2015年6月27日。
その日は土曜日。
週の半ばから後半にかけて結構な量の降雨があり岐阜県下の殆どの河川で増水していた。
釣行先を検討してみる。
益田川は土曜はまだ水が高過ぎて釣りのできる状況ではない。
高原川は程無く水位は落ち着き釣りが可能な状況にはなるだろうが、それと釣れる状況になるというのとはまた別問題だった。
賭けの要素が強過ぎるので除外した。
となると、長良川はどうか。
郡上の中でも白鳥以北の上流部なら、まだ水が高いことには間違いなかろうが、釣りが出来ない状況ではなさそうだ。
寧ろマス狙いならばいい感じの出水ではないか。
そう考えて、これまで数えるほどしか竿を出したことのない郡上の上流部へ向かった。
行き先を決めあぐねていたため、自宅を立ったのは午前6時くらい。
いつも夜明けと同時に竿を振り始める僕にとってはかなり遅い出発だった。
当然先行者はいるだろうが、アマゴと違ってマス釣りならばあまり気にしなくてもいいかなと最近は思い始めた。
誰かがさんざん流した後に代わって入った別の人が数回の流しの内にマスを掛けたということはよく聞く話であるし。
それに、不慣れな流域なので完全に明るくなってからの方が入川に都合が良いだろう。
先ずはこれまで何度か入ったことのある越佐堰堤付近の流れを見てみた。
堰堤直下は案の定釣り師で埋まっている。
堰堤を越えた魚が休むにはいいかなとも思える淵やトロ場はすぐ上流に控えるが取り敢えずそこは除外しよう。
もっといい流れがあるかもしれない。
僕はそのまま上流に向かってクルマを走らせ牛道川との出合い辺りに来てみた。
いつもはさほど魅力的に思えなかった上越佐の堰堤だが、水位が上昇していい感じの流れになっている。
堰堤直下までやって来てすぐには遡上出来なくて止まるマスたちが着くならここだろうという筋も予測できる。
今日ならここが良いだろうと判断し、期待に胸を膨らませて竿を振り始めた。
周囲には誰も釣り師はいない。
暫くすると堰堤を越えた上流のトロ場に鮎師が入ってきたが、マス狙いの釣り師は全く来ない。
僕は貸し切り状態の中で隈なく探ったが、狙っていた筋での待望のアタリの正体はアマゴだった。
今日はイケるぞ!と気合が入り過ぎたのか、サツキマスの気配が全く無いと急に意気消沈してきた。
最初はこのまま上流部に向けてクルマを走らせるつもりだったが気持ちも萎えてきて、先ほど見かけた越佐堰堤を越えた後の淵の辺りで竿を出してみた。
これが思ったよりもかなり流しにくい。
流したい筋には微妙に届かない。
益々意気消沈してしまった僕はクルマに戻り昼寝を開始した。
午前中は断続的に小雨が降っていたが、目覚めた頃には曇り空ではあるものの雨は上がっていた。
そして風が強くなっていた。
釣りにくくなるなと思いながら、せっかくここまで来たのだからと思い上流に向けてクルマを走らせた。
赤瀬堰堤を見てみると、右岸に一人延竿師が入っていた。
左岸から入ろうかとも思ったが川幅が広くないので邪魔になるだろうと思い入川は控えた。
もし僕が右岸で釣りをしていたら、左岸のこの場所には入って欲しくない。
自分が迷惑に感じることは他人様にもしてはならない。
僕はそのままクルマを上流部に走らせた。
どのような呼称なのかは分からないが、いい感じの流れがある。
しかしそこも入川者がいた。
更にクルマを走らせる。
おまん桜堰堤には誰も入っていない。
右岸からなら、ササっと身支度を整えてすぐに釣りを開始できるような状況だった。
しかしその日の流れを見ていると、長尺のエアマスターを使って左岸側から探る方が良いように思えてきた。
僕はおまん桜堰堤の左岸側にクルマを移動させたが、堤防に上がるには農作物を野生動物から守るための電気ショック用の線を越えなければならなかった。
よく見かける電線は、一番高い位置にある線を僕でも跨げる。
しかし、そこにあるのは一番高い位置に張ってある電線は僕の胸くらいの高さだった。
当然跨ぐことはできない。
電線の間を上手くくぐることも難しい。
これは畑の地主さんが釣り客に対して「来るなよ!」と言っているということなのかと思いながら仕方なくまた下流に戻り始めた。
越佐堰堤周辺の空いているところに入ろうかなと思いながら赤瀬堰堤を過ぎると、先ほど右岸で竿を出していた釣り師の姿はない。
僕はクルマを停め、そのまま左岸側に入った。
対岸には誰も居ないので長すぎるかと思ったが敢えてエアマスターで対岸付近の筋まで探り始めた。
時折アタリはある。
でもそれはマスのアタリではない。
恐らくウグイとかカワムツのものだろう。
でも、サツキマスのアタリこそないが流れは非常にいい感じだった。
いつマスが掛かっても不思議ではなさそうだと感じた。
しかし、僕の竿には掛からない。
途中で対岸の下流の方にフライマンが入ってきた。
僕とは決して交差しない箇所からキャスティングしていた。
お陰さまで僕は完全に日が暮れるまで辺り一帯をしつこく探ることができた。
それでもマスが掛からないのはやはり腕が良くないのだろう。
「今日はイケそうだ!」という期待も完全に消えた、
そもそも僕は遡上魚には縁がないと思っていたが、センスもないのかもしれない。
居着きの魚を狙う釣りと比較すると、釣行回数は勿論、実際に釣った回数も極めて少ない。
センス云々の問題もあるだろうが、まだまだ経験が足りないのだ。
何年か後、今よりも僕の遡上魚狙いの釣りの腕が良くなっていたならば、今日の水況でマスの顔を見ることはさほど難しくなかったのではないかと思う。
しかしそれにしても僕は本当にサツキマスには縁がない。
もう今シーズンは追憶のまま終わるなあと殆ど諦めの境地で、でも時には休日の所用や他河川の水況によっては長良川でサツキマスを狙うこともあるだろうなと思っていたが、今日はまさしくそんな日だった。
そのような取り組み方ではやっぱり掛かってはくれないのだろうか。
今シーズン、もう一回くらいは長良川でサツキマスを狙った釣りをしたいなと思う。
そしてその時にはしっかりと僕の竿にかかってくれることを願う。
釣れなくても悲壮感は覚えなくなった。
耐性が出来たのかな。
にほんブログ村
その日は土曜日。
週の半ばから後半にかけて結構な量の降雨があり岐阜県下の殆どの河川で増水していた。
釣行先を検討してみる。
益田川は土曜はまだ水が高過ぎて釣りのできる状況ではない。
高原川は程無く水位は落ち着き釣りが可能な状況にはなるだろうが、それと釣れる状況になるというのとはまた別問題だった。
賭けの要素が強過ぎるので除外した。
となると、長良川はどうか。
郡上の中でも白鳥以北の上流部なら、まだ水が高いことには間違いなかろうが、釣りが出来ない状況ではなさそうだ。
寧ろマス狙いならばいい感じの出水ではないか。
そう考えて、これまで数えるほどしか竿を出したことのない郡上の上流部へ向かった。
行き先を決めあぐねていたため、自宅を立ったのは午前6時くらい。
いつも夜明けと同時に竿を振り始める僕にとってはかなり遅い出発だった。
当然先行者はいるだろうが、アマゴと違ってマス釣りならばあまり気にしなくてもいいかなと最近は思い始めた。
誰かがさんざん流した後に代わって入った別の人が数回の流しの内にマスを掛けたということはよく聞く話であるし。
それに、不慣れな流域なので完全に明るくなってからの方が入川に都合が良いだろう。
先ずはこれまで何度か入ったことのある越佐堰堤付近の流れを見てみた。
堰堤直下は案の定釣り師で埋まっている。
堰堤を越えた魚が休むにはいいかなとも思える淵やトロ場はすぐ上流に控えるが取り敢えずそこは除外しよう。
もっといい流れがあるかもしれない。
僕はそのまま上流に向かってクルマを走らせ牛道川との出合い辺りに来てみた。
いつもはさほど魅力的に思えなかった上越佐の堰堤だが、水位が上昇していい感じの流れになっている。
堰堤直下までやって来てすぐには遡上出来なくて止まるマスたちが着くならここだろうという筋も予測できる。
今日ならここが良いだろうと判断し、期待に胸を膨らませて竿を振り始めた。
周囲には誰も釣り師はいない。
暫くすると堰堤を越えた上流のトロ場に鮎師が入ってきたが、マス狙いの釣り師は全く来ない。
僕は貸し切り状態の中で隈なく探ったが、狙っていた筋での待望のアタリの正体はアマゴだった。
今日はイケるぞ!と気合が入り過ぎたのか、サツキマスの気配が全く無いと急に意気消沈してきた。
最初はこのまま上流部に向けてクルマを走らせるつもりだったが気持ちも萎えてきて、先ほど見かけた越佐堰堤を越えた後の淵の辺りで竿を出してみた。
これが思ったよりもかなり流しにくい。
流したい筋には微妙に届かない。
益々意気消沈してしまった僕はクルマに戻り昼寝を開始した。
午前中は断続的に小雨が降っていたが、目覚めた頃には曇り空ではあるものの雨は上がっていた。
そして風が強くなっていた。
釣りにくくなるなと思いながら、せっかくここまで来たのだからと思い上流に向けてクルマを走らせた。
赤瀬堰堤を見てみると、右岸に一人延竿師が入っていた。
左岸から入ろうかとも思ったが川幅が広くないので邪魔になるだろうと思い入川は控えた。
もし僕が右岸で釣りをしていたら、左岸のこの場所には入って欲しくない。
自分が迷惑に感じることは他人様にもしてはならない。
僕はそのままクルマを上流部に走らせた。
どのような呼称なのかは分からないが、いい感じの流れがある。
しかしそこも入川者がいた。
更にクルマを走らせる。
おまん桜堰堤には誰も入っていない。
右岸からなら、ササっと身支度を整えてすぐに釣りを開始できるような状況だった。
しかしその日の流れを見ていると、長尺のエアマスターを使って左岸側から探る方が良いように思えてきた。
僕はおまん桜堰堤の左岸側にクルマを移動させたが、堤防に上がるには農作物を野生動物から守るための電気ショック用の線を越えなければならなかった。
よく見かける電線は、一番高い位置にある線を僕でも跨げる。
しかし、そこにあるのは一番高い位置に張ってある電線は僕の胸くらいの高さだった。
当然跨ぐことはできない。
電線の間を上手くくぐることも難しい。
これは畑の地主さんが釣り客に対して「来るなよ!」と言っているということなのかと思いながら仕方なくまた下流に戻り始めた。
越佐堰堤周辺の空いているところに入ろうかなと思いながら赤瀬堰堤を過ぎると、先ほど右岸で竿を出していた釣り師の姿はない。
僕はクルマを停め、そのまま左岸側に入った。
対岸には誰も居ないので長すぎるかと思ったが敢えてエアマスターで対岸付近の筋まで探り始めた。
時折アタリはある。
でもそれはマスのアタリではない。
恐らくウグイとかカワムツのものだろう。
でも、サツキマスのアタリこそないが流れは非常にいい感じだった。
いつマスが掛かっても不思議ではなさそうだと感じた。
しかし、僕の竿には掛からない。
途中で対岸の下流の方にフライマンが入ってきた。
僕とは決して交差しない箇所からキャスティングしていた。
お陰さまで僕は完全に日が暮れるまで辺り一帯をしつこく探ることができた。
それでもマスが掛からないのはやはり腕が良くないのだろう。
「今日はイケそうだ!」という期待も完全に消えた、
そもそも僕は遡上魚には縁がないと思っていたが、センスもないのかもしれない。
居着きの魚を狙う釣りと比較すると、釣行回数は勿論、実際に釣った回数も極めて少ない。
センス云々の問題もあるだろうが、まだまだ経験が足りないのだ。
何年か後、今よりも僕の遡上魚狙いの釣りの腕が良くなっていたならば、今日の水況でマスの顔を見ることはさほど難しくなかったのではないかと思う。
しかしそれにしても僕は本当にサツキマスには縁がない。
もう今シーズンは追憶のまま終わるなあと殆ど諦めの境地で、でも時には休日の所用や他河川の水況によっては長良川でサツキマスを狙うこともあるだろうなと思っていたが、今日はまさしくそんな日だった。
そのような取り組み方ではやっぱり掛かってはくれないのだろうか。
今シーズン、もう一回くらいは長良川でサツキマスを狙った釣りをしたいなと思う。
そしてその時にはしっかりと僕の竿にかかってくれることを願う。
釣れなくても悲壮感は覚えなくなった。
耐性が出来たのかな。
![にほんブログ村 釣りブログ 本流釣りへ](http://fishing.blogmura.com/honryuduri/img/originalimg/0000781920.jpg)