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ミセン ~未生~ 第6局

2020-10-20 15:00:00 | ミセン ~未生~ あらすじ
 ミセン ~未生~ 第6局 

早朝 チャン・ベッキが一番乗りで出社した
このひと時の静寂を 心から楽しむベッキ
パソコンを開き 社内掲示板に目を通し 新聞記事をチェックする
そんな居心地のいい空間も 上司の出社で一瞬に消える

『カン代理 今日は何からしますか?』
『急ぎの仕事を済ませてからだ 待ってて』

カン代理の指示無しに仕事は始まらない
ベッキは 居場所もなく給湯室へ

営業3課から オ・サンシクの叫び声が聞こえる
何やら仕事を達成したらしく キム・ドンシクと抱き合って歓喜している
チャン・グレも同様に 満面の笑顔だ
隣の2課も身を乗り出し コ課長が我が事のように喜んでいる

『これだから商社マンは辞められん!』
『息子さんたちにもらったネクタイが効いたんですよ!』
『来い!コーヒーをおごるぞ!』

おごると言っても給湯室のインスタントだ
なんだよー と不満顔のドンシクとグレ
ベッキは “契約社員”のグレが 共に喜びを分かち合っていることに焦りを覚える

すると突然 隣の休憩室から IT営業課長の怒鳴り声が聞こえる
イ課長が 押しの弱いパク代理を激烈に叱り飛ばしているのだ

あんな人のいいパク代理を… と同情するドンシク
礼儀正しい模範的な男だと オ課長も褒める
ベッキとグレは イ課長の引率で 取引先の見学をすることになっていた

一方 資源課では

チョン課長が アン・ヨンイの仕事ぶりに激怒し怒鳴りつけている
ハ代理の指示で作成した文書が間違っているというのだ
怒りの矛先はB/Lの話題になり 発覚したのはヨンイの仕業だと言い出す
『これだから女は!』と怒鳴られ 涙がこぼれそうになる
しかし泣き出せば また女だからと怒鳴られるに決まっている
出て行け!と怒鳴られたヨンイは 必死に涙を堪え会議室を出た

その悲惨な状況を ハン・ソンニュルが見ていた
ソンニュルは その足で3課へ!
ヨンイがB/Lの件で責められていると聞き オ・サンシクの表情が曇る
そこへドンシクが戻ると『先輩!』と敬礼するソンニュル

『親し気にするな 同じ塾に通ってたって 俺は全州(チョンジュ)
お前は蔚山(ウルサン)だろ 先輩でも何でもない!』

そんなことより!と仕事のボヤキを始めるドンシク
せっかく頑張ったのに また仕事を横取りされると…!

『それってタイのラーメン輸入のことですよね?
でも 3課の実績にならなくても1課と2課には得な話!
ウィルマートだって乗り気じゃないってことですもんね』

『お前… 繊維課なのに何で詳しいの?』

見かねたグレが ソンニュルをギロリと睨み もう帰れと目配せする
するとそこへウィルマートからメールが! 帰りかけたソンニュルが戻ってくる!
メールの自己紹介を見て 突然オ課長が笑い出す
何と 取引の相手は昔の同級生だというのだ
これで難航していた契約も可能だと!

同じ時 アン・ヨンイは

地下駐車場の車から 板のサンプルを運び出そうとしていた
通りかかったグレが心配するが… 大丈夫だと断るヨンイ

それでも気にかけるグレだが オ課長は無視を決め込んで振り向きもしない
手伝うことで またヨンイの立場が悪くなると…
しかし 結局ヨンイは責められる
ハ代理が せっかく通りかかったのに何故手伝ってもらわないのかと!

その時 板のサンプルが重過ぎて手が滑り ヨンイは足を負傷してしまう!
医務室へ行け!と怒鳴られたが それでも散乱した板を拾い集めるヨンイ
これだから女は!と言われ続けて意地になっていた
ハ代理もまた そんなアン・ヨンイに苛立ちしか感じなかった

一方 オ課長とグレは

ウィルマートの応接室で 懐かしい顔が現れるのを待っていた
30分以上待たされ ようやく昔の友が飛び込んで来て再会を喜び合う!
しばし大騒ぎし “ダメピョン”こと ウィルマートのピョン部長は仕事の顔になる

またしても広い会議室で待つことになるのだが オ課長は安堵していた
“ダメピョン”が交渉相手なら もう契約は成立したも同然だと
しかし… その後2人は1時間以上も待たされることになる

ようやく現れたピョン部長の表情は硬く グレには雲行きが怪しく思えた
オ課長は 昔のよしみの“ダメピョン”相手に まずは説明を聞けと…
ビジネストークではなく あくまでもフランクにタメ口を貫いた

しかしウィルマート部長ピョン・ヒョンチョルは “ダメピョン”の顔には戻らず
もう“サンシク”とは呼ばず “オ課長”と呼び敬語を使い始めた

『オ課長 あまりに簡単に考え過ぎでは?
事業内容を検討し こちらから改めて連絡します』

そこへ 部下がピョン部長を呼びに来た
これから大事な会議という時に ネクタイをしていないことに気づくピョン部長

『ピョン部長 これをお使いください』

オ・サンシクは 自分のネクタイを外し差し出した
それは 子供たちからプレゼントされたお気に入りのネクタイだ

3課に戻ったオ・サンシクの表情は険しく 無言でパソコンを見つめている
ドンシクが(どうした?)と目配せするが グレにはどうにも説明のしようがない

しばらくして ピョン・ヒョンチョルから サンシクの携帯に着信が!
さっきは忙しくて悪かった…と謝る口調は昔の“ダメピョン”だ

『久しぶりに飲まないか? 今夜なら空いてるぞ』
『お…おう! だったら場所は俺が決める』
『分かった さっきの新人も一緒にな!』

サンシクは気を取り直した
やっぱり友達だと… 奴の好物の豚足をおごってやろう!と張り切る

その夜

大人気店の豚足屋の前で ピョン・ヒョンチョルの表情が曇る
確かに豚足は好きだが…と あからさまに不満を口にした
結局2人は ヒョンチョル行きつけの高級店に連れて行かれる
普段の居酒屋に比べたら 正直に言えば居心地が悪い
しかし“ピョン部長”は あくまでも商談のための“接待”を受けに来たのだ
旧友と酒を酌み交わしたいサンシクとは そもそも趣旨が違っている
ここでサンシクは ようやく“ダメピョン”の真意を察するのだった

いよいよ商談成立のための“接待”が始まる

『そっちの新人はどこの大学を?』
『僕は…』
『こいつは高卒なんだ』
『あ なんだそうか! お前んとこは随分寛大だな 学歴を問わないとは!』

“ダメピョン”と呼んでいたくらいだから 昔はサンシクが優位だった
常にヒョンチョルを庇い守ってやった気でいた
そんな関係だったが いちばん仲が良かった奴だと思い込んでいる
今は 取引先の部長という立場になった“ダメピョン”に 商談成立のための酌をする

『よろしく頼むぞ』

サンシクは 最後までヒョンチョルに敬語を使わず友として接した
そうしてこそ 旧交を温め合い 商談もうまくいくと信じていた

『お前の仕事も大変だよな こうやっていつも酒を飲むんだろ?』
『ああ大変だ 内臓がやられるよ!』
『優秀だったからとっくに出世したかと思ってたよ 何が楽しくて商社マンに?』

グレは これ以上 オ課長に酒を注がせたくなかった
初めての接待の席だったが 積極的に前に出てピョン部長に酒を注ぎ続けた

『じゃあ くれぐれもよろしくな!』
『ああ!俺を信じて待ってろ!』

ぐでんぐでんに酔っぱらいながら ピョン部長をタクシーに乗せた
タクシーの窓から何かが投げ落とされる
それは あの日サンシクが貸したネクタイだった

翌朝 酷い二日酔いで出社したが とても仕事が出来る状態ではない

チャン・グレは エレベーターでIT営業課のパク代理と乗り合わせる
パク代理は 携帯で私用通話中
子供の習い事にお金がかかる件で 妻と揉めているようだ

鉄鋼課では

意欲的に 仕事をさせてほしいと申し出るチャン・ベッキだが
カン代理は まだ無理だと言うばかり 取り付く島もない
そこへ パク代理が 一度却下された企画書を持ってくる
再び交渉に来た割には 簡単に引き下がりさっさと帰ってしまった

IT営業課では

戻ったばかりのパク代理が イ課長から ヨンソン実業の件で急かされる
電話で済まそうとするパク代理に 直接行け!と怒鳴りつけた!

いつまでも納品しないヨンソン実業に 催促しに行くが…
のらりくらりと交わされた挙句 あっさり引き下がってしまう
そして その報告すら電話で済ませようとし イ課長の逆鱗に触れた!

営業3課では

友人が交渉相手だからと余裕で出て行ったのに あまりに雰囲気が悪過ぎる
そこへ ウィルマートから連絡が入る
周囲が固唾をのんで見守る中 電話に出るオ課長
しかし会話は続かず 相槌を打つだけで電話は切られた
その後 発狂したような雄叫びが続き オ・サンシクは抜け殻のように押し黙る
フロア中に響くキム部長の叱責が延々と続き…
やっと解放されたサンシクは 屋上で 直接ウィルマートに連絡を取る

『断った理由は?』
『理由って言われてもな ま、最初から受ける気は無かったってことだ』
『なぜここまで気を持たせたんだ? 俺に恨みでも?』

ピョン・ヒョンチョルは ここで初めて本音を語る

『確かに昔はお前が優位だったさ』
『何?』
『今はその逆ってこと! じゃ!同窓会で会おう!』

オ・サンシクは 自分のバカさ加減に笑うしかない
現状ばかりか 昔の友情さえ否定された気分だった
自分だけがそれを分かってなかったと ただ笑うしか…

職場に戻ったサンシクは 抜け殻のように動かない
ドンシクもグレも かける言葉が見つからなかった
しばらくしてドンシクが グレにメールを送る

〈営業で何がキツいかって 知り合いを相手に交渉しなきゃいけない時だ
“接待”ってのは完全に上下関係が出来てるからな 友達なら尚更さ〉

一方 IT営業課のパク代理は

友達のソンシクが 退職して大学院に進み 一流企業に再就職したと
妻との電話で 自分も…と言いかけたが 妻はすでに子供の習い事を申し込んだという
飛躍したいという思いは 妻に告げることさえ出来ず不発に終わってしまった
ソンシクによれば “家族のことなど考えず ただ一心に自分を優先した結果” だという
利己的に突き進んで その決断に責任を持てば道は拓けると…!
今の自分は確かに幸せなのに 最近なぜか帰りたくないパク代理だった

パク代理は 相変わらず電話連絡だけで取引先に催促を続けている
するとイ課長が 自分に代わり新人を取引先に引率し見学させるようにと言う

チャン・ベッキは あんな代理の引率では学べることがないとため息をつく
もうひとりの見学者チャン・グレは 通りかかったパク代理に挨拶を…
丁寧な挨拶に 自分なんかが…と恐縮するパク代理

『オ課長が パク代理から学んで来いと
“取引先にも礼儀正しい模範社員だ”と言ってました』

これに気をよくしたパク代理は 他にも何か?と言うが 言葉に詰まるグレ
オ課長が 何気なく言った言葉を誇張して 社交辞令のつもりで言っただけだった
それでも十分に気をよくしたパク代理は 取引先に向かう車中で饒舌になる
営業とは…と語りまくるパク代理に 後部座席のベッキは辟易する
実力を伴わない理想論が 目に余るとして相槌すら打たない

ある日 なかなか期日を守らない業者がいた
社長を筆頭に平身低頭で縋りつかれたが あくまでも毅然として
“すべて規則に従って処理します”と言い放った

この武勇伝を ベッキは絶対に嘘だと見抜くが グレは目を輝かせて聞いている
新人相手にホラを吹き パク代理は 本当に自分が出来る人間のような気がしてきた
これから向かうのは 例のヨンソン実業である
なかなか在庫の確保をしてもらえず 納品が滞っている取引先だ

『在庫が無いのではなく 他の企業に回しているのでは?』
『え?』
『うちが舐められている可能性は?』

ベッキの指摘に動揺するパク代理
長年信頼関係を築いている取引先に そんなことは有り得ないと否定する
しかし その答えはドアを開けずして中から聞こえて来た

『ワン社の催促は無視していい それより新規開拓に在庫を使え!
どうせワン社は何もしてこないから 引っ張り続けて放っておけ
パク代理なら 適当に言い訳しとけばどうせ引き下がるさ』

長年の信頼関係が築けていると信じていた
そうではないことが 今 新人の目の前で明らかになった

すべてを聞かれたと知ったヨンソン実業の課長は 平謝りで取り成そうとするが…
ショックを受けたパク代理は 2人を引き連れその場を後にする
何も学べないと知ったベッキは 先に帰ると言い出す
困っている代理をひとりに出来ないというグレにも呆れ さっさと帰るベッキ

チャン・グレは パク代理が車中で語ってくれたことを
今こそ見せてもらえるのだと信じ 期待を込めた目で見つめる

パク代理は 新人の前で大恥をかいた
しかし何より 自分の甘さから会社自体がバカにされたのだと反省する

会社の前では担当課長が待ち構えていた
何とか今回のことは大事にしたくない
ワン社とヨンソン実業の関係は 確かに長きに渡り安泰だったのだ
このことが上に知れれば 担当部署間の問題ではなくなる

担当課長は すぐにも在庫を確保し納品すると言うが
それが今すぐ出来るという事実が さらにパク代理を突き刺した
自分の甘さのせいで 何度催促しても納品されなかったことが確定したのだ

自分には営業マンとしての実力がない
もうこの会社を辞めよう そう決心したパク代理だったが
チャン・グレの熱い視線が ずっと自分を見ているのに気づく
社内で語った武勇伝を今こそ…!と

そんなグレの熱い視線と
友達の “利己的に突き進みその決断に責任を持て” という言葉が
諦めかけていたパク代理の背中を押した

『課長! すべて…規則に従って…処理します!

パク代理とチャン・グレは 社長室に通された
もはや担当課長が処理しきれる問題ではないと 社長自らが謝罪する
“すべて規則に従って処理します”の言葉を繰り返すパク代理

ヨンソン実業の社長と幹部らは 表向きはパク代理に謝罪しているが
事を荒立てたら…とか ワン社の幹部の名前を出し 気弱なパク代理を脅している
それもまた 十分に感じているパク代理だった 押し切れると思われているのだと

だんまりを続けるパク代理
すると今度は 社長が激高し 声を荒げて幹部を叱責し始める
自分が折れないせいで幹部たちが… とパク代理に思わせるためだ
さらには 「契約解除」や「賠償」という言葉をチラつかせてくる
社を挙げての一大事に発展させては パク代理に処理能力はない
怖気づいて引き下がらせる作戦なのだ

『それにつきましては… 本社に持ち帰り検討させていただきます!』

きっぱりと言い切るパク代理に ますます激高する社長
パク代理は腰を浮かせ何度も立ち上がろうとし 気持ちが折れそうになる

(囲碁でいう「妙手」「奇手」
これは声東撃西か 部下を叱りながら実は代理を追い詰めている)

※声東撃西:口では東を攻めると言っておきながら、実際には西を攻める

このままでは…と按じたグレが キム・ドンシクにメールし電話をかけさせた
『会社から連絡が…』というグレに視線が集中する

〈こちらで問題が起きて帰りが遅くなりそうです
社長が弊社に出向き説明するということです〉

グレの機転で ヨンソン実業の茶番は終了した
社長自らが出向く事態に IT営業課のイ課長が対応に追われた
会社対会社という構図になれば 関連部署はIT営業課だけに留まらない
ワン社は 蜂の巣をつついたような大騒ぎになった

自分の仕事そっちのけで社内中を廻り状況を把握しようとするハン・ソンニュル
すると ヨンソン実業の面々の先頭にパク代理とチャン・グレが!

物々しい雰囲気の中で会議が始まろうとしていた
するとパク代理が チャン・グレを会議に参加させてほしいと願い出る
新人が見学したに過ぎないが パク代理は グレに最後の結末まで見せたかったのだ

早々に見学を切り上げたチャン・ベッキは この事態に驚きもしなかったが
会議にグレも参加していると聞き表情を変える
ソンニュルは 通りかかったアン・ヨンイにも興奮して状況を伝える
社を挙げての重要会議に チャン・グレが参加していると!

会議室では

7回に渡って納品期日を守らなかったヨンソン実業について
まずは 担当であるパク代理の説明が求められた
同席したグレは パク代理がヨンソン実業を庇うのではないかと危惧する
(囲碁でいう「逢危須棄」
どうか無責任になって危険な駒は捨ててください!)

逢危須棄:危険な石は早めに捨てる

グレは咄嗟に “無責任になるべきです”と書いたメモを渡す
パク代理はじっとメモを見つめ 静かに説明を始めた
この説明を受け 現場に足を運んだからこそ この事態を把握することが出来たと
会議に参加した上層部は みな口を揃えた

しかし パク代理には分かっていた

『7回も納品が送れたのに私は何もしませんでした 問題を先送りにしていたのです
悪いのはヨンソン実業ではなく… この私です
私が甘く見られ 引いては会社が甘く見られる結果に…』

グレは 何で…という目でパク代理を見上げた
少しだけグレの方を見たパク代理だったが さらにヨンソン実業を庇い続ける

『君は 入社して何年になるのかな』

突然の社長の質問に戸惑うパク代理
代わりに上司が 4年ですと答えた

『ちょうど夢を見る時期だな』
『この程度でヨンソンは切らないよ 長年の付き合いだ』
『お前何様だよ』
『どう責任を取ると?』
『まあ今は 悩む時期だな』

社長をはじめ上層部は どの顔も笑顔だった
たった一度の失敗で責任を取り辞めていたら会社は続かない
辛酸舐め尽くして一人前の営業マンになる
悩んで悩んで悩み抜き 明日への糧を得ることこそ人生だ

グレは パク代理にメモを渡したことを後悔した
まだ新人の自分が 会社務めも駆け出しの自分が 偉そうに助言したのだ

(誰にだって自分だけの“囲碁”があるのに… 僕は何様?)

落ち込み過ぎて3課に戻れないグレ
通りかかったベッキが だから残っても無意味だったんだと諭す
そこへパク代理がやって来て グレに深々と頭を下げ感謝の言葉を…!
グレの後押しがあったからこそ この問題に立ち向かえたと
上司に頭を下げられ ますます恐縮するグレだった
互いに頭を下げ合うこのお粗末な2人に呆れながら
ベッキは なぜか敗北感を感じている自分に苛立つ

それにしても…
普通であれば パク代理は懲戒解雇になるのでは?と
グレは 素直な疑問をドンシクに投げかける
ヨンソン実業には何のペナルティも無しで 新たな条件で再契約も成された
そしてパク代理には「問題点と再発防止策」についての報告書を とだけだった

『これが総合商社の妙なんだ あちこちリスクだらけだから防ぎようがない
そのひとつひとつを厳密に裁いて排除してたらキリがないし
それじゃ取引先も働く者もいなくなる
とにかくいろんな問題が次々と起こるからね 要は再発防止こそが大切ということ』

そこへオ課長が 「再発防止」の報告書がなってなきゃ再発した時に処分されるという
会社からお咎め無しでも 問題を起こした本人は苦しむのだと

その時 オ課長の携帯に〈パソコンのメールを見て〉と連絡が
子供たちからの動画の声に 隣のコ課長も身を乗り出す
幼稚園で 友達と言い合いになる3男の声

〈商社マンって?〉
〈商社マンはスーパーマンさ!世界中を飛び回るんだぞ
貧しい国も豊かにするし 水の無い国に水を売る! メガトンヒーローだ〉
〈ウソつき!〉
〈何だと?お前もパパに言って売り飛ばしてやるぞ!〉

『アハハ!言い方が課長にそっくり!』
『頼もしいな 跡を継がせるか?』
『そうだ だから仕事を続けていける』

そうなんだ 誰にだって自分の“囲碁”があると グレはしみじみと感じていた

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ミセン ~未生~ 第5局

2020-10-15 15:00:00 | ミセン ~未生~ あらすじ
 ミセン ~未生~ 第5局 

営業3課に オ・サンシクの怒号が飛ぶ
怒鳴られているのは インターン社員チャン・グレ

『何で資料がバラバラなんだ! 契約書!告知書!現況報告!考えて並べろ!
これじゃ引き継いだ資源課が困るんだぞ!』

息つく暇も無い程のしごきを受けながら 必死に食らいつくグレ
同じ時 繊維課のハン・ソンニュルは… 心ここにあらずの上の空だった
現場しか知らないソンニュルにとって 事務方の職場は何とも居心地が悪い

一方 鉄鋼課のチャン・ベッキは 実力発揮の機会もなく 沈黙を強いられ
資源課のアン・ヨンイに至っては 弁当の買い出しなど雑用係に明け暮れる
仕事の基本から叩き込まれ しごかれるグレの方がまだマシと言うべきか

ある朝 エレベーターを待つグレとヨンイ
そこへオ・サンシクが現れ 続いて営業1課次長ソン・ジヨンが並ぶ
2人は同期だが ジヨンは女性ながら次長に昇進している
常に早朝出勤するソン次長を この時間に見かけることは少ない

『今日はゆっくりなんだな』
『娘を保育園に送ってきたのよ いつもは夫の役目だけど』

部下からの人気も高く また尊敬されるワーキングマザーでもある
これから グレたちインターン社員の新人研修を担当することになる

3課に着くなり 決裁書類に目を通すサンシク
質問攻めに遭い 慌てて答えようとするグレだが 何とも専門用語に苦戦する

『いちいちメモに頼るから覚えきれないんだ!』
『はい』
『書類は送り先と日時で整理!』
『はい』
『資源課への書類は!』
『昨日提出を』

どんなに怒られても ダメ出しの嵐でも
メモに頼るなと言われてもメモを取り グレは 淀みなく着実に覚えていく

資源課では

チョン課長が マ部長の決裁を仰ぎ 質問に答えながら書類を差し出す
この気難しいマ部長の決裁を取り付けないことには 仕事が前に進まない

『おい!このトルクメニスタンの書類 B/Lドラフトしかない!』
『えっ?!』
『オリジナルは? 3課から届いてないのか?』
『そんなことは…』
『ふん!オ・サンシクの野郎!』

※B/L:船荷証券発行前の草稿

マ部長は 怒りの表情だが 瞳の奥には不敵な笑みが浮かんでいる
オ・サンシクを責め立てられる口実が出来たなら この上楽しいことはない
チョン課長は その場で3課に電話するしかなかった

『オ…オ課長!トルクメニスタンの資料だが オリジナル版が抜けてるぞ!』
『何だって?オリジナル?』
『ああ 謝るのか?何?新人が?』
『おい!何言ってる!』
『今後は気をつけてもらわんと!』

一方的にまくし立て電話は切れた
後がどうなろうと チョン課長はこの場を切り抜けたかったのだ
事情は把握できないが 資源課で何かが起きたのは飲み込めた
3課の罪にして事を収めようとしているのに間違いなく 到底受け入れられない
サンシクは チョン課長の携帯にかけ すぐに来い!と怒鳴りつけた

2か月前に渡したオリジナルを 受け取っていないと言い出すチョン課長
資源課課長チョン・ヒソクは もう引っ込みがつかなくなっていたのだ

『マ部長が怖くて3課に責任転嫁を? 恥を知れ!
お前も上司の端くれなら いくらマ部長相手でも言うべきことは言え!』
『よ…よくもそんなことが言えるな! 葬式沙汰を起こしたくせに!』

いくら広くて仕切られているとはいえ ワンフロアの中である
チョン課長の怒鳴り声に すべての上司たちが席を立った

『俺を殴るのか?ああ殴れよ! それでまた葬式を出せばいい!』

案の定チョン課長は殴られ グレの席まで吹っ飛び したたかに頭を打った
営業本部長キム・ブリョンが声を荒げ オ・サンシクを厳しく叱り飛ばす
どちらに非があるにしろ 禁句の話を持ち出したのはチョン課長なのだが

何も知らないグレは 2か月前 書類を用意した自分の責任だとうなだれる
しかし書類は何度も確認し 3課代理キム・ドンシクが提出したのだ
お前の責任じゃないとなだめるドンシク
詳しく事情を話して聞かせたいが 今のグレには早過ぎる
そしてまた 口にするのもためらわれる傷ましい話題なのだ

憮然として戻ったサンシクは 引き出しの中の“退職願”をじっと見つめる

過去に インターン社員のイ・ウンジという女性が自殺した
オ・サンシクは それを知った時のチェ専務の反応を 今も苦々しく思い出す

マ部長は 3課の暴力沙汰をキム部長に掛け合う

『よく確かめもせず怒鳴るから問題が大きくなる!』
『論点がズレてるぞ 確認しただけで暴力を揮ったのはオ課長だろ!』
『とにかく謝るから!』
『お前が謝ることじゃない 本人に謝らせろ イントラに謝罪文だ!

※イントラ:イントラネット 組織内におけるプライベートネットワーク 

当然オ・サンシクが応じる筈もなく
キム部長は 間に挟まれた状況にため息をつく

事は 資源課と営業3課の対立という事態になっている
かと言って アン・ヨンイとチャン・グレが解決できる問題でもない
研修室に集まると さっそくハン・ソンニュルが口火を切る
なぜか社内の情報に詳しいソンニュルが 聞いてもいないのに説明を始めるが…
ソン次長の講義が始まり 強制終了となる

研修が終わった途端 ヨンイの携帯が鳴る
ソンニュルにも上司から着信が入り 2人とも慌てて走り出した

しかし ヨンイの行き先は 職場ではなく屋上だった
資源課代理ハ・ソンジュンが 出来過ぎるヨンイの仕事にクレームをつけたのだ
自分はそれでいいかもしれないが 会議で恥をかく上司のことは考えたかと!
ただ淡々とクールに 目の前の仕事をこなすヨンイ
あまりにレベルが違い過ぎ 周囲と歩調を合わせることが出来ない
インターンの頃にもてはやされたのとは違い ヨンイは 優秀過ぎることで浮いていた

さすがに涙がこぼれそうになり トイレに駆け込むヨンイ
するとそこでは さっき講師を務めていたソン次長が 電話の相手と口論していた
会話の様子で 相手はご主人だと察しがつく
互いに忙しい夫婦が 子供の迎えのことで言い争っているようだ

これから始まる会議は ご主人の都合で延期してもらったもの
それをまた 子供を迎えに行くために延期だとは どうしても言えるわけがないと!
結論が出ないまま電話は切られ ソン次長は ヨンイの目が赤いことに気づく
事情を聞かれたからと言って 気軽に話せる内容ではない

すると ソン次長のバッグから紙切れが落ちた
今朝 保育園の先生から渡された
娘が書いた“両親の絵”には 顔が書かれていない
その不自然な絵を 苦笑しながら大切そうに仕舞うソン次長だった

グレは ソンニュルが言いかけた話が聞きたくて仕事が手につかない
とうとう我慢できず繊維課へ!

ソンニュルによれば…

オ・サンシクが代理時代に 女性の部下が亡くなった
その部下のミスは オ・サンシクにも責任があったという
結局その部下は退職し その後に亡くなったのだと…

グレには とても信じがたい噂だった
自分には厳しいが 自らも関係しているミスを 部下に押し付けるような人ではない
やり切れない話を聞いてしまったと 屋上に向かうグレ

3課では

苦労して根回しした仕事を 化学課に横取りされそうになり
ドンシクが電話で口論している
その電話を奪い取り『くれてやる!持ってけ!』と怒鳴るサンシク!
仕事上の苛立ちもあるが キム・ドンシクは別のことに苛立っていた
誰にもぶつけようのない怒りを あろうことか張本人のサンシクにぶつけ出て行く!

グレが 屋上から下を眺めていると 興奮して出て来るドンシクが見えた
それを追いかけるように オ・サンシクも出て来る
2人が上を見上げないよう願いながら 耳を澄ませて会話を聞くグレ

『何でみんなに好き勝手言わせておくんですか!』
『間違ってないだろ?』
『無理な契約を押し通したのはチェ専務でしょ!リベートだって彼女のせいにした!
ウンジさんが亡くなったのは課長のせいじゃない!』

※リベート:賄賂

『それを主張したら何かが変わるのか?』
『……』
『あの時 俺は助けなかった …逃げたんだ』
『誰だって逃げるでしょ あの状況なら! 課長じゃなくたって…』
『戻るぞ! 引継ぎの会議だ!』

ソンニュルから聞いた“噂”とは まったくニュアンスが違う
グレは 重大な秘密を盗み聞きしてしまったことに愕然とした

オ・サンシクは 戻るぞ!と言いながら 休憩室に立ち寄った
ドンシクにも知らされていない チェ専務と自分だけが知る“真実”もあったのだ
あの時… イ・ウンジの死を知った時 サンシクはチェ専務に猛抗議したが
『じゃあお前が責任を取るか?』と言われ あっけなく尻込みした自分がいた…

資源課の女性社員スジンが 突然倒れ込み気絶した
通りかかったソン次長とヨンイが 抱きかかえて医務室へ!
彼女が妊娠していると知り 途端に男性社員たちが文句を言いだす

『またかよ! 何人産む気なんだ!』
『産休が明けたばかりだろ? で? また産休?!』
『穴埋めするこっちの身にもなれよ!』
『これだから女は!』
『夫が子供がって言い訳して! 責めたら今度は泣くんだろ?!』

この男尊女卑思考が特に強い資源課で アン・ヨンイには居場所がなかった
家庭と仕事の両立が難しいことは ソン次長がいちばんよく分かっている
同期の誰より早く次長になった今もまだ この厳しい現実と闘っているのだ

『いくら拓けた世の中と言っても 職場では 働く母親は今も罪人扱い
子供だってとばっちり 余程夫の理解がないと…
ずっと働き続けたいなら 独身の方が楽よ』

引継ぎの会議は 各部署が集まって行われる
ドンシクは オ課長に出席しない方が… と促すが素直に聞く筈もない

滞りなく終わるかに見えた会議だったが マ部長がB/Lを蒸し返し静まり返る
『もらってない』『渡した』の口論にソン次長が取り成そうとするが

『女はすぐ口を挟む!』
『ならば挟まれないように場所を選ぶべきでは?』

ソン次長が標的にならないように すかさずオ課長が言い返す
こうなっては マ部長を止められる者はこの場にはいない
オ課長だけが真正面から闘い 周りは火の粉が飛ばないように押し黙る

『謝罪文はどうした?』
『謝る必要が?』
『暴力を揮ったのに? 相変わらず無責任なんだな』

『部長こそ 昨年のセクハラを根に持ってこんなことを?』
『な…何だと?!』

論点が変わり 顔色が変わるマ部長

『胸元が大きく開いた服だったから “座る度に隠すなら最初から出しておけ”と!
見たわけでも触ったわけでもないのに! これのどこがセクハラなんだよ!』

『こうも仰いましたよね “隠すほどの胸か!”と』

応戦したのはソン次長
あくまでセクハラを認めようとしないマ部長に堪えかね さっさと退席してしまう

この会議室に 女性はアン・ヨンイだけとなった
どうなんだ!と詰め寄られ 当事者がそう感じたならセクハラだと答えた
優秀とはいえ 一介の新人が部長に…

今にも殴り掛からんばかりに激怒するマ部長
この後の惨事が目に見えるようで 呼吸さえ止めていたいほどの緊張が走る
するとオ・サンシクが やってられない!という態度で退席した
マ部長も怒鳴り散らしながら退席し 新人たちと何人かの代理が残された

『マ部長はほんとにセクハラしたんですか?』
『ああ 訴えられて3か月の減俸だったかな? オ課長が証人になったんだよ
あの人もさ 部下を見捨てて昇進したかと思えば正義の味方とか 訳分かんないよな』

代理たちも退室し 片付けは新人4人の役目だ

ソンニュルが あんなに渡したと言い張るならB/Lはどこに?と蒸し返す
2か月前といえば インターンとしてベッキが資源課にいた頃だと
グレには この話題に一切関わろうとしないベッキの態度が不自然に見えた
しかしベッキは 何も知る筈がないと言うばかり

あの時… 営業3課からB/Lを持ってくるように指示されたのはベッキだった…!

不自然だと思ったのはグレだけではない
アン・ヨンイも ベッキが知らないとは思えなかった

『それを見たとして 君ならそれを言う? 告げ口した君の扱いは?!
とにかく君は首を突っ込むな! オ課長だって庇いようがない 現実と向き合え!』

その頃 オ課長の“謝罪文”がアップされ 見た者は皆 唖然としていた
代理キム・ドンシクは もう終わった…という表情でグレに読めという

〈ごめんなさいね 小っちぇえ奴!🍎〉

謝罪文をアップして問題を収束させるどころか これでは新たな問題勃発である!
謝罪(サグァ)とリンゴ(サグァ)に引っ掛け リンゴのマークまで入っている

資源課が 総出で営業3課に乗り込んで来た!
ひとり残されたアン・ヨンイは 咄嗟に書類棚の鍵を開けB/Lを探す!
怒鳴り合う声がフロア中に響いて まだ安全だと教えてくれる
チャン・ベッキが その様子をじっと見つめていた

今にも殴り合いになりそうなマ部長とオ課長
それを止めに入ろうとしてキム・ドンシクが吹っ飛んだ!
オ課長は 大げさに騒ぎ立て ドンシクに駆け寄った
病院だ検査だ何だと大騒ぎされ 資源課は退散するしかない
嵐が過ぎ去った途端 あんなに痛がっていたドンシクは通常通り業務に戻る
グレは 何が何だか分からず呆然と突っ立っていた

資源課では

アン・ヨンイが別の資料に目を通している
『コーヒーを入れろ!』と怒号が飛び 素直に給湯室へ向かった
ハ代理は チョン課長に なぜあの時入れ忘れたと言わなかったのか と詰め寄る

(マ部長の あの上機嫌な雰囲気を壊せたか?)
(だったら会議の時に言えば こんな大問題にはならなかった)
(オ課長に一泡吹かせようと躍起になってるのに あの場で何が言える?)
(…まさか シュレッダーに?!)
(あぁーーーっ!)

オ課長は 煙草を吸ってくると言い出て行った
グレも 休憩しようとするが 休憩室では代理連中が噂話をしている
あの当時 B/Lが何かも分からない新人にやられたな というのが結論のようだ
チェ専務との確執により そんな使えない新人しか来ないのだと…
グレは さすがにいたたまれなくなり 中庭のオ課長のもとへ
オ・サンシクは 持っている煙草に火もつけず考え込んでいる

『ライターを』
『ありません』
『営業なら煙草くらい吸え! 接待するのにライターは必須だ』

それはさておき グレはどうしても確認したかった
本当は自分のミスで 本当は自分を庇って渡したと言い張っているのではと…
『仕事しろ!』の一喝で追い払われてしまうグレ
3課に戻ると 今度はドンシクにB/Lのことを聞いている
それでも諦めがつかず 資源課の前をウロウロし始めた

『あいつは一体どうなってるんだ?』
『まさか…資源課でB/Lを探したりするんじゃ…』

営業1課では ソン次長が また会議の時間を3時間後に…と部下に指示している
あからさまにため息をつく部下
ソン次長はさらに深いため息を…
見かねたサンシクが 1課に足を運ぶ

サンシクの妻も 産休を繰り返して居づらくなり退職したのだ

『夫の実家に預けてくる それから会議よ』
『男共は女性の苦労を甘く見てる どんだけ苦労して次長に?』
『俺だって… 妻が辞めなきゃ俺が辞めてた』

ようやく戻ったグレに 何か分かったか?と聞くサンシク

『はい?』
『アンに聞いたんじゃないのか?』
『いいえ』
『聞けよ!』
『いいんですか?』
『ダメに決まってるだろ!』

仕事もせずに不審な行動を繰り返すグレに『仕事をやる』というサンシク
言われるままにソン次長のもとへ行くが ソン次長は絶対にダメだと断る
プライベートに部下を利用すれば問題になると言い オ課長に内線する

〈違うんだ 今のそいつは社内で何をするか分からん 使ってくれ!〉

保育園に向かうべく 外に出ようとして ヨンイに会う
迎えの時間には余裕があったので 少し話すことに

明らかにマ部長が悪いし 昔の話を持ち出すチョン課長も酷い
オ課長が怒るのだって当たり前だというヨンイ

『オ課長は怒ってるんじゃないんだ 自分を責めてるようだ』
『どうして?』

『どうにも取り戻せない過去ってあるよ 過去に仕返しされるっていうか…
取り返しがつかなくなる失敗とか 後悔があるんだ 課長は…寂しそうだ』

保育園に迎えに行くと 大勢の子供たちが走ってくる
次長の娘 ソミがどの子か分からない
迎えに来たのがママじゃなくて 寂しそうなソミ
それに どの子もみな迎えが来たソミを羨ましく見つめている
そこで延長保育が終了する18時まで 保育士に頼んで遊ぶことに!

ひとり またひとりと迎えが来て 次第に人数が減っていく
グレと遊んで楽しそうだが ソミは 帰っていく友達を羨ましそうに見つめていた

会社では

アン・ヨンイが ソン次長を手伝い会議の準備をしていた
あることをすべきかどうか… 迷っている胸中を話すヨンイ
そうすべきだと分かっていても 居心地が悪くなりそうで迷っていると

もともと資源課は エリートの集まりで男尊女卑が根強く残る部署である
それを十分に分かっているソン次長は 問題点はそこなのか?と問う

『それをしなければ居心地がよくなるの?』
『…少なくとも“これだから女は”と言われずに済みます』
『性別で決まること?』
『え?』
『良心の問題では?』

ソン次長の言葉に心を動かされ ヨンイはグレのもとへ
そしてすべてを話し 書棚の暗証番号のメモを渡す
グレは ヨンイにソミを預け 急いで会社に戻る
しかし… いくら探しても 資源課の書棚の中にB/Lのオリジナルはなかった

そこへチョン課長が戻り グレに掴みかかる!
今すぐオ課長に突き出してると喚き ポケットから携帯を!

『あのはぐれ者め!コネ入社に命じて盗みをさせたのか!』

携帯の着信音は チョン課長のすぐ後ろで鳴り響いた
ギョッとして振り返ると そこには 書類を手に持ちオ課長が立っている!

『はい “はぐれ者”ですが何か?』
『この野郎! 先輩と思って遠慮してたがもう許さん!』

チョン課長の勢いはそこまでだった
書類がB/Lだと気づき蒼褪める

『新人の前で恥をかきたくなければ屋上だ』

焦りを隠し 出所が分からなければ証明のしようがないと居直るチョン課長
いくら虚勢を張ったところで オ課長の気迫の前に押し通すことも出来ない

『二度と“あの話”は持ち出すな!』
『は… はい』
『これはお前が見つけたと報告しろ』
『そ… それは』
『それと 謝罪文も忘れるな!』
『せ…先輩』
『真面目な謝罪文だからな!』

3課に戻ると チャン・グレが放心状態で座っていた
自分がしでかしたことの結末がどうなるのか… サンシクに気づき直立不動になる

『すみません…』
『……飲みに行くぞ』

“はぐれ者”のオ・サンシクと コネ入社のチャン・グレ
2人の飲み会は 実にぎこちなく静かに続いた
酒を注がれるたびに恐縮し 注がれるままに飲み干すグレ
サンシクは グレに注ぎながら自分は手酌で黙々と飲む

『あの…課長 暗証番号は誰から?』
『誰でもいいさ』

誰もいない夜の資源課に アン・ヨンイが戻った
そこへチャン・ベッキが現れ 2人は無言で見つめ合う

過酷な仕事を終えた者たちには 誰にも帰宅後の日常がある
娘の送り迎えで夫と口論したソン・ジヨンは 疲れる暇も無く家事に取り掛かる
次長としての顔とは違い 家庭では妻であり母である
遅れて帰宅した夫は そんなジヨンの奮闘を労い 一緒にソミの絵を見る

『私の顔が無いのよ』
『俺は寝てるだけだな』
『明日のゴルフの準備しといたわ』
『なるべく早く帰るよ』

娘を巡っての口論も 一日の終わりにはこうして歩み寄る
必死に頑張り続ける日々に 出口がないとこぼすジヨン
子供が成長するまでだと慰める夫

翌朝

今日も夫に代わり ジヨンがソミを保育園へ
仕事の電話をしながら足早に立ち去ろうとするが ふと昨日の絵を思い出し立ち止まる
振り返ると ソミが 寂しそうな心細げな表情で立ち尽くしていた
いつもそんな顔をして自分を見送っていたのかと… 思わず娘を抱き締める

初めて振り向いてくれた母親に はにかみながら『いってらっしゃい』と挨拶するソミ
『行ってきます』と返し 泣きそうになるジヨン
たったこれだけの挨拶をしただけで 娘は嬉しそうな笑顔になった

(ごめんなさいソミ もう二度とあなたを後回しにはしない)

『ソミ 今度はお母さんの絵に顔を描いてくれる?』
『うんいいよ 美人に描いてあげる』

一方 オ・サンシクは 泥酔して夜中に帰宅し 朝は完全に寝坊した
妻の小言を浴びながらも 3人の息子の頭を撫で回し慌てて玄関へ!
するとなぜかドアが開かない…!
力づくでこじ開けると… ドアの前でチャン・グレが爆睡している

『こいつ… 何で?』
『この人 あなたを送って来てくれたのよ』

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ミセン ~未生~ 第4局

2018-11-04 07:00:00 | ミセン ~未生~ あらすじ

 ミセン~未生~ 第4局 

 

(こんな何ひとつ売りたくない相手に… 何を売れというんだ!!!)

 

個人プレゼンの課題は 互いのパートナーに物を売ること

安易に買えば 相手を有利にさせ 頑なに拒めば自分の評価が下がる

買うのも断るのも 審査員を唸らせる相応の名分が必要だ

 

もう 殴り合っている場合ではない

ハン・ソンニュルは『お前からは絶対に買わない!』と吐き捨てた

取り残されたグレは それでも買わざるを得ない物を… と考える

なりふり構わず拒絶するだろう相手が 絶対に断れない何かを…!

 

その日 インターン社員たちは 退社しようとしない

会社には参考資料があるし 相手の動向も探れるからだ

 

チャン・グレは あらためて ハン・ソンニュルを知ろうとする

彼は 完全なる現場主義人間であり 事務方の仕事を軽視する傾向にあった

この雑然としたオフィスの中で もしかしたら現場を掌握出来るのでは?

そう考え 辺りを見回すグレの中に ひとつのヒントが…

 

一方 執拗にアン・ヨンイを追いかけ回し 撮影するイ・サンヒョン

ヨンイに物を売るために なぜ動画を撮る必要があるのか…

 

同じ時 キム・ドンシクとオ・サンシクは 居酒屋に来ていた

チェ専務の車を追いかけ 深々と頭を下げていたオ課長

最も頭を下げたくない相手に… と思うと たまらないドンシク

しかし そのおかげで懲戒委員会は消滅したのだ

ドンシクは オ課長への感謝と同時に チャン・グレの心配をする

 

オ・サンシクは “もう1人の部下”のため オフィスに戻る

 

夜のオフィスで 個人プレゼンの課題を練習するチャン・グレ

どうやら ソンニュルに ボールペンを売るつもりのようだ

契約の始まりは“起案書” それにサインをするためのボールペン

しかしどうにも しっくりこない気がして ため息をつく

見かねたサンシクは 考え込むグレに声をかけた

 

『“必要だから売る”だけでは 説得力に欠ける』

 

グレは 戻ってくれたオ課長に 思わず聞いてみたくなった

現場だけではなく このオフィスの事務作業も大切だと確認したかったのだ

現場で汗して働く者と オフィスを駆けずり回って汗する者に

何の区別もないと答えるオ・サンシク

現場だの事務方だのと 会社を隔てたことは一度もないと…!

 

グレは その言葉に ヒントを見出した

そしてようやく “売りたい物”を見つけ 安堵するのだった

 

一夜明け 母親に見送られるグレ

今日不採用になれば また無職になり バイト生活に戻ることになる

 

インターン社員たちは それぞれに箱を抱え会場に集まった

箱の中には パートナーに売りたい“物”が入っている

会場に入るとまもなく 役員をはじめとする“審査員”たちが入場

オ課長の横には営業1課次長ソン・ジヨン その隣にはコ課長が座っている

 

ソン次長は アン・ヨンイに注目した

ヨンイは採用後 営業3課に来ると信じて疑わないオ課長

チャン・グレには目もくれず ヨンイに笑顔を見せる

まったく… と呆れ顔のコ課長

 

チームのプレゼン時間は各10分 質疑応答は5分と定められている

ハン・ソンニュルは 落ち着きなく上着のポケットを探る

明らかに動揺しており 探し物が見つからず愕然としていた

もはやグレにも “相棒”を助けることは出来ない

 

チェ専務の挨拶が始まった

ここで初対面となるインターン社員たちの中には

専務と直接話す機会もなく この場限りとなる者もいるだろう

激励とも 脅しともとれる挨拶が手短に終わり 拍手が沸き起こる

 

ソンニュルは それどころではなかった

絶対的な自信は消え去り 額に汗を滲ませ苦悩の表情になっている

いよいよプレゼンが始まり 呼ばれた順に10分間を使い切る

お笑いの出し物のように発表したチームは チェ専務の逆鱗に触れた

開始数分で中断を言い渡され 退場を命じられたのだ

次のチームは 質疑応答まで漕ぎ着けたものの

何が悪いのかも言い渡されないまま これも退場を命じられた

 

この10分のプレゼンは “発表会”などではない

明日の社運を懸けてもいいほどの 商社マンとしてのプレゼンなのだ

プレゼンの途中でも 容赦なくダメ出しが行われ

説明に淀みが生じれば これも容赦なく退場となった

難しい言葉を並べ立てても その意味が伝わらなければ話にならない

発表チームが次々と退場させられ 残る者たちは蒼ざめていく

 

チェ専務の質疑応答は 個人の経歴にまで立ち入った

なぜ一流商社のインターンを経て我が社を受けたのか?

『自分は地方大学出身なので…』という回答に 鋭い指摘がされる

『つまり 我が社なら受かるとでも? バカにしてるのか!』

彼は 専務にまんまと乗せられ 言い訳に走り自爆してしまった

 

営業2課キム・ソッコのチームが発表する

ソッコは イレギュラーな事態には迅速な判断が出来ないが

事前に準備が出来るプレゼンには強いようだ

 

グレは 明らかに異変が起きているソンニュルを気にかける

しかしソンニュルは 大丈夫だと言うばかりで まったく取り合わない

 

アン・ヨンイは 不動の安定感で発表を始めた

そのプレゼン内容は もはや新人レベルではない

鋭い質問にも即座に答え このプレゼンに興味を示すチェ専務

 

質問の内容が ようやくイ・サンヒョンの担当部門になった

しかしサンヒョンは プレゼンの内容を把握出来ておらず

しどろもどろになって自爆! 結局はヨンイがすべて答えることに

 

誰もが この事態を恐れ ヨンイとは組みたくなかった

すべてがヨンイのペースで進められ 自分を売り込む隙など無いからだ

根拠の無い自信に満ち溢れたサンヒョンは ヨンイを甘く見ていたのだ

 

ヨンイに パートナーの話題さえ許さなかったチャン・ベッキは

一貫して基本に忠実な発表を行った

確かに分かりやすいが 基本通り過ぎて心に響かないというオ課長

しかし 役員たちの評価は 総じて好意的なものだった

 

同じ時

 

グレの母親は 息子のプレゼンを按じていた

長く対局の緊張感の中で過ごしてきた息子が まさか緊張するとは思わず

きっとうまくやってくれるだろうと 自分に言い聞かせるように…

 

いよいよ グレとソンニュルの番になった

資料を作ったのはグレだが 発表するのはソンニュルだ

ソンニュルは マイクを手にしたまま微動だにしない

その第一声を待ち 場内が異様な静けさに包まれる

 

練習など無意味だと 一蹴したソンニュルは 緊張の頂点に達し

オ課長が予測した通り 焦りと緊張から声が震えていた

必要以上にマイクを近づけることで 荒い息づかいが雑音になる

何度も同じ言葉を繰り返し しどろもどろになるソンニュル

 

デスクに置かれたままの ソンニュルの携帯には

心配する工場の者たちからメールが殺到していた

 

〈安定剤は飲んだ?〉

 

彼がずっと探していたのは“安定剤”だった

会場に持参するはずの 発表前に飲むはずの“安定剤”を忘れたのだ

 

『少し 落ち着いたらどうかね』

『あの… 安定剤を飲みたいんです』

『飲みたまえ しかし時間は与えられない

それによる時間延長は認められない 皆が納得しないだろう』

 

何も進まないまま 残り7分となった

発表はソンニュルの役目だが グレは黙っていられなくなった

『代わりに僕が…!』と席を立つ!

ソンニュルは 諦めたように引き下がり 席に着いた

 

しかし… 資料を作ったのはグレであっても

発表能力は 本来ソンニュルの方が はるかに上だった

その場凌ぎの“やる気”だけでは 乗り越えられないと痛感するグレ

 

グレの発表に 鋭い質問が飛ぶ

現場を知らないグレには 答えられない質問だった

インターン社員は 上司に命じられなければ現場に行くことはない

まさに現場を知らないグレの隙を突く 鋭い指摘だった

 

ここで発奮するソンニュル!

“現場”と言われたら黙っているわけにはいかない

ソンニュルは 何かから解き放たれたように饒舌になる

前半の停滞はあったものの 見事に発表を自分のものにしていた…!

 

チャン・グレは 敗北感を感じずにはいられなかった

ソンニュルを助けるつもりが 結局は無様な結果となり

逆に彼は 見事に自分を立て直し その役割を果たしたのだった

 

チームのプレゼンが終了したところで 休憩時間が設けられた

オ課長は チャン・グレを完全に無視し アン・ヨンイに愛想を振りまく

ソン次長は そんなオ・サンシクをたしなめた

 

『あなたは過去に縛られてる というか 自分で自分を縛ってるの』

 

この時点で チャン・グレの生き残りは絶望的だった

少なくともオ・サンシクはそう感じていた

 

休憩後 今度は個人プレゼンが行われた

ここからはチームでなく 個人個人がライバルだ

チームで輝けなかった者にとっても これが挽回のチャンスとなるだろう

 

イ・サンヒョンは アン・ヨンイに対し 彼女の1日を売るという

嫌がる彼女を追いかけ回して撮影した 彼女のプライベート動画だった

確かに役員たちは 面白がって爆笑したが 評価は分かれるところだろう

 

ハン・ソンニュルは 社の主力となる繊維を売るという

そして 事務方の指示ミスによる損失や問題点を記した手帳

まさに現場の声を グレに売るというのだ

 

グレは返答に躊躇した

安易に拒めば 職務放棄とも取られかねない

拒むにも 正統な理由が求められ 簡単に買うと答えれば負けになる

 

場内は静まり返った

現場と事務方の攻防は 永久に続く問題であり

誰もがぶつかる 商社マンとしての課題でもあった

インターン社員の中では 唯一現場側の人間として

ハン・ソンニュルは今 ある種の問題点を提起しているのだ

 

グレは 手帳だけを買うと答えた

繊維の情報は ハン・ソンニュルが十分に伝えてくれるから必要ないと

 

『この繊維は 僕が直に手で触って確かめて選んだものだ!』

『それで 女性のお尻を触っていたんですか?』

『お尻じゃない! 生地を触ってたんだ!』

『じゃあ… 触ったことは認めるんですね』

 

場内から笑いが沸き起こる

痴漢だと公表され ソンニュルは 頭に血が上り始めていた

ひとりの役員が 2人をなだめ 結論を急がせた

グレは それほどまでに生地に執着しなければならないなら

むしろソンニュルと2人で組み 生地を売ると答えた

機転の利いた答えに 役員たちは唸り ソンニュルが追い詰められる

 

そして今度は チャン・グレの番だ

グレは 箱の中から履き古した“室内履き”を取り出した

明らかに自分の室内履きだと気づき 戸惑うオ課長

ボロボロになった室内履きを売るなんて… と場内には不穏な空気が漂う

 

『この 履き古しの室内履きからも分かるように…

オフィスもまた “現場”なのだということが分かります

この室内履きはまさに 事務方の“戦闘靴”なのです

ハン君に この“戦闘靴”を売ります!』

 

役員たちから 小さな感嘆のため息が漏れた

逆に興奮し 声を荒げたのはハン・ソンニュルだった

 

『事務方が“現場”だなんて認められない!

僕は そんな“戦闘靴”なんて買いません!

現場の者たちは 事務方が書いた紙切れ1枚で 真っ先にリストラだ!』

 

声を荒げるソンニュルだが 役員たちは静止しない

一方で グレがどう切り返すかに 注目が集まった

 

『君はいつも現場の話ばかり 現場だけが重要だとでも?

ハン君の言う“現場”とは 製品が作られる場所であり

常に機械が動く場所ということでしょう

大学で機械工学を専攻し 数々の賞を手にした君にとって

その場所こそが “現場”だと感じられるのでは?』

 

しかし オフィスもまた“現場”なのだと 重ねて主張するグレ

常に為替レートをチェックし 記入漏れや計算ミスの無いよう何度も確認し

書類1枚のために 法律の解釈まで突き詰めたり 資料集めに奔走する

さらには 取引先との時差に合わせ 徹夜で電話に応じたりもするのだと

 

『君が言う“現場”の製品は そうした作業の末に作られた物だ

それが売れないのは 先読みに失敗し 企画に問題があったからです

失敗したからといって捨てるのではなく 次に生かさなければなりません

オフィスと現場は 常に連携すべきです

僕らが互いに主張する“現場”は 同じものだと信じたいのです』

 

すべてのプレゼンが終了し あとは結果を待つばかりとなった

チャン・グレは 発表までの毎日をバイトに明け暮れ過ごした

不採用になった時は この日々がそのまま続くだけだ

 

一週間が過ぎても音沙汰は無し

営業3課は 課長オ・サンシクと 代理キム・ドンシクだけだった

オ課長は きっとアン・ヨンイが来るはずだと断言し

ドンシクに 席を空け渡せと言い出し 豪快に笑う

 

どんなに頑張っても 2人切りでは仕事を捌き切れない

発表を待ちわびているのは 新人だけではないということだ

最後に酒でも酌み交わせばよかったと 後悔するドンシク

チャン・グレが合格するとは 思いもしない2人だった

 

そしてまた数日が過ぎ 各自の携帯にメールが届く

アン・ヨンイとチャン・ベッキは 淡々としてメールを読み

ハン・ソンニュルは ガッツポーズを決めながら グレを気にかけた

 

チャン・グレは バイト先から 母親へ 合格の報告をした

“2年契約社員”として 採用する旨のメールが届いたのだ

 

新入社員として初出勤の朝

グレは久々 スーツに革靴を履いた

 

母親は 息子のためにネクタイを新調してくれた

“僕は大人だ”と叫んでも すべきことをせねば誰も認めてくれないと

そして アイロンがかけられたハンカチを差し出し

振る舞いや行動には 人柄が滲み出るものだと諭す

 

それほど口うるさい母親ではないが 教えるべきことは言い

グレもまた 素直に聞き入れる息子であった

 

ワンインターナショナルのロビーに アン・ヨンイの姿があった

そこへ チャン・ベッキが現れ 再会を喜び合う

次に現れたのはハン・ソンニュル

 

合格者が3人なら 去年より多いというベッキ

しかしそこへ 遅れてチャン・グレがやって来た

他に合格者はいないと決めつけてしまった気まずさを隠し

ベッキは グレに対し『おめでとう』と声をかけた

 

『アンさん ごめん』

 

開口一番 グレは 約束通り謝罪した

プレゼンの時 グレを利用しようとして誘ったのではないこと

ヨンイの誘いを誤解していたことを “合格して謝罪する”と約束していた

 

人事課から迎えの社員が来て キム・ソッコは本社配属になったと話す

結局 合格者は 全部で5人だったということだ

4人は 入社のための書類手続きをし チェ専務と面談することに

 

チェ専務は 個人の資料を開きながら 一人一人を激励していく

短い質疑応答があり それぞれに会話の時間があった

しかし チャン・グレに対しては 『頑張って』と言うだけに…

 

あまりにあっけなさ過ぎて 皆の表情が曇る

グレはただ 緊張感の中で笑顔のままだった

 

最後に 社員証を受け取る4人

本採用の3人に対し グレの社員証だけ 色が違っていた

いずれも裏に 配属部署が記されている

 

ハン・ソンニュルは 希望通りの繊維課になった

チャン・ベッキは 思いがけない鉄鋼課に配属され無言になる

ベッキが熱望していた資源課には アン・ヨンイが配属された

グレだけが 社員証の裏を見つめて 安堵の表情になっていた

 

『お疲れ様です! 今日からこちらでお世話になります!

新人のチャン・グレです!』

 

あんぐりと開いた口が閉じられないキム・ドンシク

オ課長は 目を丸くしたままボールペンを放り投げた

 

『何だよ 何でお前が? 一体どうしてなんだあ!!!』

『チャン君 おかえり!』

 

途端に笑顔になり グレを迎えるキム・ドンシク

オ課長は 皆が違う部署に配属されたなら 何でお前は?と叫ぶ

 

『課長が希望してくれたんじゃ?』

『何で俺が? 希望するわけないだろ? 誰が希望するか!』

 

ドンシクとグレは 騒ぎ続けるオ課長を無視し 笑顔で作業に入る

隣りの2課も 微笑ましく騒ぎを見物していた

 

そこへ チェ専務が現れ フロア内が途端に静まり返る

寸前まで賑やかだった3課の前に立ち 意味深な笑みを浮かべた

そして 『オ課長の行動により課の雰囲気が良くなった』 と呟いた

 

オ・サンシクは視線を落とし キム・ドンシクは表情を曇らせた

その言葉の意味は 2人だけが知っている

チェ専務に頭を下げ ドンシクの懲戒を取り消させた

その行動の見返りとして グレの配属が決まったということだ

 

チャン・グレは ひとり屋上へ向かった

インターン社員としての第一日目 ここでドンシクに言われた言葉

 

「その歳になるまで何やってた? 出来ることが何ひとつない!」

 

やり切れない表情で オ課長が現れた

屋上から見える景色は夕暮れ色になり 2人の姿がオレンジに染まる

目の前の新人に 今 何を語るべきか…

腹をくくった表情になり オ・サンシクは ようやく口を開く

 

『正直 お前を望んでなかった 3課には即戦力が必要だからな』

『……承知しています』

『はあ… アン・ヨンイがよかったあ!』

 

何を言われてもいい グレは そのままを受け止めた

小さくうなずき 自分に言い聞かせるように 言葉を続けるサンシク

 

『まあとにかく! 踏ん張ることだ この際だからな!

……踏ん張った者が 結局は生き残る』

『それはどういう…』

 

『お前は知らないかもしれないが 囲碁用語にこんなのがある

「未生(ミセン)」 そして「完生(ワンセン)」

俺たちはな まだ“弱い石(ミセン)”なんだ』

 

(その言葉なら知っている) とグレは思った

オ課長の口から その言葉が出るとは…

 

退社の時 グレは 正門の柱をポンポンと叩く

メモに “YES”と書き 柱の隙間に埋め そびえ立つビルを見上げるのだった

 

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ミセン ~未生~ 第3局

2018-11-01 13:45:00 | ミセン ~未生~ あらすじ

 ミセン~未生~ 第3局 

 

まだ夜が明けきらない街を チャン・グレは 会社に向かって歩いていた

こんな早い時間に もう様々な人たちが活動している

自分だけが… という考えはよくないと あらためて思うグレ

 

ハン・ソンニュルは 既に出勤し 蔚山(ウルサン)へ戻るところだった

グレは パートナーになろうと 直球で切り出した

ソンニュルは 先を急いでいたが 屋上へ行こうと目配せする

 

『何で気が変わった?』

『変わったんじゃなく 返事をしそびれていたんだ』

『なぜ組もうと?』

『その経験と能力が 僕に必要だと思った』

 

意を得た!と思った瞬間 ハン・ソンニュルは饒舌になる

人生は選択の連続で出来ている

一つ一つの選択が繋がり 人生になっていくのだと…!

 

チャン・グレと ハン・ソンニュルが組んだという噂が広まり

爆弾と爆弾が組んで大爆発すると インターン社員たちは面白がった

 

ソンニュルは テーマも原稿も すべてをグレに一任するという

もちろん最終的には2人の合意が必要だが 何もかも自由にしていいと

チームになったというよりは グレに丸投げした形だった

 

ハン・ソンニュルのあだ名は“壁犬”

いつも壁からちょこんと顔を出し 女子社員をチェックしているからだという

真ん中分けの髪が襟元まで延び 両サイドはしっかりと耳にかけられている

独特なヘアスタイルで いかにも軽薄な雰囲気を漂わせる変わり者だ

 

すでに採用は確実という自信から 本気でプレゼンに取り組む気はない

“面倒なこと”はグレに押しつけ 蔚山(ウルサン)で伸び伸びしようと考えている

 

一方 アン・ヨンイは なかなかパートナーが決まらず焦り始めていた

イ・サンヒョンが もう自分と組むしかないぞ! と誘って来る

ソンニュルとはまた違った自信家で 必要以上にグレを蔑みバカにしている

超優秀なヨンイと組めるのは 自分しかいないと豪語し決めつけていた

 

チャン・ベッキは 決してヨンイを誘わない

困り顔のヨンイを見て ただ『頑張って』と声をかけるだけだ

プレゼンで彼女と組むことは 絶対に不利であると気づいている

その話題になっても 彼女に誘う隙を与えないよう振る舞っていた

 

営業3課では

 

チャン・グレが 今か今かと2人の出勤を待っている

さっそくパソコンを開き あれ?と驚く姿を早く見たいのだ

自分のアドレスをもらって 初めて送信したメールだった

 

課長オ・サンシクが 自分のことを“うちの奴”と言ってくれたこと

飲み会に誘われ 人生初の羊肉ホルモンを食したこと

営業3課の一員として 頑張っていく所存だと締めくくられている

 

昨夜 大酒を煽り泥酔したオ課長は ほとんどの記憶を失っていた

グレもその場にいたことや コ課長との口論さえ思い出せない

 

呆れるドンシクを屋上へ誘い 1冊の案件書類を見せた

ずっと保留になっていた “マイクロファイバーモップ輸出”の案件だ

チェ専務が待ったをかけた案件なのに…! とため息をつくドンシク

 

オ・サンシクは 課の成績を上げることに固執せず

常に難しい案件や 実入りは少ないがやり甲斐のある案件を好む

上司との確執も怖がらず…というか そもそも派閥入りを嫌う一匹狼だ

同期は すでに次長に昇格している者も多い

“万年課長”と囁かれる上司に惚れ込み 喜々として働くドンシクもまた

“万年代理”まっしぐらと 影では囁かれているのだった

 

オフィスに戻るなり オ課長からグレに 仕事の指示が飛ぶ!

しかし “COO”だの “MOU”だのと 専門用語に固まるグレ

サンシクは 貿易専門用語辞典を差し出す

せめて指示の内容ぐらいは聞き取れるようになれと

 

無視を決め込んでいたオ課長が 言葉こそ荒いが受け入れる態度を見せた

グレは 中庭で 休憩時間も惜しみ用語辞典に没頭する

そこへアン・ヨンイがやって来て プレゼンの話を切り出すが

イ・サンヒョンが割り込み ヨンイの手を掴み 連れて行こうとする

 

咄嗟に手を払い除けるヨンイ!

サンヒョンは 何かにつけヨンイの肩に手を置いたりする

過剰に女性扱いし エスコートでもするような振る舞いだ

コネ入社のグレも気に入らないが どこかでヨンイを軽視している

どんなに優秀か知らないが 特別扱いにも程があると…!

つまりは 自分こそが優秀で 本採用は間違いないと確信し

誰からも敬遠されているヨンイに同情し “救いの手”を差し伸べているのだ

 

自分が優位だと信じて疑わないサンヒョン

大学時代の先輩から資料を貰ってアレンジし それで発表は済ませようという

互いに採用は確実なのだから 何も苦労することはないという考えだ

しかしヨンイは その提案をきっぱりと断る

あまりに意固地だと吐き捨て サンヒョンは行ってしまう

行きがかり上 組むことにはなったが 先が思いやられる相手だ

 

そこへ ベッキが グレはなぜ“あんな奴”と組んだのか… と切り出す

忙しくて周囲の状況が分からないヨンイは 初めてグレの状況を聞く

一躍人気者のようになったのは グレを利用しようという皆の思惑があった

それをすべて断ったグレは まさに“最悪の相手”と組んだのだという

 

ヨンイは それで納得がいった

なぜグレが誘いを断ったのか… きっと自分も その中の1人と思われたのだ

 

インターン社員たちの 目まぐるしい3日間が過ぎた

 

チャン・グレは オ課長から渡された用語辞典を 徹底的に読み込んだ

そして 辞典に載っている専門用語だけでなく

いつの間にか 営業3課だけで使われている暗号までマスターしていた

 

ハン・ソンニュルに丸投げされた プレゼンの準備を進めながら

その驚異的な記憶力で 貿易用語を 完璧に近い状態で覚え切ったのだ

 

その優秀さの片鱗が見え始め キム・ドンシクは感嘆のため息をつき

オ課長に グレが採用されることを望むかと聞く

 

『あいつは落ちるべきだ』

 

優秀だからこそ その先に待つ結末が やるせないものになる

課長オ・サンシクは ドンシクには考えも及ばない未来を ひとり憂いていた

 

チャン・グレは 相次ぐソンニュルからの“却下”に戸惑う

指示はただ “もっとセクシーな内容に”などと あまりにふざけ過ぎている

(丸投げを決め込んだはずなのに なぜ“却下”なんだ)

グレの戸惑いは 次第に“辟易”へと変わっていく

 

職場では 次々と指示が飛び 目まぐるしくて余裕がない

プレゼンの準備は 睡眠を削ってやるしかなかった

それでも ハン・ソンニュルに送ったデータは 既読にすらならない

 

デスクで居眠りするグレ

オ課長は 声をかけようとするドンシクを制止し そのままにさせた

 

グレは 夢を見ていた

幼き日の自分が 尊敬する棋士の面々に手ほどきを受けている

また 入段出来ずに 棋院を去ろうとした少年の日 皆が引き留めてくれた

もう忘れたはずなのに なぜこんな夢を何度も見るのか…

 

目覚めたグレは 気分を変えようと休憩室へ行く

そこにいたアン・ヨンイもまた パートナーの勝手さに困っていた

ヨンイは もし誤解しているなら グレの誤解を解きたかった

決して 皆が考えているような気持で グレを誘ったのではないと

 

誤解していたことを謝ろうとするグレ

しかしヨンイは 採用された時に謝ってほしいと言う

じゃあそういうことで… と笑顔になる2人

そこへチャン・ベッキが顔を出し グレに『ここにいていいの?』と言う

 

課に戻ると オ課長が怒鳴り キム・ドンシクがうなだれている

隣りの課のキム・ソッコが トラブルの内容を耳打ちしてくれた

 

オ課長が進めようとしていた“マイクロファイバーモップ輸出”の案件で

FTA(自由貿易協定)を鑑みた ドンシクの対策にミスがあり

解決出来なければ 明日の船積みに間に合わない事態となったのだ

 

ドンシクを怒鳴りつけながら 決裁したのは自分だというオ課長

今は 責任を追及している場合ではない

とにかく解決しなければ 会社に莫大な損失を負わせる羽目になる

 

突然に 取引先が 原産地証明書をつけろと言い出してきた

今から準備するのでは 完全に間に合わない

船積みを延期し 3日で証明書を揃えれば 何とかなるかもしれないが

間に合わなければ 空輸で送ることになる

取引先との問題は解決できるが 割高のコストで損害は免れない

 

オ課長は キム本部長に呼ばれ叱責を受ける

解決出来たところで 船を3日も足止めするコストがかかり

もし空輸に切り替えれば 船のキャンセル料まで発生してしまう

しかし 契約破棄になるよりは… と説得するオ課長

 

課に戻るなり オ・サンシクは 蔚山(ウルサン)へ行くと言い出す

それを知っていたかのように 列車のチケットは予約済みだというグレ!

しかし今は その機転を褒めている余裕もない

2人は グレを置いて駅へ向かう…!

 

しかし結局は 足りない資料を届けるため グレも蔚山(ウルサン)へ

 

資料集めを手伝いながら ここにソンニュルがいるんだと思うグレ

同じ建物内にいるはずのソンニュルは 依然としてメールを既読しない

すると目の前を ハン・ソンニュルが 女子社員を追いかけ通り過ぎる

ソンニュルは いきなり女子社員の尻を触り したたかに平手打ちを食らう

 

『痴漢をしていて忙しかった? だからメールも読まないのか?!』

 

背後からの罵倒に 慌てて振り返るソンニュル

グレはようやく パートナーに 3つの資料を読ませることが出来た

 

原産地の資料を整理しながら オ課長は ソンニュルについて話す

インターン社員とはいえ 世渡りはなかなかの青年だ

グレが出来る奴だと思えば 遠慮なく利用し自分を目立たせる

反対に使えないと見限るなり 自分をアピールして前に出るだろうと

まるで台風のような男だが その中心部は静かだと

ソンニュルの懐に入り込めというオ課長

 

ソンニュルは グレを呼び 2つ目の資料が良かったと感想を言う

 

『じゃあ これで合意ということで!』

『え?』

『もう合意できた あとは約束通り一任してもらう!』

 

これ以上 ソンニュルに振り回されたくない

何もしたくないなら丸投げでも構わない

とにかくもう 関わりたくなかった

 

ただ…

 

グレは確認したかった

おそらくソンニュルは 自分より年下だろう

年齢の序列を考慮するなら それなりの礼儀は守ってもらおうと…

 

数日後

 

代理キム・ドンシクが起こした問題は解決し

出航延期のコストはかかったものの 無事船は出て行った

 

それと同じくして ハン・ソンニュルが現れた

ソンニュルは 互いの履歴書の写しをかざしてみせる

グレは87年 ソンニュルは86年生まれ

つまり これまでの関係は揺るがず 主導権は移動しないことに

呆然とするグレの肩をポンと叩き ソンニュルはエレベーターに消えた

 

一方 オ課長は キム本部長に呼ばれ

キム・ドンシクが 懲戒に値すると告げられていた

 

減俸か左遷か せめてそれ止まりだろうと思っていたのに

まさか懲戒委員会にかけられるとは 本部長にも予想外だった

 

事の発端は チェ専務が待ったをかけた案件に手を出し

挙げ句にミスをし 損害を出したことにある

 

2人の会話はフロア中に響き もちろんドンシクも聞いている

チェ専務の意向であろうがなかろうが もはやなす術もない

キム本部長が この事態を覆すことは不可能だった

 

『こうなることを予測して刃向かったんじゃないのか!

どうせなら ミスなくやるべきだっただろ!!!』

 

重い空気が流れる営業3課

そこへ ソンニュルからグレに呼び出しがかかる

同意を得て あとは自由にやるはずだった資料に ダメ出しが入る

まるで弁論大会のようなグレの文章に まずはクレームだ

 

そもそも グレとソンニュルには 発想の原点から違いがあった

たとえば ポリプロピレンという繊維がある

グレはこの繊維を 染めにくく耐久性がなく 衣類に向かないと考える

しかしソンニュルは そういったマイナス思考を無視し

この繊維の保温性や透湿性に目を向ける

 

この発想こそが 現場で鍛えられた“売るための発想”と言える

暑い国で売れないという考えはなく 寒い国で売ることを考えるのだ

 

グレは コテンパンにやられた気分になる

確かに言われるまで 負の発想しか思い浮かばなかった

屋上で落ち込んでいると オ課長の話し声が聞こえて来る

ドンシクの処分軽減を 誰かに頼み込んでいるようだ

 

そこへ 営業2課長コ・ドンホがやって来る

懲戒委員会を開くかどうかの 会議から戻ったようだ

グレは身を低くし なるべく会話が聞こえる位置に移動する

 

会議は ドンシクを擁護するような内容にはならなかったようだ

こうなったら直談判し 委員会をなくすしかないというドンホ

 

『どうせお前は 部下の行く末より自分のプライドが大事だろ!

まあいずれにしても お前の部下だし? 俺には関係ないがな!』

 

敢えてサンシクを発奮させるような言い方で 冷たく去って行くドンホ

オ課長には チェ専務に直談判出来ない 個人的感情があるようだ

代理キム・ドンシクを守るには それしか方法がないのに…

 

グレが課に戻ると ドンシクはいつものように働いていた

内心は動揺しているだろうが 精一杯出来ることをしようとしている

 

颯爽と取引先へ向かうドンシク

それを遠目に見るオ課長

課に戻ろうとすると 向こうからグレとソンニュルが現れる

いよいよ明日に迫った プレゼンの申し込みに行ったようだ

 

原稿の指南をきっかけに 立場は再びソンニュル主導になっている

経験の差からして 致し方ないとはいえ オ課長には情けなく見えた

課に戻り 何で言いなりなんだと問う

 

グレは 『プライドと意地だけでは太刀打ち出来ない』と答える

今の自分には どうしてもソンニュルの経験値が必要だと…!

 

『悔しいですが 今は生き延びることだけを考えます』

 

グレの言葉は オ・サンシクの心に響いた

今は “ドンシクを守る”ことだけを考えようと 18階役員フロアへ向かう

しかし“専務室”の秘書が 悲壮な表情のサンシクに 専務の不在を告げた

 

戻りのエレベーターに ハン・ソンニュルがいた

オ課長は 15階で降りるソンニュルに わざと足を引っ掛けた

派手に転びながら 扉の前に飛び出るソンニュル…!

何食わぬ顔で『大丈夫か?』と声をかけるサンシク

 

こんなことで グレの敵討ちでもないが

まるで子供じみた仕返しをするサンシクだった

そして課に戻り グレに声をかける

 

『原稿を声に出して読め 本番では緊張し声が上ずる

荒い息づかいの 鼻息の音までが マイクに拾われて雑音になる

制限時間の10分を意識しろ』

 

呟くようなオ課長の言葉は 確かにアドバイスだった

グレは 本番中の緊張なんて 全く考えていなかったのだ

さっそくソンニュルを呼び出し 練習しようと誘うが

ソンニュルは 部下も守れない上司のアドバイスなんて!と鼻で笑う

 

今度こそ頭に来たグレは 本気で殴りかかる!

もともと暴力に訴えるタイプの2人ではないが 互いに譲らない

どちらかが倒れるまでは終わらないかに見えた殴り合いは

2人に 同時に届いたメールで強制終了となった

明日行われる 個人プレゼンの課題が発表されたのだ

 

〈互いのパートナーに物を売る〉

 

グレにとっては 絶望的な課題だった

(こんな何ひとつ売りたくない相手に… 何を売れというんだ!!!)

 

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ミセン ~未生~ 第2局

2018-09-21 08:00:00 | ミセン ~未生~ あらすじ

 ミセン~未生~ 第2局 

 

真夜中のオフィス

パソコンに向かう グレの姿があった

作業の途中で却下された“自分なりの分類”を完成させ

どうしても オ課長に認めさせたかった

分かりやすい分類こそが 効率的に活用できると証明したかったのだ

 

明け方 サウナに行く

塩辛にまみれたまま 酷い姿で徹夜したグレ

幸いというべきか… 母親が届けてくれたスーツは台無しになったが

帰宅せずとも 着替えがあったことはありがたかった

 

サウナ帰りのエレベーターで アン・ヨンイと一緒になる

ヨンイは 上着のポケットに突っ込まれたネクタイに気づく

ここは服装には厳しいと言われ 自分では結べないと答えるグレ

無言でネクタイを受け取り 自分の首にかけ手早く結ぶ

エレベーターの扉が開くと同時に ネクタイを渡し足早に行ってしまう

グレは あっという間の早業に お礼を言う余裕もなかった

 

営業3課では

 

グレのパソコンの前で キム・ドンシクが唸っていた

なぜ問題点を教えてやらないのかというドンシク

いずれ辞めていく者に 何を教えろと?

オ課長の判断は そこにあった

育てたところで長居はしないだろう

ならば教えても無駄なことだと… それがすべてだった

 

戻ったグレに 努力の“量”は証明されたとだけ言い渡す

課長オ・サンシクは無駄だと言ったが キム・ドンシクは割り切れない

チャン・グレを呼びつけ “素晴らしい分類の問題点”を指摘した

 

なぜ課長のフォルダを無視したのか

この資料は 社内全体が閲覧するものだ

フォルダは会社のマニュアルであり 全員の決定事項だ

そこから逸脱すると あとで見る人が混乱するのだと

 

そうなのか… と思うしかなかった

グレはこれまで 自分だけの世界で闘ってきた

さまざまな課に分かれていても 仕事はすべて共同作業だというドンシク

“共同作業”という概念が グレの中にはない

常に対局の相手は存在するが 基本は自身との闘いとなる囲碁の世界

グレは 踏み込んだことのない世界の前に 立ち尽くす思いがした

 

その意味で言えば 課長オ・サンシクもまた然りである

営業本部長キム・ブリョンに呼び止められ 週末の予定を聞かれる

チェ専務との山登りに誘われ 週末は予定が… と答えるオ課長

徹底して派閥入りを拒む オ・サンシクの信念は揺るがない

万年課長の憂き目に遭う部下を 何とか引き上げたいブリョンだが

本人が こうまで意固地では 取り成すことも容易ではない

 

オフィスに戻ると 隣の課では キム・ソッコが絞られていた

営業2課課長コ・ドンホは ソッコの仕事ぶりに堪忍袋の緒が切れた

気持ちを鎮めようと 屋上へ向かうドンホを サンシクが追いかける

いくらインターンに苛立っても 3課よりはマシだというドンホ

 

『チャン・グレが 誰のコネか知ってるのか?』

『誰なんだ?』

『…専務だよ』

 

同じ時 グレは オ課長の言葉に傷ついていた

どうせいなくなる人間に 教えても仕方がないという言葉が…

 

インターン社員の間では“プレゼン”の話題で持ち切りだった

互いにパートナーを決め 組になってプレゼンをする

その後で 個人のプレゼンもされるが 誰と組むかは重要だった

プレゼンの評価により 正社員として採用か不採用か

あるいは どの課に配属されるかが決定される

 

休憩室のシュレッダーを使っているグレに チャン・ベッキが声をかける

相変わらず グレをからかうサンヒョンたちを一瞥し

ああはなりたくないと呟くベッキ

いくらチャン・グレの経歴を蔑んだところで

採用されなければ 結局は同じことだと…

グレはベッキを追いかけ ああならないためには何をすべきかと問う

 

『さっきのは冗談だよ 真剣に考えないで

別に採用されなくたって ここだけが会社じゃない

まずは… プレゼンのパートナーを捜すことだ』

 

『……また“共同作業”…か』

『え?』

 

グレはうんざりしていた

仕事=共同作業という構図に どうしても溶け込めない自分がいる

 

課長オ・サンシクは グレを無視し続けた

営業2課長コ・ドンホの言葉が引っかかる

チャン・グレが 専務のコネだとすれば なぜここに配属されたのか…

配属に思惑はなさそうだと言っていたが…

グレの能力を見ても “監視役”が務まるはずがないと

 

「意図があったとしても ただの嫌がらせだろう

人手不足の3課にあんな人材を…

紹介を頼まれて 何も考えずに配属したんだ」

 

無断でグレに仕事を教えるドンシクを叱り ここは研修所じゃないと怒鳴る

戸惑って固まるグレに 昼食にしろというドンシク

 

社食が煩わしく 最近は 屋上でパンをかじるグレ

それにしても オ課長の態度は目に余る

仕事は共同作業だと言ったくせに なぜここまで無視するのか…!

 

『共同作業じゃないんですか!!!』

 

空に向かって叫んだはずが… 中庭の連絡通路を行くオ課長が振り向く

キム・ドンシクも一緒に 屋上を見上げている

咄嗟にうずくまり隠れるグレ!

 

一方 チャン・ベッキは アン・ヨンイにパートナーの話題を振る

ヨンイは ベッキにパートナーを頼みたかったが 話を逸らすベッキ

 

3課に顔を出したヨンイが まだ決まらないと聞き

勇気を振り絞り 僕と… と切り出すグレ!

思いがけない誘いを まさかと思い聞き流すヨンイ

じっと見つめるだけで 返事を聞く前に心が折れてしまう

ずっと渡せなかったヘアゴムを 今度こそ渡せただけだった

 

そんなグレの周囲が 変化し始める

あんなに敬遠していた同期たちが 何かにつけて気にかけてくれる

好意的に話しかけ お菓子の差し入れがデスクに積み上がっていく…

何かが変だ… 何なんだ?

グレは 突如として人気者のような扱いをされ戸惑う

 

(それにしても 誰も誘ってこない…)

 

アン・ヨンイは パートナーは誰でもいいと思っていたが

誰も 一緒にやろうとは言ってこなかった

そこへ イ・サンヒョンが来て 組もうと言う

自信たっぷりのサンヒョンは 待っても誰も誘ってこないと言い放つ

 

『なぜ?』

『デキ過ぎの君と組もうなんて 誰も考えないよ

結局は 君の引き立て役になるだけだろ だから 俺とやろうぜ!』

 

(…そういうこと?)

 

そこでヨンイは さっきのグレの言葉を思い返す

グレを呼び出し 今度はヨンイの方から組まないかと切り出した

 

浮かれるグレに釘を刺したのは 代理キム・ドンシク

なぜ今 人気者のようになっているのか… 現実を突き付けた

つまりはグレが“便利な存在”だからだと はっきり言ってのけた

 

『パートナーが揃って合格することがベストだ

でも それが無理なら…“爆弾”と組めばいい』

『“爆弾”…ですか?』

『落ちるにしても “爆弾”と組んだからだと言い訳が出来る

受かるにしても チャン君は引き立て役になるし 都合がいいってこと

とにかく 近づいてくる奴はそういう考えだと思え』

 

一瞬でも… 状況が好転したと思った自分が恥ずかしい

“仲間”として 受け入れられたわけではなかった

こんなにも多くの人間が働く中で グレは孤独を噛みしめる

誰の笑顔も 誰の言葉も嘘っぱちだった

言い知れない“疎外感”に 押し潰されそうになる

 

たまらなくなり 持ち場を離れる

その変化を 課長オ・サンシクが見つめていた

 

“仕事は共同作業”だと言っていたのに…

ひとり放置され 何も教えられず…!

グレは 思いのすべてをぶつける

頑張る機会が欲しいと訴える…!

 

オ課長の答えは明快だった

この会社を受けるため みんな必死に闘ってきた

そこへ 何の資格も能力もない者が コネ入社で入って来る

それが“現実”だと…

 

『俺は“現実”なんかに流されたくない』

 

容赦ない言葉に 打ちのめされるグレ

課長オ・サンシクは 非情なまでにグレを無視する

その瞳の奥に 沈痛さを滲ませているが 必死に隠しているようにも見える

 

隣りの2課では 今日もキム・ソッコが怒鳴られている

仕事が遅く ミスを連発するばかりか 居眠りまで…!

 

チャン・グレは 裏紙に領収書を貼れと命じられる

ドンシクが 今のグレに与えられる仕事は この程度のことだったが…

 

『おい 何を裏紙にしてる? 起案書はダメだ

何でもかんでも裏紙にするんじゃないぞ!』

『は…はい』

 

総務へ行くグレと入れ替わりに キム・ソッコが入って来る

2課の備品庫は施錠され 気軽に備品が使えない

提出書類を急がされたソッコが グレのデスクの糊を借りる

 

仕事が遅い上に やることのすべてが雑な男である

グレのデスクで書類を糊付けし さっきの起案書を重ね持って行ってしまう

 

それからしばらくして チェ専務が3課を訪れる

突然の来訪に 慌てて席を立つ一同

秘書が 無言のまま 1枚の書類を差し出す

ロビーに落ちていたというその書類を なぜチェ専務が?

書類を見たキム・ドンシクが凍りつく…!

 

裏紙にしてはダメだと あれほど言ったのに

チャン・グレが 領収書を貼ろうとした“起案書”がなぜ?!

 

情報漏洩については どの課も厳しく通告を受けている

企業秘密とも言える“起案書”が あろうことかロビーに…!

さらには運悪く チェ専務がそれを拾ったようだ

 

微笑みを浮かべながら チェ専務は立ち去った

うなだれるチャン・グレ

キム・ドンシクは オ課長に無視されるグレを気にかけ

些細な仕事でも割り振るよう 配慮を重ねてきた

しかし… こういうミスが起きるならば

やはり オ課長の判断が正しかったのかと思わざるを得ない

 

『今すぐ出て行け!!!』

 

フロア内に響くほどの大声で グレを罵倒するオ・サンシク

静まり返るフロアで オ課長の次の言葉に注目が集まっている

 

『これだから機会はやれないんだ 資格が無いからな!

何してる 出て行けと言ったはずだ!!!』

 

見かねたドンシクが グレを屋上へと連れ出す

もう グレにかけてやるべき言葉もない

新人だから 未経験だから 無資格だから…

それで許されるミスの範疇を はるかに超えていた

情報漏洩という重大さすら チャン・グレには理解出来ないだろうと

 

日が暮れても グレはオフィスに戻って来ない

重い空気が流れる中 営業2課に歓声が沸き起こる

キム・ソッコが 20億ウォンの受注を決めたと…!

 

深いため息で 隣の歓声を聞くオ・サンシク

ふと デスクに置かれた“起案書”に目をやる

チェ専務が拾ったという“起案書”

その起案書のサインを見ると… キム・ソッコの名が…!

 

喜びに沸き立つコ・ドンホが オ・サンシクをタバコに誘う

仕事が遅くミスも目立つが やることは丁寧だと絶賛する

あんなにけなしていたソッコを 掌返しで誉め立てるドンホ

 

『長男だからと早くに結婚させられ 歳をくってからの入社だ

年齢的には 代理になってもおかしくない

妻子を養うため 何が何でも今回は採用されなければならない』

 

そんな事情だから 頑張らせたいというドンホ

 

おそらく“起案書”は キム・ソッコの不始末だ

しかし 今はそれを持ち出す空気ではない

 

屋上でランニングを続けていたグレが フラフラになって戻る

そこへ 見知らぬ青年が現れ 親し気に声をかけてきた

繊維2課のインターン社員ハン・ソンニュル

本人たっての希望により 蔚山(ウルサン)の工場で勤務しているという

 

初対面で いきなりパートナーにならないか?と誘って来る

見るからに遊び人の風貌で お調子者のキャラを隠そうともしない

さっきまでランニングしていた屋上へ行き 話だけでも聞くことに

 

課長オ・サンシクは 証拠となる起案書を シュレッダーにかけていた

歳をくった妻帯者のキム・ソッコは れっきとしたインターン社員

たとえ無実でも チャン・グレが生き残れる可能性は 限りなくゼロだ

そんなグレの無実を証明するより ソッコの未来を守るべきだと

 

屋上では

 

ソンニュルの 自信過剰なまでの自画自賛が始まる

いかに自分が有能か そして採用はもう決まったも同然の立場だという

熱く語るソンニュルを置き去りにし グレはオフィスへ戻る

 

(採用されたも同然だから 無能の自分をパートナーに?)

 

なぜこうもうんざりすることばかり続くのか

グレは 何もかもがどうでもよくなっていた

デスクに戻り 大したことはない私物と荷物を持ち 深々と一礼する

キム・ドンシクが『何のマネだ!』と怒鳴る!

それを止めたのは オ課長だった

 

ドンシクの やりかけの仕事を中断させ 『飲みに行くぞ!』と叫ぶ

自分には関係ないことだと 最後まで無視されながら 帰ろうとするグレ

 

『何してる! 飲みに行くぞ! お前も来い!!!』

『え?』

 

聞き間違いでなければ グレも誘われている

ドンシクも 行くぞ!と目くばせし さっさと行ってしまった

 

オ・サンシクは まるでひとり飲みしているかのように手酌で酒を煽る

何も 2課に実績を挙げられて悔しいわけじゃないと

確かに悔しい思いはあるが だから酔っているんじゃないという

 

『こいつの分類は分かりやすかった! あれならみんなが納得する

合理的で! 効率的で! しかし使えない!!!』

 

唐突に グレを褒めるサンシクに 2人とも面食らう

そして最後にサンシクは 『こいつは無実だ』と呟いた

 

直属の部下ドンシクにも 今回の当事者グレにも

それ以上を語ることは出来なかった

しかしそれでも グレを庇わずにはいられないサンシクだった

 

何がどうなっているのか分からないまま 酔いつぶれた上司を介抱する2人

もう飲めないだろうと サンシクを抱え店の外に出る

すると向こうから 2課の連中が上機嫌で歩いて来た

 

大型契約で祝い酒に興じた一行と やらかしてヤケ酒を煽った一行

コ・ドンホは 浮かれ気分でサンシクに慰めの言葉をかけた

 

『これだけは言っておく もう備品を借りに来させるな』

『何なんだ? 俺の手柄が不満か? 不愉快なのか?!』

 

オ・サンシクとコ・ドンホは 決して仲が悪いわけではない

互いに 課を率いる長として切磋琢磨してきた

だからこそサンシクは シュレッダーに“証拠”を飲み込ませたのだ

 

『お前の部下に 備品を自由に使わせろ!』

『お前の課に関係ないだろ!』

『お前の部下に貸したから うちの奴が怒られただろ!!!』

『何でこいつは備品くらいで騒ぐんだ!!!』

 

互いに泥酔している2人は 子供のケンカのように怒鳴り合う

しかし キム・ソッコだけは気づいた

 

『チャン君 ごめん!』

 

祝い酒の酔いも醒め ソッコは グレに向かって深々と頭を下げた

グレは 状況を把握し切れないまま茫然としていた

課長オ・サンシクの “うちの奴”という言葉だけが心に突き刺さる

 

出社初日も 長い一日だったが 2日目の今日も過酷だった

チャン・グレだけでなく すべての社員に帰宅後の“日常”があった

独り暮らしのねぐらに帰る者

泥酔し 寝静まった子供たちを起こし 妻に小言を食らう者

戦場のような激務に立ち向かい 守るべき家族のもとへ帰る者

 

グレは オ課長の言葉を何度も思い返し “共同作業”の意味を噛みしめる

“うちの奴”という“居場所”が出来たことは この上ない喜びだった

 

翌朝

 

チャン・グレは 真っ直ぐに繊維2課へ向かう

ハン・ソンニュルの パートナーの申し出を受けると決めたのだ

グレの表情は これまでになく自身に満ち溢れ そして積極的だった

 

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ミセン ~未生~ 第1局

2018-09-18 08:00:10 | ミセン ~未生~ あらすじ

 ミセン~未生~ 第1局 

 

- 道は ただ歩くだけではなく 前に進むためにある

  前に進めないなら それはもはや道とはいえない

  道は 全ての人に開かれている

  しかし 誰もが前に進めるわけではない -

 

ヨルダンの首都アンマン

韓国人の青年チャン・グレが 何かを捜して歩き回っている

そこへ 1本の電話が入る

裏通りの安宿へ彼を呼び寄せたのは ヨルダン支社のチョ代理

2人が捜す男ソ・ジンサンは 彼らに気づくなり逃走する!

チャン・グレは 粘り強く追跡し 追いつめていく

 

なぜ彼がこの国にいて 男を追いかけているのか

彼についての物語は 2012年 春にさかのぼる

 

チャン・グレは 銭湯の掃除をしていた

呆れるほどに一生懸命働くグレだが

今日限りで… と言いにくそうにつぶやく店主

足のケガで休んでいた従業員が 明日から復帰するのだという

繋ぎのバイトだったグレの役目は 今日で終了というわけだ

 

失業してしまったが グレはもう1つ 運転代行のバイトもしていた

酔っ払い相手の仕事では 時に 心無い言葉で罵倒されることもある

「いい若者が運転代行なんかで楽をせず しっかり働け!」

身を粉にしてバイトをかけ持ちし 必死に働いても

所詮 世間の評価はこんなものだ

 

そこへ 母親から連絡が入る

新しい仕事が決まったから 明日から出社するようにと

 

翌朝

 

あまりに急な話で 亡き父のスーツを来ていくしかない

大きさの合わないスーツだが グレは 嫌な表情も見せず着て見せた

 

『今日中に新しいスーツを買っておく』

『安いのでいいよ』

『安くたって 最新の流行のにするわ』

 

スーツ姿の息子に 気後れしてはダメだと言い聞かせる母親

1つ教えれば 100答える頭の良さは きっと役に立つと

 

『ソンウォン実業の社長が あんたを気にかけてくれて

あの大会社に推薦してくれたのよ 決してやましいコネじゃないからね』

 

緊張して出社したグレは ひたすら待たされた

挙句 営業3課代理キム・ドンシクに 屋上へ連れて行かれる

グレの最終学歴が “高卒認定試験”だという事実に

中途退学なのか はじめから行かなかったのかと聞く

消え入るような声で 後者だと答えるグレ

 

26歳で まともに就職した経験もなく 外国語を話せるわけでもない

なのになぜコネが通ったのか… ドンシクは頭を抱える

この若者が部下になるかと思うと 苛立ちさえ覚えるのだ

 

『その歳になるまで何やってた? 出来ることが何ひとつない!』

 

まったくその通りだと グレは 心の中でつぶやいた

言い返すどころか 腹を立てることすら出来ない

 

同じ会社のフロアでは インターン社員アン・ヨンイが

10億ウォンの輸出契約を成立させ 上司からの称賛を浴びていた

 

そんなヨンイと グレがすれ違う

ヨンイが落としたヘアゴムを 呼び止めて渡すべきなのに

それすら気後れしてしまうグレ

 

配属された営業3課は 課長と代理だけの最小チーム

その課長とはまだ会えず 代理キム・ドンシクはてんてこまい!

どうせなら即戦力になる人材が欲しかったのに

コピー機すら 恐る恐る使うグレに絶望し 教える気力も失せていく

 

コピー機が用紙切れになり 給湯室のストック棚へ取りに行くが

そこも在庫切れで 備品庫へ取りに行くことに

ストックが給湯室の棚にあることも 補充は備品庫へ行くことも

初出勤のグレは いちいち聞かなければ分かるはずもない

学歴もなく 経験もなく 何ひとつ資格も無い

おまけにコネ入社となれば 反感の対象となるのは必至

グレが何も出来ない能無しインターンであることは

いずれ周知の事実となるだろう

 

どうしても外出しなければならないドンシク

通りかかったアン・ヨンイに声をかけ グレと一緒に昼食をと命じた

意地悪するつもりはないが 面倒を見ている暇がない

 

大きなビルの 広々としたフロアは いくつもの課に分かれていた

ある者は忙しくパソコンのキーボードを叩き

またある者は 電話の相手と英語で議論している

上司の怒号が飛び それに応じて部下が動き回っていた

 

ただ茫然と それを眺めるしかないグレには

そのフロアのどこにも 居場所がなかった

配属された営業3課課長は依然として現れず 代理キム・ドンシクもいない

デスクの上の書類の山 掲示板の貼り紙を見ても チンプンカンプンだ

 

そんな中 課内の電話が鳴る…!

今のグレには 電話を取ったところで何も分からない

それでも 電話に出られるのはグレだけだ

 

隣りの課の人間が(早く出ろよ!)という視線で刺す

 

しどろもどろの応対に 電話の向こうも苛ついている

自分の課の課長が どこへ外出中かも分からない

当然といえば当然なのだ

初出勤からまだ 何ひとつ教わっていない

 

隣りの部署から 課長は海外出張中だと面倒そうに教えられ

それを告げれば 今度はいつ戻るかと聞かれた

電話の相手が 吐き捨てるようなため息をつき 一方的に切られた

 

息つく暇もなく 次の電話が鳴る!

ためらわずに受話器を取ると 今度は外国語でまくし立てられる

誰に聞けばいいのか… さっきの人はもう相手にしてくれないだろう

するとそこへ アン・ヨンイが通りかかる

 

今のグレにとって 顔見知りは彼女しかいない

何故私が?という迷惑そうな表情のヨンイ

彼女もまたインターン社員であり 自分のことで精一杯だ

しかし グレより慣れているのは間違いない

 

アン・ヨンイは 電話に出るなり ロシア語で応対する

(メモを!)というジェスチャーに慌てて差し出すグレ

あとはただ 見ているしかない

素早く伝言メモを書き グレに渡すと ヨンイは急いで持ち場に戻る

お礼を言う暇もなく グレはまたひとりになった

 

次の電話は英語だった

隣りの課の男は あからさまに視線を逸らし無視を決める

 

アン・ヨンイがいる課へ行き 無言で腕をつかみ連れて来る

プライドなんて思う暇もない 今はヨンイを頼るしかない

どんなに迷惑がられても 軽蔑の視線で睨まれても

グレが頼るべき人間は ヨンイひとり切りだ

 

資源2課では もうひとりのインターン社員 チャン・ベッキが奮闘している

頼まれてもいないプレゼン資料を作り 課長を唸らせ

ランチの予約も 上司たちの会話から好みを把握し 何もかも完璧にこなす

 

資源2課課長チョン・ヒソクは 営業3課のチャン・グレを見て

あれが自分の課に来なくてよかったと 心底ホッとしていた

この会社で コネ入社して続いた者はいない

大学出の優秀なコネ入社でもそうなのに

特技もなく 高卒認定試験が最終学歴の奴なんか 続くわけがないと…!

 

『どうせすぐに辞めるだろ 親切にしてやることだ』

 

グレは 電話の嵐が過ぎたところで アン・ヨンイのデスクに向かう

ただ さっきのヘアゴムを渡したかったのだが…

 

『ランチなら 私は1人で行くから あなたもひとりで行って!』

『そうじゃなく…』

 

そこへ チャン・ベッキが声をかけて来る

プレゼンをまとめ 10億ウォンの契約を取ったヨンイを称賛する

ヨンイは グレだけでなく ベッキをも無視し さっさと行ってしまった

残されたベッキは グレに握手を求め自己紹介する

親切にしてやれという 上司の言葉に従っているだけだ

 

自分より10日遅れで入社した 同じ立場のチャン・グレに

スーツの上着は 脱いでも問題ないよ と助言する

グレは そこで初めて気づいたのだ

自分以外の人間は 上着を脱ぎ ワイシャツの袖を腕まくりしている

サイズの合わないスーツの 上着を着たままのグレは

緊張のせいもあってか 汗だくになっていたのだ

 

同じ時 グレの母親は デパートでスーツを選んでいた

ブランド店のスーツは どれもこれも高額で とても手が出ない

母親は スーパーに隣接する呉服店の安物スーツを 買い物袋に押し込んだ

 

昼時になり グレは ひとりデスクにいた

さっきは無下に断ったものの 冷たくし過ぎたかと気にするヨンイ

 

『あなたって もしかしてマザコンなの? ひとりで食事も出来ない?』

『そこまでバカじゃない! …お腹が空いてないだけだ』

 

あんなに頼ってばかりいたヨンイに 少しだけ腹が立った

空いてないと言ったお腹が 空腹で鳴った

(よし 食事に行こう!)

遅れて向かったエレベーターは ランチに向かう人でごった返す

皮肉にも グレひとりだけが残され エレベーターが閉まった

偶然に過ぎないと思いたいが 今のグレには この偶然さえ切ない

 

エレベーターの中では 他のインターン社員たちが…

 

(あいつだろ? コネ入社)

(バックが大物なのか?)

(物凄く優秀とか?)

 

エレベーターの中のベッキは その噂話を聞いているしかない

グレの学歴や 特技無しという情報は まだ公には知られていないようだ

社食でも 一同の話題はグレについてだった

 

(いくらコネだって 無試験ってのは不公平だよな)

(特別扱いは アン・ヨンイくらいなもんだろ)

 

言いたい放題のインターン社員たち

するとチャン・ベッキが 席を探すグレに声をかけ空席に招く

向かい合うキム・ソッコが 親し気に自己紹介した

さらにベッキは “インターン勉強会”に来るのかと聞く

好意的なベッキに 今日初めての笑顔を見せるグレ

 

しかし 他のインターン社員たちは違う

“特別なインターン”に 勉強はいらないだろうと嫌みを言う

どこの大学を? 他に得意なことが?

あからさまに聞くイ・サンヒョン

グレは臆することなく 最終学歴は高卒認定試験だと答える

想定外の答えに 言葉を失う一同

 

やがてひとりになったグレ

その向かいの席に アン・ヨンイが座った

さっきの失礼を詫びるヨンイに 『ああ』とだけ答えるグレ

 

『こういう時は「大丈夫だよ」と答えるべきだわ』

『もし 僕も悪いならそう答えるよ』

 

きっぱりとした言い方に ヨンイは呆れ顔

しかし 気分は悪くなかった

あれだけ恥も外聞もなく自分を頼りながら

少しは芯があるところを見せるグレに 思わず苦笑するヨンイだった

 

チャン・グレの 長い長い一日が終わった

 

社会人となった初日は 思った以上に厳しく強烈だった

“コネ入社”が どれだけ敬遠されているかを思い知り

同期のインターン社員たちの本音を 偶然にも休憩室で聞いてしまった

 

大学入試のため 必死に塾通いし夜も寝ずに勉強した

それでも足りずに資格を取り 語学留学もしてここまで来たのに

そんな苦労もせず コネを武器に無試験で入社するなんて…!

 

グレには もっともだと思う感情しかない

それほど自分には 誇れるべきものが何ひとつ無いと…

 

自宅へ向かう途中の繁華街

居酒屋で奇声を上げるサラリーマンたち

スーツ姿こそ同じにしていても グレには別世界のように感じる

 

コネ入社だと蔑む同期の言葉より グレを深く傷つけたのは上司の言葉だった

 

「せいぜい優しくしてやれ いずれ辞める人間だ

どうせここに アイツの居場所はないさ」

 

帰宅したグレは 机の上の囲碁盤を 洋服ダンスの中に放り込む

乱暴に放られ 碁石が飛び散った

グレの無言の怒りは このような形でしか示されない

 

幼いグレは 棋院の研究生だった

やがて少年になり 二十歳を過ぎるまで 棋院に通い続けたグレ

段位取得のため 必死に囲碁と向き合う日々

師匠はグレに バイトを辞めて囲碁に集中しろと忠告する

しかし 父親が病弱であり 経済的な理由から辞めることは出来ない

いくつものバイトをかけ持ちしながら有段者になれるほど

囲碁の世界は 甘いものではなかった

 

研究生でいられる期間は限られている

最後の勝負に懸けるため 一時的にバイトを辞め本腰を入れようとした矢先

とうとう父親が力尽き 逝ってしまう

グレの未来は遮断された

道が閉ざされた理由を 父親の死や バイトのせいにしたくない

夫の死にショックを受け 倒れてしまった母親のせいにもしたくなかった

囲碁にまつわるすべての持ち物を仕舞い込み 視界に入らないようにし

睡眠以外の昼夜をバイトに費やし 囲碁を忘れようとするグレ

こうした“境遇”を 囲碁を捨てた理由にするのは あまりに惨め過ぎる

ただ努力が足りなかったせいだと 自分に言い聞かせるグレだった

 

翌朝

 

母親は 買ってきた安物のスーツを 息子に渡せなかった

晴れて大会社に就職した息子に着せるには みすぼらし過ぎると自分を責めた

 

グレは 今日もサイズの合わないスーツで出勤する

出社するなり上着を脱ぎ 仕事する姿勢を見せるグレ

早い時間のオフィスは まだ閑散としている

訳の分からない書類の山が あちこちに積み上げられている

その中の“社内連絡網”に目を通す

 

やがて出社したキム・ドンシクが 課長に連絡を!と叫ぶ

すかさず受話器を渡すグレ!

あれ? 俺教えたっけか? 首を傾げながら受け取るドンシク

教わらずとも出来ることがある

グレの2日目は こうして始まった

 

なぜドンシクが慌てているのか

海外出張から戻る予定の 課長オ・サンシクが 渋滞にはまっているのだ

部長命令で すぐさま取引先と会うことになっている

この契約をまとめなければ 解雇に値すると 部長に脅されていた

 

今から空を飛んでも 最短早くて30分の遅刻だと嘆くオ課長

スケジュールを中継するドンシクが 悲鳴を上げ部長の携帯番号を探す!

グレは 覚えたばかりの連絡網で 部長に連絡し ドンシクに繋げた

 

部長とのやり取りで さらに悲鳴を上げるドンシク!

オ課長が到着するまでの時間稼ぎに 新人を行かせろというのだ

別件で これから大連に行かねばならないドンシクには なす術もない

 

詳しく説明をしている暇もなく 高麗人参のサンプルを渡し

とにかく時間稼ぎをしろと叫ぶドンシク

 

すべての説明を聞かされ 驚くオ課長

報告するドンシクも 始末書ものだと嘆く

ホテルで待つ取引先は外国人であり 向かったグレは英語を話せない

仕事が分からないばかりか 時間稼ぎをしようにも

まず会話が成り立たないのでは 引き止めようもないだろう

 

一体 ホテルではどんなことになっているのか

まだ見ぬ新人の顔さえ分からず オ課長は それらしき人物を捜す

 

すると…

取引先の“ヘンリー”が いかにも楽し気に考え込んでいる

その向かい側には 新人らしき青年が静かに座っていた

 

グレは ヘンリーに囲碁の問題を出し

ヘンリーは 初めて囲碁を教えられ 楽しそうに考え込んでいたのだ

上機嫌のヘンリーを見送ると オ課長は あらためてグレを見る

 

『囲碁が得意なのか?』

『いえ 経験がある程度です』

 

会社に戻る車中 2人に会話は無い

サンシクの口から やっと出た言葉は 昨日のドンシクと同じだった

一体 26歳まで何をしてきたのか

コネ入社だというのに 学歴もなければ特技もなく 外国語も話せない

 

『お前は運がいいぞ 昨日 俺がいないおかげで今日も出社できた』

『……』

『うちは人がいないから 即戦力が必要なんだ

教えてる暇なんか無いからな』

 

“売り”は何かと聞かれ 咄嗟に“努力”だと答えるグレ

これが新卒の答えだったら あるいは許されるのかもしれない

しかしオ課長は グレの答えを却下した

新人が一生懸命に頑張って努力することは あまりに当然であり

それだけでは 区別も差別も出来ないと

 

『質が違います! そして量も…』

 

グレの覚悟を 鼻で笑うオ課長

そして 資料のデータを渡し 分類してみろという

努力の質と量が どう違うのか お手並み拝見というわけだ

 

同じ時 グレの母親はデパートにいた

昨夜 初出勤から帰宅した息子は 酷く疲れて元気がなかった

もともと口数の少ない息子だが 不平も言わず懸命に生きている

安売りのスーツを渡せず 意を決してブランド物を買いに来た

カードの支払いがほとんどの専門店で 札束を数える母親

 

その頃グレは パソコンの画面に集中していた

どこから手を付けていいのか分からないほど バラバラのデータを

まずは紙に書き起こしてみる

 

実は こうした分類作業を 幼い頃からしていたグレ

さまざまな囲碁の対局を パソコン上で分類していく

自分の経験が 初めて生かされると感じ グレは嬉しくなった

 

一方母親は かき集めた現金で 目的のスーツを購入すると

その足で 息子が働く会社に向かった

ロビーに立つ母親の質素な姿は 大会社のフロアで完全に浮いている

それをしっかりと承知している母親は 手短に会話を終わらせ

ブランドロゴ入りの紙袋を渡し さっさと行ってしまった

 

オ課長は デスクの書類の山の中から アン・ヨンイのメモを発見する

その完璧すぎるメモに 本人を訪ねずにはいられない

インターンでありながら 大きい契約を取ったヨンイを知らない上司はいない

 

『インターンが終わったら 希望部署は営業3課にしろよ』

 

オ・サンシクは アン・ヨンイを我が部署へ!と熱望し

一応は周囲を気遣いつつ 本人にもその思いを隠さず伝えた

なんと答えたらいいものか… ヨンイは愛想笑いをするしかない

 

オ課長がデスクに戻ると 代理キム・ドンシクから電話が入る

イカのトラブルで大連に向かったドンシクは 異物混入に困り果てていた

塩辛を輸出するためのイカが 工場に届いたが

量増し目的で“ベイカ”が混入されたのだという

大量のイカ樽から“ベイカ”を探し出すのは 手作業でしか出来ない

オ課長は 各部署からインターン社員を召集し 工場に向かわせようとする

 

グレは 与えられた仕事に没頭しながらも 足元の紙袋が気になり

わざわざ届けてくれた母親の気持ちを思うと 着替えずにはいられなかった

サイズもピッタリな 高級スーツは 明らかに着心地が違う

服装などどうでもいいと思っていたグレも 鏡に映る自身の姿が眩しかった

 

会議室に集められたインターン社員たち

エリートと呼ばれる彼らが 快く引き受ける筈もない

なんで俺たちが? と口々に文句を言う

しかも この召集から アン・ヨンイは外されている

大活躍のヨンイを 上司がはっきりと断り守ったのだ

 

一旦 会議室に戻ると オ課長が グレのパソコンを覗いている

あらかじめ作っておいたフォルダに 振り分けるだけの作業だった

しかし オ課長が用意したフォルダは無視され 独自の分類がされていた

 

『お前 友達いないのか? これでは独りよがりだぞ』

 

これの何がダメなんだろう…

分類には自信があったし 何が悪いのか見当もつかない

そうこうしているうち 工場へ出発する時間になった

 

工場に着くと それぞれに作業着が渡され 作業の説明が行われた

突然の応援に人数分の作業着が確保出来ず 何人かはスーツのままだ

グレは 新品のブランドスーツにゴム手袋を渡されただけだった

冷蔵室内での作業は寒すぎて 新品のスーツを脱ぐことも出来ない

 

2人組になるよう指示されたが 駆けつけたインターン社員は奇数人数

当然のごとく グレははじかれ たった1人での作業を課せられる

 

寒い上に ドラム缶の蓋を開けると 強烈な臭いでムセ込むようだ

誰も真剣にやろうとは思っていない中 グレだけが必死になっていた

スーツを汚さないよう細心の注意を払い “ベイカ”を探していく

 

するとそこで ポケットの携帯に着信が入り

取ろうとしたゴム手袋から滑り イカの中に落ちてしまう…!

携帯はもう絶望的だが そのまま沈めておくわけにはいかない

新品のスーツの肩先まで手を突っ込み ドラム缶の底から携帯を掴んだ

 

『なんで繋がらない?』

 

オ課長は グレを諦め チャン・ベッキの携帯にかける

イカはそのまま返品することになったから すぐにも撤収しろとの命令だ

ベッキは イ・サンヒョンに グレにも伝えろと頼み 先に行ってしまう

 

ひとり黙々と作業するグレを見て また怒りが込み上げるサンヒョン

スーツの袖を汚し 必死に“ベイカ”を探す姿が どうにも鼻につく

サンヒョンは グレには撤収を伝えず行ってしまう

 

チャン・グレを置き去りにしたまま帰社し これは洗礼だと笑うサンヒョン

さすがにやり過ぎだと怒りをあらわにし ベッキは 工場に連絡する

工場長から 他の者は撤収したと告げられ ショックを受けるグレ

 

やっとのことで会社に戻ったグレは 悪臭を放ち疲れ切っていた

その姿に驚き 何と声をかけていいのか分からないアン・ヨンイ

他のインターン社員たちは オ課長のおごりで居酒屋に集結していた

ヨンイにも誘いの電話が入り グレが戻ったと聞いたサンヒョンは

戻れたのか?と大笑いし グレを電話口にという

 

あんまり必死だったから声をかけられなかったと

これで洗礼は終わりだからと 笑いが止まらないサンヒョン

電話の向こうでは 他のインターン社員たちの笑い声も…

 

居酒屋に行くより サウナにでも行った方がいいというヨンイ

しかしグレは 一緒に行って片をつけるという

 

ヨンイも 飲み会に出席するつもりはなかった

せっかくのオ課長の誘いだから 断るにしても顔を出すべきだと判断し

グレも同じく 一応は顔を出して 直接 課長に報告すべきだと思ったのだ

 

インターン社員たちは グレを“仲間”だとは思っていない

悪ふざけが過ぎたとしても 同期に酷いことをしたという認識もない

悪臭を放つ姿で 飲み会の席に顔を出すこと自体が非常識だと…!

 

『お前 もっと要領よく立ち回れないのか? 必死過ぎるんだよ!

ま 必死にやるしかないだろうけど せいぜい頑張れよ アハハ…!』

 

イ・サンヒョンは まるでグレが悪いかのような言い草で店内へ戻る

聞くに堪えない状況に ヨンイも帰ると言い歩き出す

 

そこへ 遅れて現れたオ課長が グレの姿に驚き すぐに帰れと命じた

しかし 会社に戻り仕事すると答えるグレ

データの分類を 却下されたままだった

オ課長に対し きちんと挨拶したグレは 来た道を引き返す

 

グレは 心の中で歯を食いしばる

 

必死だとか 一生懸命だとか そう言われるのは心外だ

これまで 必死にやってこなかったから 今の状況がある

26歳になるまで 手を抜いて生きてきたから こんな目に遭っているのだと…

 

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ミセン ~未生~ キャスト紹介

2018-09-18 08:00:00 | ミセン ~未生~ あらすじ

∞∞ キャスト紹介 ∞∞

 

 チャン・グレ

⇒ イム・シワン

 ワン・インターナショナル営業3課インターン社員

 

 オ・サンシク

⇒ イ・ソンミン

 グレの上司/営業3課課長

 

 アン・ヨンイ

⇒ カン・ソラ

 グレの同期/資源2課インターン社員

 

 チャン・ベッキ

⇒ カン・ハヌル

 グレの同期/鉄鋼課インターン社員

 

 ハン・ソンニュル

⇒ ピョン・ヨハン

 グレの同期/繊維2課インターン社員/壁犬

 

 キム・ドンシク

⇒キム・デミョン

 営業3課代理/彼女いない歴32年

 

 ???

⇒ ナム・ギョンウプ

 社長

 

 チェ・ヨンフ

⇒ イ・ギョンヨン

 専務理事

 

 キム・ブリョン

⇒ キム・ジョンス

 営業本部部長

 

 ソン・ジヨン

⇒ シン・ウンジョン

 営業1課チーム長/サンシクの同期

 

 チャ・ジョンホ

⇒ チェ・イクジュン

 営業1課代理

 

 コ・ドンホ

⇒ リュ・テホ

 営業2課課長/サンシクの同期

 

 ファン・ヒョン

⇒ パク・ジンス

 営業2課代理

 

 チャン・ミラ

⇒ キム・ガヨン

 営業2課実務職社員

 

 パク・ジョンシク

⇒ キム・ヒウォン

 営業3課課長

 

 チョン・グァヌン

⇒ パク・ヘジュン

 営業3課課長

 

 マ・ボクリョル

⇒ ソン・ジョンハク

 資源課部長

 

 チョン・ヒソク

⇒ チョン・ヒテ

 資源2課課長

 

 ユ・ヒョンギ

⇒ シン・ジェフン

 資源2課代理

 

 ハ・ソンジュン

⇒ チョン・ソクホ

 資源2課代理

 

 カン・ヘジュン

⇒ オ・ミンソク

 鉄鋼課代理

 

 シン・ダイン

⇒ パク・ジンソ

 鉄鋼課実務職社員

 

 ムン・サンピル

⇒ チャン・ヒョクジン

 繊維1課課長

 

 ソン・ジュンシク

⇒ テ・イノ

 繊維1課代理

 

 イ・ソクジュン

⇒ キム・ジョンハク

 IT営業課課長

 

 パク・ヨング

⇒ チェ・グィファ

 IT営業課代理

 

 ハム次長

⇒ パク・ノシク

 IT営業課次長

 

 ???

⇒ ハン・ガプス

 副社長/ヨルダン支社長

 

 チョ代理

⇒ チェ・ジェウン

 ヨルダン支社代理

 

 ???

⇒ ソン・ビョンスク

 グレの母

 

 ???

⇒ オ・ユノン

 サンシクの妻

 

 ???

⇒ アン・ソンフン

 サンシクの長男

 

 ???

⇒ ペク・ギョンミン

 サンシクの次男

 

 ???

⇒ ソン・ジュニ

 サンシクの三男

 

 ???

⇒ チョン・ジンギ

 ヨンイの父

 

 ???

⇒ メン・ボンハク

 ソンニュルの父

 

 ???

⇒ オ・ギヨン

 ソン・ジヨンの夫

 

 パク・ソミ

⇒ イ・ゴウン

 ソン・ジヨンの娘

 

 ハ・ジョンヨン

⇒ イ・シウォン

 パク・ソミの幼稚園の先生

 

 ???

⇒ ナム・ミョンリョル

 グレの囲碁の師匠

 

 イ・ジンテ

⇒ キム・ギョンリョン

 キム・ブリョンの後任の営業本部部長

 

 ピョン・ヒョンチョル

⇒ イ・ダリョン

 ウィルマート部長/サンシクの同級生

 

 チョン課長

⇒ チャ・スンベ

 ヨンソン実業課長

 

 シン・ウヒョン

⇒ イ・スンジュン

 ヨンイの前の職場の上司

 

 ファン部長

⇒ チョン・ソギョン

 中古車輸出案件の取引先の部長

 

 イ・ウンジ

⇒ ソ・ユナ

 サンシクが代理時代の契約社員

 

 ソ・ジンサン

⇒ ソン・ジェリョン

 中国工場の工場長

 

 サンシクの若い時代

⇒ ペ・ユラム

 

 グレの少年時代

⇒ キム・イェジュン

 

 ベッキの少年時代

⇒ パク・ハジュン

 

 ソンニュルの少年時代

⇒ イ・ヒョンビン

 

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