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ミセン ~未生~ 第6局

2020-10-20 15:00:00 | ミセン ~未生~ あらすじ
 ミセン ~未生~ 第6局 

早朝 チャン・ベッキが一番乗りで出社した
このひと時の静寂を 心から楽しむベッキ
パソコンを開き 社内掲示板に目を通し 新聞記事をチェックする
そんな居心地のいい空間も 上司の出社で一瞬に消える

『カン代理 今日は何からしますか?』
『急ぎの仕事を済ませてからだ 待ってて』

カン代理の指示無しに仕事は始まらない
ベッキは 居場所もなく給湯室へ

営業3課から オ・サンシクの叫び声が聞こえる
何やら仕事を達成したらしく キム・ドンシクと抱き合って歓喜している
チャン・グレも同様に 満面の笑顔だ
隣の2課も身を乗り出し コ課長が我が事のように喜んでいる

『これだから商社マンは辞められん!』
『息子さんたちにもらったネクタイが効いたんですよ!』
『来い!コーヒーをおごるぞ!』

おごると言っても給湯室のインスタントだ
なんだよー と不満顔のドンシクとグレ
ベッキは “契約社員”のグレが 共に喜びを分かち合っていることに焦りを覚える

すると突然 隣の休憩室から IT営業課長の怒鳴り声が聞こえる
イ課長が 押しの弱いパク代理を激烈に叱り飛ばしているのだ

あんな人のいいパク代理を… と同情するドンシク
礼儀正しい模範的な男だと オ課長も褒める
ベッキとグレは イ課長の引率で 取引先の見学をすることになっていた

一方 資源課では

チョン課長が アン・ヨンイの仕事ぶりに激怒し怒鳴りつけている
ハ代理の指示で作成した文書が間違っているというのだ
怒りの矛先はB/Lの話題になり 発覚したのはヨンイの仕業だと言い出す
『これだから女は!』と怒鳴られ 涙がこぼれそうになる
しかし泣き出せば また女だからと怒鳴られるに決まっている
出て行け!と怒鳴られたヨンイは 必死に涙を堪え会議室を出た

その悲惨な状況を ハン・ソンニュルが見ていた
ソンニュルは その足で3課へ!
ヨンイがB/Lの件で責められていると聞き オ・サンシクの表情が曇る
そこへドンシクが戻ると『先輩!』と敬礼するソンニュル

『親し気にするな 同じ塾に通ってたって 俺は全州(チョンジュ)
お前は蔚山(ウルサン)だろ 先輩でも何でもない!』

そんなことより!と仕事のボヤキを始めるドンシク
せっかく頑張ったのに また仕事を横取りされると…!

『それってタイのラーメン輸入のことですよね?
でも 3課の実績にならなくても1課と2課には得な話!
ウィルマートだって乗り気じゃないってことですもんね』

『お前… 繊維課なのに何で詳しいの?』

見かねたグレが ソンニュルをギロリと睨み もう帰れと目配せする
するとそこへウィルマートからメールが! 帰りかけたソンニュルが戻ってくる!
メールの自己紹介を見て 突然オ課長が笑い出す
何と 取引の相手は昔の同級生だというのだ
これで難航していた契約も可能だと!

同じ時 アン・ヨンイは

地下駐車場の車から 板のサンプルを運び出そうとしていた
通りかかったグレが心配するが… 大丈夫だと断るヨンイ

それでも気にかけるグレだが オ課長は無視を決め込んで振り向きもしない
手伝うことで またヨンイの立場が悪くなると…
しかし 結局ヨンイは責められる
ハ代理が せっかく通りかかったのに何故手伝ってもらわないのかと!

その時 板のサンプルが重過ぎて手が滑り ヨンイは足を負傷してしまう!
医務室へ行け!と怒鳴られたが それでも散乱した板を拾い集めるヨンイ
これだから女は!と言われ続けて意地になっていた
ハ代理もまた そんなアン・ヨンイに苛立ちしか感じなかった

一方 オ課長とグレは

ウィルマートの応接室で 懐かしい顔が現れるのを待っていた
30分以上待たされ ようやく昔の友が飛び込んで来て再会を喜び合う!
しばし大騒ぎし “ダメピョン”こと ウィルマートのピョン部長は仕事の顔になる

またしても広い会議室で待つことになるのだが オ課長は安堵していた
“ダメピョン”が交渉相手なら もう契約は成立したも同然だと
しかし… その後2人は1時間以上も待たされることになる

ようやく現れたピョン部長の表情は硬く グレには雲行きが怪しく思えた
オ課長は 昔のよしみの“ダメピョン”相手に まずは説明を聞けと…
ビジネストークではなく あくまでもフランクにタメ口を貫いた

しかしウィルマート部長ピョン・ヒョンチョルは “ダメピョン”の顔には戻らず
もう“サンシク”とは呼ばず “オ課長”と呼び敬語を使い始めた

『オ課長 あまりに簡単に考え過ぎでは?
事業内容を検討し こちらから改めて連絡します』

そこへ 部下がピョン部長を呼びに来た
これから大事な会議という時に ネクタイをしていないことに気づくピョン部長

『ピョン部長 これをお使いください』

オ・サンシクは 自分のネクタイを外し差し出した
それは 子供たちからプレゼントされたお気に入りのネクタイだ

3課に戻ったオ・サンシクの表情は険しく 無言でパソコンを見つめている
ドンシクが(どうした?)と目配せするが グレにはどうにも説明のしようがない

しばらくして ピョン・ヒョンチョルから サンシクの携帯に着信が!
さっきは忙しくて悪かった…と謝る口調は昔の“ダメピョン”だ

『久しぶりに飲まないか? 今夜なら空いてるぞ』
『お…おう! だったら場所は俺が決める』
『分かった さっきの新人も一緒にな!』

サンシクは気を取り直した
やっぱり友達だと… 奴の好物の豚足をおごってやろう!と張り切る

その夜

大人気店の豚足屋の前で ピョン・ヒョンチョルの表情が曇る
確かに豚足は好きだが…と あからさまに不満を口にした
結局2人は ヒョンチョル行きつけの高級店に連れて行かれる
普段の居酒屋に比べたら 正直に言えば居心地が悪い
しかし“ピョン部長”は あくまでも商談のための“接待”を受けに来たのだ
旧友と酒を酌み交わしたいサンシクとは そもそも趣旨が違っている
ここでサンシクは ようやく“ダメピョン”の真意を察するのだった

いよいよ商談成立のための“接待”が始まる

『そっちの新人はどこの大学を?』
『僕は…』
『こいつは高卒なんだ』
『あ なんだそうか! お前んとこは随分寛大だな 学歴を問わないとは!』

“ダメピョン”と呼んでいたくらいだから 昔はサンシクが優位だった
常にヒョンチョルを庇い守ってやった気でいた
そんな関係だったが いちばん仲が良かった奴だと思い込んでいる
今は 取引先の部長という立場になった“ダメピョン”に 商談成立のための酌をする

『よろしく頼むぞ』

サンシクは 最後までヒョンチョルに敬語を使わず友として接した
そうしてこそ 旧交を温め合い 商談もうまくいくと信じていた

『お前の仕事も大変だよな こうやっていつも酒を飲むんだろ?』
『ああ大変だ 内臓がやられるよ!』
『優秀だったからとっくに出世したかと思ってたよ 何が楽しくて商社マンに?』

グレは これ以上 オ課長に酒を注がせたくなかった
初めての接待の席だったが 積極的に前に出てピョン部長に酒を注ぎ続けた

『じゃあ くれぐれもよろしくな!』
『ああ!俺を信じて待ってろ!』

ぐでんぐでんに酔っぱらいながら ピョン部長をタクシーに乗せた
タクシーの窓から何かが投げ落とされる
それは あの日サンシクが貸したネクタイだった

翌朝 酷い二日酔いで出社したが とても仕事が出来る状態ではない

チャン・グレは エレベーターでIT営業課のパク代理と乗り合わせる
パク代理は 携帯で私用通話中
子供の習い事にお金がかかる件で 妻と揉めているようだ

鉄鋼課では

意欲的に 仕事をさせてほしいと申し出るチャン・ベッキだが
カン代理は まだ無理だと言うばかり 取り付く島もない
そこへ パク代理が 一度却下された企画書を持ってくる
再び交渉に来た割には 簡単に引き下がりさっさと帰ってしまった

IT営業課では

戻ったばかりのパク代理が イ課長から ヨンソン実業の件で急かされる
電話で済まそうとするパク代理に 直接行け!と怒鳴りつけた!

いつまでも納品しないヨンソン実業に 催促しに行くが…
のらりくらりと交わされた挙句 あっさり引き下がってしまう
そして その報告すら電話で済ませようとし イ課長の逆鱗に触れた!

営業3課では

友人が交渉相手だからと余裕で出て行ったのに あまりに雰囲気が悪過ぎる
そこへ ウィルマートから連絡が入る
周囲が固唾をのんで見守る中 電話に出るオ課長
しかし会話は続かず 相槌を打つだけで電話は切られた
その後 発狂したような雄叫びが続き オ・サンシクは抜け殻のように押し黙る
フロア中に響くキム部長の叱責が延々と続き…
やっと解放されたサンシクは 屋上で 直接ウィルマートに連絡を取る

『断った理由は?』
『理由って言われてもな ま、最初から受ける気は無かったってことだ』
『なぜここまで気を持たせたんだ? 俺に恨みでも?』

ピョン・ヒョンチョルは ここで初めて本音を語る

『確かに昔はお前が優位だったさ』
『何?』
『今はその逆ってこと! じゃ!同窓会で会おう!』

オ・サンシクは 自分のバカさ加減に笑うしかない
現状ばかりか 昔の友情さえ否定された気分だった
自分だけがそれを分かってなかったと ただ笑うしか…

職場に戻ったサンシクは 抜け殻のように動かない
ドンシクもグレも かける言葉が見つからなかった
しばらくしてドンシクが グレにメールを送る

〈営業で何がキツいかって 知り合いを相手に交渉しなきゃいけない時だ
“接待”ってのは完全に上下関係が出来てるからな 友達なら尚更さ〉

一方 IT営業課のパク代理は

友達のソンシクが 退職して大学院に進み 一流企業に再就職したと
妻との電話で 自分も…と言いかけたが 妻はすでに子供の習い事を申し込んだという
飛躍したいという思いは 妻に告げることさえ出来ず不発に終わってしまった
ソンシクによれば “家族のことなど考えず ただ一心に自分を優先した結果” だという
利己的に突き進んで その決断に責任を持てば道は拓けると…!
今の自分は確かに幸せなのに 最近なぜか帰りたくないパク代理だった

パク代理は 相変わらず電話連絡だけで取引先に催促を続けている
するとイ課長が 自分に代わり新人を取引先に引率し見学させるようにと言う

チャン・ベッキは あんな代理の引率では学べることがないとため息をつく
もうひとりの見学者チャン・グレは 通りかかったパク代理に挨拶を…
丁寧な挨拶に 自分なんかが…と恐縮するパク代理

『オ課長が パク代理から学んで来いと
“取引先にも礼儀正しい模範社員だ”と言ってました』

これに気をよくしたパク代理は 他にも何か?と言うが 言葉に詰まるグレ
オ課長が 何気なく言った言葉を誇張して 社交辞令のつもりで言っただけだった
それでも十分に気をよくしたパク代理は 取引先に向かう車中で饒舌になる
営業とは…と語りまくるパク代理に 後部座席のベッキは辟易する
実力を伴わない理想論が 目に余るとして相槌すら打たない

ある日 なかなか期日を守らない業者がいた
社長を筆頭に平身低頭で縋りつかれたが あくまでも毅然として
“すべて規則に従って処理します”と言い放った

この武勇伝を ベッキは絶対に嘘だと見抜くが グレは目を輝かせて聞いている
新人相手にホラを吹き パク代理は 本当に自分が出来る人間のような気がしてきた
これから向かうのは 例のヨンソン実業である
なかなか在庫の確保をしてもらえず 納品が滞っている取引先だ

『在庫が無いのではなく 他の企業に回しているのでは?』
『え?』
『うちが舐められている可能性は?』

ベッキの指摘に動揺するパク代理
長年信頼関係を築いている取引先に そんなことは有り得ないと否定する
しかし その答えはドアを開けずして中から聞こえて来た

『ワン社の催促は無視していい それより新規開拓に在庫を使え!
どうせワン社は何もしてこないから 引っ張り続けて放っておけ
パク代理なら 適当に言い訳しとけばどうせ引き下がるさ』

長年の信頼関係が築けていると信じていた
そうではないことが 今 新人の目の前で明らかになった

すべてを聞かれたと知ったヨンソン実業の課長は 平謝りで取り成そうとするが…
ショックを受けたパク代理は 2人を引き連れその場を後にする
何も学べないと知ったベッキは 先に帰ると言い出す
困っている代理をひとりに出来ないというグレにも呆れ さっさと帰るベッキ

チャン・グレは パク代理が車中で語ってくれたことを
今こそ見せてもらえるのだと信じ 期待を込めた目で見つめる

パク代理は 新人の前で大恥をかいた
しかし何より 自分の甘さから会社自体がバカにされたのだと反省する

会社の前では担当課長が待ち構えていた
何とか今回のことは大事にしたくない
ワン社とヨンソン実業の関係は 確かに長きに渡り安泰だったのだ
このことが上に知れれば 担当部署間の問題ではなくなる

担当課長は すぐにも在庫を確保し納品すると言うが
それが今すぐ出来るという事実が さらにパク代理を突き刺した
自分の甘さのせいで 何度催促しても納品されなかったことが確定したのだ

自分には営業マンとしての実力がない
もうこの会社を辞めよう そう決心したパク代理だったが
チャン・グレの熱い視線が ずっと自分を見ているのに気づく
社内で語った武勇伝を今こそ…!と

そんなグレの熱い視線と
友達の “利己的に突き進みその決断に責任を持て” という言葉が
諦めかけていたパク代理の背中を押した

『課長! すべて…規則に従って…処理します!

パク代理とチャン・グレは 社長室に通された
もはや担当課長が処理しきれる問題ではないと 社長自らが謝罪する
“すべて規則に従って処理します”の言葉を繰り返すパク代理

ヨンソン実業の社長と幹部らは 表向きはパク代理に謝罪しているが
事を荒立てたら…とか ワン社の幹部の名前を出し 気弱なパク代理を脅している
それもまた 十分に感じているパク代理だった 押し切れると思われているのだと

だんまりを続けるパク代理
すると今度は 社長が激高し 声を荒げて幹部を叱責し始める
自分が折れないせいで幹部たちが… とパク代理に思わせるためだ
さらには 「契約解除」や「賠償」という言葉をチラつかせてくる
社を挙げての一大事に発展させては パク代理に処理能力はない
怖気づいて引き下がらせる作戦なのだ

『それにつきましては… 本社に持ち帰り検討させていただきます!』

きっぱりと言い切るパク代理に ますます激高する社長
パク代理は腰を浮かせ何度も立ち上がろうとし 気持ちが折れそうになる

(囲碁でいう「妙手」「奇手」
これは声東撃西か 部下を叱りながら実は代理を追い詰めている)

※声東撃西:口では東を攻めると言っておきながら、実際には西を攻める

このままでは…と按じたグレが キム・ドンシクにメールし電話をかけさせた
『会社から連絡が…』というグレに視線が集中する

〈こちらで問題が起きて帰りが遅くなりそうです
社長が弊社に出向き説明するということです〉

グレの機転で ヨンソン実業の茶番は終了した
社長自らが出向く事態に IT営業課のイ課長が対応に追われた
会社対会社という構図になれば 関連部署はIT営業課だけに留まらない
ワン社は 蜂の巣をつついたような大騒ぎになった

自分の仕事そっちのけで社内中を廻り状況を把握しようとするハン・ソンニュル
すると ヨンソン実業の面々の先頭にパク代理とチャン・グレが!

物々しい雰囲気の中で会議が始まろうとしていた
するとパク代理が チャン・グレを会議に参加させてほしいと願い出る
新人が見学したに過ぎないが パク代理は グレに最後の結末まで見せたかったのだ

早々に見学を切り上げたチャン・ベッキは この事態に驚きもしなかったが
会議にグレも参加していると聞き表情を変える
ソンニュルは 通りかかったアン・ヨンイにも興奮して状況を伝える
社を挙げての重要会議に チャン・グレが参加していると!

会議室では

7回に渡って納品期日を守らなかったヨンソン実業について
まずは 担当であるパク代理の説明が求められた
同席したグレは パク代理がヨンソン実業を庇うのではないかと危惧する
(囲碁でいう「逢危須棄」
どうか無責任になって危険な駒は捨ててください!)

逢危須棄:危険な石は早めに捨てる

グレは咄嗟に “無責任になるべきです”と書いたメモを渡す
パク代理はじっとメモを見つめ 静かに説明を始めた
この説明を受け 現場に足を運んだからこそ この事態を把握することが出来たと
会議に参加した上層部は みな口を揃えた

しかし パク代理には分かっていた

『7回も納品が送れたのに私は何もしませんでした 問題を先送りにしていたのです
悪いのはヨンソン実業ではなく… この私です
私が甘く見られ 引いては会社が甘く見られる結果に…』

グレは 何で…という目でパク代理を見上げた
少しだけグレの方を見たパク代理だったが さらにヨンソン実業を庇い続ける

『君は 入社して何年になるのかな』

突然の社長の質問に戸惑うパク代理
代わりに上司が 4年ですと答えた

『ちょうど夢を見る時期だな』
『この程度でヨンソンは切らないよ 長年の付き合いだ』
『お前何様だよ』
『どう責任を取ると?』
『まあ今は 悩む時期だな』

社長をはじめ上層部は どの顔も笑顔だった
たった一度の失敗で責任を取り辞めていたら会社は続かない
辛酸舐め尽くして一人前の営業マンになる
悩んで悩んで悩み抜き 明日への糧を得ることこそ人生だ

グレは パク代理にメモを渡したことを後悔した
まだ新人の自分が 会社務めも駆け出しの自分が 偉そうに助言したのだ

(誰にだって自分だけの“囲碁”があるのに… 僕は何様?)

落ち込み過ぎて3課に戻れないグレ
通りかかったベッキが だから残っても無意味だったんだと諭す
そこへパク代理がやって来て グレに深々と頭を下げ感謝の言葉を…!
グレの後押しがあったからこそ この問題に立ち向かえたと
上司に頭を下げられ ますます恐縮するグレだった
互いに頭を下げ合うこのお粗末な2人に呆れながら
ベッキは なぜか敗北感を感じている自分に苛立つ

それにしても…
普通であれば パク代理は懲戒解雇になるのでは?と
グレは 素直な疑問をドンシクに投げかける
ヨンソン実業には何のペナルティも無しで 新たな条件で再契約も成された
そしてパク代理には「問題点と再発防止策」についての報告書を とだけだった

『これが総合商社の妙なんだ あちこちリスクだらけだから防ぎようがない
そのひとつひとつを厳密に裁いて排除してたらキリがないし
それじゃ取引先も働く者もいなくなる
とにかくいろんな問題が次々と起こるからね 要は再発防止こそが大切ということ』

そこへオ課長が 「再発防止」の報告書がなってなきゃ再発した時に処分されるという
会社からお咎め無しでも 問題を起こした本人は苦しむのだと

その時 オ課長の携帯に〈パソコンのメールを見て〉と連絡が
子供たちからの動画の声に 隣のコ課長も身を乗り出す
幼稚園で 友達と言い合いになる3男の声

〈商社マンって?〉
〈商社マンはスーパーマンさ!世界中を飛び回るんだぞ
貧しい国も豊かにするし 水の無い国に水を売る! メガトンヒーローだ〉
〈ウソつき!〉
〈何だと?お前もパパに言って売り飛ばしてやるぞ!〉

『アハハ!言い方が課長にそっくり!』
『頼もしいな 跡を継がせるか?』
『そうだ だから仕事を続けていける』

そうなんだ 誰にだって自分の“囲碁”があると グレはしみじみと感じていた

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ミセン ~未生~ 第5局

2020-10-15 15:00:00 | ミセン ~未生~ あらすじ
 ミセン ~未生~ 第5局 

営業3課に オ・サンシクの怒号が飛ぶ
怒鳴られているのは インターン社員チャン・グレ

『何で資料がバラバラなんだ! 契約書!告知書!現況報告!考えて並べろ!
これじゃ引き継いだ資源課が困るんだぞ!』

息つく暇も無い程のしごきを受けながら 必死に食らいつくグレ
同じ時 繊維課のハン・ソンニュルは… 心ここにあらずの上の空だった
現場しか知らないソンニュルにとって 事務方の職場は何とも居心地が悪い

一方 鉄鋼課のチャン・ベッキは 実力発揮の機会もなく 沈黙を強いられ
資源課のアン・ヨンイに至っては 弁当の買い出しなど雑用係に明け暮れる
仕事の基本から叩き込まれ しごかれるグレの方がまだマシと言うべきか

ある朝 エレベーターを待つグレとヨンイ
そこへオ・サンシクが現れ 続いて営業1課次長ソン・ジヨンが並ぶ
2人は同期だが ジヨンは女性ながら次長に昇進している
常に早朝出勤するソン次長を この時間に見かけることは少ない

『今日はゆっくりなんだな』
『娘を保育園に送ってきたのよ いつもは夫の役目だけど』

部下からの人気も高く また尊敬されるワーキングマザーでもある
これから グレたちインターン社員の新人研修を担当することになる

3課に着くなり 決裁書類に目を通すサンシク
質問攻めに遭い 慌てて答えようとするグレだが 何とも専門用語に苦戦する

『いちいちメモに頼るから覚えきれないんだ!』
『はい』
『書類は送り先と日時で整理!』
『はい』
『資源課への書類は!』
『昨日提出を』

どんなに怒られても ダメ出しの嵐でも
メモに頼るなと言われてもメモを取り グレは 淀みなく着実に覚えていく

資源課では

チョン課長が マ部長の決裁を仰ぎ 質問に答えながら書類を差し出す
この気難しいマ部長の決裁を取り付けないことには 仕事が前に進まない

『おい!このトルクメニスタンの書類 B/Lドラフトしかない!』
『えっ?!』
『オリジナルは? 3課から届いてないのか?』
『そんなことは…』
『ふん!オ・サンシクの野郎!』

※B/L:船荷証券発行前の草稿

マ部長は 怒りの表情だが 瞳の奥には不敵な笑みが浮かんでいる
オ・サンシクを責め立てられる口実が出来たなら この上楽しいことはない
チョン課長は その場で3課に電話するしかなかった

『オ…オ課長!トルクメニスタンの資料だが オリジナル版が抜けてるぞ!』
『何だって?オリジナル?』
『ああ 謝るのか?何?新人が?』
『おい!何言ってる!』
『今後は気をつけてもらわんと!』

一方的にまくし立て電話は切れた
後がどうなろうと チョン課長はこの場を切り抜けたかったのだ
事情は把握できないが 資源課で何かが起きたのは飲み込めた
3課の罪にして事を収めようとしているのに間違いなく 到底受け入れられない
サンシクは チョン課長の携帯にかけ すぐに来い!と怒鳴りつけた

2か月前に渡したオリジナルを 受け取っていないと言い出すチョン課長
資源課課長チョン・ヒソクは もう引っ込みがつかなくなっていたのだ

『マ部長が怖くて3課に責任転嫁を? 恥を知れ!
お前も上司の端くれなら いくらマ部長相手でも言うべきことは言え!』
『よ…よくもそんなことが言えるな! 葬式沙汰を起こしたくせに!』

いくら広くて仕切られているとはいえ ワンフロアの中である
チョン課長の怒鳴り声に すべての上司たちが席を立った

『俺を殴るのか?ああ殴れよ! それでまた葬式を出せばいい!』

案の定チョン課長は殴られ グレの席まで吹っ飛び したたかに頭を打った
営業本部長キム・ブリョンが声を荒げ オ・サンシクを厳しく叱り飛ばす
どちらに非があるにしろ 禁句の話を持ち出したのはチョン課長なのだが

何も知らないグレは 2か月前 書類を用意した自分の責任だとうなだれる
しかし書類は何度も確認し 3課代理キム・ドンシクが提出したのだ
お前の責任じゃないとなだめるドンシク
詳しく事情を話して聞かせたいが 今のグレには早過ぎる
そしてまた 口にするのもためらわれる傷ましい話題なのだ

憮然として戻ったサンシクは 引き出しの中の“退職願”をじっと見つめる

過去に インターン社員のイ・ウンジという女性が自殺した
オ・サンシクは それを知った時のチェ専務の反応を 今も苦々しく思い出す

マ部長は 3課の暴力沙汰をキム部長に掛け合う

『よく確かめもせず怒鳴るから問題が大きくなる!』
『論点がズレてるぞ 確認しただけで暴力を揮ったのはオ課長だろ!』
『とにかく謝るから!』
『お前が謝ることじゃない 本人に謝らせろ イントラに謝罪文だ!

※イントラ:イントラネット 組織内におけるプライベートネットワーク 

当然オ・サンシクが応じる筈もなく
キム部長は 間に挟まれた状況にため息をつく

事は 資源課と営業3課の対立という事態になっている
かと言って アン・ヨンイとチャン・グレが解決できる問題でもない
研修室に集まると さっそくハン・ソンニュルが口火を切る
なぜか社内の情報に詳しいソンニュルが 聞いてもいないのに説明を始めるが…
ソン次長の講義が始まり 強制終了となる

研修が終わった途端 ヨンイの携帯が鳴る
ソンニュルにも上司から着信が入り 2人とも慌てて走り出した

しかし ヨンイの行き先は 職場ではなく屋上だった
資源課代理ハ・ソンジュンが 出来過ぎるヨンイの仕事にクレームをつけたのだ
自分はそれでいいかもしれないが 会議で恥をかく上司のことは考えたかと!
ただ淡々とクールに 目の前の仕事をこなすヨンイ
あまりにレベルが違い過ぎ 周囲と歩調を合わせることが出来ない
インターンの頃にもてはやされたのとは違い ヨンイは 優秀過ぎることで浮いていた

さすがに涙がこぼれそうになり トイレに駆け込むヨンイ
するとそこでは さっき講師を務めていたソン次長が 電話の相手と口論していた
会話の様子で 相手はご主人だと察しがつく
互いに忙しい夫婦が 子供の迎えのことで言い争っているようだ

これから始まる会議は ご主人の都合で延期してもらったもの
それをまた 子供を迎えに行くために延期だとは どうしても言えるわけがないと!
結論が出ないまま電話は切られ ソン次長は ヨンイの目が赤いことに気づく
事情を聞かれたからと言って 気軽に話せる内容ではない

すると ソン次長のバッグから紙切れが落ちた
今朝 保育園の先生から渡された
娘が書いた“両親の絵”には 顔が書かれていない
その不自然な絵を 苦笑しながら大切そうに仕舞うソン次長だった

グレは ソンニュルが言いかけた話が聞きたくて仕事が手につかない
とうとう我慢できず繊維課へ!

ソンニュルによれば…

オ・サンシクが代理時代に 女性の部下が亡くなった
その部下のミスは オ・サンシクにも責任があったという
結局その部下は退職し その後に亡くなったのだと…

グレには とても信じがたい噂だった
自分には厳しいが 自らも関係しているミスを 部下に押し付けるような人ではない
やり切れない話を聞いてしまったと 屋上に向かうグレ

3課では

苦労して根回しした仕事を 化学課に横取りされそうになり
ドンシクが電話で口論している
その電話を奪い取り『くれてやる!持ってけ!』と怒鳴るサンシク!
仕事上の苛立ちもあるが キム・ドンシクは別のことに苛立っていた
誰にもぶつけようのない怒りを あろうことか張本人のサンシクにぶつけ出て行く!

グレが 屋上から下を眺めていると 興奮して出て来るドンシクが見えた
それを追いかけるように オ・サンシクも出て来る
2人が上を見上げないよう願いながら 耳を澄ませて会話を聞くグレ

『何でみんなに好き勝手言わせておくんですか!』
『間違ってないだろ?』
『無理な契約を押し通したのはチェ専務でしょ!リベートだって彼女のせいにした!
ウンジさんが亡くなったのは課長のせいじゃない!』

※リベート:賄賂

『それを主張したら何かが変わるのか?』
『……』
『あの時 俺は助けなかった …逃げたんだ』
『誰だって逃げるでしょ あの状況なら! 課長じゃなくたって…』
『戻るぞ! 引継ぎの会議だ!』

ソンニュルから聞いた“噂”とは まったくニュアンスが違う
グレは 重大な秘密を盗み聞きしてしまったことに愕然とした

オ・サンシクは 戻るぞ!と言いながら 休憩室に立ち寄った
ドンシクにも知らされていない チェ専務と自分だけが知る“真実”もあったのだ
あの時… イ・ウンジの死を知った時 サンシクはチェ専務に猛抗議したが
『じゃあお前が責任を取るか?』と言われ あっけなく尻込みした自分がいた…

資源課の女性社員スジンが 突然倒れ込み気絶した
通りかかったソン次長とヨンイが 抱きかかえて医務室へ!
彼女が妊娠していると知り 途端に男性社員たちが文句を言いだす

『またかよ! 何人産む気なんだ!』
『産休が明けたばかりだろ? で? また産休?!』
『穴埋めするこっちの身にもなれよ!』
『これだから女は!』
『夫が子供がって言い訳して! 責めたら今度は泣くんだろ?!』

この男尊女卑思考が特に強い資源課で アン・ヨンイには居場所がなかった
家庭と仕事の両立が難しいことは ソン次長がいちばんよく分かっている
同期の誰より早く次長になった今もまだ この厳しい現実と闘っているのだ

『いくら拓けた世の中と言っても 職場では 働く母親は今も罪人扱い
子供だってとばっちり 余程夫の理解がないと…
ずっと働き続けたいなら 独身の方が楽よ』

引継ぎの会議は 各部署が集まって行われる
ドンシクは オ課長に出席しない方が… と促すが素直に聞く筈もない

滞りなく終わるかに見えた会議だったが マ部長がB/Lを蒸し返し静まり返る
『もらってない』『渡した』の口論にソン次長が取り成そうとするが

『女はすぐ口を挟む!』
『ならば挟まれないように場所を選ぶべきでは?』

ソン次長が標的にならないように すかさずオ課長が言い返す
こうなっては マ部長を止められる者はこの場にはいない
オ課長だけが真正面から闘い 周りは火の粉が飛ばないように押し黙る

『謝罪文はどうした?』
『謝る必要が?』
『暴力を揮ったのに? 相変わらず無責任なんだな』

『部長こそ 昨年のセクハラを根に持ってこんなことを?』
『な…何だと?!』

論点が変わり 顔色が変わるマ部長

『胸元が大きく開いた服だったから “座る度に隠すなら最初から出しておけ”と!
見たわけでも触ったわけでもないのに! これのどこがセクハラなんだよ!』

『こうも仰いましたよね “隠すほどの胸か!”と』

応戦したのはソン次長
あくまでセクハラを認めようとしないマ部長に堪えかね さっさと退席してしまう

この会議室に 女性はアン・ヨンイだけとなった
どうなんだ!と詰め寄られ 当事者がそう感じたならセクハラだと答えた
優秀とはいえ 一介の新人が部長に…

今にも殴り掛からんばかりに激怒するマ部長
この後の惨事が目に見えるようで 呼吸さえ止めていたいほどの緊張が走る
するとオ・サンシクが やってられない!という態度で退席した
マ部長も怒鳴り散らしながら退席し 新人たちと何人かの代理が残された

『マ部長はほんとにセクハラしたんですか?』
『ああ 訴えられて3か月の減俸だったかな? オ課長が証人になったんだよ
あの人もさ 部下を見捨てて昇進したかと思えば正義の味方とか 訳分かんないよな』

代理たちも退室し 片付けは新人4人の役目だ

ソンニュルが あんなに渡したと言い張るならB/Lはどこに?と蒸し返す
2か月前といえば インターンとしてベッキが資源課にいた頃だと
グレには この話題に一切関わろうとしないベッキの態度が不自然に見えた
しかしベッキは 何も知る筈がないと言うばかり

あの時… 営業3課からB/Lを持ってくるように指示されたのはベッキだった…!

不自然だと思ったのはグレだけではない
アン・ヨンイも ベッキが知らないとは思えなかった

『それを見たとして 君ならそれを言う? 告げ口した君の扱いは?!
とにかく君は首を突っ込むな! オ課長だって庇いようがない 現実と向き合え!』

その頃 オ課長の“謝罪文”がアップされ 見た者は皆 唖然としていた
代理キム・ドンシクは もう終わった…という表情でグレに読めという

〈ごめんなさいね 小っちぇえ奴!🍎〉

謝罪文をアップして問題を収束させるどころか これでは新たな問題勃発である!
謝罪(サグァ)とリンゴ(サグァ)に引っ掛け リンゴのマークまで入っている

資源課が 総出で営業3課に乗り込んで来た!
ひとり残されたアン・ヨンイは 咄嗟に書類棚の鍵を開けB/Lを探す!
怒鳴り合う声がフロア中に響いて まだ安全だと教えてくれる
チャン・ベッキが その様子をじっと見つめていた

今にも殴り合いになりそうなマ部長とオ課長
それを止めに入ろうとしてキム・ドンシクが吹っ飛んだ!
オ課長は 大げさに騒ぎ立て ドンシクに駆け寄った
病院だ検査だ何だと大騒ぎされ 資源課は退散するしかない
嵐が過ぎ去った途端 あんなに痛がっていたドンシクは通常通り業務に戻る
グレは 何が何だか分からず呆然と突っ立っていた

資源課では

アン・ヨンイが別の資料に目を通している
『コーヒーを入れろ!』と怒号が飛び 素直に給湯室へ向かった
ハ代理は チョン課長に なぜあの時入れ忘れたと言わなかったのか と詰め寄る

(マ部長の あの上機嫌な雰囲気を壊せたか?)
(だったら会議の時に言えば こんな大問題にはならなかった)
(オ課長に一泡吹かせようと躍起になってるのに あの場で何が言える?)
(…まさか シュレッダーに?!)
(あぁーーーっ!)

オ課長は 煙草を吸ってくると言い出て行った
グレも 休憩しようとするが 休憩室では代理連中が噂話をしている
あの当時 B/Lが何かも分からない新人にやられたな というのが結論のようだ
チェ専務との確執により そんな使えない新人しか来ないのだと…
グレは さすがにいたたまれなくなり 中庭のオ課長のもとへ
オ・サンシクは 持っている煙草に火もつけず考え込んでいる

『ライターを』
『ありません』
『営業なら煙草くらい吸え! 接待するのにライターは必須だ』

それはさておき グレはどうしても確認したかった
本当は自分のミスで 本当は自分を庇って渡したと言い張っているのではと…
『仕事しろ!』の一喝で追い払われてしまうグレ
3課に戻ると 今度はドンシクにB/Lのことを聞いている
それでも諦めがつかず 資源課の前をウロウロし始めた

『あいつは一体どうなってるんだ?』
『まさか…資源課でB/Lを探したりするんじゃ…』

営業1課では ソン次長が また会議の時間を3時間後に…と部下に指示している
あからさまにため息をつく部下
ソン次長はさらに深いため息を…
見かねたサンシクが 1課に足を運ぶ

サンシクの妻も 産休を繰り返して居づらくなり退職したのだ

『夫の実家に預けてくる それから会議よ』
『男共は女性の苦労を甘く見てる どんだけ苦労して次長に?』
『俺だって… 妻が辞めなきゃ俺が辞めてた』

ようやく戻ったグレに 何か分かったか?と聞くサンシク

『はい?』
『アンに聞いたんじゃないのか?』
『いいえ』
『聞けよ!』
『いいんですか?』
『ダメに決まってるだろ!』

仕事もせずに不審な行動を繰り返すグレに『仕事をやる』というサンシク
言われるままにソン次長のもとへ行くが ソン次長は絶対にダメだと断る
プライベートに部下を利用すれば問題になると言い オ課長に内線する

〈違うんだ 今のそいつは社内で何をするか分からん 使ってくれ!〉

保育園に向かうべく 外に出ようとして ヨンイに会う
迎えの時間には余裕があったので 少し話すことに

明らかにマ部長が悪いし 昔の話を持ち出すチョン課長も酷い
オ課長が怒るのだって当たり前だというヨンイ

『オ課長は怒ってるんじゃないんだ 自分を責めてるようだ』
『どうして?』

『どうにも取り戻せない過去ってあるよ 過去に仕返しされるっていうか…
取り返しがつかなくなる失敗とか 後悔があるんだ 課長は…寂しそうだ』

保育園に迎えに行くと 大勢の子供たちが走ってくる
次長の娘 ソミがどの子か分からない
迎えに来たのがママじゃなくて 寂しそうなソミ
それに どの子もみな迎えが来たソミを羨ましく見つめている
そこで延長保育が終了する18時まで 保育士に頼んで遊ぶことに!

ひとり またひとりと迎えが来て 次第に人数が減っていく
グレと遊んで楽しそうだが ソミは 帰っていく友達を羨ましそうに見つめていた

会社では

アン・ヨンイが ソン次長を手伝い会議の準備をしていた
あることをすべきかどうか… 迷っている胸中を話すヨンイ
そうすべきだと分かっていても 居心地が悪くなりそうで迷っていると

もともと資源課は エリートの集まりで男尊女卑が根強く残る部署である
それを十分に分かっているソン次長は 問題点はそこなのか?と問う

『それをしなければ居心地がよくなるの?』
『…少なくとも“これだから女は”と言われずに済みます』
『性別で決まること?』
『え?』
『良心の問題では?』

ソン次長の言葉に心を動かされ ヨンイはグレのもとへ
そしてすべてを話し 書棚の暗証番号のメモを渡す
グレは ヨンイにソミを預け 急いで会社に戻る
しかし… いくら探しても 資源課の書棚の中にB/Lのオリジナルはなかった

そこへチョン課長が戻り グレに掴みかかる!
今すぐオ課長に突き出してると喚き ポケットから携帯を!

『あのはぐれ者め!コネ入社に命じて盗みをさせたのか!』

携帯の着信音は チョン課長のすぐ後ろで鳴り響いた
ギョッとして振り返ると そこには 書類を手に持ちオ課長が立っている!

『はい “はぐれ者”ですが何か?』
『この野郎! 先輩と思って遠慮してたがもう許さん!』

チョン課長の勢いはそこまでだった
書類がB/Lだと気づき蒼褪める

『新人の前で恥をかきたくなければ屋上だ』

焦りを隠し 出所が分からなければ証明のしようがないと居直るチョン課長
いくら虚勢を張ったところで オ課長の気迫の前に押し通すことも出来ない

『二度と“あの話”は持ち出すな!』
『は… はい』
『これはお前が見つけたと報告しろ』
『そ… それは』
『それと 謝罪文も忘れるな!』
『せ…先輩』
『真面目な謝罪文だからな!』

3課に戻ると チャン・グレが放心状態で座っていた
自分がしでかしたことの結末がどうなるのか… サンシクに気づき直立不動になる

『すみません…』
『……飲みに行くぞ』

“はぐれ者”のオ・サンシクと コネ入社のチャン・グレ
2人の飲み会は 実にぎこちなく静かに続いた
酒を注がれるたびに恐縮し 注がれるままに飲み干すグレ
サンシクは グレに注ぎながら自分は手酌で黙々と飲む

『あの…課長 暗証番号は誰から?』
『誰でもいいさ』

誰もいない夜の資源課に アン・ヨンイが戻った
そこへチャン・ベッキが現れ 2人は無言で見つめ合う

過酷な仕事を終えた者たちには 誰にも帰宅後の日常がある
娘の送り迎えで夫と口論したソン・ジヨンは 疲れる暇も無く家事に取り掛かる
次長としての顔とは違い 家庭では妻であり母である
遅れて帰宅した夫は そんなジヨンの奮闘を労い 一緒にソミの絵を見る

『私の顔が無いのよ』
『俺は寝てるだけだな』
『明日のゴルフの準備しといたわ』
『なるべく早く帰るよ』

娘を巡っての口論も 一日の終わりにはこうして歩み寄る
必死に頑張り続ける日々に 出口がないとこぼすジヨン
子供が成長するまでだと慰める夫

翌朝

今日も夫に代わり ジヨンがソミを保育園へ
仕事の電話をしながら足早に立ち去ろうとするが ふと昨日の絵を思い出し立ち止まる
振り返ると ソミが 寂しそうな心細げな表情で立ち尽くしていた
いつもそんな顔をして自分を見送っていたのかと… 思わず娘を抱き締める

初めて振り向いてくれた母親に はにかみながら『いってらっしゃい』と挨拶するソミ
『行ってきます』と返し 泣きそうになるジヨン
たったこれだけの挨拶をしただけで 娘は嬉しそうな笑顔になった

(ごめんなさいソミ もう二度とあなたを後回しにはしない)

『ソミ 今度はお母さんの絵に顔を描いてくれる?』
『うんいいよ 美人に描いてあげる』

一方 オ・サンシクは 泥酔して夜中に帰宅し 朝は完全に寝坊した
妻の小言を浴びながらも 3人の息子の頭を撫で回し慌てて玄関へ!
するとなぜかドアが開かない…!
力づくでこじ開けると… ドアの前でチャン・グレが爆睡している

『こいつ… 何で?』
『この人 あなたを送って来てくれたのよ』

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奇皇后-ふたつの愛 涙の誓い- 全51話を書き終えて

2020-10-10 15:00:05 | 奇皇后 -ふたつの愛 涙の誓い- あらすじ
2016年10月15日より第1話を書き始め 実に7年近くに渡り格闘してきた『奇皇后』
もちろん 途中何度か書かない時期もありつつではありますが
ようやく〈完〉を迎えました

 実は こうして格闘しつつ ついに挫折してしまった作品も多くあります
プライベートで様々なことが起きながら それでも書き続けられたのは
ひとえに作品の持つ力であると 本当に心から良い作品に巡り逢えたと実感しています

ここまで詳しく書かなくても… 端折って書けばもっといろんな作品を…
と思えれば ある意味楽なのでしょうが
韓国ドラマをレビューするにあたり 韓国ドラマを知らない方にも届けられたら
その一念で 小説形式を取らせていただいています

国と国との諍いを超え 国として好きかどうかも超えて
感動出来るドラマを 少しでも広く多くの方に知っていただきたいと思っています
その思いと この『奇皇后』というドラマが重なり
何処の国の人でも 共有出来る感動はあるのだと信じて
今後も 独断ではありますが 良いと思った作品を紹介していきたいと思います

長きに渡り 『奇皇后』をご愛読してくださった方々に 心より感謝いたします
ありがとうございました
                               🌸 サプリ 🌸

奇皇后-ふたつの愛 涙の誓い- 第51話(最終話) 大国の斜陽

2020-10-10 15:00:00 | 奇皇后 -ふたつの愛 涙の誓い- あらすじ
 “散る花と咲く花がいつもここにある”のブログより移行しています
1話~11話はこちらで公開しています
 
※このドラマは実在した奇皇后の物語ですが 架空の人物や事件が扱われ
史実とは異なる創作の部分があります
 
 第51話(最終話) 大国の斜陽 

皇帝タファンは 自らの体の異変に気づき始めていた
体調が悪くなって薬湯を飲む
飲むと眠くなり記憶をなくす
いつものようにコルタを呼ぶと 珍しくコルタは不在だという

同じ時

コルタは メバクの頭として奇皇后と対峙していた
奇皇后がこの場に現れたということは 正体を知られたということだ
手下に向かって『皇后を殺せ!』と叫ぶ!

一夜明け

メバクの手下らを捕獲し入城する奇皇后を 丞相タルタルが出迎えた
頭は取り逃がしてしまったが 手下を尋問すればすぐにも正体が分かると

逃げ延びたコルタは城内に戻り 侍従の顔に戻っていた
とはいえ 奇皇后が頭の正体に気づき始めているとすれば油断は出来ない

後宮では

側室たちの間で高麗(コリョ)風の衣装が流行っていた
料理さえも 高麗(コリョ)の味付けがもてはやされている
皇太后は 高麗(コリョ)の文化が根付くことに憤慨し 側室たちを罰しようとする!
なぜ文化の融合が悪いことなのか… と言い返し 皇太后にも衣装をと勧める奇皇后
これに憤慨した皇太后は 何としても新たな皇帝の擁立を急がねば!と

一方 捕えたメバクの手下から “頭は宮中に出入りしている”との情報を得る
奇皇后は これを直ちに皇帝に伝えるが その横で張本人のコルタが聞いている…!

その時 またしても頭痛に襲われ苦しみだすタファン
コルタも 皇太后同様 新たな皇帝の擁立を急がねば!と

薬湯を飲み 意識が薄れていく皇帝タファン
しかし 懸命に意識を保とうとする
何度も薄れそうになる意識の中 耳元でコルタの声がする

(まだ死んでは困ります 陛下 苦しみながらも生きていただかねば…
新たな皇帝を迎える準備が出来た時 楽に死なせてあげましょう)

目を閉じたまま 涙が溢れてくるタファン
そこへ コルタの部下が来たようだ

『お頭! 今夜皇太后が 新たな皇帝を支持する者を集め 秘密の会合を開くと』

コルタの部下が コルタを“お頭”と呼んでいた…!
この衝撃に タファンは完全に覚醒し起き上がる

その夜

皇太后が メバク側のパルラチョプ支持者を集め会合を開いた
チャン・スニョンの情報によれば すでに皇帝は危篤状態にあるという
あとは 奇皇后派の勢力を朝廷から排除すれば事が成せる
ヨム・ビョンスは “メバクの力”で 玉璽は思いのままに押せると豪語した

意識を失ったままの皇帝
トクマンが 様子を見に訪れ脈をとる
すると 意識を失っているはずの皇帝が 微かな声でトクマンを呼んだ
見張りの者に気づかれぬよう トクマンに密命を出すタファン
トクマンは 耳元で命令を聞きながら ハラハラと涙を流すのであった…!

その後 皇帝タファンの食事に毒が盛られた
コルタの部下は パク・ブルファの指示によるものだと報告する

『何を言う! そなた皇后の差し金だとでも言いたいのか!』

コルタの一喝に 部下は真実だと告げた
まさか… コルタは皇后を排除したいのか
タファンは コルタが誰を新たな皇帝にしようとしているのか見当もつかない

体調を案じ駆けつけた奇皇后を 冷たく追い返すタファン
間違いなく皇后を疑い始めた皇帝に コルタは微かにほくそ笑む

やがてトクマンにより タファンに盛られた毒は 鴆毒(ちんどく)の一種と判明
すでに喀血しているタファンは かなり重篤な状態であると…!
この毒に解毒の方法はなく もはや死を覚悟せねばならないタファン
しかしそれでも コルタに疑いを抱かせぬよう 薬湯を飲み続けるという
そして 記憶をなくさずに済む薬を処方するよう トクマンに命じていく!

『私が死んでしまう前に 皇后とアユを守る手立てを探したい
皇后に敵対する勢力を一掃したいのだ!』

その後もタファンは薬湯を飲み続け 皇后を疑う言葉を口にした
コルタの前では意識を失う振りを続け 決して悟られぬよう細心の注意を払う

『陛下は なぜこうも容易く皇后様をお疑いに?』
『それはヨム・ビョンスの手柄だ 5年間も偽の密書を送り溝を深めたのだ』

薬湯の効果を信じ 今では皇帝の枕元で堂々と悪事を語るコルタ
そしていよいよ 皇太后の前に正体をさらけ出した
さすがに衝撃を隠せない皇太后だったが これ以上の味方はないと歓喜する!

『皇帝は皇后を疑っています まもなく皇帝は崩御するでしょう
新たな皇帝を冊立するまでは 皇太后様が摂政をなさってください』
『陛下が私を指名したのか?』
『いいえ 陛下ではなく このコルタが決めました!』

コルタが率いるメバク商団は 長い年月 丞相ヨンチョルと結託していた
さらに野望を果たそうと 宮中に入り込むため 迷わず宦官になったのだ…!
ヨンチョルからペガン そして今度は皇太后と結託するつもりのコルタであった

タファンは コルタの野望を実によく理解していた
体調の悪化に伴い 皇后様を摂政にと進言するコルタ
しかしタファンは承認せず 摂政には皇太后様をと命じた
コルタの顔に 思わず笑みが浮かびそうになる
間違いなく事は順調に運んでいると 確信を得た瞬間であった

コルタの憂いを除くため 丞相タルタルと三公らを次々に罷免していくタファン
他にも 片っ端から罷免しているようでありながら 対象はすべて皇后派であった
奇皇后には口出しを禁じ 皇太后を摂政にとの詔書を読み上げさせた

いたたまれず退席する奇皇后
その非礼を叱責し引き留める皇帝
その直後 タファンは激しい頭痛に喘ぎながら寝所へ運ばれていく!

しかしタファンは 体調不良を押して執務室に戻る
そして駆けつけた皇太后を前に いよいよ“譲位”の言葉を口にするのだった!

『譲位するとして誰にすればよいか… 皇太后様に誰か心当たりは?』
『……それならば… パルラチョプではどうでしょう』

ほんの一瞬 タファンは凍りついた
又従兄弟のパルラチョプを新たな皇帝にして 皆で操るつもりなのかと…!
しかし 寛容に意見を聞き入れ すぐにも譲位の詔書を書くというタファン
そして直ちに 大明殿に臣下を招集するようにと命じていく

この事態を重く見て トクマンは すべての経緯を奇皇后に報告した
そこへ タルタルが駆けつけ 皇帝より密命が下されたと知らせる…!

ヨム・ビョンスは パルラチョプを“陛下”と呼び
即位後も 存分に引き立ててもらおうと取り入る
パルラチョプもまた すでに即位したかのように振舞い越に入る

大明殿にて

皇帝タファンは 両脇を抱えられながらようやくその玉座に座る
死の恐怖と向き合いながら キ・ヤンとアユを守るため闘っていると
すべては2人のためなのだと知り
奇皇后は その痛々しい姿に涙が溢れ出す

奇皇后とタルタル そしてトクマンの他は コルタと皇太后の一派が召集された
早く詔書を!と急かす皇太后
それに応じるように 詔書を自ら読み上げるタファン

『逆賊共よ よく聞くのだ』

タファンが読み始めたと同時に 皇太后とコルタの表情が変わる
それを 固唾を飲んで見守る奇皇后 タルタル トクマン…!

『そなたらは皇帝と皇后の暗殺を企て 謀反をせんと画策した!
その罪をこの場で厳しく断罪する!』
『陛下!これは何事ですか!!!』
『丞相タルタル!』

タファンの呼びかけに応じ “丞相”タルタルが兵士を率い現れた!

『陛下 お呼びですか』
『ここにいる謀反人共を… 皆殺しにせよ!!!』

命令に応え タルタルが真っ先に剣を揮ったのは パルラチョプであった
タルタルの『全員殺せ!』の命令に 部下たちの剣が一斉に抜かれた!
皇太后派の大臣や武将が 次々に斬り殺されていく
チャン・スニョンもまた例外ではない
皇太后の目の前で あっけなく斬り殺され息絶えた…!

すべての粛清が終わり 皇太后とコルタだけが残った
このような事態になってもまだ 自らの正当性を訴える皇太后!

『何と聞き苦しい! もうお黙りに!』

奇皇后の一喝に凍りつく皇太后
続いてタファンが コルタに なぜ裏切ったのかと問う
元々自分の主ではないので 裏切った覚えはないと言い切るコルタ

『私にはお金がすべてです お金が私の主と言っても過言ではない
人と違って お金は裏切らないですから!
馬が老いれば乗り換えるでしょう 乗り換えて何が悪いと?』

コルタは さらに悪態をつき続ける

『皇后とて同じことでしょう 皇帝だからと容易く心を与えられますか?
『黙れ!!!』
『愚かな皇帝め!!!その無知で…』

みなを言わせずして タファンは短剣でコルタを刺す!!!
それと同時に コルタの側近をタルタルが斬り捨てた!

ヨンチョルに迫害されている時代から コルタは常に寄り添い傍にいてくれた
スンニャンとの出会いから 次第に近づいていくその時も コルタは常に傍にいたのだ
そのコルタが メバクの頭だったことは あまりに惨い あまりに酷な現実であった
タファンは そんなコルタを 自らの手で成敗しなければならなかった…!
その嘆きと悲しみは すべて皇太后にぶつけられた

憤怒のあまり 喀血するタファン
すぐに駆け寄り支える奇皇后
皇太后は もはや抗う気力もなく その光景を見つめている

いくらトクマンからすべてを聞いたと話しても
皇帝タファンは 奇皇后に対し すぐ治るのだと話し平静を装い続けた

コルタが粛清され 次は皇太后の断罪であった
本来であれば死罪のところ 寺送りになることで決着したが
皇太后は これを激しく拒否し 最後まで奇皇后を“高麗(コリョ)の女”と罵る

『皇太后 立場をわきまえるのだ 情けにも限界というものがある』

奇皇后が言い終わるか終わらないかのうち 皇太后は血を吐いて倒れた
決して負けを認めようとしない皇太后は 自決の道を選んだのである

やがてヨム・ビョンスとチョチャムも捕えられた
悪事の限りを尽くした2人に 民衆から怒号が浴びせられ石が投げられる
奇皇后は 同胞を踏みにじり生き延びてきた2人の前に立つ

『他の者を踏み台にしてのし上がったのはお前も同じだろ?
たまたまお前は皇后におさまり この俺はしくじった! それだけの話だろ?』

『自分の罪が何か分かっていない!』

『俺の罪とは何だ? 罪があるとすれば… 運がなかったということだろ?
高麗(コリョ)みたいな国に生まれたことが! それが罪なんだろうよ!!!』

見物人から 容赦なく石が投げつけられる
血だらけになりながら ヨム・ビョンスは 群衆に向かって喚き散らす!

『お前らは何をした? どれだけ立派だというんだ? この愚か者めらが!!!』

怒り狂った群衆が 警備の制止を突破しヨム・ビョンスを取り囲む
結局ビョンスとチョチャムは 怒りに満ちた群衆により撲殺され命を奪われた
法に則って裁かれるより さらに残酷な形で その生涯を閉じたのであった

奇皇后は 2人の哀れな最期に涙せずにはいられなかった
高麗(コリョ)という弱小な国に生まれたがゆえ ねじ曲がったビョンスの心は
独自の信念のもとに 歪んだままの姿でその生涯を閉じる結末となった
清廉な精神を保とうとする者は やがて邪悪な輩によって命を奪われ
生きようともがき したたかに闘う者らも こうして死んでいく…
あまりに悲しい 人の世の姿であった

『もしも強大な国に生まれたら… たとえヨム・ビョンスのような者でも
幸せな家庭を築き 優しき父親として生きたのかもしれない
この者もまた 国が守れなかった哀れな民の1人と言えるでしょう

元の国へ 今も変わらず貢女(コンニョ)が送られてくる
すでに 皇室から高麗(コリョ)へは禁じてあるのに… と訝しむ奇皇后
パク・ブルファによれば 高官らが貢女(コンニョ)を妾にしているのだという

大明殿で 摂政となった奇皇后が 高官らに厳しく罪を問う

『今後このようなことがまた発覚すれば 決して見逃しはしません
“貢女(コンニョ)出身”の私が 容赦なく裁きます!
また 高麗(コリョ)を属国にしようとする考えも 二度と口にせぬよう!』

高麗(コリョ)の王位には 江陵(カンヌン)大君が擁立された

※江陵(カンヌン)大君:後の恭愍(コンミン)王
母は高麗(コリョ)人の明徳太后ホン氏 幼少時代を元の宮廷で過ごす
幼君が続く高麗(コリョ)を按じた元の支援を受け 1351年に即位
やがて元が衰退すると 親明政策を取り 高麗(コリョ)に根付く親元派を排除
その後 権勢を揮う奇皇后を討伐する

1368年 反乱軍が黄河を越え これを迎え撃つべく丞相タルタルが出陣

しかし… 奇皇后のもとに 丞相タルタルの戦士が伝えられる
もはや反乱軍を抑えることは難しく 逃げるべきだと進言するパク・ブルファ!

丞相タルタルが出陣する前 もしもの時には北へ逃げるようにと言い遺していた
広大なモンゴルの地で再起を図るようにと…

皇帝タファンは 反乱軍の動向を按じながら病床についていた
奇皇后は 丞相の死を伏せ やがて勝利も近いと話し安心させる

『陛下 また陛下と一緒に… 広大な草原を馬で駆けてみたくなりました
この元の礎である北方に 陛下と行きたいのです』

『そうだな… そなたが望む所なら… 何処へでも』
『もう…準備が整っています』
『そうか… ヤン… 耳が痒い』
『それでは私の膝に』

膝枕で耳掃除をしながら 奇皇后は 雑用係だった昔を思い出していた
あの時もこうして 耳が痒いと甘えるタファンに膝枕をしたと…

『ヤン… 愛しい… 愛しい… ヤン…』
『陛下 私も陛下を想っています 心から… お慕いしています』

止め処なく涙が溢れながらも 奇皇后は 最期まで『愛している』とは言えなかった
皇帝タファンは 心から愛するキ・ヤンの膝枕で その波乱の生涯を閉じた

まだ温もりが残るタファンの亡骸を抱き締め 共に馬を駆った頃を想う奇皇后
タファンとの間に授かった我が子 アユルシリダラが無邪気に問う

『母上は高麗(コリョ)の人ですか? それとも…元の人ですか?』
『なぜそんなことを?』

『高麗(コリョ)の民は 母上を“元の人”と言うし
元の民は 母上を“高麗(コリョ)の人”だと』

『どちらの人でもよいのだ
私はただひたすらに “民”を守るために闘ってきたのだから』

1368年

朱元璋が 大都に攻め入り征服する
北方に逃れた奇皇后は 我が子アユルシリダラを皇帝の座に就けた     〈完〉

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奇皇后-ふたつの愛 涙の誓い- 第50話 永の別れ

2020-10-08 07:45:00 | 奇皇后 -ふたつの愛 涙の誓い- あらすじ
 “散る花と咲く花がいつもここにある”のブログより移行しています
1話~11話はこちらで公開しています
 
※このドラマは実在した奇皇后の物語ですが 架空の人物や事件が扱われ
史実とは異なる創作の部分があります
 
 第50話 永の別れ 

『おのれスンニャン! お前… どうせ皇帝に殺される!
皇帝は… ワン・ユとお前の秘密を…!

言い終わらぬうちに タファンの剣がとどめを刺した
宮殿に戻っても キ・ヤンの話を聞こうとしない
そしてタファンは ワン・ユを“命の恩人”と言い感謝の意を表した
タンギセから聞いた衝撃的な事実については 一切を封印したかのように

しかし独りになると やはりあの言葉が耳から離れない
タファンはコルタに命じ 密かにソ尚宮を捜させる

『ソ尚宮とは城外で会う このことは誰にも知られてはならぬ』
『承知いたしました』

同じ時 キ・ヤンは 丞相タルタルに会っていた
タルタルは ワン・ユの生存を知っていた
…というより タルタル自身がワン・ユを逃がしたのだと知り衝撃を受ける

その夜

タファンは 城外でソ尚宮に会う
コルタとその部下を遠く離れた場所で待機させた
そしてタンギセが言った “マハの出生”は確かに事実であるとの確証を得る

ソ尚宮は 皇帝がこの事実を知ることで キ・ヤンが粛清されると信じていた
しかしタファンは この事実が明るみに出ぬよう… ソ尚宮を殺したのであった!
そして真実を知る者はもう1人 それは他ならぬワン・ユ自身
完全に真実を封印すべく ワン・ユも亡き者にせねばと誓うタファンだった

一方 メバク商団の頭から 皇太后宛に金銀財宝が贈られた
添えられた密書には 善業寺で“キ・ヤンを排除ずる策”を教える とある
善業寺で 皇太后を待っていたのはヨム・ビョンス
頭の使いとして現れたビョンスは 皇帝を消せばキ・ヤンを排除できると言う

それは謀反では?と驚くチャン・スニョン
皇太后は 嬉々として話の続きを!と急かす

タンギセが考えていた“新たな皇帝の擁立”
その遺志を 是非とも皇太后に引き継いでほしいと進言するビョンスであった
しかし今の皇帝が存命なのに どうやって新たな皇帝を? スニョンの不安は消えない
ビョンスは 今の皇帝は静かに弱っていき いずれ亡くなるだろう… とほくそ笑む

宮殿では

コルタが 自ら学び煎じたという薬湯を 皇帝に飲ませている
長年仕えているコルタを 心から信じ切っているタファンは ためらいなく飲み干す

やがて皇帝タファンより ワン・ユの高麗(コリョ)王復位の詔書が示された
大明殿で待つワン・ユのもとへ 詔書を届けたのはキ・ヤンである
マハが我が子であることを すでに知っているワン・ユ
しかし2人は 我が子マハについて語ることはなかった

『二度と罪なき民を苦しめないと約束してください
私はこの元の国に連れて来られて 初めて思い知ったのです
自国の民さえ守れぬ国が… 他国へ送った民のことなど顧みることもない国が
どれだけ無用で どれだけ不実なものであるか』

すべては自分の至らなさだと詫びるワン・ユ
しかしキ・ヤンは 国の再建は王が独りで行うものではないという

『この国にはまだ 高麗(コリョ)を属国にしようとする者が多くいます
私はこの国で その動きを止めるため闘います
どうかワン・ユ殿は 高麗(コリョ)の国を強くなさいませ!』

キ・ヤンが皇后に冊立される日 ワン・ユは高麗(コリョ)へと旅立った
互いの愛を貫くことはついに叶わず 2人の間に授かったマハもこの世を去った
それぞれの人生を生き抜く
その道を選ぶしかなかった2人だった

皇太后は 奇皇后の冊立に逆上し荒れ狂う!
それは この国の皇后という座に 高麗(コリョ)の血を引く者が就いたからか
それとも 再び手に入れようとした権力が得られなかった腹立ちなのか…

ワン・ユの旅立ちに同行するのは チョンバギとチェ・ムソン
チョンバギは 高麗(コリョ)に帰還後 親衛隊長の任に就くという
そして側近として常にワン・ユを支えてきたチェ・ムソンは大将軍に!
パン・シヌとマクセンは 引き続きメバクの頭の正体を探る任務を遂行する

キ・ヤンとワン・ユの 長きに渡る関係を知りつつ
2人の間に マハという息子が生まれていた事実も知りつつ
そのすべてを闇に葬り去り 皇帝タファンは“奇皇后”を迎えた
それは ずっと夢に見てきたことであり タファンの唯一の望みだったからである
タファンは ヤンの寝顔を見つめ心の中で語りかける

(決して私を恨んではならぬ
すべてはそなたのため そなたを守り抜くためにすることだ)

その夜 皇帝タファンは密かに挙兵する

事態を重く見た丞相タルタルは 決してワン・ユ殿を殺してはならないと諫めるが
奇皇后を生かすためには ワン・ユを亡き者にするしかないと言い切るタファン!
タルタルを説得するために事実を話すつもりはない
もちろん側近のコルタにも… その真意を告げることなくタファンは進軍する!!!

メバクの頭(コルタ)は 直ちに会合を開く
皇帝が ワン・ユを討伐すべく挙兵したことを明らかにした
頭に扮して商団の財源を奪ったワン・ユに 皇帝が仕返しを?と喜ぶビョンス
この会合に潜入するスリは シヌとマクセンに報告!
2人は慌ててワン・ユのもとへ急いだ!!!

深夜 目覚めたキ・ヤンは 宮殿のどこにもタファンがいないことに気づく
それはまだ夢の中なのか…
タファンを捜して彷徨うキ・ヤンの前に 死んだはずのマハが
そして その肩を抱くようにワン・ユの姿があった

ワン・ユはヤンを“スンニャン”と呼び マハは“母上”と呼んだ
(父上に 武術を教えていただきます!)

嬉しそうに話す我が子
そしてワン・ユが ヤンの方へ歩み寄る
もう自分がいなくても 自分の力で何でも成し遂げられると語るワン・ユ
生涯を懸け スンニャンを心から愛し抜いたことに 一片の悔いもないと…

『なぜそのような… なぜ最期の言葉のように話すのですか』

すべてを言い終わらないうちに ワン・ユとマハの姿は消えた
そこで飛び起きたキ・ヤンは 隣に眠るはずのタファンがいないことに気づく
まさにこれは現実
丞相タルタルが ワン・ユを追って皇帝の軍勢が挙兵したと告げに来た!

ワン・ユの一行は 城門までたどり着き異変に気付く
呼びかけても応答のない無人の城門
すると突然 一斉に弓部隊が現れ 後方からは皇帝の軍が包囲した!

『2人とも死ぬな これは命令だ!』

門は閉ざされたまま
もはやタファンの軍勢と戦い正面突破するしかない
チョンバギは 今生の別れを口にするや否や弓部隊に向かって突進した!
チェ・ムソンも 活路を開こうと必死に大剣を奮うが…!

多勢の前に あっけなく命を落とす2人
ワン・ユは激怒してタファンの前に立つ!

『なぜだ!』
『マハの出自を知っているぞ そなたを殺さねばヤンが生きられぬ』

その言葉で すべてを悟ったワン・ユは 頽れるように剣を捨てた
スンニャンを守るため 何の躊躇もなく殺されることを選ぶワン・ユ
タファンは その命を奪いながらも敗北感に苛まれる

駆けつけたシヌとマクセンは ワン・ユらの亡骸に取り縋って号泣した
そこへキ・ヤンも駆けつけ 冷たくなったワン・ユを抱き締め涙する

宮殿に戻り 皇帝に抗議しようとする奇皇后を 丞相タルタルが止めた
そしてワン・ユ討伐は 奇皇后を生かすためだという皇帝の言葉を伝える
奇皇后は 皇帝がマハの出自を知ったのだと察した
なぜあの場で タンギセの言葉を遮り斬り殺したのか…
ただ一途に自分を愛し 自分を守り抜くためワン・ユを殺したタファン
奇皇后は あまりに傷ましいそれぞれの運命に 涙せずにはいられなかった

一方 メバクの頭(コルタ)は 今や仮面をつけずビョンスたちの前に現れるように

皇帝に飲ませている薬湯 その毒が徐々に効き始めているという
なぜひと思いに毒殺しないのかと問うビョンス

『死なせる前に 皇帝としての威厳を存分に利用させていただく』

やがて皇帝は徐々に弱り崩御するだろう
自分は長く仕えた侍従として 最期まで信頼を持たれつつ…
そしていずれは 新しき皇帝を意のままに操ると…!

新しき皇帝を意のままに… と考えているのはコルタだけではない
皇太后もまた この愚にもつかぬ皇帝の又従兄弟パルラチョプを操ろうと考えていた

皇帝タファンは 体調不良を繰り返しながらも公務に励んでいた
そこへ いつものようにコルタが薬湯を持ってくる
薬湯を飲めば苦痛は和らいだが すぐに眠気が襲ってくる
そして目覚めた時には 断片的に記憶が無いのだった

コルタは 意識を失っている皇帝に代わり 次々と上奏に玉璽を押していく!
記憶が曖昧なタファンは ただコルタの言葉を信じるしかなかった

奇皇后は シヌに メバクの頭の仮面を用意させる
そして ワン・ユがこれを手に入れ 頭に成り済ましていた事実を知る
また 不正に得たメバクの財産を 何としても奪いたかった

それにしても なぜメバクの頭は 皇帝がワン・ユを討伐すると知っていたのか…
あの日 タファンは秘密裏に行動したはず
ハッとする奇皇后!
おそらく メバクの頭は皇帝の極々近くにいたに違いないと…!

その夜 メバクの会合が召集される
仮面をつけて現れた頭
そこへ 同じく“仮面をつけた頭”が現れた!

『こっちが偽者だ!!!』

ヨム・ビョンスに 偽者と指差された頭が仮面を外すと… その正体は奇皇后!
本物の頭が『皇后!』と叫ぶ

『皇后と呼んだか? そなた… 私のことを知っているのか?』

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