How many rivers must I cross? I don't know...

幸せになりたくて川を渡る・・・

2014/05/19 長良川 追憶のサツキマス VOL:Ⅳ ~追憶のまま

2014-05-21 00:36:35 | 渓流釣り 釣行記(サツキマス)

過去7シーズンのうち、僕がまともにサツキマスを狙おうとして長良川に立ったのは4シーズン。
それ以外の3シーズンは、諸般の事情によりシーズン後半まで殆ど釣りが出来なかった。

サツキマスを狙い始めた最初のシーズンはかすりもしなかった。
それが次第に掛かるようになってきて何本かは獲った。
しかしそれは所謂戻りアマゴだったり、「これはサツキマスとは言えないだろうなあ・・・戻りだろうなあ」という個体ばかりで、本命はことごとく獲れずにいる。


有名ポイントや入川者が多いポイントに入るのが近道だとは分かっている。
しかし、そのようなポイントは自分の思うような釣りはなかなか出来ない。

対岸に入られて自分が流しているのと同じような筋を流されたり、まさしく流しているその場所にルアーを放り込まれたりということが往々にしてある。
暫くポイントを休めようとしても、その間に別の釣り師が入ってくる。

現在は事情により平日の釣りが可能な状況だが、過去7年は基本的にはサンデーアングラーだったため尚更そういう状況に遭遇する。
平日に長良川で顔を合わせる方々には「どんなマナーしてんだよ!」と言いたくなる釣り師は殆ど居ないが、休日は酷いものだと思う。

そういうことを避けるため、入川者の少ないポイントに入るとなかなか本命には出会えない。
入川者が少ない=実績がない=釣るのは困難・・・こんな図式なのは誰もが分かる。
それでも僕は少ない可能性に掛けた。
自分でクルマを川沿いに走らせ有望かなと思われるポイントも沢山見つけたつもりだ。
一級ポイントではないだろうが可能性はあると踏んだポイントで、人づてやネットの情報などから誰かが釣ったという話もよくきいた。
自分のポイントの見立ては悪くなかったと安心するが、自分が竿を出した時には掛からない。


今シーズンは有名ポイントを中心に釣行してきた。
掛かったがチモトで切られたり、アタリはあったけど乗らなかったことは何度かある。
でもそれだけでやはり未だに獲れない。

2月以降、釣り以外の毎日でも不運なことが続いている。
何故こうもうまくいかないのだと、正直なことを言うとかなり腐っている。
そんな鬱憤を晴らしたくて釣りに出かけるのに、楽しい筈の釣りが楽しくなくなってきた。
腐った気分が増長される。
「運気・運勢」というものを強く信じるわけではないが、こんな気持ちでは運気も上がらないだろう、釣りでもそれ以外でも、今は何をしてもうまくいかないときなのだなと思う。
寧ろ、腐った気持ちが増長されれば余計に運気が下がるだろう。
こんな釣りはとっととやめて、自分が楽しくなれる釣りをした方がいいなと思い始めた。



今日で、一旦終了だな。
そんな思いで早朝の長良川河畔に立って夜明けを待っていた。
ふと気が向いて竿を出すことはあるだろうが、これまでのように追い掛けるのは今日で終わりにしよう。
何故こんなに寂しい気持ちで釣りを始めなければならないのか、釣りの本来の目的からかなり離れてきたと思いながら流し始めた。

対岸に餌釣り師が1名、ルアーマンが入れ替わりで2名入川していた。
その誰にもアタリも、チェイスもないようだ。

少しずつ下流に釣り座を移動しながら、流し始めて1時間くらい経過した頃だった。
餌が瀬尻に差し掛かる頃に、コツンという軽いアタリがあった。
すかさず合わせたが鈎には乗らなかった。
流していた筋からするとウグイではないと思う。
ニゴイのゴツゴツしたアタリとは全く異なる。
餌をしっかり食おうとするアマゴのアタリとも異なる。
勿論、オモリが川底の石に当たる感触との判別はつく。
また空振りだった。

平日で空いていたこともあり、ポイントを休めながら9時頃まで流していたが、結局アタリはそれっきりなかった。
こんなもんだろう。ダメなときは何をしてもうまくいかないものだ。
潔く諦めよう。
今シーズンのサツキマスは終了だ。
もうそろそろ本流のアマゴたちもかなり大きくなっている頃だろう。
梅雨入りして川の水位が上がる前にどうしても入っておきたいポイントが益田川にある。
増水すると入れないポイントなのだ。
ずっと温めていたポイント。
早期に入川して場荒れさせるのが嫌で、眺めるだけにとどめておいたポイント。
そろそろ大型のアマゴが入っていてもいいんじゃないかな。

今シーズンも良い釣りをさせてくれなかった長良川よ、さようなら。
僕は益田川に引っ越します。


こんなことを書いて公開しようか否か悩みながら下書き保存していたのだが、ふと思うところがあった。
自分の釣り方のここが良くないのではないかと思う点が見つかった。
サツキマスの生態や川での付き場を考えていた時にふと思ったのだ。
これまで本流の大型のアマゴを狙うときと同じように釣っていて良いのだろうかとずっと考えてきたのだが、やっと答えが出たような気がした。
よく釣る人の釣り方、アマゴ狙いで釣っていたら偶然掛かったという人の話など、色んなことから沸き上がる疑問が解けてひとつに繋がった気がした。
外は雨模様だ。
もう一度だけ挑戦してみよう。
釣れなくてもいい。
取り敢えず、思い浮かんだことはやってみた方が良い。
諦めが悪いけれど、来シーズンに繋がる何かがあるかもしれない。


本流キングだそうな

2014-05-12 23:50:25 | 渓流釣り 道具

昨日立ち寄った釣り具屋で、目に留まったダイワのDVDを買ってしまったとひとつ前の記事に書いたのだが・・・
価格的にはたいしたことはないのだが、もうひとつこれが気になって買ったものがある。
オーナーの「本流キング」というゴツイ鈎。
どうやら9号がサイズのラインアップの中では最小らしい。

Dsc_0231

恐らく、というか間違いなくサクラマスをターゲットにした商品なのだろう。
僕が現在主に使っているのはグランの「サクラマス サツキマス」の3号。
それと線径は同サイズで、全体的な形も良く似ている。
グランの鈎を使用するようになってからそれまでよりはバラシが減った。
更にこの「本流キング」は「独自の角フォルム云々・・・」ということでバラシを減らすとある。
ならばということでこの「本流キング」も気になって買ってみたというわけだ。

そもそも、がっちり掛かっていれば、魚と鈎の大きさが余程そぐわない限り魚は獲れるだろうと思う(バラシはしないということであり、糸切れは除く)。
でも現実はどうだ?
理想的な上顎鈎なんてなかなかないよなあ。
上顎鈎には違いないが左右どちらかに寄って掛かっている。
下顎に掛かることもある。
舌に掛かることもある。
顔面に掛かっていることもある。
鼻の孔に掛かっていたこともある。

現実はこうなのだ。
だからがっちり掛けられなかったとしてもバラシにくいように、様々な形状の鈎が商品としてリリースされるのだろう。
釣り師にしてみれば、僅かな可能性にも期待したいところだし。


数釣りよりも大物狙いの僕は、例年シーズン初期は満足できる釣果のことは多くない。
昨シーズンは特に酷くて、もう充分に本流アマゴも大きくなった頃だというのに、不運であったり、予期しなかったりといった、仕掛けや道具のトラブルなどで大物を逃した。

そんなことがあって「気分転換に違う釣りをしよう、本流ではなく渓に入るか?」と思ったものの、少雨による渇水で渓ではまともに釣りが出来る状態ではなかった。
そこで、いつも使っている鈎を替えてみた。
本流アマゴ狙いのときは、オーナーの「スーパーヤマメ」をよく使うのだが、がまかつの「スーパートラウト」にしてみたのだ。
以前はよく使っていた「スーパートラウト」だったが、なかなかよい釣りが出来なかったとき、逆に「スーパーヤマメ」に替えてみたのだった。
飽く迄気持ちの問題。
でも、うまく気分転換出来たのかもしれない。
その後、盆休み以降はほぼ釣行ごとに尺上を獲ることが出来た。
残り少なかった「スーパートラウト」を使い切った後に「スーパーヤマメ」に戻してもツキは逃げて行かなかった。

今回もツキがないので気分転換。
次のサツキマス狙いの釣行では「本流キング」を使ってみるかな。
無駄かなと思ったけど、時間もあったのでチモトの網込み補強もやってみた。
とても面倒な作業だった。
でも負の要素は考え得る限り取り除いて川に立ちたい。


因みに網込み補強ですが、達者な作業ではないので気恥しいけれども・・・
↓↓↓

Dsc_0228

どうやっても編み込んだ部分は1本ハリスの状態のしなやかさは失くなってしまう。
ミミズ通しを使ってたくし上げるから構わないと言えば構わないのだが。


「釣れる!」 新・渓流釣り4・・・買ってしまったよ

2014-05-12 00:20:19 | 渓流釣り 徒然草

Photo

白滝治郎さんがサツキマスを手にしてこちらを向いていらっしゃるDVDを買ってしまった。
ダイワのフィールドテスター以外にご職業もあり、漁協での肩書もお持ちだとお伺いしている白滝さんだが、今日は飽く迄「ダイワ フィールド・テスターの白滝さん」ということで。


僕はこれまで釣りに関しては教本だとかDVDの類は買ったことがなかった。
解説文、画像、動画、媒体は何にせよ実釣とは違うのだから参考にならんと思っていた。
オフシーズンの暇潰しくらいだと思っていた。
ただ、毛色が少し異なる雑誌類は買っていた。
全国の色んな川のことが掲載されているので、いつか行ってみたいと思えるような川があるかなと楽しみにみていたし、一時期はダイワのフィールドテスターである笹尾さんの釣り方に感銘を受けたので、笹尾さんの記事のあるものは手に入れて隈なく読んでいた。
しかし、DVDは初めてだ。
~因みに笹尾さんが出演されているDVDも過去に販売されていることを今日やっと知った。もう少し視野を広げないといけないね~


実は先月、郡上漁協の前で白滝さんにお会いした。
「こんにちは」という挨拶の他に、二言三言お話しただけだったが、失礼ながらそれまでの気難しそうな印象が正反対に変わり、とてもソフトで笑顔の素敵な釣り紳士だとお見受けした。

それより少し前に、白滝さんご自身のブログ記事を読んでいて、凄いなあと敬服したことがあった。
仕事前の短時間で狙い通りにサツキマスを獲ったり、ここで話題に上げているDVDの撮影のための釣行でも獲ったと書かれていた。

最近特に何度も繰り返し視聴しているのだが、シマノのホームページで現在も公開されている、細山さんが長良川でサツキマスを狙ったときの映像がある。
それを観ていると、やはり名手、名人、達人などと呼ばれる方々の釣りを見るのは勉強になると感じていた。
そんなこともあって、小物類の買い足しに立ち寄った釣具店で目に留まり、思わず買ってしまった。


そしてそのDVDを観て感じたことなのだが、おこがましいことこの上ないと言われるだろうが、自分だったらこの筋を流すとか、このポイントならこういう順序で攻めていくとか考えることと、白滝さんがやっていることに大差無いように感じた。

つまり、白滝さんはこのDVDの中では勿論サツキマスを狙っているわけなのだが、僕が本流で大型のアマゴを狙っているのと大差無いのだ。
これまで大型のアマゴとサツキマスとでは着き場は異なるのではないかと思いながら手探りで攻めてきた感があるが、大型のアマゴを狙うつもりで自信を持って攻めれば良いのだろうか?

攻め方に大差無いと感じたとはいえ、さすがに釣果には違いが出る。
朝一のアタリは鈎に乗らなかったものの、夕マズメのアタリはきっちりと鈎に乗せていらっしゃった。
僕のようなバラシもチモト切れもなく余裕をもった遣り取りで、しかも0.4号の糸で白滝さんはサツキマスを獲った。
もし釣果も同じだったら大変なことだろうから当たり前の話だが。
ここが一般人と名手、名人と呼ばれる人の違いなのだなと痛感した。

とは言えやはり新たな発見はあった。
これまで僕は淵などで渦を巻いて複雑に流れているところは、狙いがサツキマスだろうが居着きの大型アマゴだろうが積極的には攻めてこなかった。
でも、白滝さんは攻めていたのだ。

僕が渦を巻く淵を積極的に攻めてこなかったことには勿論理由がある。
そのような場所は餌が流れる筋も常に変わるだろうから、餌を待ち受けている魚の方もあちこち動き回ることを余儀なくされるだろう。
ならばそんな場所よりも幾筋もの流れが行き着くところ、つまり開きの方に大型が着いているのではないか、そう考えていた。

仮に渦を巻いているのが表層から中層付近までで、底に近い方は穏やかに底波が流れているとしたら大型は着くと思う。
釣り師にとっても攻めにくいし、鳥にも狙われにくく安全だからだ。
そうは言っても僕はそのような場所をうまく流す技を持っていない。
仮に底まで餌が入っていったとしても、表層・中層の渦に巻かれて餌が躍ったり不自然な動きとなり魚に見切られる。
狡猾な大型渓魚が釣れることは先ず有り得ない。

いずれにしろ、今シーズンは何とか頑張って釣技の向上に励まねばならない。
渦を巻いているところでもうまく流せるようにしなければならない。
今はとにかく5月中に1本でいいからサツキマスを獲りたいのだが、それ以降はやっぱり本流の居着きの大型のアマゴを狙いたい。
もしかしたら、渦の下に今まで出会ったことがないような大物が潜んでいるかもしれない。

たいていのシーズンは僕は出だしは酷い釣果のことが多くてある程度はもう慣れてきたのだが、この辺で会心の一本を獲りたいなあ。
と思い、勢いで↓↓↓の書籍もアマゾンで購入を決めてしまった。

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2014/05/08 長良川 追憶のサツキマス VOL:Ⅲ

2014-05-10 03:46:09 | 渓流釣り 釣行記(サツキマス)

2014年5月8日。
この日は僕の41歳の誕生日だった。
特に信じているわけではないが、インターネットの各サイトのホーム画面などに掲載されている占いでは、5月8日の僕の運勢はいずれも最高に近いものだった。
いや、もしかしたら登録した僕の個人情報などを元に、誕生日を気分よく過ごさせてくれようとの取り計らいかもしれない。
信じる信じないはともかく、もし最高に近いような運勢ならばここはサツキマス狙いの釣行を敢行しないわけにはいかない。


転落が始まってこの日で6年目になる。
望まない不当な異動の辞令を受けたものの、当時の僕のプライドが許さず退職したのが2009年。
しかし、当時はリーマンショックの後で就職戦線はとても厳しく、約半年間僕は無職だった。
次の仕事はすぐに見つかるだろうという思いはあまりにも浅はかだったと後悔していた。

これ以上ブランク期間を延ばすわけにはいかないと思い、なんとか採用になった企業では契約社員の雇用だった。
職務は「営業」ということになっていたが、世間では「お遣い」のレベルだった。
正社員登用制度有りということだったが、そんなものは詭弁に過ぎないとすぐに悟った。

2011年に、以前勤めた企業と業界的に近いメーカーに営業職で再度転職した。
顧客の課題や問題点に対して解決策などを提案しながら関係を深めていくことが得意だった僕は、もう一度メーカーの営業として活躍したいという思いを抱いていた。

ところが蓋を開けてみれば真逆の社風だった。
メーカーとしてそれで良いのかと目や耳を疑うことが頻繁にあった。
長期にわたって顧客との関係を築くなど望めない売っておしまいの営業スタイル。
その場の雰囲気で勢いでサインさせてしまうような営業手法を推奨していた。
契約を取らねばならない、これが僕の仕事なんだと自分に言い聞かせようとしたが、顧客を騙して商売しているような気分になり、強い葛藤がいつも心に介在していた。
次第に契約は取れなくなり、僕の心は疲弊していった。
僕は鬱病を発症してしまった。

回復したと判断して社会復帰するもすぐに再発してまたドロップアウトした。
今度こそ大丈夫だと、完全に回復してから勤め始めた企業では、ある日突然「もう来なくていいよ」と言われた。
明言はしなかったがその数日前からの様子から察するに、病歴が解雇理由であることには疑いようがなかった。


そして現在も僕は無職だ。
年齢やここ数年の職業履歴から考えると、そう簡単にはどこの企業も雇い入れてはくれない。
はっきり言って、毎日面白くない。
今はもう心身ともに健康状態には全く問題はない。
けれど、勤め先がない。

40年生きてきて、今日で満41年。
這い上がれなくてもいいから、ならば這い上がれないなりにどういう生き方をしたら自分は幸せになれるだろうか。
答えは勿論釣りだ。
釣りが出来ない人生なんて考えられない。
贅沢で豪奢な生活をしたいという思いはない。
慎ましい毎日でいいから、休日に思う存分釣りのできる人生を送りたい。
それが僕の幸せだ。


夜空を見上げながら僕はこんなことを考えていた。
自宅を出た時から興奮していた僕は、釣り場に着いても車中で寝付かれなかった。
夜明けまで3時間弱。
その少し前から川の様子は分かる。
少し寒いが釣り座に着いていることにした。

今日こそサツキマスを獲る。
今日は獲れる日なのだ。
41歳の誕生日に41cmのサツキマスを獲るとか、そんなミラクルなことがあってもいいじゃないか。
ここ何年も面白くない日を過ごしてきたんだし、今日くらい楽しんでもいいではないか。
根拠は何もなかったが、僕は今日こそ獲れると息巻いていた。


しかし現実はそう甘くはない。
周囲がはっきりと明るくなったときに気付いた。
今日の長良川は濁っている。
若干ではあるが、確実に濁りは入っている。
あまりよろしくない状況だった。

前回の釣行時も、夜明けから竿を振り続けて全く反応がなかったのに、いきなり昼前になって掛かった。
そんなこともあるのだから、諦めずに流そう。
今日は平日だし、前回のように20~30mの距離の行ったり来たりではない。
もっと広範囲に探れる。
必ずここにはサツキマスが入っているんだ。
そいつを獲るために今日はここへ来たのだ。

そうやって何度も自分に言い聞かせながら根気よく流してみたものの、ウグイらしきアタリが一度。
一旦見切りをつけようと、昼前にその場所を離れることにした。


何処から入っているのか分からない濁りだったが、少しずつ上流に移動してみることにした。
先ほどのポイントの一つ上流の有名ポイントは朝から停まっているクルマが今も動かない。
様子を見に川原に降りたが入る余地はなかった。
一人の釣り師に釣果を尋ねたところ、戻りアマゴが1本ということだった。
今日はサツキマスを釣るには難しい日なのかなと思い始めた。

再度クルマを走らせもう少し上流の有名ポイントを覗いてみたが、そこも先行者が複数名竿を出しており入る余地はなかった。
しかし、その上流にいい流れがあったことを記憶していたのでそのまま川原の道を進んでいった。
ここでは長良川の水は清澄だった。
流れもいい感じだ。
期待に胸を膨らませながら流し始めたが、程無く風がかなり強くなってきた。
時には魚が掛かって走り出したのかと思うほど竿が強く煽られとても釣りのできる状態ではなくなった。
今日は一日中竿を振っていたかったんだけどな・・・と思いながらもこの状況では為す術もない。
夕方になって風が弱まるのを待って再開しようと考え、午前中のポイントに戻り休むことにした。


時刻は16時少し前。
周囲には誰も居ない。
午前中にさんざん探ったポイントだったが、昼のうちに下流から遡上してきた新たなサツキマスが入っているかもしれない。
諦めるなと自己を鼓舞し流し始めた。

しかし、現実はあまりにも残酷だった。
午前中同様何の反応も無い。
誕生日の釣りがこんなでは今年の僕の運勢も知れたものかと寂しい気持ちになりかけたが、過去の高原川での釣りを思い起こし、根気よくと言うべきか執念深くと言うべきか、とにかく僕は流し続けた。


2008年8月の高原川。
それまでヤマメを釣ったことがなかった僕は、是非一度ヤマメを釣りたいと思い高原川に向かった。
アマゴとヤマメの違いなど魚体の朱点の有無のみで、実釣では何も変わらないだろうと言われそうだ。
僕は今でこそヤマメよりアマゴの方を好んで釣るが、その時の僕はまだ見ぬヤマメを釣りたい一心だった。
しかし、夜明けと同時に竿を振っていたものの、釣れるのは新仔ヤマメのみ。
日中風が強くなり一旦渓に入ったが、何故か渓でウグイの猛攻に遭う。
今日はまともなヤマメには出会えないのかと諦めかけたときに夕立が襲った。
恐らくそれで魚の活性が上がったのだろう。
朝一で入ったポイントに夕マズメに再度竿を出した。
もう日も暮れかけたときにあたったその魚は尺ヤマメだった。
初めて獲ったまともなサイズのヤマメが尺ヤマメだったのだ。
あのときの喜びは今でも忘れられない。
完全な負け試合だったものを、逆転満塁ホームランでサヨナラ勝ちしたような気分になった。


諦めそうになる気持ちを、高原川での釣りを思い起こすことによって何とかつなぎとめて流し続けた。
あの日ももう殆ど諦めていただろ?
日が暮れかかって今日はここまでかって思った時にあたっただろ?
絶対来るぞ、諦めたらアカン。

時刻は18時半を回った。
高原川でヤマメを獲ったのは18時だった。
もう無理か・・・そう思った時、ゴンゴンと強い魚信があった。
僕はすかさず合わせた。
魚は首を振る。
しかし、軽かった・・・


その小さな魚体からは想像できないほど強くてシャープな引きで走り回り、ヒラを打って楽しませてくれたアマゴは、20cmを少し越えるくらい。

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戻りアマゴとも言えないサイズだが、暮色に染まる長良川河畔で眩しいくらいに輝く銀色の魚体は、河口付近とまでは行かなくとも、本流をある程度降った個体なのだろう。
今年一年を象徴するようなサイズになりそうだなと自嘲的になったものの、体高こそないが分厚い身体で美味しそうだった。
しかし、食べるわけにはいかない。
僕の誕生日を祝いに来てくれた愛おしいアマゴ姫ではないか。
よく見ると銀色のボディに薄く散りばめられた朱点も僕の好きなタイプだ。
日頃なら絶対に撮影などしないサイズだったが今日だけは特別にと思い、優しく丁寧に彼女に触れながら写真撮影を行なった。

「もう釣られるなよ~」と今しがた自分が釣ったにもかかわらず、勝手極まりない言葉を掛けながらアマゴ姫を流れに返した時には周囲はかなり暗くなっていた。

次回こそ、サツキマスを。


2014/05/04 長良川 追憶のサツキマス VOL:Ⅱ

2014-05-06 01:50:49 | 渓流釣り 釣行記(サツキマス)

前日の益田川釣行の後、その足で長良川に向かった。
GW中ということで入川者は多いだろうから早く到着して早すぎることはないと言っても良いくらいだろうと思ったからだ。

ポイント近くにクルマを停めて車中泊をした。
まだ夜が明けぬうちから川辺に立っていたが、次第に空が白んでくると対岸には既に釣り師が二人立っているのが分かった。

対岸の下流側に釣り座を構えていたルアーアングラーはまだ暗いうちからキャストを開始していたが、自分は延竿を使った餌釣りのためもう少し明るくなるのを待たなければならなかった。
以前は糸にケミホタルかぎょぎょライトをつけて暗いうちから竿を振ったのだが、それではタナを取ることが難しいため通い慣れた釣り場でないと通用しない。
更に言うと、目印が確認出来るほどの明るさになっても川の中の様子が分からなければタナを取りにくい。
そのような理由から、朝一番はまず手前の方からタナを取りながら流している。
魚の方も朝早いうちは岸に近いところに着いていることもままある。

勿論岸からの距離が遠くなれば水底は見えないが、ある程度の距離までは水底まで見渡せていないと、出鱈目にタナを設定しても根掛かりするだけだ。
せっかく暗いうちから発光物体を装着して竿を振っても仕掛けの付け直しで時間のロスとなる。
ここは焦らずにもう少し待っていた方が良いという判断で、サツキマスのハネがないか川を見渡していた。

周囲がはっきり明るくなると、次々にサツキマスを狙うアングラーが入川し始め、一番多い時で両岸で10名ほどが竿を振っていた。
しかし誰の竿も立たない。
ひとり、またひとりとその場を去り、8時半の時点では半分以下に減った。
僕も場所を変えようかと何度も考えた。
さんざん流したのに全く反応がないということは魚が居ないか、或いは居ても無反応か、いずれにしても釣るのは難しい。
これまでにも今朝のような状況のときには早めに見切りをつけて別のポイントに向かっていた。

しかし今日は休日、しかもGWである。
場所移動したところでうまい具合に自分が入れるとは限らない。
ところが辺り一帯の釣り座が空いた後に別の入川者が居ないということは、この日の長良川にはアングラーは少ないのかとも考えられる。
ならば別の場所に移動して、そこに自分が入る余地は有るかもしれない。
しかしながら自分の釣り方は延竿を使った餌釣りである。
ポイントに入るには入れたが有望な筋には届かないということも充分考えられる。

朝一番に入ったポイントで30mくらいの区間を2往復した後、ポイントを休めながらこのようなことを考えていたが、結局僕はいつものやり方ではなく、そのポイントに留まることにした。
一帯にサツキマスが入っていることは間違いないと確信していたし、何かのきっかけで活性が上がることがあるかもしれない。
今日はこのまま適宜ポイントを休ませながらここで粘ろうと決めた。


一体何往復して何回休ませたか覚えていないのだが、11時近くになって風が出てきた。
目的の地点まで振り込みにくくなってきたのでオモリを追加した。
お陰でこれまで届かなかった筋まで届くようになったのだが、その筋を流して2度目のとき、ゴンゴンとあたった。
間髪いれず強めに合わせ、続けて追いアワセを入れようとしたときに軽くなった。
仕掛けを引き上げるとチモトからハリスが切れていた。
首振りの際に歯が当たって切れたのだろうか。
姿は見ていないが、確実にサツキマスのアタリだったと自信を持って言える。
やはりここにサツキマスは入っていたのだ。
今日の自分の判断は間違ってはいなかった。

その後も諦めずに流したが、ウグイらしきアタリが一度あったのみで、本命からの魚信はなかった。
風がかなり強くなりまともに竿を振れなくなってきたので納竿としたが、チモトから切れたことに対してやはり何か対策をしないといけないなと考えていた。

これまで本流の大型のアマゴやヤマメを掛けてもチモトから切られたということは数えるほどしかない。
運が悪かったと諦めるしかないと言って納得できるくらい滅多に遭遇しない。
だから僕は網込み補強などはしてこなかった。

ところがこれがサツキマスを狙っているときとなると話が違う。
アマゴ狙いの時と比較するとかなりの高確率でチモトから切られる。
1シーズンで僕が感知するサツキマスのアタリはいったい何回ほどだろう。
さんざんアマゴを釣ってきても数えるほどしか切られていないことを思うと、やはり対策は必要だろう(因みにハリスの途中で切れたことは皆無である)。

餌釣りでサツキマスを狙っている皆さんはやはりチモトの網込み補強などをしているのだろうか。
していなくても無事に魚が獲れているのだろうか。
掛けてもバラしてしまうことが多い魚だということは多くのアングラーのブログや話から容易に推察できる。
しかしチモトで切られるというのは自分以外あまり聞かない。
そもそもサツキマスの歯でハリスが切られるということは本当に起こり得ることなのだろうか。
実は歯と歯の隙間に糸が入って切られることは滅多になくて、自分の結束方法が良くないだけなのだろうか。
タタキの部分にハリスが当たっているのだろうか。
でもそれは結ぶときに毎回確認している。
更に結び目が回らないことも確認している。
締め方が甘いのだろうか。
実釣中に締めが緩むのだろうか。

とにかく今の状態では次に掛けた時も切られる可能性は非常に高い。
何度掛けても獲れないとなると、自身の仕掛けや釣り方に問題があると考えるのが自然だろう。
「もういい加減にしてもらいたい。何故自分には獲れないのか。」と投げたくなってくる。
でも僕はそんなに欲深いことは言っていない。
べつに30cm台の個体でも獲れれば嬉しい。
1シーズンに1本でいい。
銀色の綺麗な魚体を拝みたい。


僕はもともと鮭が大好きだった(今でも鮭科魚類全般が好きだ)。
自分の住む街にも鮭の遡上する川があるといいなと思っていた。
渓流釣りをするようになりサツキマスという魚のことを知った。
あるとき、ふと思ったのだ。
「そうだ!自分の住む街ではないけど、岐阜県には長良川があるじゃないか。サツキマスに会えるよな!」

本当は、僕の渓流釣りの大命題は、「パーマークが鮮やかに残った居着きのアマゴの40cmオーバーを獲ること」である。
自分が死ぬまでの目標としている。
でも1シーズンに1本くらいいいじゃないか。
鮭をスケールダウンしたような見事な銀色の魚体をこの手で釣り上げることを許してくれても。
一体いつになったら獲れるのかなあ。