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奇皇后 -ふたつの愛 涙の誓い- 第36話 挙兵の秘策

2018-11-29 16:25:00 | 奇皇后 -ふたつの愛 涙の誓い- あらすじ

“散る花と咲く花がいつもここにある”のブログより移行しています

1話~11話はこちらで公開しています

 

※このドラマは実在した奇皇后の物語ですが 架空の人物や事件が扱われ
史実とは異なる創作の部分があります

 

 第36話 挙兵の秘策 

 

『陛下 マハの快復の祝いに お言葉をくださいませ』

『皇子様の 誕生日の祝いには 陛下のお言葉が必要です』

 

タンギセの口添えもあり ここは祝いの言葉を…と促す皇太后

しかし皇帝タファンは それらを無視しアユ皇子を呼べと命ずる

宴の主役であるマハ皇子を無視し アユ皇子を抱くタファン

そして いずれもまだ幼い皇子であることから 後継を決めず

2人を競わせたうえで 皇太子を定めるというのだった

 

憤慨した表情で立ち上がるタンギセ!

フビライ皇帝は “嫡男を後継にする”と そう遺言していると訴えた

 

『ではなぜ丞相は 私の弟を皇帝に?』

 

その時 パク・ブルファが 婕妤キ・ヤンに何かを耳打ちする

そこへ丞相ヨンチョルが 兵を率いて現れた

 

※婕妤:後宮の階級 三妃九嬪のうち九嬪7番目の位

 

世継ぎとなるべき我が孫が ないがしろにされてはたまらない

皇帝を一喝するヨンチョルだが これまでのように怯えるタファンではない

 

すると今度はソ尚宮が 慌てたように現れ タナシルリに耳打ちする

顔に火傷痕が残る尼僧が 宮中に現れたとなれば もう宴どころではない

すぐに私兵を率い 宮中をくまなく捜索するタナシルリ!

 

ヤンが匿う尼僧は 善業寺に身を寄せている

タナシルリは 刺客を送れと命じ 証拠隠滅を謀る

 

パン内官は 尼僧を伴い 城外の根城に向かう

ここから善業寺はすぐそばであり まずは当時の様子を詳しく聞く

こんなことになってしまったのは 自分のせいだという尼僧

2年前 亀岩の付近で赤子を拾い… という言葉に

思わずハッとするパン・シヌ

皇覚寺の火事より 赤子を拾った経緯が気にかかる

尼僧によれば 赤子は 転落死した男に抱かれていたという

奇跡的にも 男の懐で無事だった赤子

尼僧は 男の遺体に数珠を置き 赤子を連れ帰ったというのだ

それはまさに スンニャンが産み落とした赤子を 見失った状況!

チョクホから聞いた話と 寸分違わぬものであった

 

数珠が置かれた 親衛隊員の遺体

“ピョル”と名付けられた赤子の姿はどこにもなく

スンニャンは 半狂乱で赤子の名前を呼び続けた

 

『連れ帰った赤子の 足の甲に 3つのホクロがありましたか?』

『え? …なぜそれをご存じなんです?』

 

何という運命の悪戯か…!

パン内官は言葉を失い 呼吸さえ出来なくなった

この事実を 簡単に明かすことは出来ない

皇后が仕立てた偽皇子が スンニャンの息子だなどと

そして その父親がワン・ユであるなどと…

 

チェ・ムソンもチョンバギも この事実が洩れたらおしまいだという

皇后の悪事などは たちまち掻き消され

ワン・ユとスンニャンの命が危なくなると…!!!

 

パン・シヌは 尼僧を説得せねば! と根城へ急ぐ

しかし既に 尼僧の姿はなかった

身の危険を感じた尼僧は 善業寺へ向かったと思われる

 

すぐさま善業寺へ向かうシヌたちだったが

その途中で 皇后の私兵を見かけ その先で尼僧の遺体を発見する!

 

宮中では

 

尚宮らをお供に 庭園で遊ぶマハ皇子が キ・ヤンの足元で転ぶ

思わず抱き上げたヤンは 衝動的にマハの靴を脱がせた

「皇子の足の甲に…」と言いかけた あの尼僧の言葉が気にかかる

偽皇子と言い切れる証拠が 足の甲にあるというのか…

 

『皇子に触れるでない!!!』

 

タナシルリの一喝で 尚宮が 慌ててマハ皇子を奪い抱く

我が子が大事なら 後継争いから身を引くべきだというタナシルリ

皇太子の座が欲しければ どうぞご自由に と返すキ・ヤン

 

『皇太子の座を争うより 皇室の安寧が優先では?』

『側室ごときが 後宮を率いるつもり?!』

 

その言葉が本心ならば これほど好都合なことはないというソ尚宮

タナシルリは 口にしたからには本心にしなければ… とほくそ笑む

 

パク・ブルファとイ・ホンダンは 波紋を呼ぶのでは?と不安がるが

婕妤キ・ヤンは 後継争いが始まる前に 別の争いが起こると明言した

 

一方 守備隊の訓練所では

 

あの烏合の衆だった 新たな隊員たちが 見事に成長を遂げていた

とても 物乞いや逃げたの集団とは思えない戦いぶりである

ペガンは ワン・ユの指導力と統率力に 恐ろしささえ感じた

そこへ パン・シヌが現れ ワン・ユが会談を求めていると伝える

 

同じ時 皇帝タファンは タルタルを呼び 決起の時が来たと切り出す

危険を伴う戦いであり 丞相に勝てるという確信もない

しかし もう後へは引けないタファンであった

 

タファンは ヤンに 戦いが始まる前に都を去れという

しかしヤンは ここで丞相の最期を見届ける覚悟であると答えた

たとえ決起しても 丞相は 皇帝を殺すことは出来ない

しかしヤンは違うと 重ねて逃げるべきだというタファン

ただひとり逃げて 生き延びることは出来ないと

ここで共に戦い そして勝つのだと 決して譲らないヤンであった

 

タルタルは 2人の間に しっかりとした絆が出来ているのだと確信する

たとえ始まりが 復讐のため 後宮になったのだとしても…

 

丞相ヨンチョルは もはや正気とは言い難かった

夢で ワン・ユに殺されたと呼びつけ なぜ裏切ったのだと詰め寄る

さすがに2人の息子も 夢に過ぎないと取り成すが…

納得がいくように説明しなければ ここで殺すというヨンチョル!

 

ワン・ユは 顔色一つ変えずに どうぞご自由にと答えた

夢であれ何であれ 丞相を守れなかったのなら 命で償わねばと…!

ヨンチョルは 満足そうに笑い これこそが求めていた答えだという

 

一方 鉱山では

 

ヨム・ビョンスが 錫の採掘を急がせていた

メバク商団との取引で 大量の金塊を懐に入れている

大臣の座などより よっぽどいい商売だとほくそ笑むビョンス

 

この鉱山には チョクホが 奴隷として潜入していた

密かに 丞相の“秘密資金”を探すためである

メバクの代表として 取引に訪れるヨンビス

チョクホは ヨンビスと連絡を取り合い

定期的に 調査結果を報告していた

 

“秘密資金”は 確かにこの鉱山にあるはず

しかし ヨム・ビョンスがどこに隠しているのか 見当もつかない

ただひとつ チョクホが怪しいと睨む場所は 近くの廃坑だった

なぜかそこには ビョンスが誰も入らせないのだと

 

ヨム・ビョンスは “秘密資金”の在りかを知っているわけではなかった

ビョンスもまた この廃坑が怪しいと睨んでいるのだ

廃坑の中の坑道は 複雑に入り組んでいて 探すこともままならない

それでも ここにきっとあると断言するビョンス

 

『丞相が この廃坑は命と引き換えにも出来ないと言っていた

だからきっとここにある! “秘密資金”はここにあるはずだ!』

 

ヨンビスは 廃坑の件について ワン・ユに書状を出す

届け役の側近は なぜ拷問されたことを報告しないのかという

メバクの頭に 酷い拷問を受けてまで商団に戻ったのは

ワン・ユに協力するためだったのだから 知らせるべきだと…!

 

『まさか ワン・ユ殿をお慕いしているのですか?』

『ただの同志に過ぎぬ! 余計な詮索はするでない!!!』

 

皇帝タファンは 大臣たちに向け書状を書く

それは 丞相ヨンチョルの これまでの所業を断罪するという

皇帝としての誓いを立てる内容であり 各大臣の協力を要請するものであった

悪の元凶である丞相と その一族を根絶やしにするという過激な文面に

たとえそれが 皇帝の真意であり 心から賛同出来るとしても

身震いが止まらない大臣たち…!

 

しかし 大臣たちは 意を決して皇帝のもとへ集結した

 

皇帝タファンから 大臣たちに

『挙兵せよ』という命が下る

 

あまりに唐突な皇命に 戸惑う大臣たち

各行省付近には 丞相の私兵が駐屯しており

少しでも不審な動きを見せれば 逆賊と見なされ攻撃されてしまう

 

タファンは そうした大臣たちの声にも 余裕の表情で答える

勝手に挙兵するのではなく 丞相が自ら挙兵を命じることになる

それが 皇帝タファンの“秘策”であった

 

同じ時 将軍ペガンは 出兵の準備をしていた

大軍で動くことはせず 100人ずつが時をずらして動く

そして密かに集結し 3日のうちに大都を目指す作戦である

 

婕妤キ・ヤンは 皇太后に謁見する

それはまさに 上奏文が 皇帝のもとへ届けられるのと同時であった

 

タファンは 当然のごとく上奏文を手に取る丞相を制し

もう助けは結構!と言わんばかり 勝手に上奏文を読み始める

丞相ヨンチョルが お飾りに過ぎない皇帝の暴走を 認める筈がない

タファンをギロリと睨みつけ いつものように上奏文を奪い取る!

ヨンチョルが手にしたのは 将軍ペガンからの上奏文であった

 

これまでの 丞相の悪行は数知れず その罪は斬首に値する

悪の元凶ヨンチョルを討つべく 挙兵する

皇帝陛下より 各行省の長官に呼びかけ 参戦するよう命じてほしいと!

 

さらにペガンは 先帝の“血書”を入手したと報告し

丞相に殺されたとされる 先帝の“血書”こそが 挙兵の名分であるという

 

丞相は 大臣らを召集し ペガンの上奏文を読み上げた

そしてもうひとつの“血書”を掲げ ペガンの“血書”は偽物だと言い切る!

 

丞相の“血書”には 玉璽が押印されており

これこそが本物である証しだと 声高らかに笑うヨンチョル

タファンは やれやれ…という表情でため息をつき

大臣たちの顔には 明らかに失笑が浮かんでいる

 

皇帝タファンは 大臣たちに “本物の血書”を見せていた

本物の証しは 玉璽ではなく 息子だけに分かる“蝶の印”なのだ

皇室だけに伝わる この“蝶の印”に ヨンチョルは気づいていない

奪った玉璽で 本物と言い切るヨンチョルは 滑稽にすら見えた

 

ここでタンギセが 逆賊ペガンを成敗すべきだと言い出し

大臣たちもまた ペガンを迎え撃つべく挙兵すると叫ぶ…!

 

これで 挙兵の段取りは 無事に整ったことになる

 

丞相ヨンチョルは 大満足で大臣たちを見回す

皇帝に従う者は 誰ひとりいないと…!

タファンは これまでと同じように 愚かな皇帝を演じていた

今は少しでも長く ヨンチョルを油断させ 権力に酔いしれさせる時だ

それでこそ 挙兵の秘策が成功するのだ

 

『皆に命ずる! 全軍挙兵し 逆賊ペガンを捕えよ!』

 

形ばかりの皇命を 高らかに発するタファン

すると皇后タナシルリが 問題がひとつ残されていると言い出す

“逆賊の養女”が側室になり 我が物顔でのさばっていると…!

 

『この女を斬首なさいませ! それでこそ皇帝の威厳が示されます!』

 

これに異を唱えたのは 皇太后であった

アユ皇子の生母を殺すなど 決して許されないという皇太后

将来 皇太子の座を競わせるという 皇子の母親なのだ

皇太后は 冷宮に送ることが妥当であると提案する

 

※冷宮:罪を犯した王族を幽閉する場所

 

タナシルリは 冷宮での苦労を思い出し それも悪くないとほくそ笑む

一瞬で命を奪うより キ・ヤンを苦しめるにはその方が… と思い直す

 

これもまた 婕妤キ・ヤンが計画した通りの展開であった

タナシルリがどう出るかは 既に予測され 皇太后には冷宮の提案をと

冷宮こそ 宮中が戦乱に陥った時の“避難場所”になると…!

 

『では… 婕妤キ・ヤンを… 冷宮へ!』

 

いかにもつらい決断のように タファンは声を詰まらせた

何もかも 丞相一族の言いなりになる 情けない皇帝そのものであった

 

タンギセと大臣たちは 直ちに作戦会議を開く

連行される婕妤キ・ヤンの あまりに堂々とした姿を訝しむソ尚宮

タナシルリは 自分が味わった苦悩を 存分に味わうがいいと睨みつける!

 

タファンは 冷宮へ送られる前のヤンと 作戦の成功を誓い合う

婕妤キ・ヤンは 他の側室たちも皆 冷宮へと命じていた

ここはまさに 戦乱から身を守る要塞となるのだ

蔑みの笑みを浮かべたタナシルリは いずれ嘆くことになるのだと…!

 

丞相ヨンチョルは 息子タンギセに丞相の座を譲ると約束した

さらには “秘密資金”の在りかを教え 継承させるとまで!

タンギセは 初めて自分を認めてもらえたことに感涙し ひざまずく

そして 弟タプジャヘに父の補佐を命じ 出陣していくのであった

 

タンギセを見送ったワン・ユは 直ちに“別動隊”へ連絡する

そこへ ワン・ユを訪ね ヨンビスが加勢に現れた

身の危険を承知の上で メバク商団へ戻ったヨンビス

その苦労を労うワン・ユだが ヨンビスがどんな仕打ちを受けたのか

ヨンビスもまた 詳細を語るつもりはなかった

 

いかに戦乱時の“要塞”になるとはいえ 冷宮はあまりに寒かった

冷宮を訪れたタファンは 芯まで凍えたヤンを温めようと きつく抱きしめる

皇室をないがしろにし 権勢を揮い続けた丞相を討ち

皇帝の地位を取り戻すためには 今を耐え忍ぶしかないのだった

 

一方 タンギセは いくら待っても現れない大臣たちに

何かがおかしいと気づき始めていた

さらには偵察兵が 遼陽のペガンの屋敷はもぬけの殻だと報告する

そしてようやく ペガンは大都を目指し 大臣たちにも裏切られたと知る!

 

『大変だ! 今すぐ父上に知らせよ!!!』

 

タンギセが 兵を率いて出陣したことで

今の丞相を守れるのは 都の守備隊だけとなってしまった

ペガンのもとへは 全ての大臣が兵を率いて合流していた

 

ここからが正念場だと 気を引き締めるようにというタルタル

計画は無事に進行しているが タンギセより早く都に到着し

一気に丞相を討たねば 真の勝利にはならないのだ

 

タンギセが送った伝令兵は ヨンビスの矢に撃たれ絶命した

偽の伝令が 丞相のもとへ急ぐ!

タプジャヘは 兄上が勝利し ペガンを生け捕りにしたと

偽の伝令の報告を 父親に伝える

 

ヨンチョルの側には ワン・ユと 守備隊副隊長ウォンジンが同席している

ウォンジンは 凱旋するタンギセを迎えるべく 北門を開けていた

そこへ ペガンの軍勢が近づいていると 早馬が知らせを持って来た!

慌てたウォンジンは 直ちに門を閉じ ワン・ユへ伝令を送る!

 

ワン・ユは “別動隊”と共に 出陣しようとしていた

1,000人にも上るウォンジンの守備隊を倒すべく… である

僅か100人の“別動隊”が 北門を開けることが出来なければ

この計画は失敗に終わってしまうだろう

是が非でも門を開け ペガンの軍勢を引き入れなければならないのだ!

 

婕妤キ・ヤンは 側室と宦官らを召集し 来たるべき戦乱に備える

いざとなれば 何としても我々だけで 陛下をお守りせねばと!

 

『この計画は いずれ丞相の知るところとなる

丞相は 陛下と私たちを 決して生かしておかないでしょう

親衛隊も私兵も 宮中の兵士は全て丞相の手の者

私たち側室と女官 そして宦官だけで 陛下をお守りするのです

宦官の武器を掖庭宮に運び 放火に備え水桶を各所に置きなさい

宮中の戦乱とは別の戦が ここで始まるのです』

 

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ミセン ~未生~ 第4局

2018-11-04 07:00:00 | ミセン ~未生~ あらすじ

 ミセン~未生~ 第4局 

 

(こんな何ひとつ売りたくない相手に… 何を売れというんだ!!!)

 

個人プレゼンの課題は 互いのパートナーに物を売ること

安易に買えば 相手を有利にさせ 頑なに拒めば自分の評価が下がる

買うのも断るのも 審査員を唸らせる相応の名分が必要だ

 

もう 殴り合っている場合ではない

ハン・ソンニュルは『お前からは絶対に買わない!』と吐き捨てた

取り残されたグレは それでも買わざるを得ない物を… と考える

なりふり構わず拒絶するだろう相手が 絶対に断れない何かを…!

 

その日 インターン社員たちは 退社しようとしない

会社には参考資料があるし 相手の動向も探れるからだ

 

チャン・グレは あらためて ハン・ソンニュルを知ろうとする

彼は 完全なる現場主義人間であり 事務方の仕事を軽視する傾向にあった

この雑然としたオフィスの中で もしかしたら現場を掌握出来るのでは?

そう考え 辺りを見回すグレの中に ひとつのヒントが…

 

一方 執拗にアン・ヨンイを追いかけ回し 撮影するイ・サンヒョン

ヨンイに物を売るために なぜ動画を撮る必要があるのか…

 

同じ時 キム・ドンシクとオ・サンシクは 居酒屋に来ていた

チェ専務の車を追いかけ 深々と頭を下げていたオ課長

最も頭を下げたくない相手に… と思うと たまらないドンシク

しかし そのおかげで懲戒委員会は消滅したのだ

ドンシクは オ課長への感謝と同時に チャン・グレの心配をする

 

オ・サンシクは “もう1人の部下”のため オフィスに戻る

 

夜のオフィスで 個人プレゼンの課題を練習するチャン・グレ

どうやら ソンニュルに ボールペンを売るつもりのようだ

契約の始まりは“起案書” それにサインをするためのボールペン

しかしどうにも しっくりこない気がして ため息をつく

見かねたサンシクは 考え込むグレに声をかけた

 

『“必要だから売る”だけでは 説得力に欠ける』

 

グレは 戻ってくれたオ課長に 思わず聞いてみたくなった

現場だけではなく このオフィスの事務作業も大切だと確認したかったのだ

現場で汗して働く者と オフィスを駆けずり回って汗する者に

何の区別もないと答えるオ・サンシク

現場だの事務方だのと 会社を隔てたことは一度もないと…!

 

グレは その言葉に ヒントを見出した

そしてようやく “売りたい物”を見つけ 安堵するのだった

 

一夜明け 母親に見送られるグレ

今日不採用になれば また無職になり バイト生活に戻ることになる

 

インターン社員たちは それぞれに箱を抱え会場に集まった

箱の中には パートナーに売りたい“物”が入っている

会場に入るとまもなく 役員をはじめとする“審査員”たちが入場

オ課長の横には営業1課次長ソン・ジヨン その隣にはコ課長が座っている

 

ソン次長は アン・ヨンイに注目した

ヨンイは採用後 営業3課に来ると信じて疑わないオ課長

チャン・グレには目もくれず ヨンイに笑顔を見せる

まったく… と呆れ顔のコ課長

 

チームのプレゼン時間は各10分 質疑応答は5分と定められている

ハン・ソンニュルは 落ち着きなく上着のポケットを探る

明らかに動揺しており 探し物が見つからず愕然としていた

もはやグレにも “相棒”を助けることは出来ない

 

チェ専務の挨拶が始まった

ここで初対面となるインターン社員たちの中には

専務と直接話す機会もなく この場限りとなる者もいるだろう

激励とも 脅しともとれる挨拶が手短に終わり 拍手が沸き起こる

 

ソンニュルは それどころではなかった

絶対的な自信は消え去り 額に汗を滲ませ苦悩の表情になっている

いよいよプレゼンが始まり 呼ばれた順に10分間を使い切る

お笑いの出し物のように発表したチームは チェ専務の逆鱗に触れた

開始数分で中断を言い渡され 退場を命じられたのだ

次のチームは 質疑応答まで漕ぎ着けたものの

何が悪いのかも言い渡されないまま これも退場を命じられた

 

この10分のプレゼンは “発表会”などではない

明日の社運を懸けてもいいほどの 商社マンとしてのプレゼンなのだ

プレゼンの途中でも 容赦なくダメ出しが行われ

説明に淀みが生じれば これも容赦なく退場となった

難しい言葉を並べ立てても その意味が伝わらなければ話にならない

発表チームが次々と退場させられ 残る者たちは蒼ざめていく

 

チェ専務の質疑応答は 個人の経歴にまで立ち入った

なぜ一流商社のインターンを経て我が社を受けたのか?

『自分は地方大学出身なので…』という回答に 鋭い指摘がされる

『つまり 我が社なら受かるとでも? バカにしてるのか!』

彼は 専務にまんまと乗せられ 言い訳に走り自爆してしまった

 

営業2課キム・ソッコのチームが発表する

ソッコは イレギュラーな事態には迅速な判断が出来ないが

事前に準備が出来るプレゼンには強いようだ

 

グレは 明らかに異変が起きているソンニュルを気にかける

しかしソンニュルは 大丈夫だと言うばかりで まったく取り合わない

 

アン・ヨンイは 不動の安定感で発表を始めた

そのプレゼン内容は もはや新人レベルではない

鋭い質問にも即座に答え このプレゼンに興味を示すチェ専務

 

質問の内容が ようやくイ・サンヒョンの担当部門になった

しかしサンヒョンは プレゼンの内容を把握出来ておらず

しどろもどろになって自爆! 結局はヨンイがすべて答えることに

 

誰もが この事態を恐れ ヨンイとは組みたくなかった

すべてがヨンイのペースで進められ 自分を売り込む隙など無いからだ

根拠の無い自信に満ち溢れたサンヒョンは ヨンイを甘く見ていたのだ

 

ヨンイに パートナーの話題さえ許さなかったチャン・ベッキは

一貫して基本に忠実な発表を行った

確かに分かりやすいが 基本通り過ぎて心に響かないというオ課長

しかし 役員たちの評価は 総じて好意的なものだった

 

同じ時

 

グレの母親は 息子のプレゼンを按じていた

長く対局の緊張感の中で過ごしてきた息子が まさか緊張するとは思わず

きっとうまくやってくれるだろうと 自分に言い聞かせるように…

 

いよいよ グレとソンニュルの番になった

資料を作ったのはグレだが 発表するのはソンニュルだ

ソンニュルは マイクを手にしたまま微動だにしない

その第一声を待ち 場内が異様な静けさに包まれる

 

練習など無意味だと 一蹴したソンニュルは 緊張の頂点に達し

オ課長が予測した通り 焦りと緊張から声が震えていた

必要以上にマイクを近づけることで 荒い息づかいが雑音になる

何度も同じ言葉を繰り返し しどろもどろになるソンニュル

 

デスクに置かれたままの ソンニュルの携帯には

心配する工場の者たちからメールが殺到していた

 

〈安定剤は飲んだ?〉

 

彼がずっと探していたのは“安定剤”だった

会場に持参するはずの 発表前に飲むはずの“安定剤”を忘れたのだ

 

『少し 落ち着いたらどうかね』

『あの… 安定剤を飲みたいんです』

『飲みたまえ しかし時間は与えられない

それによる時間延長は認められない 皆が納得しないだろう』

 

何も進まないまま 残り7分となった

発表はソンニュルの役目だが グレは黙っていられなくなった

『代わりに僕が…!』と席を立つ!

ソンニュルは 諦めたように引き下がり 席に着いた

 

しかし… 資料を作ったのはグレであっても

発表能力は 本来ソンニュルの方が はるかに上だった

その場凌ぎの“やる気”だけでは 乗り越えられないと痛感するグレ

 

グレの発表に 鋭い質問が飛ぶ

現場を知らないグレには 答えられない質問だった

インターン社員は 上司に命じられなければ現場に行くことはない

まさに現場を知らないグレの隙を突く 鋭い指摘だった

 

ここで発奮するソンニュル!

“現場”と言われたら黙っているわけにはいかない

ソンニュルは 何かから解き放たれたように饒舌になる

前半の停滞はあったものの 見事に発表を自分のものにしていた…!

 

チャン・グレは 敗北感を感じずにはいられなかった

ソンニュルを助けるつもりが 結局は無様な結果となり

逆に彼は 見事に自分を立て直し その役割を果たしたのだった

 

チームのプレゼンが終了したところで 休憩時間が設けられた

オ課長は チャン・グレを完全に無視し アン・ヨンイに愛想を振りまく

ソン次長は そんなオ・サンシクをたしなめた

 

『あなたは過去に縛られてる というか 自分で自分を縛ってるの』

 

この時点で チャン・グレの生き残りは絶望的だった

少なくともオ・サンシクはそう感じていた

 

休憩後 今度は個人プレゼンが行われた

ここからはチームでなく 個人個人がライバルだ

チームで輝けなかった者にとっても これが挽回のチャンスとなるだろう

 

イ・サンヒョンは アン・ヨンイに対し 彼女の1日を売るという

嫌がる彼女を追いかけ回して撮影した 彼女のプライベート動画だった

確かに役員たちは 面白がって爆笑したが 評価は分かれるところだろう

 

ハン・ソンニュルは 社の主力となる繊維を売るという

そして 事務方の指示ミスによる損失や問題点を記した手帳

まさに現場の声を グレに売るというのだ

 

グレは返答に躊躇した

安易に拒めば 職務放棄とも取られかねない

拒むにも 正統な理由が求められ 簡単に買うと答えれば負けになる

 

場内は静まり返った

現場と事務方の攻防は 永久に続く問題であり

誰もがぶつかる 商社マンとしての課題でもあった

インターン社員の中では 唯一現場側の人間として

ハン・ソンニュルは今 ある種の問題点を提起しているのだ

 

グレは 手帳だけを買うと答えた

繊維の情報は ハン・ソンニュルが十分に伝えてくれるから必要ないと

 

『この繊維は 僕が直に手で触って確かめて選んだものだ!』

『それで 女性のお尻を触っていたんですか?』

『お尻じゃない! 生地を触ってたんだ!』

『じゃあ… 触ったことは認めるんですね』

 

場内から笑いが沸き起こる

痴漢だと公表され ソンニュルは 頭に血が上り始めていた

ひとりの役員が 2人をなだめ 結論を急がせた

グレは それほどまでに生地に執着しなければならないなら

むしろソンニュルと2人で組み 生地を売ると答えた

機転の利いた答えに 役員たちは唸り ソンニュルが追い詰められる

 

そして今度は チャン・グレの番だ

グレは 箱の中から履き古した“室内履き”を取り出した

明らかに自分の室内履きだと気づき 戸惑うオ課長

ボロボロになった室内履きを売るなんて… と場内には不穏な空気が漂う

 

『この 履き古しの室内履きからも分かるように…

オフィスもまた “現場”なのだということが分かります

この室内履きはまさに 事務方の“戦闘靴”なのです

ハン君に この“戦闘靴”を売ります!』

 

役員たちから 小さな感嘆のため息が漏れた

逆に興奮し 声を荒げたのはハン・ソンニュルだった

 

『事務方が“現場”だなんて認められない!

僕は そんな“戦闘靴”なんて買いません!

現場の者たちは 事務方が書いた紙切れ1枚で 真っ先にリストラだ!』

 

声を荒げるソンニュルだが 役員たちは静止しない

一方で グレがどう切り返すかに 注目が集まった

 

『君はいつも現場の話ばかり 現場だけが重要だとでも?

ハン君の言う“現場”とは 製品が作られる場所であり

常に機械が動く場所ということでしょう

大学で機械工学を専攻し 数々の賞を手にした君にとって

その場所こそが “現場”だと感じられるのでは?』

 

しかし オフィスもまた“現場”なのだと 重ねて主張するグレ

常に為替レートをチェックし 記入漏れや計算ミスの無いよう何度も確認し

書類1枚のために 法律の解釈まで突き詰めたり 資料集めに奔走する

さらには 取引先との時差に合わせ 徹夜で電話に応じたりもするのだと

 

『君が言う“現場”の製品は そうした作業の末に作られた物だ

それが売れないのは 先読みに失敗し 企画に問題があったからです

失敗したからといって捨てるのではなく 次に生かさなければなりません

オフィスと現場は 常に連携すべきです

僕らが互いに主張する“現場”は 同じものだと信じたいのです』

 

すべてのプレゼンが終了し あとは結果を待つばかりとなった

チャン・グレは 発表までの毎日をバイトに明け暮れ過ごした

不採用になった時は この日々がそのまま続くだけだ

 

一週間が過ぎても音沙汰は無し

営業3課は 課長オ・サンシクと 代理キム・ドンシクだけだった

オ課長は きっとアン・ヨンイが来るはずだと断言し

ドンシクに 席を空け渡せと言い出し 豪快に笑う

 

どんなに頑張っても 2人切りでは仕事を捌き切れない

発表を待ちわびているのは 新人だけではないということだ

最後に酒でも酌み交わせばよかったと 後悔するドンシク

チャン・グレが合格するとは 思いもしない2人だった

 

そしてまた数日が過ぎ 各自の携帯にメールが届く

アン・ヨンイとチャン・ベッキは 淡々としてメールを読み

ハン・ソンニュルは ガッツポーズを決めながら グレを気にかけた

 

チャン・グレは バイト先から 母親へ 合格の報告をした

“2年契約社員”として 採用する旨のメールが届いたのだ

 

新入社員として初出勤の朝

グレは久々 スーツに革靴を履いた

 

母親は 息子のためにネクタイを新調してくれた

“僕は大人だ”と叫んでも すべきことをせねば誰も認めてくれないと

そして アイロンがかけられたハンカチを差し出し

振る舞いや行動には 人柄が滲み出るものだと諭す

 

それほど口うるさい母親ではないが 教えるべきことは言い

グレもまた 素直に聞き入れる息子であった

 

ワンインターナショナルのロビーに アン・ヨンイの姿があった

そこへ チャン・ベッキが現れ 再会を喜び合う

次に現れたのはハン・ソンニュル

 

合格者が3人なら 去年より多いというベッキ

しかしそこへ 遅れてチャン・グレがやって来た

他に合格者はいないと決めつけてしまった気まずさを隠し

ベッキは グレに対し『おめでとう』と声をかけた

 

『アンさん ごめん』

 

開口一番 グレは 約束通り謝罪した

プレゼンの時 グレを利用しようとして誘ったのではないこと

ヨンイの誘いを誤解していたことを “合格して謝罪する”と約束していた

 

人事課から迎えの社員が来て キム・ソッコは本社配属になったと話す

結局 合格者は 全部で5人だったということだ

4人は 入社のための書類手続きをし チェ専務と面談することに

 

チェ専務は 個人の資料を開きながら 一人一人を激励していく

短い質疑応答があり それぞれに会話の時間があった

しかし チャン・グレに対しては 『頑張って』と言うだけに…

 

あまりにあっけなさ過ぎて 皆の表情が曇る

グレはただ 緊張感の中で笑顔のままだった

 

最後に 社員証を受け取る4人

本採用の3人に対し グレの社員証だけ 色が違っていた

いずれも裏に 配属部署が記されている

 

ハン・ソンニュルは 希望通りの繊維課になった

チャン・ベッキは 思いがけない鉄鋼課に配属され無言になる

ベッキが熱望していた資源課には アン・ヨンイが配属された

グレだけが 社員証の裏を見つめて 安堵の表情になっていた

 

『お疲れ様です! 今日からこちらでお世話になります!

新人のチャン・グレです!』

 

あんぐりと開いた口が閉じられないキム・ドンシク

オ課長は 目を丸くしたままボールペンを放り投げた

 

『何だよ 何でお前が? 一体どうしてなんだあ!!!』

『チャン君 おかえり!』

 

途端に笑顔になり グレを迎えるキム・ドンシク

オ課長は 皆が違う部署に配属されたなら 何でお前は?と叫ぶ

 

『課長が希望してくれたんじゃ?』

『何で俺が? 希望するわけないだろ? 誰が希望するか!』

 

ドンシクとグレは 騒ぎ続けるオ課長を無視し 笑顔で作業に入る

隣りの2課も 微笑ましく騒ぎを見物していた

 

そこへ チェ専務が現れ フロア内が途端に静まり返る

寸前まで賑やかだった3課の前に立ち 意味深な笑みを浮かべた

そして 『オ課長の行動により課の雰囲気が良くなった』 と呟いた

 

オ・サンシクは視線を落とし キム・ドンシクは表情を曇らせた

その言葉の意味は 2人だけが知っている

チェ専務に頭を下げ ドンシクの懲戒を取り消させた

その行動の見返りとして グレの配属が決まったということだ

 

チャン・グレは ひとり屋上へ向かった

インターン社員としての第一日目 ここでドンシクに言われた言葉

 

「その歳になるまで何やってた? 出来ることが何ひとつない!」

 

やり切れない表情で オ課長が現れた

屋上から見える景色は夕暮れ色になり 2人の姿がオレンジに染まる

目の前の新人に 今 何を語るべきか…

腹をくくった表情になり オ・サンシクは ようやく口を開く

 

『正直 お前を望んでなかった 3課には即戦力が必要だからな』

『……承知しています』

『はあ… アン・ヨンイがよかったあ!』

 

何を言われてもいい グレは そのままを受け止めた

小さくうなずき 自分に言い聞かせるように 言葉を続けるサンシク

 

『まあとにかく! 踏ん張ることだ この際だからな!

……踏ん張った者が 結局は生き残る』

『それはどういう…』

 

『お前は知らないかもしれないが 囲碁用語にこんなのがある

「未生(ミセン)」 そして「完生(ワンセン)」

俺たちはな まだ“弱い石(ミセン)”なんだ』

 

(その言葉なら知っている) とグレは思った

オ課長の口から その言葉が出るとは…

 

退社の時 グレは 正門の柱をポンポンと叩く

メモに “YES”と書き 柱の隙間に埋め そびえ立つビルを見上げるのだった

 

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ミセン ~未生~ 第3局

2018-11-01 13:45:00 | ミセン ~未生~ あらすじ

 ミセン~未生~ 第3局 

 

まだ夜が明けきらない街を チャン・グレは 会社に向かって歩いていた

こんな早い時間に もう様々な人たちが活動している

自分だけが… という考えはよくないと あらためて思うグレ

 

ハン・ソンニュルは 既に出勤し 蔚山(ウルサン)へ戻るところだった

グレは パートナーになろうと 直球で切り出した

ソンニュルは 先を急いでいたが 屋上へ行こうと目配せする

 

『何で気が変わった?』

『変わったんじゃなく 返事をしそびれていたんだ』

『なぜ組もうと?』

『その経験と能力が 僕に必要だと思った』

 

意を得た!と思った瞬間 ハン・ソンニュルは饒舌になる

人生は選択の連続で出来ている

一つ一つの選択が繋がり 人生になっていくのだと…!

 

チャン・グレと ハン・ソンニュルが組んだという噂が広まり

爆弾と爆弾が組んで大爆発すると インターン社員たちは面白がった

 

ソンニュルは テーマも原稿も すべてをグレに一任するという

もちろん最終的には2人の合意が必要だが 何もかも自由にしていいと

チームになったというよりは グレに丸投げした形だった

 

ハン・ソンニュルのあだ名は“壁犬”

いつも壁からちょこんと顔を出し 女子社員をチェックしているからだという

真ん中分けの髪が襟元まで延び 両サイドはしっかりと耳にかけられている

独特なヘアスタイルで いかにも軽薄な雰囲気を漂わせる変わり者だ

 

すでに採用は確実という自信から 本気でプレゼンに取り組む気はない

“面倒なこと”はグレに押しつけ 蔚山(ウルサン)で伸び伸びしようと考えている

 

一方 アン・ヨンイは なかなかパートナーが決まらず焦り始めていた

イ・サンヒョンが もう自分と組むしかないぞ! と誘って来る

ソンニュルとはまた違った自信家で 必要以上にグレを蔑みバカにしている

超優秀なヨンイと組めるのは 自分しかいないと豪語し決めつけていた

 

チャン・ベッキは 決してヨンイを誘わない

困り顔のヨンイを見て ただ『頑張って』と声をかけるだけだ

プレゼンで彼女と組むことは 絶対に不利であると気づいている

その話題になっても 彼女に誘う隙を与えないよう振る舞っていた

 

営業3課では

 

チャン・グレが 今か今かと2人の出勤を待っている

さっそくパソコンを開き あれ?と驚く姿を早く見たいのだ

自分のアドレスをもらって 初めて送信したメールだった

 

課長オ・サンシクが 自分のことを“うちの奴”と言ってくれたこと

飲み会に誘われ 人生初の羊肉ホルモンを食したこと

営業3課の一員として 頑張っていく所存だと締めくくられている

 

昨夜 大酒を煽り泥酔したオ課長は ほとんどの記憶を失っていた

グレもその場にいたことや コ課長との口論さえ思い出せない

 

呆れるドンシクを屋上へ誘い 1冊の案件書類を見せた

ずっと保留になっていた “マイクロファイバーモップ輸出”の案件だ

チェ専務が待ったをかけた案件なのに…! とため息をつくドンシク

 

オ・サンシクは 課の成績を上げることに固執せず

常に難しい案件や 実入りは少ないがやり甲斐のある案件を好む

上司との確執も怖がらず…というか そもそも派閥入りを嫌う一匹狼だ

同期は すでに次長に昇格している者も多い

“万年課長”と囁かれる上司に惚れ込み 喜々として働くドンシクもまた

“万年代理”まっしぐらと 影では囁かれているのだった

 

オフィスに戻るなり オ課長からグレに 仕事の指示が飛ぶ!

しかし “COO”だの “MOU”だのと 専門用語に固まるグレ

サンシクは 貿易専門用語辞典を差し出す

せめて指示の内容ぐらいは聞き取れるようになれと

 

無視を決め込んでいたオ課長が 言葉こそ荒いが受け入れる態度を見せた

グレは 中庭で 休憩時間も惜しみ用語辞典に没頭する

そこへアン・ヨンイがやって来て プレゼンの話を切り出すが

イ・サンヒョンが割り込み ヨンイの手を掴み 連れて行こうとする

 

咄嗟に手を払い除けるヨンイ!

サンヒョンは 何かにつけヨンイの肩に手を置いたりする

過剰に女性扱いし エスコートでもするような振る舞いだ

コネ入社のグレも気に入らないが どこかでヨンイを軽視している

どんなに優秀か知らないが 特別扱いにも程があると…!

つまりは 自分こそが優秀で 本採用は間違いないと確信し

誰からも敬遠されているヨンイに同情し “救いの手”を差し伸べているのだ

 

自分が優位だと信じて疑わないサンヒョン

大学時代の先輩から資料を貰ってアレンジし それで発表は済ませようという

互いに採用は確実なのだから 何も苦労することはないという考えだ

しかしヨンイは その提案をきっぱりと断る

あまりに意固地だと吐き捨て サンヒョンは行ってしまう

行きがかり上 組むことにはなったが 先が思いやられる相手だ

 

そこへ ベッキが グレはなぜ“あんな奴”と組んだのか… と切り出す

忙しくて周囲の状況が分からないヨンイは 初めてグレの状況を聞く

一躍人気者のようになったのは グレを利用しようという皆の思惑があった

それをすべて断ったグレは まさに“最悪の相手”と組んだのだという

 

ヨンイは それで納得がいった

なぜグレが誘いを断ったのか… きっと自分も その中の1人と思われたのだ

 

インターン社員たちの 目まぐるしい3日間が過ぎた

 

チャン・グレは オ課長から渡された用語辞典を 徹底的に読み込んだ

そして 辞典に載っている専門用語だけでなく

いつの間にか 営業3課だけで使われている暗号までマスターしていた

 

ハン・ソンニュルに丸投げされた プレゼンの準備を進めながら

その驚異的な記憶力で 貿易用語を 完璧に近い状態で覚え切ったのだ

 

その優秀さの片鱗が見え始め キム・ドンシクは感嘆のため息をつき

オ課長に グレが採用されることを望むかと聞く

 

『あいつは落ちるべきだ』

 

優秀だからこそ その先に待つ結末が やるせないものになる

課長オ・サンシクは ドンシクには考えも及ばない未来を ひとり憂いていた

 

チャン・グレは 相次ぐソンニュルからの“却下”に戸惑う

指示はただ “もっとセクシーな内容に”などと あまりにふざけ過ぎている

(丸投げを決め込んだはずなのに なぜ“却下”なんだ)

グレの戸惑いは 次第に“辟易”へと変わっていく

 

職場では 次々と指示が飛び 目まぐるしくて余裕がない

プレゼンの準備は 睡眠を削ってやるしかなかった

それでも ハン・ソンニュルに送ったデータは 既読にすらならない

 

デスクで居眠りするグレ

オ課長は 声をかけようとするドンシクを制止し そのままにさせた

 

グレは 夢を見ていた

幼き日の自分が 尊敬する棋士の面々に手ほどきを受けている

また 入段出来ずに 棋院を去ろうとした少年の日 皆が引き留めてくれた

もう忘れたはずなのに なぜこんな夢を何度も見るのか…

 

目覚めたグレは 気分を変えようと休憩室へ行く

そこにいたアン・ヨンイもまた パートナーの勝手さに困っていた

ヨンイは もし誤解しているなら グレの誤解を解きたかった

決して 皆が考えているような気持で グレを誘ったのではないと

 

誤解していたことを謝ろうとするグレ

しかしヨンイは 採用された時に謝ってほしいと言う

じゃあそういうことで… と笑顔になる2人

そこへチャン・ベッキが顔を出し グレに『ここにいていいの?』と言う

 

課に戻ると オ課長が怒鳴り キム・ドンシクがうなだれている

隣りの課のキム・ソッコが トラブルの内容を耳打ちしてくれた

 

オ課長が進めようとしていた“マイクロファイバーモップ輸出”の案件で

FTA(自由貿易協定)を鑑みた ドンシクの対策にミスがあり

解決出来なければ 明日の船積みに間に合わない事態となったのだ

 

ドンシクを怒鳴りつけながら 決裁したのは自分だというオ課長

今は 責任を追及している場合ではない

とにかく解決しなければ 会社に莫大な損失を負わせる羽目になる

 

突然に 取引先が 原産地証明書をつけろと言い出してきた

今から準備するのでは 完全に間に合わない

船積みを延期し 3日で証明書を揃えれば 何とかなるかもしれないが

間に合わなければ 空輸で送ることになる

取引先との問題は解決できるが 割高のコストで損害は免れない

 

オ課長は キム本部長に呼ばれ叱責を受ける

解決出来たところで 船を3日も足止めするコストがかかり

もし空輸に切り替えれば 船のキャンセル料まで発生してしまう

しかし 契約破棄になるよりは… と説得するオ課長

 

課に戻るなり オ・サンシクは 蔚山(ウルサン)へ行くと言い出す

それを知っていたかのように 列車のチケットは予約済みだというグレ!

しかし今は その機転を褒めている余裕もない

2人は グレを置いて駅へ向かう…!

 

しかし結局は 足りない資料を届けるため グレも蔚山(ウルサン)へ

 

資料集めを手伝いながら ここにソンニュルがいるんだと思うグレ

同じ建物内にいるはずのソンニュルは 依然としてメールを既読しない

すると目の前を ハン・ソンニュルが 女子社員を追いかけ通り過ぎる

ソンニュルは いきなり女子社員の尻を触り したたかに平手打ちを食らう

 

『痴漢をしていて忙しかった? だからメールも読まないのか?!』

 

背後からの罵倒に 慌てて振り返るソンニュル

グレはようやく パートナーに 3つの資料を読ませることが出来た

 

原産地の資料を整理しながら オ課長は ソンニュルについて話す

インターン社員とはいえ 世渡りはなかなかの青年だ

グレが出来る奴だと思えば 遠慮なく利用し自分を目立たせる

反対に使えないと見限るなり 自分をアピールして前に出るだろうと

まるで台風のような男だが その中心部は静かだと

ソンニュルの懐に入り込めというオ課長

 

ソンニュルは グレを呼び 2つ目の資料が良かったと感想を言う

 

『じゃあ これで合意ということで!』

『え?』

『もう合意できた あとは約束通り一任してもらう!』

 

これ以上 ソンニュルに振り回されたくない

何もしたくないなら丸投げでも構わない

とにかくもう 関わりたくなかった

 

ただ…

 

グレは確認したかった

おそらくソンニュルは 自分より年下だろう

年齢の序列を考慮するなら それなりの礼儀は守ってもらおうと…

 

数日後

 

代理キム・ドンシクが起こした問題は解決し

出航延期のコストはかかったものの 無事船は出て行った

 

それと同じくして ハン・ソンニュルが現れた

ソンニュルは 互いの履歴書の写しをかざしてみせる

グレは87年 ソンニュルは86年生まれ

つまり これまでの関係は揺るがず 主導権は移動しないことに

呆然とするグレの肩をポンと叩き ソンニュルはエレベーターに消えた

 

一方 オ課長は キム本部長に呼ばれ

キム・ドンシクが 懲戒に値すると告げられていた

 

減俸か左遷か せめてそれ止まりだろうと思っていたのに

まさか懲戒委員会にかけられるとは 本部長にも予想外だった

 

事の発端は チェ専務が待ったをかけた案件に手を出し

挙げ句にミスをし 損害を出したことにある

 

2人の会話はフロア中に響き もちろんドンシクも聞いている

チェ専務の意向であろうがなかろうが もはやなす術もない

キム本部長が この事態を覆すことは不可能だった

 

『こうなることを予測して刃向かったんじゃないのか!

どうせなら ミスなくやるべきだっただろ!!!』

 

重い空気が流れる営業3課

そこへ ソンニュルからグレに呼び出しがかかる

同意を得て あとは自由にやるはずだった資料に ダメ出しが入る

まるで弁論大会のようなグレの文章に まずはクレームだ

 

そもそも グレとソンニュルには 発想の原点から違いがあった

たとえば ポリプロピレンという繊維がある

グレはこの繊維を 染めにくく耐久性がなく 衣類に向かないと考える

しかしソンニュルは そういったマイナス思考を無視し

この繊維の保温性や透湿性に目を向ける

 

この発想こそが 現場で鍛えられた“売るための発想”と言える

暑い国で売れないという考えはなく 寒い国で売ることを考えるのだ

 

グレは コテンパンにやられた気分になる

確かに言われるまで 負の発想しか思い浮かばなかった

屋上で落ち込んでいると オ課長の話し声が聞こえて来る

ドンシクの処分軽減を 誰かに頼み込んでいるようだ

 

そこへ 営業2課長コ・ドンホがやって来る

懲戒委員会を開くかどうかの 会議から戻ったようだ

グレは身を低くし なるべく会話が聞こえる位置に移動する

 

会議は ドンシクを擁護するような内容にはならなかったようだ

こうなったら直談判し 委員会をなくすしかないというドンホ

 

『どうせお前は 部下の行く末より自分のプライドが大事だろ!

まあいずれにしても お前の部下だし? 俺には関係ないがな!』

 

敢えてサンシクを発奮させるような言い方で 冷たく去って行くドンホ

オ課長には チェ専務に直談判出来ない 個人的感情があるようだ

代理キム・ドンシクを守るには それしか方法がないのに…

 

グレが課に戻ると ドンシクはいつものように働いていた

内心は動揺しているだろうが 精一杯出来ることをしようとしている

 

颯爽と取引先へ向かうドンシク

それを遠目に見るオ課長

課に戻ろうとすると 向こうからグレとソンニュルが現れる

いよいよ明日に迫った プレゼンの申し込みに行ったようだ

 

原稿の指南をきっかけに 立場は再びソンニュル主導になっている

経験の差からして 致し方ないとはいえ オ課長には情けなく見えた

課に戻り 何で言いなりなんだと問う

 

グレは 『プライドと意地だけでは太刀打ち出来ない』と答える

今の自分には どうしてもソンニュルの経験値が必要だと…!

 

『悔しいですが 今は生き延びることだけを考えます』

 

グレの言葉は オ・サンシクの心に響いた

今は “ドンシクを守る”ことだけを考えようと 18階役員フロアへ向かう

しかし“専務室”の秘書が 悲壮な表情のサンシクに 専務の不在を告げた

 

戻りのエレベーターに ハン・ソンニュルがいた

オ課長は 15階で降りるソンニュルに わざと足を引っ掛けた

派手に転びながら 扉の前に飛び出るソンニュル…!

何食わぬ顔で『大丈夫か?』と声をかけるサンシク

 

こんなことで グレの敵討ちでもないが

まるで子供じみた仕返しをするサンシクだった

そして課に戻り グレに声をかける

 

『原稿を声に出して読め 本番では緊張し声が上ずる

荒い息づかいの 鼻息の音までが マイクに拾われて雑音になる

制限時間の10分を意識しろ』

 

呟くようなオ課長の言葉は 確かにアドバイスだった

グレは 本番中の緊張なんて 全く考えていなかったのだ

さっそくソンニュルを呼び出し 練習しようと誘うが

ソンニュルは 部下も守れない上司のアドバイスなんて!と鼻で笑う

 

今度こそ頭に来たグレは 本気で殴りかかる!

もともと暴力に訴えるタイプの2人ではないが 互いに譲らない

どちらかが倒れるまでは終わらないかに見えた殴り合いは

2人に 同時に届いたメールで強制終了となった

明日行われる 個人プレゼンの課題が発表されたのだ

 

〈互いのパートナーに物を売る〉

 

グレにとっては 絶望的な課題だった

(こんな何ひとつ売りたくない相手に… 何を売れというんだ!!!)

 

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