリアの曲なんだな,と思いました。
独特のリズム,テンポ,名調子,全てが混ざり合わないと,ここまでシビれることもないだろう。
そしてこの指揮者が素晴らしいですね。
名演を生かしきるセンスを感じる。
背中にパヴァロッティを感じつつ,前には楽団員を感じて,両方を生かしきっている。
勉強させられます。
もうひとつ,パヴァロッティの演奏がありました。こちらは55歳の頃。
Pavarotti torna a sorriento - roma 1990
サラッと入っているように感じるかも知れませんが,イントロと歌のテンポや調子など,何もかもがズレまくっている。
バブリーだった頃の扇子振ってる女子みたいな,必死すぎて残念な指揮です。
演奏自体より,自身の指揮法そのものに気持ちがいっているようです。
女王陛下のオケに比べると,せっかくのパバロッティの力を生かせず,というかわざわざ殺してしまっているみたい。
背中(肌)で感じれば,それまでのことなんだけれど。
そして3本目は,わが日本から。
しかもテノールは酒田出身の市原多朗氏。
さらに「しかも」なのですが,彼は私とピアノが同門です。たまたま姉と同期です。
東京芸大,同大学院に学び,在学中に日伊コンソルソか何かで優勝し渡欧したんでしたっけ?
20代前半の頃に,ヴォイトレを受けたことがあります。ちょうど遊佐のホールだったなぁ。
名曲アルバム エルネスト・デ・クルティス 帰れソレントヘ
日本人としては,イタリア語も流暢で,とても「立派な演奏」です。
が,ソレントって,そんな立派な曲じゃないです。
あまりに「たっぷり」過ぎて,曲の良さ,質感,情感,イタリア・ソレントの港町の風景とか浮かんできませんね。
市原氏は,有名になってからも何度も「凱旋公演」で酒田市民会館で歌っておられますが,私もこのソレントはピアノ伴奏で聴きました。
やはり違和感を感じていました,歌い込みすぎなんです。
また一発目のパバロッティに戻ってもらうと,この曲の良さというか,すごさが理解いただけるでしょう(先輩,ごめんね)
にしてもこの曲,作者を「デ・クルティス」と紹介しているのが殆どですが,作詞が兄で,作曲が弟という「ライト兄弟」状態なのは,今回はじめて知りました。