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武士ペク・ドンス 第13話
ペク・ドンスは 沙彌尼を連れ 市場の通りを歩いている
何としても 思悼(サド)世子との待ち合わせ場所へ無事に送らねばと
しかし すぐに無数の殺気を感じ 沙彌尼を馬で逃がす…!
馬で市場を駆け抜けた沙彌尼は 不安そうに歩いている
そんな沙彌尼の手を引き 物陰に引きずり込むファン・ジンジュ…!
無事に刺客の群れをなぎ倒し 3人は酒幕(チュマク)に入った
この隠密の行動を 見破られるわけがない
明らかに裏切り者がいるというドンス
そして ドンスの脳裏に浮かんだ人物は… ヨ・ウンだった
まさかそんなはずは… と 疑う気持ちを無理にかき消す
ドンスは ジンジュに沙彌尼を託し ひとりで行こうとする
裏切り者がいる以上 待ち合わせ場所へ 沙彌尼を連れてはいけない
世子が危ないというなら 尚更自分が行かねばという沙彌尼
そんな2人のやり取りを聞き つき合ってられないとため息をつくジンジュ
しかし ドンスに『頼む』と言われたら 嫌とは言えないジンジュだった
一方 ヨ・ウンは 涙を流しながらも イム・スウンにとどめを刺す!
こと切れたスウンのもとに駆け寄る思悼(サド)世子!
天(チョン)とウンは この時点では世子を殺すつもりはなかった
腹心を殺された怒りに満ち 世子は2人の後を追う!!!
長槍を振りかざし 天(チョン)に挑みかかる思悼(サド)世子!
天(チョン)も 武人としての世子の腕を 十分に認め真剣に応戦する
廃庶人となる者に 情をかけるわけではないが 殺す必要もなかろうと
それで終わりにしようと思っていた天(チョン)である
しかし 死をも恐れず 国本として全力で向かってくるというならば
たとえその命を奪うことになろうと 真摯に戦うだけである
剣を交えながら 天(チョン)は あることに気づく
グァンテクにあって 自分には無いもの…
そんな禅問答などいらぬ! と斬りかかる思悼(サド)世子!
ペク・ドンスは 世子との待ち合わせ場所へひた走る!!!
倒れている副教官を発見し 駆け寄るドンス!
副教官は 世子の身に起きた事態を話し 裏切り者の名を言い絶命する!
向かった先には 教官イム・スウンの亡骸が…!
そして 思悼(サド)世子の亡骸の前に立ち尽くすヨ・ウン!
『なぜお前がこんなことを…』
『……』
『なら… 俺も殺さないといけないだろ?』
逆らうことの出来ない運命に生きているというウン
ふざけた理由だと ドンスは 力任せに殴りつける!!!
殴られても 殴られても ウンは反発できなかった
少年の頃からずっと ドンスの前向きな明るさが眩しかった
一緒にいると 自分も運命から逃れ 生きられるような気にもなった
怒りに打ち震え 剣を構えるドンスを ウンはただ見つめていた
結局 ジンジュは沙彌尼を連れ ドンスの後を追っていた
そこで 戻る途中の天(チョン)に出くわす…!
無言で目くばせし 自分が囮となって天(チョン)の前に出るジンジュ
沙彌尼は ひとりドンスの後を追う!!!
同じ時
ウンは 決して剣を抜かず ドンスを説得しようとしていた
しかしドンスは 自分の手でウンを殺すしかないと決め立ち向かう!!!
執拗に斬りかかられ 思わず剣を抜くウン!!!
ドンスの剣に手ごたえがあったが…
その剣が刺したのは ウンではなかった
背後からウンにかぶさり 痛みに顔を歪める沙彌尼!!!
ドンスは 自らの剣で 愛する沙彌尼を刺してしまったのだ!!!
沙彌尼の脇腹からは 血が噴き出ている
その命を救おうと 沙彌尼を背負い走り出すドンス!
しかし… この山中から医員のもとへ駆けつけても無駄なことだと…!
それでも諦めきれず 走り続けるドンス!!!
虫の息の沙彌尼は 世子のもとへ戻りたいのだろう
必死に戻ってと願う沙彌尼の思いに ドンスは従うしかなかった
結局 ウンがいる場所へ戻り 世子の亡骸の隣に沙彌尼を座らせる
沙彌尼は 世子の亡骸に寄り添ったまま目を閉じる…
囮となって逃げていたジンジュは ドンスの悲痛な叫びを聞いた…!
追跡していた天(チョン)の部下が 立ちすくむジンジュに剣を向ける!
その時…!
ファン・ジンギが現れ 絶体絶命の娘を救った!
ジンジュは ドンスの叫びが聞こえた方角へと走る!!!
ドンスの叫びを聞いたのは ジンジュだけではない
天(チョン)もまた 世子のもとへ戻り 何も出来ないでいるウンを見る
『やはり 情に負けてしまったか…』
ペク・ドンスは この男が諸悪の根源なのかと 剣を振りかざす!
この時まだ 天(チョン)は この若者がドンスであると気づかない
『そんなに死にたいなら 殺してやろうか』
『うるさいんだよ ゴチャゴチャと!!!!!』
ウンとはまた違う殺気と気概
天(チョン)は ようやくこの若者が あのペク・ドンスだと気づいた
命知らずにも自分に挑みかかってきた あの時の少年であると
そしてまた今日 叶うはずのない相手に『お前が元凶だ!』と挑みかかる!
成長した姿に 嬉しそうな笑顔を見せる天(チョン)
容赦なく殺してもいいはずの場面で 天(チョン)は剣を抜かない
赤子の手を捻るように 素手でドンスを打ちのめしていく…!
そして 沙彌尼を背負い歩き出す
ヨ・ウンは 後を追おうとして 倒れているドンスに声をかける
『必ず生き延びろ 生き延びて… 俺を殺すんだ』
『決してお前たちを許さない…! 許さないぞ!!!』
ペク・ドンスは あまりに多くを失った
副教官と 教官イム・スウン そして思悼(サド)世子
心から愛する沙彌尼に至っては 自らの剣で…!
さらには… 親友ともいうべきヨ・ウンが…
そこへ ファン・ジンギとジンジュの父娘が駆けつけ
さらには キム・グァンテクとフクサモが現れ
世子の亡骸の前にひれ伏し号泣する…!
グァンテクは 茂みに隠れる気配に気づき 剣を向けた!
そこに立っていたのは 地(カオク)だった
すべてを謝罪し 殺されに来たという地(カオク)だが
グァンテクは その命で解決するような問題ではないと 一蹴する
英祖(ヨンジョ)王に 世子の死が報告され
死を覚悟して身代わりとなっていたヤン・チョリプが 放心状態で戻った
フクサモは そんなチョリプを 立派だったと言い 力強く抱きしめる
すべての事情を聞いたチョリプは 憔悴するドンスを抱き号泣した
表向きは 米櫃に入れられたことになっている思悼(サド)世子
その裁き通り 遺体は米櫃に戻され 公に死が確認される
世孫イ・サンが その亡骸に駆け寄ろうとするが 側近らに阻まれた…!
それから月日が経ち…
立ち直れないまま ペク・ドンスは 乞食のような格好で街を彷徨う
世孫イ・サンもまた 側近の目を盗んでは城外をうろついていた
餅屋の主人と揉め事を起こすドンス
そこへ通りかかった世孫が 代わりに餅代を…と取り成すが 金を持っていない
さらに揉め事が大きくなり騒ぎになった瞬間!
世孫を狙って矢が射られ 放心状態のドンスが 咄嗟に素手で矢を掴む!!!
世孫を追って現れた側近は 剣仙(コムソン)キム・グァンテク
そして ドンスを按じて駆けつけたのは フクサモとチョリプだった
※剣仙(コムソン):朝鮮一の武士の称号
この時 世孫イ・サンは 初めてペク・ドンスという者に会う
剣仙(コムソン)より 父思悼(サド)世子は暗殺されたと聞いている
一国の世子が なぜ宮外で刺客に殺されなければならないのか…!
まだ少年の世孫には どんなに事情を聞かされても納得がいかない
グァンテクは 世孫もまた常に命を狙われているのだと
常に身を守るため 勝手な行動は慎むようにと進言するのだった
まるで腑抜けになってしまったドンスを何とかしようと
壮勇衛(チャンヨンウィ)の仲間たちが喝を入れる…!
しかしドンスは 正気を失ったように 目の焦点さえ合っていない
このままでは 壮勇衛(チャンヨンウィ)でいることは難しい
チョリプは そんなドンスに もうやめろと語りかける
自分を庇おうと ためらわず身代わりを買って出たドンス
そんなドンスを出し抜いたばかりに こんな目に遭ってしまったのかと
すべてが自分のせいのようで チョリプも辛くてたまらなかった
ジンジュは ドンスを按じながらも 気がかりなことがあった
あの“怖いおばさん”が 剣仙(コムソン)に剣を突き付けられた時
首飾りが切れて玉が落ちた
その玉は 父ジンギが大事に持っている物と同じだったのだ
何も説明してくれない父親に かえって不信感を抱くジンジュ
あの“怖いおばさん”は 自分の母親なのではないかと…
天(チョン)は キム・グァンテクが書いた「武芸新譜」を手に入れていた
ホン・デジュが心から欲しがり 自分に進呈するといった書である
十八技の殺手(サルス)武芸の書があれば
朝鮮のみならず 清国にさえ その名を轟かせられると…!
何の未練もなく かがり火に「武芸新譜」を投げ込む天(チョン)
その傍らには ヨ・ウンの姿があった
フクサモの肉屋では
ペク・ドンスが とうとう食べることさえ拒否し 衰弱し切っていた
その様子を窺うホン・デジュの部下
デジュは ドンスが あのペク・サグェンの忘れ形見ではないかと疑っていた
だとすれば たとえ気がふれていようと命を絶たねばならないと…!
デジュの子飼いになっている人(イン)テウンは
狂っている者を殺す必要があるのか? と問う
もっとも そこまで望むのなら 自分が手を下しても構わないとほくそ笑む
ホン・デジュは 貞純(チョンスン)王后に謁見する
思悼(サド)世子を排除し 今また世孫イ・サンをも亡き者にしようと
老論(ノロン)派の黒幕となって画策しているのは
英祖(ヨンジョ)王の正室 貞純(チョンスン)王后にほかならない
若くして正室となった貞純(チョンスン)王后は
年老いた王との間に 子を授かることが出来なかった
英祖(ヨンジョ)王崩御の後も 我が身が君臨するため
あらゆる陰謀を巡らす王后であった
デジュは 迂闊に世孫を狙えば 王様の逆鱗に触れると進言する
このまま世孫を私邸に置けば 少論(ソロン)派に担ぎ上げられてしまう
亡き者に出来ぬとしたら 宮廷に呼び戻すことこそ得策であると…!
ファン・ジンジュは ドンスを叩き直そうとして
まずは ドンスの横で呆けているチョリプの顔に水をかける!!!
そしてドンスを川に突き落とそうと言い出す
生きたければ泳ぐだろうし 泳がなければ死ぬだけだと…!
結局は ドンスを庇い チョリプがジンジュと共に川へ!!!
必死にもがき 岸に泳ぎ着いたジンジュとチョリプ!
2人が騒いで言い合いをしている間に ドンスに近づく影があった
人(イン)テウンが ドンスを殺そうと現れたが
目の前に剣を突き付けても 目をつぶることさえしないドンス
テウンは呆れ 『俺らしくない…』 とつぶやき去って行く
人(イン)テウンは見逃したが キム・グァンテクは容赦しなかった
夜の庭先にドンスを引きずり出し 棒を振り回し叩きのめしていく!!!
ドンスが死んでしまう!と泣き叫ぶジンジュ
しかし たとえフクサモであっても 剣仙(コムソン)に口出しは出来ない
その時… ドンスの手が グァンテクの棒を掴んだ…!
たとえ気がふれようとも 体が生きたいと 無意識に叫んでいるのだ
その生きようとする力を引き出そうと グァンテクは心を鬼にしている!
同じ時 黒紗蝋論(フクサチョロン)の砦で
天(チョン)に並び 組織の頂点に座するヨ・ウンの姿があった…!