結構探ったのでポイントを休ませていたら、すぐ上流に入ったオッサン。
竿を振っていないのなら他の釣り師が入って来ても文句は言うなという向きもあると思う。
ただこの時の僕は納竿するつもりはないし、大きなオモリを付けて散々打ち込んだので暫く休めようとしゃがんでいただけだ。
だから釣り座は離れていないし、竿も畳まずに茂みにもたれさせてある。
ちょっと長めの仕掛けの作り直しだといっても良いくらいの時間である。
仮にもうここは離れるよという雰囲気を濃厚に漂わせていたとしても、先行者の上か下に入るときは一声掛けるのが最低限のマナーだと思うのだが。
ひとつの釣り座に入っていたとしても、立ち位置を微妙に変えたり、探りたい筋が変われば、投餌点も変わるのが普通だと思う。
自分の真正面に打ち込むときもあれば、上流方向に打ち込むことだってある。
僕がこの時使用していたのは10mの本流竿。
なのにこのオッサンは僕の上流約20mの距離に何の声掛けもなく入ってきた。
そしてどんどん下ってくる。
実は伏線があった。
朝のまだ早いうちにも一度このおっさんは声をかけること無しに上流側に入ってきた。
幸いなことに僕は既に岸近くを探ったあとだったので、僕が上流側に打ち込む箇所と被るくらいの距離にそのオッサンが流し始めても何も言わなかった。
せっかく釣りに来たのに小競り合いをして気分を悪くしたくない。
しかし、二度続くとさすがにもう勘弁ならない。
だから言ってやった。
「今ここは休ませてるので、それ以上は下ってこないでください」と。
「えっ!?だってやってないんでしょ?」
僕がですます調の丁寧語で話しかけたにもかかわらず、いきなりフランクリイ・スピーキングだった。
それにも腹が立ったので次はきつく言った。
「やってるよ。さんざん探ったから暫く休ませてんだよ。」
「チッ!」と舌打ちのように口籠ってぶつぶつ言うだけの態度に更に腹が立ったので教育しておいた。
「だいたい上でも下でも隣に入るときは一声掛けるのが最低限のマナーでしょ?」
しかし返答はない。
「聞いてんのっ!?」
こうして追い払った。
誰しも目的の魚を釣りたい、良い釣りがしたい。
だからこそ早起きして良いポイント、お気に入りのポイントに入ろうと努力するわけだ。
先行者とはそういった努力をしている人なのだ。
遅れてきたのだからお目当てのポイントや釣り座に入れなくてもそこは潔く諦めるべきだと思う。
不幸中の幸いかもし隣が空いていて入れそうならば、先行者が釣り上がるのか釣り下るのかの確認等をして、ある程度の距離を置いて入るのが当たり前ではないのか?
それが朝一番の入川でなくても、先行者が居れば話は同じことだろう。
長良川では、毎朝通っている方々の多くはこのような感じで声を掛け合ってお互いに気分よく釣りをしていると思う。
そういった声掛けから情報交換に話が進んで行くこともあるし、同じ魚種を釣ろうとしている者どうしで皆が楽しい思いを出来た方がいいじゃないか。
感覚的には休日しか釣りの出来ない方にこういった声掛けをしない場合が多いなと思う。
毎日釣りが出来るわけではないから、何とかして釣りたいと必死になる気持ちは分かる。
でもね、人間醜くなってまで釣りをして仮に狙いの魚が釣れたとしても、きっとどこか後ろめたい気持ちは残ると思うがなあ。
長良川に限らずどこの川でも言えるのだが、老若問わずマナーがなっていないと思う釣り師に遭遇する。
そんなに躍起になってギラギラ目を光らせて釣りをしてもあまり良い釣りは出来ないと思うよと言ってやりたい。
「ああ残念、先行者が居たわ、別のとこ行くか」ということで入ったポイントで良い釣りが出来たことだって何度でもある。
釣りをして楽しい気分になった方が良いのだから、そんなに鬼気迫るような感じにならずに、もっと大らかな気持ちで釣りをした方が良いと思うなあ。