かつて、宇奈月町愛本に架かっていた「愛本刎橋」(寛文2年~明治24年)。
宮廻画伯はふとした縁から、この美しく複雑な構造を見せる刎橋の存在を知り、
興味を持たれて当時の貴重な文献や写真をもとに、かつての刎橋の姿を
画面上に再現されました。
何度も現地に足を運び、辺りの風景はもちろん当時の植生などを調査されて
綿密に綿密に描かれました。
この愛本刎橋の絵には「三希月廻」という題が付けられています。
どんな理由があるのかな?とちょっと不思議に思ってました。
今回、「宮廻正明展」を開催するにあたっての資料にそのワケ見つけました。
ご紹介したいと思います。
「三希というのは三大奇矯ということです。
(愛本刎橋、山梨県の猿橋、山口県の錦帯橋)
そこに月が出る訳ですが、それは月が三つの橋を回るんじゃないかと
思っての命名です。
人は三つの橋に飛んで行けないけど、お月様は三つの橋を見て回れる訳で
一晩で三つの橋の見回りをしてるんじゃないか、というイメージもあって、
三つの珍しい橋、橋というものはもともと行けなかった所を結ぶという、
行けなかった人を結ぶという、行き来出来るということで、結ぶということには
希望がある。希という文字には、稀なということと希望ということが
掛けてあります。」
詩人でもある宮廻画伯の目線、幻想的で素敵です。
遠い昔、お月様は離れた三つの美しい橋の見回りをしていたんでしょうね。
黒部市宇奈月国際会館・セレネ美術館
富山県黒部市宇奈月温泉6-3
TEL0765-62-2000 セレネHP