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広開土太王 第8話 奴隷収容所
柵城(チェクソン)城主カンデが駆けつけた時
タムドクの一行は 刺客に襲われ全滅していた…!
おびただしい血痕が断崖絶壁へと続き タムドクの死体だけがない
確かに毒矢を タムドクの胸に打ち込んだプンパルは
タムドクの死を確信し 慕容宝(モ・ヨンポ)のもとへ戻る
一時は大喜びしたものの 首を持ち帰っていないと知り
確実に殺したとは言えないと激怒する慕容宝(モ・ヨンポ)
何度タムドクに騙されたことかと 声を荒げる!!!
あの猛毒の矢に当たり崖から落ちたのだ
化け物でない限り 生きているはずがないと豪語するプンパル!
それどころか 崖下に降り首を持っていて高句麗(コグリョ)軍に見つかれば
元も子もなかったと言われ ようやく納得するのであった
タムドク王子が行方不明との知らせが 直ちに国内(クンネ)城に届く
我が子の死を確信せねばならぬつらさに 意識を失うイ・リョン王…!
コヤ王妃と タムジュ王女も 悲しい知らせに涙しながら
きっとどこかで生きていると信じ 互いに励まし合うのだった
タムドクが意識を取り戻したのは 護送される荷馬車の中であった
誰に着せられたのか 古びた民の服を着ている
そしてその胸には ひび割れた鏡が入っている…!
イ・リョン王から賜った 先々代の故国原王より贈られた鏡が
タムドクの命を 猛毒の矢から守ってくれたのだ
荷馬車の列の横で ひとりの男が捕らわれようとしている
男は反撃し 自らを靺鞨(マルガル)の部族長ソルドアンだと叫ぶ
反逆者!と罵りながら殴りつけているのは 同じ靺鞨(マルガル)族の男たちだ
捕えられたソルドアンは タムドクの護送車に放り込まれた
誰彼構わず ここは高句麗(コグリョ)か!と叫ぶタムドクに
汚い高句麗(コグリョ)人め!と殴りかかるソルドアン!!!
大騒ぎする2人を鞭で打ち 足枷でつなぐ奴隷商
靺鞨(マルガル)族でも高句麗(コグリョ)人でも関係ない!
どうせ奴隷になる身なのだと 怒鳴りつける!
『何?! 奴隷だと?!!!』
タムドクは驚愕する…!
一国の王子に生まれながら なぜ奴隷に…!!!
奴隷商の根城に着くと 護送された者たちが一斉に降ろされる
お頭の登場に 怯えてひざまずく者たちの中 ソルドアンが暴れ狂う!
そばにいた見張りの剣を奪い 自分を捕えた奴隷商を人質にした…!!!
足枷でつながれたタムドクが 勝ち目はないから剣を捨てろと言うが
ソルドアンが逃げる以上 ついて行くしかない…!
しかしどんなに大暴れしようが まもなく2人は捕らわれてしまう
人質にされた奴隷商が怒り狂い 見せしめに殺すと息巻く!
それを止めたのは 奴隷商の頭ムカプだった
『そいつらを殺したら お前が身代金を払うか!』
奴隷商にとって奴隷は商品である
死なぬ程度に酷く痛めつけられた2人は 奴隷収容所に送られた
そこで 収容所の責任者ヨソッケに引き渡される
ヨソッケは 血まみれの2人を蹴りつけて
立てば座れと怒鳴り 座れば立てと殴りつけた
ここでは 全ての動きに対し俺に許しを請えと!!!
『これが… 人を扱う態度か!!!』
『人だと? 人と言ったか?!
お前たちは人でなく“奴隷”なんだ! 分かったか!!!』
ヨソッケの殴る蹴るが その日の終わりではなかった
次は 古株の奴隷たちの洗礼を受ける番であった
そして動かなくなる2人を見て 今度はヨソッケが焦り出す
いかに制裁を加えるかは ヨソッケに権限が与えられているが
ヨソッケもまた奴隷のひとりである
“商品”を死なせたら 今度はヨソッケが上から罰せられるのだ
動かなくなったタムドクを 抱きかかえて揺り動かすヨソッケ
その時!!! タムドクがヨソッケを締め上げ羽交い絞めにする!!!
一度は ヨソッケに半殺しの目に遭っている者たちである
タムドクの反撃に 小気味よさを感じる者はあっても 助ける者などいない
こうしてタムドクは ヨソッケを服従させてしまう
そして 同じ境遇の者を 誰も傷つけてはならないと叫ぶ…!!!
国内(クンネ)城 ケ・ヨンス邸に 早馬が到着する
タムドクが襲われた現場で 犯人の物と思われる号牌(ホペ)が発見された
※号牌(ホペ):朝鮮時代の身分証
確認すると 後燕の使臣プンパルのものであった
だとすれば タムドク王子を襲ったのは後燕!!!
居合わせた大臣らは すぐにも王様に報告すべきだと言うが…
ケ・ヨンスは このことは他言無用!王様にも隠すと言い出す!
誰の仕業であろうが もはや王子は生きてはいない
ならば今は 後燕との関係を重んじるべきだと…!
ケ・ヨンスの腹心であり 軍責任者であるヨソイが
これは反逆罪に当たると言い 王様に言うべきだと進言する!
『私は 喜んで反逆罪に問われるつもりだ!
再び国中を戦乱の火の海にするくらいなら 反逆の大罪人として死ぬ!
戦う兵力もない今 王様が後燕に戦を仕掛けたらどうなりますか!』
ケ・ヨンスは 必死の捜索で証拠を見つけた将軍に
捜索も程々にしておけと釘を刺す
これ以上証拠が見つかれば もう隠しようがないのだと…!
ケ・ヨンスの考えが間違いだと分かっていても
これを論破できる大臣は ひとりもいなかった
もっともらしいケ・ヨンスの論理に従うしかないのである
『たとえ王様に背く大罪を犯そうと すべては民と国のためである!』
奴隷収容所では 寝静まった宿舎に忍び込む者たちがあった
ヨソッケとその手下が タムドクを殺しに現れたのだ…!
寝込みを襲われ 首を絞められるタムドク!
誰もが気づきながら 助けることが出来ない
タムドクは ヨソッケを負かした初めての奴隷だが
もし救出に失敗すれば 恐ろしい報復が待っている…!
その時! ヨソッケを狙って小石を投げつける者があった
宿舎の隅で ずっとタムドクを睨み付けていた トルピスという男である
トルピスの加勢で息を吹き返したタムドクは 怒りの反撃に出る!!!
しかし決着がつかないまま 見張りが慌てて 看守の見回りを告げる
奴隷同士が また騒ぎを起こせば ヨソッケもただでは済まない
タムドクは 命を助けてもらったトルピスに 礼が言いたかった
しかしトルピスは それ以上の関りを拒み 次は助けないという
柵城(チェクソン)への道中 自分を襲った者が誰かも分からず
気が付けば奴隷商人に捕らわれ 収容所に放り込まれてしまった
ここがどこなのかも把握できないまま
タムドクは 自らの命を守ることに必死であった…!
国内(クンネ)城では
タムドクを始末したと思い込んでいる慕容宝(モ・ヨンポ)が
意気揚々と 再び使臣となって現れ ケ・ヨンスに会う
そして涼しい顔で 高句麗(コグリョ)が望む賠償はしないと言い放った
『それでは 皇太子様は二度と後燕には戻れません』
『まさか私を人質に? 後燕と戦でもするのですか?!』
後方で聞いているプンパルは 何かが変だと気づく
昨日までと あまりに様子が違うケ・ヨンスであった
そこでケ・ヨンスは プンパルを一瞥し
タムドク王子が襲われた件を持ち出す
そして 無言で プンパルの号牌(ホペ)を差し出した…!
『後燕の皇太子が 使臣としてやって来て
高句麗(コグリョ)の王子を暗殺したとなれば
これは 皇帝への最大の贈り物になりましょう!』
プンパルは 今にも泣き出しそうであった
同意書に印を押せば 王子暗殺の嫌疑は不問に終わる
しかしそれでは 今回の任務を遂行したことにはならず
どちらを選んでも 皇帝の怒りを買うことになるのだ…!
慕容宝(モ・ヨンポ)は 自分たちがこのまま打ち首になれば
後燕軍が黙ってはいないと怒鳴り散らす!
自分たちの失態を 何とか脅しで切り抜けようとしているのだ
城内には 北魏の使臣も滞在中である
ケ・ヨンスは 同盟国の北魏が その意思を知ればどうなるかとつぶやく
涙を呑んで 同意書に印を押すしかない慕容宝(モ・ヨンポ)
その姿を見て ただただ うなだれるプンパルであった
奴隷収容所のある夜
タムドクは 変な動きをしている者に近づいてみる
その者は ムシロの下の板を剥がし 夜ごと穴を掘り続けていた
靺鞨(マルガル)族部族長の ソルドアンである…!
タムドクは こんなことをたった1人では無理だと言い
みんなで協力しようと持ちかける
この奴隷の中には 靺鞨(マルガル)族もいるだろうし
その者は 部族長であるお前の民ではないのかと…!
しかし ソルドアンは協力を拒み この場の全員を殺してでも
自分だけは逃げ切ってやると言い放つ…!
このやり取りを盗み聞きしていたヨソッケが 翌朝 さっそく頭に密告し
ソルドアンは捕えられ 宿舎から引き摺り出されてしまう…!
おそらく 死ぬ目に遭うほどの拷問を受けるのだろう
タムドクは気に入らなかった
同じ奴隷でありながら 仲間を密告し それでも飽き足らず
またしても奴隷たちに屈辱を与え 痛めつけている
しかしそれが ヨソッケの生きる術であった
奴隷商の頭にへつらい 奴隷として連れて来られた者たちを
この収容所で十分に痛めつけ 人間としての尊厳を奪い
絶対服従の精神を植え付けるのが ヨソッケの役目なのだ
だとしても気に入らない!
そんなタムドクを やめておけと止めるトルピス
それには耳を貸さず 再びヨソッケに向かって行くタムドク!
国内(クンネ)城では
コ・チャン将軍をはじめとする タムドクを信頼する者たちが
大将軍コ・ムのもとへ集結し 自分たちで王子の捜索をしたいと嘆願する…!
しかし 捜索の責任者は国相(ククサン)ケ・ヨンスであり
ここで大将軍コ・ムが口を出せば 信頼関係にヒビが入るというのだ
※国相(ククサン):現在の国務総理
ケ・ヨンスが 捜索の手抜きをしていることは明らかであった
しかし それを指摘することは出来ない
一同の意見が腑に落ちるとしても 今は事を荒立てる時ではないと
その熱意を封じるしかないコ・ムであった…!
奴隷収容所では
瀕死の状態で宿舎に戻されたソルドアンに
すぐさま駆け寄り 介抱するタムドク…!
しかし他の者たちは ヨソッケの密告を恐れ手を出そうとしない
タムドクは 化膿し始めているソルドアンの傷口を舐め 膿を吸ってやる
その光景に思わず薬草を差し出す者が現れた
そしてトルピスも 一緒に薬草を噛み砕き始めるのだった
ヨソッケは ソルドアンを密告した褒美として 肉を頬張っていた
そこで奴隷商の頭ムカプが 近く鉄鋼山で使う奴隷を買いに来るという
つい先日も鉄鋼山に売ったが 坑道が落盤し皆生き埋めになって死んだという
次々に死ねば また奴隷が売れるのだから
こんな儲け話はない!と高笑いするムカプだった
宿舎に戻ったヨソッケは さっそく10人を指名した
10人の中には タムドクとトルピス そして回復したソルドアンも入った
いつになくトルピスが怯え 売られる前に逃げなければ!と言い出す
鉄鋼山に売られたら 二度とお日様を拝めず 地の底で死ぬだけだというのだ
宿舎の外では 奴隷市が開催され 頭ムカプが威勢よく“商売”を始めていた
1両や2両で 次々と買い手がついていく奴隷たち
そしてとうとう タムドクの番がやって来た
ムカプは 体格が良く威勢のいいタムドクに3両の値を付ける
タムドクは 人間を物のように売り買いする光景に 怒りが込み上げる…!
そして 怒りと同時に恐ろしさも感じ 足元がふらついてしまう
それを見た買い手たちが 見掛け倒しじゃないかと騒ぎ出し
ムカプは わざとタムドクに掴みかかり 反撃してみろと煽り始めた
とうとう怒り狂ったタムドクは 手枷の鎖でムカプを締め上げる!
その瞬間! 護衛兵の剣が一斉にタムドクに向けられた!!!
まさかここで…! と驚くソルドアン!
逃げなければ!とは言ったが トルピスもまた 怯んで後ずさりする!
『死にたくなかったら 奴隷たちを皆解放しろ! うわぁーーーっ!!!』