“さるかに合戦”  臼蔵 と 蜂助・栗坊 の呟き

震災や原発の情報が少なくなりつつあることを感じながら被災地東北から自分達が思っていることを発信していきます。

社会的格差拡大と貧困の連鎖

2012年10月29日 11時00分00秒 | 臼蔵の呟き

秋田県田沢湖の夕日

田沢湖方面を見た夕日

秋田県の山、紅葉風景(田沢湖側から岩手県側を見た風景)

厚生労働省の資料によれば、生活保護受給者は2012年5月時点で211万人。また、労働できる年齢で、失業により生活保護に陥る世帯の割合が2000年7.4%であったものが2010年16.2%と倍加しました。(その要因は、非正規労働の増加、大手企業のよるリストラです。)1992年を底にして、急激に、一貫して生活保護世帯数が増加しています。
貧困の連鎖は、生活保護受給世帯のうち、25.1%の世帯主が出身世帯において、生活保護を受給しているとの結果が出ています。要は、親子に世代にわたっての生活保護受給です。実に4世帯のうち、1世帯が生活保護を2世代にわたって続いています。生活保護を受けている世帯が、その貧困から抜け出すことが非常に難しいことを示しています。また、学歴が貧困率に与える影響は、高校中退を含む中卒28.2%、高卒14.7%、大卒7.7%となり、低学歴が貧困の連鎖に大きく影響を与えていることも分かっています。
経済的困窮の要因は、非正規労働者で働く人の比率は、2002年26%、2011年は、35.2%と9%も増加しています。年収200万以下の給与所得者の割合は、1998年17.4%から2010年22.9%と5%も増加しています。ニートは2010年約60万人、高校中退が約5.5万人、高校不登校5.6万人とのことです。
社会的孤立の実態は、経済的困窮と密接不可分な関係です。今後、8年で、単身世帯割合は、32.4%から37.4%へと増加すると予測されています。家族以外の人と交流のない人は、日本は15.3%でOECD20カ国中最高になっています。自殺者は年間3万人を続けています。
世帯構成の推移、見通しは、2030年には、単身世帯が、37.4%(2010年32.4%1679万世帯)、高齢者単身世帯は14.7%(2010年9.2%479万世帯で約1.5倍)、一人親と子供の世帯10.3%(2010年8.7%452万世帯)。社会的な孤立が急激に増加し、孤独死、貧困、生活保護世帯の増加と定着が予測されています。生涯未婚率は2030年には男性約30%、女性で23%になると予測しています。
ホームレス数は、2008年14707人、2012年8933人です。(厚生労働省全国調査)女性は、3%強です。そのホームレスは、高齢化、野宿期間が長期化しているとの報告です。
貸金業利用者の1人あたりの残高59万(2012年3月)、5件以上の無担保、無保証借り入れ残高がある人数は44万人です。借りられない人が、1500万人、3ヶ月以上の延滞者数(ブラックリスト数)477万人になっているとのことです。
生活保護世帯の右肩上がりの増加、自殺者数の横ばい、1人世帯の増加、社会的な孤立と増加、貧困の世代間連鎖が常態化しつつあります。生活保護者の年代別推移は、全世代で増加していますが、急激に増えているのが、20歳代、60歳代、70歳代です。
自民党政権、民主党政権がこれまでとってきた、政治経済政策は、大企業優先、大企業優遇、企業による賃金の切り下げ容認、非正規労働の拡大と野放し、逆進性のある消費税率の引き上げ、社会保障制度の改悪、負担増加でした。このような政策の結末が、皮肉にも、厚生労働省のデータでも裏付けられています。今までのような政治経済運営では、このような地獄、現実は改善できないことを示しています。現民主党政権が生活保護制度の攻撃を、一部不正受給者がいることを使って、行っています。しかし、日本社会の貧困格差、低年収の定着は確実に増加し、常態化しています。このような現実を改善するためには、正規労働の拡大、賃金の底上げ、公的教育の拡大、教育費の支援、学費の引き下げ、社会的孤立支援、改善策こそが緊急かつ、重要な政策課題であることを示しています。
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憲法9条を守り生かす「宮城のつどい2012」

2012年10月29日 06時00分00秒 | 臼蔵の呟き

秋田角館抱返渓谷の紅葉

渓谷の風景、水は青緑の澄んだ色です。

仙台国際センターに二千人を越える市民が参加して開催されました。雨が降り、大学女子駅伝で交通規制される中で開催されました。大江健三郎さんが、「本質的なモラルということ」をテーマに講演を行いました。その中で作家が、これがと思う作品を出さなければならない。その中で「次の世代が生きてゆくことができる社会を残すこと」が根本的なモラルだといっている。
日本国憲法を守ること。原子力発電所を無くすこと。これらが、「次の世代が生きてゆくことができる社会を残すこと」になる。そのことが通じることになると訴えました。日本国憲法を、自民党の右翼的勢力、石原慎太郎(前)都知事が攻撃している。しかし、日本国憲法が制定される過程で、この憲法が必要とされて、歓迎されて出来上がってきたのである。広島、長崎に原子爆弾が投下され、大都市はほとんど焦土となり、完全に日本は戦争に負けた。その中で、敗戦後に日本人が希望を持てたのはなぜか?
それは、日本国憲法が、平和を求め、戦争を放棄することをうたったからではないか。日本国憲法が新しい日本、日本人像をうたったことに日本人は希望を見出したのではないか。私たち子供も、大人も希望を持てたことは事実である。日本軍によって侵略された国々も、日本国憲法を認めてくれた。この憲法を無くすことが良いかどうか考えて見なければならない。
石原慎太郎氏が憲法を改悪したいといっている。その理由は、アメリカ(進駐軍)に押し付けられた憲法だからと言っている。その(現)アメリカが日本国憲法を一番変えたいと言っているのではないか。アメリカ政権は日本が戦争の出来る国になってほしいと要求しているのだ。このような皮肉を彼はどう考えているのか。
日本国憲法は、今日のような憲法改悪の動きが起きることを想定していたのではないか。日本国憲法は、改正(改悪)をしたいという人々が出てきても簡単に改正されにくい憲法としたのだと思う。このような憲法を硬質な憲法という。硬質な憲法というとき、フランス憲法(人権宣言が憲法の前条項に生かされている)、アメリカ憲法(全州の賛成がなければ憲法改正が出来ない)、ドイツ憲法(人間の自由、倫理観の大切さ)などもそれぞれ特徴を持っている。
最後に、「星の王子さま」(サン=テグジュペリ作)の一説を引用して以下のように結びました。「大切なもの(かんじんなこと)は、目に見えない」「大切なこと(かんじんなこと)は、心で見るものだ」。星の王子さまは、「人間っていうものは、この大切なことを忘れているんだよ。――――」
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