本日は武者絵をご紹介。
八嶋壇浦海底之図 歌川芳艶 安政5年1858年
やしまだんのうらかいていのず うたがわよしつや
安政5年は日米修好通商条約が結ばれた年です。
芳艶は、以前紹介した奇想の絵師、国芳の弟子。
師匠に負けず劣らぬ大迫力の武者絵で人気を博しました。
さて、画面中央に大きく描かれるのは、平知盛(たいらのとももり)。
平清盛の四男で、清盛亡き後、平家の総大将として活躍した知将としてしられる人物。
壇ノ浦で平家が敗れたとき、「見るべきほどの事をば見つ。今はただ自害せん」といい残し、
いさぎよく碇(いかり)を抱いて海に没したといいます。
画中の知盛は大きな碇を抱き、顔の半分が変色している(・・・というべきか、
足元のカニ(もしかして平家蟹?)から立ち上る白い霊気のようなものが顔の半分をおおい、
その屈折率の違いから顔色が違うのかも?)、さらに幾本もの矢が背中にささったままで、
やや薄気味悪い印象。
左には、美麗な衣装をまとった(矢がささってますが)「能登小二郎景盛」なる人物が大見得を切っている。
(調べてみましたがどんな人物かわかりませんでした。こんなに大きく描かれているから
なにかエピソードがあるはずなのですが・・・)
そして画面右には、安徳天皇を肩に乗せた二位尼(にいのあま)が端然と座しており、
その周りに青白い顔の武将たちが控えている・・・。
場面はもちろん海中で、左から右方向に強い流れが描かれています。
同じく左から右に竜の尾から胴体が描かれ、その頭は二位尼の足元に。
純粋な感想を言えば、はっきりいって悪の秘密基地みたい。
解説によれば、潔い最期を遂げた知盛は庶民の人気者だったそうですが・・・
まあ、そこが芳艶というところでしょうか。
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幕末明治の浮世絵・探訪展
~幕末の歴史絵から明治の開化絵まで~
期 間 平成26年 3月1日(土)~3月30日(日)
時 間 9時~17時30分(入館は17時まで)
休館日 毎週火曜日と、3月14日(金)~18日(火)の5日間
入館料 一般800円 高校・大学生700円 中学生以下無料
会 場 黒部市宇奈月国際会館・セレネ美術館 3階展示ホール
富山県黒部市宇奈月温泉6-3 TEL 0765-62-2000