広いグラウンド。たくさんの子供達の声。
まぶしい太陽の光に、眼を細めながら、友達と遊ぶ午後。
ひんやりとした校舎。先生のやさしい声。。。
穏やかな授業。ときに悲しかったり、せつなかったりする自分だけの特別な思い出。
「母校」という言葉を聞くだけで、何かしらの記憶がよみがえる。
みな、それぞれではあるけれど、学校には特別な想いがある。
「いい」とか「わるい」とか、簡単には判断できない。
大人へと成長する中で、とても大切にしてきたそれぞれの時間。
だから、校舎がなくなるということは、とても悲しいことであり、
まるで、自分の思い出が消えて行くようなものかもしれない。。。
宮廻先生の「道の空」という作品で描かれている、薮田小学校の校舎は今はない。
廃校になる前に、宮廻先生が取材をし描いたものだ。
古く奥ゆかしい校舎の形と色、空の対比。
真ん中には校舎の屋根をはるかに超える一本の木。
誰しもが、「ああいいな」と、「のびのびと過ごせそうな校舎だな」と思える、
あたたかい学校の風景が描かれています。
それだけでも、絵の魅力としてはすばらしいものですが、
今日来られた卒業生のお客様には、もっと特別にみえたそうです。
取り壊されて、数十年もの時を越えて改めて「絵」としてみた校舎に、
たくさんのことを思い出したそうです。
絵に描かれている一本の象徴的な木は、
子どもたちには「すずかけの木」とよばれていたそうです。
木には、虫など、たくさんの生き物達も集まってきていて、
子どもたちには、特別な存在であったそうです。
お話を聞けたのは、わずかな時間でありましたが、
「すずかけの木」という名前をきけただけでも充分な気がしてきます。
なぜなら、私にも「すずかけの木」と呼べるものがあるから。。。
多くを聞かずとも、どんな風に感じるかはよくわかります。
どうでしょうか。みなさんにも、ありますか?
「すずかけの木」
ぜひ、「道の空」の作品を見る際は、
思い起こして頂けたらと思います。
黒部市宇奈月国際会館・セレネ美術館
富山県黒部市宇奈月温泉6-3
TEL0765-62-2000 セレネHP