繁浩太郎の自動車と世の中ブログ(新)

モータージャーナリストとブランドコンサルタントの両方の眼で、自動車と社会をしっかりと見ていきます。

ホンダの新組織

2020-06-22 19:26:15 | 日記

5月の日刊自動車新聞に寄稿したものを転載します。

 

ホンダ四輪開発部門の大きな組織変更

最近ホンダから「事業運営体制の変更について」というニュースリリースが発行された。今までホンダは魅力ある商品と技術の開発を目的に、開発部門は㈱本田技術研究所という形で本田技研工業㈱とは別会社になっていた。

四輪事業において、このユニークな組織で過去に数々の時代をリードする新技術や魅力商品を開発しブランドを築いてきたが、今回その開発部門を本田技研工業㈱に統合するというものだ(先進技術、デザイン部門等はそのまま)。長年のユニークな組織を変更する背景を考えてみたい。

  • 開発部門独立のいきさつ

ホンダは本田宗一郎という天才技術屋と藤沢武夫というこちらも天才経営者の二人三脚で、戦後の二輪メーカー乱立の中を生き延び、さらにスーパーカブをアメリカでも成功させ大企業の仲間入りをした。

そんな中、藤沢武夫は4輪参入を含め会社を持続的発展させるにはどうすれば良いか考え抜いたと聞いている。

・「新商品、新技術を創造するということは、試行錯誤する場が必要だ。」

・「試行錯誤が必要な創造性仕事と生産効率追求や利潤追求するような仕事とは、本質的に相まみえない。」

・「創造性仕事は上下関係に気を使っていてはできない。」

・「業務効率やお金の仕事をしている側から見ると、創造性仕事は仕事に見えない。」

このようなことを様々考えて、ユニークな文鎮組織の技術研究所独立にいきついたようだ。

文鎮組織とは、文鎮のように、指でつまむトコを社長と考え、あとは皆横一列という意味だ。その社長の本田宗一郎でさえ「社長なんて偉くも何ともない。課長、部長、包丁、盲腸と同じだ。・・・記号に過ぎない。」と言っている。

  • 開発部門独立の成果

80年代に発売された“ホンダ・エレクトロ・ジャイロケータ”は現在のナビゲーションシステムの元祖と言えるが、この他にもCVCCなど世界に誇れる技術を数多く創れたのは、研究所独立の成果だと考えられる。

また、ハード開発だけでなく員のチャレンジ精神も養われた。

例えば、開発者の「これが完成したらユーザーは喜ぶぞ」というような「夢」に向かう姿を大切にすることで、「チャレンジ」していく体質ができたと思う。

その成果は、60年代の黎明期から80年代以降に花咲く形で現れた。シビック、アコード、シティ、プレリュード、トゥデイ、さらにオデッセイ、ステップワゴンなど、時代をリーディングする4輪商品が生まれた。

これらは、開発者の「夢」から機種開発時の「ワイガヤ」で事の本質まで議論し商品コンセプトを造り、あとは試作車をひたすら三現主義で造り上げ完成したものだ。

これらは、開発部門が本社の中にあっては決して出来なかったと思う。

  • その後の世の中の変化

バブル崩壊の90年頃から世の中は大きく変わり、ユーザーにとってクルマは段々と白物化していった。

そうなると、新技術満載の商品開発は不要となり、一方でコスト競争は激しくなり、開発業務には「効率」の考え方が大切になった。

この頃、ホンダは「TQM」という「効率で切る管理」を導入している。ただ、今までのいわゆる「自由闊達技術研究所」の慣性力もあり、当初完璧に導入されたとは言えなかった。

というのも、魅力商品を生み出すための自由闊達な研究所の成り立ちと「効率で切る管理」が相まみえない中、「結局どうしていくのか」という新しい研究所の方向性が所員には理解しにくかったのだ。

また、本社からは「研究所に商品創りの全てを任せておくと良い商品は出来るがコストが破綻する」となり研究所への干渉が強くなっていった。それは人事にまで及び、独立しているはずの研究所の役員が本社の役員を目指すようになり、商品開発から人事まで段々と研究所独立の意味が薄れていった。

  • ホンダブランド

ホンダ四輪ブランドは、北米と日本では随分と異なる。北米には当初から、国内とほぼ同じデザインやハードのクルマだったにも関わらず、まぎれもなく「信頼」のブランドで、日本では「先進・ワクワク」を期待されるブランドとなった。

これは、北米市場で2輪・4輪・汎用、ハード・ソフト共に「品質信頼性」を大切にした事が大きいと思う。大きな大陸での故障は命取りだ。北米のユーザーはいきさつなど関係なく「良いものは良い」と受け入れてくる。

国内では、ホンダの4輪は後発だったが、自分達の独創性を大切にした商品で日本市場を超えてデザイン・ハード共に世界的視野に立ったものだった。つまり、先輩メーカーの、日本を知り尽くしたデザインやハードとは異なっていた。そこが、何かしら「先進・ワクワク」感のある商品として日本人に受け入れられたのではないかと思う。

10年ほど前になるが、私はホンダの本格的軽自動車参入の企画を四輪事業本部で担当した。そのNシリーズの商品企画は、他社の軽自動車らしいデザインやハードを備えたものでなく、一つのクルマとして捉えたものだった。

事業的に考えると量販がマストなので、一般的には軽自動車ユーザーの価値観などを調べ、それに合わせた商品にしていくことになる。

形は丸く優しく、燃費は良く、コストを抑え、車名は愛称で、CMはキャラクターを設定し・・・。

Nシリーズは、結果的にこれらと真反対になった。

ホンダらしく一般常識にとらわれず、ユーザー価値観と車造りの本質までワイガヤで追求した結果だ。

  • 今後のホンダ

今は新車が発売されても昔のように話題にならない。ユーザー調査してもクルマに対する関心はあまりなく、そもそも「空でも飛ばない限り」魅力的な商品なんて今の時代にないということかもしれない。

今回の組織変更は、そういうユーザーや世の中の変化、さらに変化している本社と研究所の実質的な関係を肯定した中で行われたと思える。

しかし、魅力的な商品を生み出し続ける「仕組み」は必要だ。それは言うまでもなく、単に売れる商品企画でなく、ホンダブランドを大切にした商品企画が出来る「仕組み」だ。

「本田技術研究所」という「仕組み」に代わる「仕組み」だ。

その「仕組み」は外に公表されていない。

白物化した家電でも、ルンバのような魅力的な商品はまだまだ生まれている。

新技術開発はいつまでもどこまで必要なのだ。

今回、ホンダの新しい組織に組み込まれているはずの魅力的な商品を生むユニークな「仕組み」とそこから生まれる商品に期待したい。

 

 


「コロナ後の自動車産業」

2020-06-22 18:22:15 | 日記

この記事は、4月と5月に日刊自動車新聞に掲載されたものです。

 

〈車笛〉連載「コロナ後の自動車産業」〈上〉繁 浩太郎 

 

「コロナ後」には移動の概念が大きく変わることで、軽が一層注目されることになるかもしれない

 世界は新型コロナウイルスのニュースであふれている。この原稿を書いている4月中旬の時点で、まだまだ出口は見えていない。不安でしょうがないが、極度に悲観的になって体調まで崩しては元も子もない。コロナが収束する日は必ず来ると考えよう。今回は「コロナ後の自動車産業」を私なりに考えてみたい。

 現在、自動車産業は新型コロナウイルスの影響で生産が滞るのと同時に、ユーザーの購入意欲も落ち込み、厳しい局面を迎えている。日本自動車工業会の会長を務める豊田章男・トヨタ自動車社長は、3月19日に開いた定例会見で「こんなにも、世の中がガラッと変わることがあるのか」と現状を表現した。

 現実的に、知り合いの自動車販売店に聞いてみても、新車販売は半分以下に激減しており、さらにもともと自動車販売店の収入源の柱である車検などのサービス領域も落ち込んでいるそうだ。今年の後半戦に希望を持って今は頑張っていると話していた。持久戦のような形になっているので、長引くと息切れする自動車販売店も出てくるかもしれない。本当に、ガラッと自動車産業をとりまく状況は変わった。

 「コロナ後」と言っても、災害などのショックがあって復興するのでなく、相手はウイルスなので完璧にはこの世から無くならず、また感染力も強そうなので、気を許すとまたすぐ感染が広まる可能性はありそうだ。つまり、スイッチが切り替わるように「コロナ後」が明確にならないのではないかと思われる。

 となると、感染を防止する生活が当たり前の生活になってしまう。つまり、人との接触はなるべく避けて、マスク生活ということだ。例えば飲み会や外食、ライブ、満員電車など人の集まる閉鎖空間は避けるようになり、人々の生活や価値観は以前と大きく変わるだろう。また将来不安が続くので消費もすぐには戻らないだろう。治療薬・ワクチンが開発されれば状況は変わるかもしれないが。

 クルマの販売は「コロナ後」に今までにない不況が予想されていることから、急回復とはならないかもしれない。コロナ前までの世界の自動車販売台数は、中国市場の成長が大きいこともあり右肩上がりだった。クルマの需要は公共交通機関が少ない地域・国では、まだまだ衰えないということだ。しかし、需要があってもコロナ不況で人々の収入が減れば、購入することは難しいだろう。

 さて、日本の自動車市場だが、バブル崩壊までは、「クルマが必要でない人も多く買っていた」こともあり、国内自動車販売台数は1990年のバブル時のピークで777万台あった。それが2019年で約520万台となっている。約35%減だ。

 バブル崩壊後は、経済的な厳しさと先を見通せない不安とで、クルマが「必要でない人」はだんだんと買わなくなったと考えられる。カッコいいとか見栄をはれるとか、そういう自動車の機能以外のいわゆる「付加価値」を認めて購入する人が減っているということだ。

 今回の「コロナ後」には、それが日本だけでなく世界で起こるだろう。もともと欧米先進国では、「必要だから買う」方が多かったが、それがさらに加速すると思われる。つまり、購入するとしてもより安いクルマ、あるいは今のクルマを壊れるまでできるだけ乗るということだ。世界の町に古い車があふれそうだ。

 クルマが今まで以上に売れなくなるということは、各カーメーカーの生産設備はさらに余剰となり、商品開発から物流、販売まで影響が及ぶ。CASE以前に、各カーメーカーはその生き様(体質)を大きく変革させる必要に迫られてくる。それは、大幅な業務効率アップ(経費削減)の改革だ。

 「コロナ後」でも感染対策を続けなければならなくなると考えると、移動を必要としないテレワークがキーとなるだろう。テレワークにはコミュニケーションをする上で、さまざまな課題があるとしても、改善しながら進めていくことになるだろう。

 テレワークが当たり前になると、〝ニアショア〟あるいはサテライトオフィスを検討する企業が増え、距離・移動などという概念は大きく変化するだろう。つまり、職住近接のような考え方はナンセンスなものになるのだ。また、移動が少なくなるということは、JRなどの公共交通機関の利用者が減ることになり、これはこれで世の中が大きく変わる。一方「地方創生」は進むだろう。

 今までなかなか進まなかったものが、コロナをきっかけに進むとなると、皮肉というか世の中ってそういうものというか。

 「コロナ後」は極少ない「富裕層」「クルマ好き層」と本当に「必要な人」以外は中々クルマを買わなくなるだろう。つまり「クルマが必要」という訳でなく、バブルの頃のようにクルマというモノが欲しいというエモーショナルな価値観の人達がクルマを買うことは少なくなるということだ。

 となると、「富裕層」「クルマ好き層」は全体からすると少なく量産メーカーのターゲットにならないので、「必要な人」がターゲットとなり、そのキーはロジカルな価値観で「安い購入価格・維持費(ダウンサイジング)」「高い耐久品質」となると考えられる。

 それは、日本では「軽自動車」カテゴリーということになるだろう。

 普通車や小型車に乗っていたユーザーからすると、軽自動車は馬力を稼ぐためにエンジンは高回転になりウルサイし、衝突性能は不安で乗り心地も軽い、黄色ナンバーはあまりにも差別的だ。現行の軽自動車では乗り替えるハードルは高いと思われる。

 逆に、地方の高齢者の足と考えると、1人乗り+買い物に持つ程度でよく、当然、高速性能も要らないので、今のサイズは大きく品質や性能は過剰だ。

 しかし、日本の道路や駐車場等のインフラが狭いこと、信号が多くゴーストップが多いことなどを考えると軽自動車のサイズと性能はぴったりだ。

 カーメーカー側からみると軽自動車はグローバルに販売出来ず、日本でしか償却できない。せめて排気量が1㍑になれば、インドなどの大市場と共用化できる。

 また政府からみると軽自動車からの税収入は少ないのに販売比率は上がっていて、何とか税収を上げたい。軽自動車比率が上がった後の2016年、「安すぎる」という批判もあったらしいが軽自動車税は7200円から1万800円に引き上げられている。軽自動車がさらに増えるということは、ユーザー、メーカー、政府に、さまざまなストレスが出てくる。

 これらを解決して、コロナ後の自動車販売の落ち込みを最小限にする方策を考えたいと思う。

 

 

〈車笛〉連載「コロナ後の自動車産業」〈下〉繁 浩太郎 

 

-1 自動車の税制と販売台数イメージ

 

 

 上の図から分かるように、現状は軽に偏ったマーケット構造になっており、今回の提案で、洋梨形の自然なマーケットの形を狙う。  コロナ以前からの、市場の二極化や高齢化社会化などで小さなクルマが増えるトレンドを捉え、またコロナ後の大きな販売ダウンを避ける意味で、行き過ぎた軽恩典でガラパゴス化した軽自動車領域改革と世界的に多く販売されている1㍑以下のAカテゴリーを持ち上げることを考えた。  これにより、ユーザー、自動車産業、国と3者のハッピーが期待できる。

 

 

-2 提案サイズと排気量

 

 新型コロナウイルスによる世界的な経済打撃は大きく、その回復には時間がかかると言われている。自動車産業は国の基幹産業で、その回復がないと日本経済全体に及ぼす影響は大きい。そこで、コロナ後に自動車販売が活気づく施策を提案したい。政府もカーメーカーもユーザーも3者がハッピーになる施策提案だ。

 経済が厳しい方向に変化した中でクルマを販売していくには、ユーザーの価値観変化を捉えて商品や販売方法も変化していく必要があることは言うまでもない。不況下での多くのユーザーの価値観は、安価で維持費も安く、過剰な装備や性能は不要ということになるだろう。当然、ダウンサイジングの流れも起こりうる。

 つまり、ユーザーが「これがいい」と感じる「魅力商品」でなく、「これならいい」という「納得商品」方向で、より機能的な「ミニマル、シンプル」「必要にして十分」で「安価」と感じられるような商品だ。

 そうなると、施策の主役は軽自動車ということになる。現在の軽自動車よりも、もっと社会やユーザー、自動車産業を見直した形で提案したい。 全体の自動車販売台数が減少している中で軽自動車の販売比率は高く推移しているので、当然、政府の税収は減っているはずだ。しかし、地方で公共交通機関の少ない地域の人々や高齢者などの足となっている現状を考えると軽自動車の税制恩典は簡単にやめるわけにはいかない。また、メーカーにとっても恩典の廃止は即販売台数減に直結し、コストアップ→売価アップ→そして台数減という悪循環でカーメーカーだけでなくユーザーも困ることになる。

 「恩典享受型」ユーザー

 軽自動車の1万800円という税金は小型車の半額以下で恩典と言えるものだが、それは多くのダウンサイザーや一般のユーザーにとっては「有難過ぎる恩典」と言えるかもしれない。その証拠に、自動車販売における軽自動車比率は4割に迫っている。「有難過ぎる恩典」は自由競争でなくなり、自動車マーケットに歪をもたらす。

 事実、背(車高)を高くし室内を広く取った「軽のミニバン」が誕生し、その価格は小型車を超える200万円以上のものも少なくない。

 「恩典必要型」ユーザーA

 公共交通機関の不便な地域で暮らしていて、買い物や通勤など生活の足代わりとして一家で数台のクルマを維持するようなユーザーにとっては、恩典の意味はある。これらのユーザーの使い方では、長距離移動や高速道路を走るよりも「ちょい乗り」が多い。つまり、安い維持費で街乗りに特化したクルマで事足りる。このユーザーにとって軽自動車の機能性能は過剰ではないか。

 「恩典必要型」ユーザーB

 さらに、公共交通機関がない山村などで、歩くのが辛い高齢者などのユーザーにとっては、ほんの数キロ雨風をしのげて移動できる機能があればいいのだが、現状は機能・性能が過剰な軽自動車を買わざるを得ない。電動カートのようなモノでも良さそうだが、大量生産出来ないためコストが高く、また安全性に注意が必要だ。小型電気自動車はさらに高価になり、充電も意外と面倒だ。償却しきった軽自動車をうまく使うほうが車両価格は抑えられそうだし、高齢者にとっては何といっても慣れ親しんだクルマに限る。

 日本の道路や駐車場は狭く、街中は信号だらけ(ゴーストップが多い)、高速道路でも一部を除き最高速度は100㌔㍍/時で、こういう交通インフラに軽自動車は合っていると言える。また、使い勝手が良く恩典のある軽自動車と「フィット」クラスの間のクルマは成立しにくい。(事実、660cc~1㍑のクルマはほとんど無い)

 世界的には、この軽とフィットクラスの間の商品は「Aカテゴリー」として大きなボリュームとなっている。日本でも「Aカテゴリー」の販売が増えれば、カーメーカーの投資効率は良くなるだろう。

 以上のような現状認識を基に、最後にユーザー、メーカー、国(税徴収)の3者が全てハッピーになる改革案を提案したい。

 「恩典必要型」ユーザーBにとっては、旧規格程度の小さな軽自動車でもよく、車両を小さくすれば運転はしやすくなり、軽くもなり、燃費も良くなる。ユーザーにとって過剰な機能性能も省けばいい。結果、価格も今の軽自動車より安くなるだろう。税金は9千円程度で良いのではないか。これを軽自動車Bカテゴリーとする。

 「恩典必要型」ユーザーAには、現状の軽自動車を残すとしても、現状の行き過ぎた恩典を考え、税金は少し上げ現状1万800円を1万2500円としたい。これを軽自動車Aカテゴリーとする。

 このA/Bカテゴリーは、カーメーカーの負担を軽減するために、現状の軽自動車の生産設備や設計仕様をできるだけ使えるようにする。また、いわゆるAカテ車の税金を下げ販売量を増やす(1㍑以下は2万5千円を2万円程度)。ターゲットユーザーは、先の「恩典享受型」ユーザーだ。

 これにより、国の税収は軽自動車のほぼ倍の2万円のユーザーが増えることと、軽自動車の数は減るが1万2500円で、9千円のユーザーBは少ないので、全体として増収が見込めるはずだ(政府のハッピー)。

 カーメーカーにとっては、軽自動車の販売台数は落ちるが、その分、グローバルに対応できるAカテゴリーのクルマを国内販売できるメリットが大きい(カーメーカーのハッピー)。

 まとめると、

 ①1㍑以下の税金を2万円程度とし、グローバルAカテゴリー(スモールカー)のイメージで販売増を図る。

 ②660cc以下の現行軽自動車イメージで、税金を1万800円から、1万2500円程度に上げ、行き過ぎた恩典を平準化。軽自動車Aカテゴリー

 ③軽サイズを旧規格程度に小さくし、税金は9千円程度とし、「恩典必要型」のユーザーを擁護する。軽自動車Bカテゴリー

 これにより、もともとの恩典が必要なユーザーを守りながら、経済打撃からくるダウンサイザーなどを受け入れ、総販売台数は増え、税収増、メーカーの台数増(共用化)という3者ハッピー(三方良し)で、コロナ後に自動車販売が活気づく提案だ。