“散る花と咲く花がいつもここにある”のブログより移行しています
1話~11話はこちらで公開しています
※このドラマは実在した奇皇后の物語ですが 架空の人物や事件が扱われ
史実とは異なる創作の部分があります
第27話 秘密の手習い
他の側室たちが 一気に薬湯を飲む中 才人キ・ヤンだけは飲もうとしない
どうしても拒むなら 口をこじ開けてでも飲ませるというタナシルリ
『飲まなくてもよい!!!』
皇太后が駆けつけ なぜそんなに帰脾湯を勧めるのかと問う
しかも 懐妊させぬよう緑豆を混ぜているとは…!
皇太后の言葉に すでに飲み干してしまった側室たちが蒼ざめる!
『皇后が 側室の懐妊を妨げるなど… 恥を知りなさい!』
今は 側室を教育すべき時期であり あちこちで側室が懐妊しては
後宮の規律が乱れると主張するタナシルリ
詭弁が過ぎると一喝され タナシルリは それでも構わない!と怒鳴る
『私は 後宮を守りたいだけなのです! 何をしておる 早く飲め!!!』
才人キ・ヤンは タナシルリをギロリと睨みつけ 器を逆さにした…!
その迫力に 思わず怯みそうになるタナシルリ
『これを飲めば… 陛下に背くことになります
いくら皇后様のご命令でも 陛下に不忠となることはできません』
陛下への不忠と言われては それ以上無理強いすることも出来ない
しかし “貢女”のせいで 皇后様の怒りを買ったと 側室たちは憤慨する
タナシルリに受けた仕打ちの怒りの矛先は 常にキ・ヤンに向けられた
※貢女:高麗(コリョ)が元への貢物とした女性
庭園を歩きながら 口々にヤンを責める側室たち
しかし こちらに向かう皇帝の行列を見た途端 側室たちは笑顔になる
我こそが陛下に気に入られようと 懸命に愛想を振りまいている
そこへ今度は 別の方向から 皇后の行列が…
タナシルリは 側室たちの前から 皇帝を連れ出すつもりだったが
タファンはそれを無視し 才人キ・ヤンの手を取り走り出す
4人の側室は 目の前で皇帝に無視される皇后を目の当たりにし
一体 どんな表情を作ればいいのかと戸惑う
嫉妬したと思われたくなくて タナシルリは 必死に余裕の表情を取り繕った
才人キ・ヤンは 今後 毎晩寝所に呼んでほしいという
ようやく皇帝の心が伝わったのかと タファンより侍従コルタの方が喜んだ
皇后殿を訪ねた皇太后は マハ皇子を抱きながら愛おしそうに見つめている
このように可愛い皇子がいるのに なぜ側室の懐妊を恐れるのか…
『なんて可愛い… 目鼻立ちは陛下に 口元は皇后にそっくりです
マハは いずれ皇太子となり そして皇帝になるのです なのに…』
皇太后に最後まで言わせず これまで皇位を巡り どれだけの争いが起き
何人の皇子が命を落としたのかと問う…!
あるいは すでに皇位を継いだ皇帝が 何人玉座から降ろされたかと…
それは皆 父である丞相が皇室を意のままに操ろうとした結果である
タナシルリは 皇子の母という立場で 必死に我が子を守ろうとしていた
皇后殿を出た皇太后は
チャン・スニョンに 皇子は 皇帝にも皇后にも似ていないと話す
しかし 出産前に過ごした皇覚寺は全焼し 証拠を探すことは出来ない
秘密裏に捜査し 確実に真実を暴かねばならないと…!
才人キ・ヤンは 今夜のため タルタルから書物を受け取る
「千字文」は 四言古詩250句の千文字からなる手習い書である
この書にとどまらず 「論語」「孟子」「大学」「中庸」と
「詩経」「書経」「易経」「春秋」「礼記」
四書五経を読破出来ねば タファンが 真の皇帝になることは不可能である
毎晩 皇帝の寝所に呼ばれるようにしたのは このためであった
文字が読めねば 上奏文を読むことが出来ない
タファンの 果てしない「秘密の手習い」が始まった…!
寝所には 毎晩のように酒席が設けられ
コルタと部下が 代わりに飲み食いし続けた
尚宮や雑用係も遠ざけ タファンが 才人キ・ヤンに夢中だと思わせたのだ
皇后タナシルリは 嫉妬に怒り狂い逆上する
丞相ヨンチョルは 口も利けない皇帝が 酒色に耽っていると聞き
愚か者でも 女の色香には興味を示すのかと高笑いする
そして 皇帝を夢中にさせる側室を送った ペガン長官を労った
相当に酔った父親を 寝所へと促すタンギセ
ペガンとスンニャンが結託していることは間違いないのに
タンギセは それ以上追及することが出来ない
お前らの悪巧みは知ってるぞ!と凄むタンギセだが…
『何か勘違いしてないか?』
『何?』
『俺は お前じゃなく 丞相に忠誠を誓ってるんだ
まさか父親の勢力を そのまま受け継げるなんて 思ってないよな?』
『何だと?!!!』
『我らには 丞相になりたいという共通点がある
しかし お前はただ 自分の栄華を極めたいだけだろう
俺は国のため 民のために権力を欲しているのだ!』
『黙れ! 何様だ!!!』
遼陽では
ヨンビスが ワン・ユに真実を伝えようとして迷っていた
するとワン・ユの方から メバク商団に話題を移す
自ら商団を作り メバクと直接取り引きしたいというワン・ユ
ヨンビスは咄嗟に ツテはないと答えていた
メバク商団に潜入しているチェ・ムソンから 取り引きの日時の情報が届く
ワン・ユは交鈔を買い集め 元で商売をし メバクと同じことをする考えだ
メバク商団を潰せば ヨンチョルへ流れる資金を止めることが出来るのだ
※交鈔:元の紙幣
しかし… ムソンが掴んだ情報は フクスが仕掛けた罠だった
内通者のムソンに 自ら仲間を始末させようとしているのだ…!
情報とは違う場所で 取引相手を待つフクスたち
異変に気づいたムソンは その場で取り押さえられてしまう…!
何も知らず 取引の場所へ急ぐワン・ユの一行!
一体 フクスは どんな罠で皆殺しにしようというのか…!!!
その時!
ようやく視界に入った取引先の荷車に向け 火矢が放たれた
火矢は 偽の交鈔が入っているはずの樽に引火し爆発した…!!!
爆音と火花に驚き ようやく罠だと気づくワン・ユ!
作戦が失敗したフクスは 手下たちに 一気に攻め込めと命じたが
ワン・ユの一行は 戦おうとせず 暗闇に消えていく…!
火矢を放ったのは ヨンビスの手下だった
妓楼で ワン・ユに伝えることは出来なかったが 結局は守ったことになる
これで命を助けられたという借りを返し 今度こそはもう敵同士だと…
大都では
大事な娘が 皇后に避妊薬を飲まされたと 長官たちが皇宮に駆けつける!
様々な思惑で 娘を“人質”同然に差し出しているのだ
この抗議は 丞相ヨンチョルとて無視はできない
そんな騒ぎを 遠目に眺めているヨム・ビョンス
すると ビョンスの前を ひとりの宦官が通り過ぎ また戻って来る
その顔を見た途端…! 驚いて大声を上げるビョンス!!!
確かに 自分が斬り殺したはずの“亡霊”が 目の前に立っていると…!
『どうかしたのか』
続いて現れたのは 才人キ・ヤンであった
皇帝が 最も寵愛する側室 それがあのスンニャンなのだ
宦官ブルファに『礼を尽くせ!』と怒鳴られ
頭を下げるしかないビョンスとチョチャムだった
『お前が放った矢が 命中した時の感覚を まだ覚えている
あの矢こそが… 私の人生を変えてしまったのだ…!
忘れるな お前の人生は… この私が変えてやる』
丞相ヨンチョルの屋敷では
長官らが 皇后に対し然るべき罰を与え 今後の措置をと迫る…!
しかし ヨンチョルの逆鱗に触れ たちまち凍りつく!
この中の誰でも 自分に代わり丞相になった途端 この国を亡ぼすだろうと
私欲でものを言う長官らを一喝するヨンチョルだった
タンギセは すごすごと帰って行く長官たちが 増長しないよう
個人的に呼び出し 忠誠を誓わせると進言するが
事を荒立てるな!と一喝されてしまった
威厳を以って黙らせたが やはり今回の件を重く考えるヨンチョルだった
真夜中の大明殿
ヨンチョルは 皇帝タファンを呼びつける
挨拶も前置きもなく ただ一方的に話し出すヨンチョル
この30年間 玉座の主は9人も代わった
そして今 皇帝もまた 重圧に耐えきれず声を失ったと…
『譲位してください
皇子に譲位し 重荷を下ろしてくださいませ
皇后に 垂簾聴政を任せ 後は気楽に どうか長生きを…!』
分かってはいたが あまりに突然のことに 凍りつくタファン
もう役目は終わったと通告され その場に立ち尽くす…!
いつものように タファンの手習いが始まる
しかし タファンはもう 学ぶことに集中できなかった
譲位を迫られた今 文字を学ぶことに何の意味があるだろうかと…
もう学ぶことは辞めるというタファンに ヤンは激怒する
大切なものをすべて… 何もかも奪われてしまい そして自ら捨てたものもある
なのにタファンは すべて捨て去り 何も求めない生き方がしたいという
何もかもから解放され ただ2人で穏やかに暮らすことは出来ないかと…
『そうまで仰るなら もうお会いしたくありません』
『そなたも… 役に立たないから捨てると? 復讐できなければ用無しか!』
『もしそうなら何です? 私にとって陛下は もう無意味な存在です』
あまりの暴言に コルタが中に入ろうとする
ブルファが それを止め ヤン様が正しいという
『私は 宦官としては新人ですが 臣下の心得はあるつもりです
陛下のために苦言することは 不忠ではありません…!』
ヤンは 自分の方からタルタルを呼び出した
しかしタルタルは 助言などする必要はないという
今は 導くべきヤンの方が焦ってしまっているとだけ忠告した
ブルファは あまりに冷たいタルタルの態度を責めるが
ヤンの心には 十分に響いたようだ
『忘れていました 喉の渇きを感じる者だけが井戸を掘るということを』
皇帝と才人キ・ヤンが 互いに もう会わないと決めたことを
タナシルリはまだ知らず 半月も続く2人の逢瀬に嫉妬の炎を燃やす
他の側室も… 女官たちまでが タナシルリを同情の目で見る
皇帝とキ・ヤンへの嫉妬もあるが その同情こそが何より耐えられなかった
『もう忍耐も限界だ あの女を今度こそは懲らしめてやる…!』
遼陽では
命からがら逃げだしたワン・ユたちが ムソンを心配していた
情報に間違いはないはずなのに なぜ襲われたのか…
そしてまた 誰が助けてくれたのかさえ 分からずじまいだった
パン・シヌが 物乞いに扮し ムソンの安否を確認しようとしている
奴隷を護送するフクスの行列が通ると 道を塞ぐように倒れ込んだ…!
『何だこ奴は! 奴隷にして売り飛ばそうにも人相が悪すぎる 消えろ!』
『そ… そんなことを言わずにお恵みを!!! ……あぁっ! あれは…』
シヌは ムソンの安否を確認しようとして 驚くべき人物に気づく
あの高麗(コリョ)村の村長 チョクホだ…!!!
そのまま奴隷に紛れ 収容所に潜入したシヌは チョクホに近づいた
チョクホは 一度は奴隷として売られたものの
宦官だと知られ 戻されたのだという
※宦官:去勢を施された官吏
『スンニャンを捜してるんだろ? もう会ったか?』
『えっ?! スンニャンが… 生きているのか?!!!』
もちろん ムソンのことも心配だが
シヌは 一刻も早く知らせようと ワン・ユのもとへ走る…!
あの日 涙ながらにスンニャンの死を伝えたシヌは
今度もまた涙に濡れながら 喜ばしい報告をするのだった
『何と… あのペガンが スンニャンを救ったそうです!』
“最愛の人”の死を受け入れられず 立ち直れないでいたワン・ユは
シヌがもたらした吉報に 誰はばかることなくうれし涙を滲ませた
大都では
朝礼殿へ行こうと 朝の身支度を整える才人キ・ヤン
そこへ 慌てふためいたトクマンが駆け込んでくる
すでに朝礼は始まっており またしても女官たちが
開始時刻の変更を わざと伝えなかったのだ
「内訓」を学ぶ初日の大事な日に遅刻とは…! と激怒するタナシルリ
罰として「内訓」を すべて暗唱するようにと命じた
スラスラと 流れるように暗唱するキ・ヤンに 一同が驚く
※内訓:仁粋(インス)大妃が編纂した婦女子の修身書
まだ学んでもいない「内訓」を なぜ暗唱できるのか
毎晩 少しずつ覚えたと答えるキ・ヤン
しかしタナシルリは ヤンが 毎晩のように皇帝と過ごす光景を想像し
「内訓」を軽んじているのか! と激怒する
『この者を 白装束で書庫に閉じ込め 親衛隊に見張らせよ!
「内訓」百条を 百冊に書き写すのだ!!!
終えるまで 水一滴すら与えてはならない!』
雪の降りしきる寒い季節 書庫には暖房の設備もない
才人キ・ヤンは 白装束のまま 防寒着もなく閉じ込められた
「内訓」をすべて書き写すまでは飲まず食わずで過ごすのだ
心配するトクマンに 下がれと命じ ヤンは覚悟を決める
無念に殺されたすべての者の為 こんなことで負けるわけにはいかないと…!
3日目の夜になった
宦官ブルファは 書庫の前を見張るビョンスとチョチャムを殺す!と息巻く
そんなブルファを 厳しく制すトクマン
「内訓」をすべて書き終え 自ら出てくるほかに道はないのだと…!
皇帝タファンは 『もう会わない』との宣言を守り
本当に ヤンが会いに来ないのだと思っていた
トクマンから侍従コルタに話が伝わり ようやく事実を知るタファン!
書庫へ駆けつけたタファンは 制止するビョンスの胸倉を掴み
構わず奥へと進み 気を失っているヤンを抱き起す…!!!