今日のブログは 再び軍用艦艇のお話し・・・・
いつものように防衛省 総合幕僚監部の報道資料をチェックしていたら 衝撃的な記事が載っていました。 ロシア軍艦艇 対馬海峡沖を南下・・・!」。 この記事自体は 平時において「いつもの事」のように見てしまいましたが 記事の内容を見てビックリ・・・! なんと今回確認の艦艇は キーロフ級 原子力巡洋戦艦1隻とスラバ級 ミサイル巡洋艦1隻とのこと・・・・。 「キーロフ級が稼働状態にある!」というのが非常に衝撃的な出来事でした。
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キーロフ級といえば 第二次世界大戦後において 航空母艦以外では最大級の軍用艦艇であり その概要は 満載排水量24300トン、全長252メートル・・・・乗組員数 約720余名・・・・。 ニキータ・フルシチョフの戦略であった仮想敵国 米海軍機動部隊に対する 対艦ミサイルによる飽和攻撃戦術を具現化するための最終形ともいえる その艦形は 時代を超越したかのような見事なものでした・・・・。今では当たり前となったVLS(ミサイル垂直発射装置)を採用、甲板上には大砲のような武装類は無く、一見脆弱に見える艦影でしたが それが功を奏し、索敵レーダー波の反射面積が小さくなった事による低ステルス性(当時はこんな言葉は一般化されていなかった・・・1番艦キーロフがデンマーク海峡を通過する際、NATO軍のレーダーには「2,000t程度の小型フリゲート」にしか写らなかった、という逸話があるほど・・・)や、米国のイージスシステムを先取りした同時多目的防御が可能な艦隊防空システム「フォールト」の採用、さらには大戦後の軍艦としては珍しい 重要部分(バイタル・パート)への耐弾用装甲の採用等々、技術的にも非常に特徴がある艦艇なのです・・・。
登場したのは1970年代末期・・・その後、冷戦の終結やソビエト連邦崩壊などの苦境により竣工した4隻は苦難の時代を迎える事になりました。さらには破綻した国内経済は キーロフのような大型軍用艦艇の運用を賄える訳は無く、外洋航海はおろか 軍港に長期係留されたまま廃棄されるのを待っている・・・といった悲惨な姿を晒していました。 まさにこの時代、航空巡洋艦キエフ級や対潜巡洋艦モスクワなど、軍用大型艦は次々と廃棄されていましたから キーロフ級も いずれこれらに従うものだろう・・・・と 当時の軍事評論家は誰もが感じていた事でしょう・・・。しかし、国家の威信ともいうべく本級を退役させるには あまりにも惜しい・・・という事からでしょうか、キーロフ級の退役・廃棄決定は先送りされていくのです・・・。 そして2000年代に突入し、ロシア経済が復興してくると プーチン政権の掲げる「強国 ロシア」の影響からか 本級の整備も再開され 外洋航海可能なまでになっていくのです・・・・。こうした事は 過日に書いた戦略爆撃機 Tu-160 ブラックジャック等についても同じ事が言えると思います。
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さて・・・話は再び報道発表の資料に戻ります。
キーロフ級が稼働状態である!ということは我が国において 極めて重大な脅威であるといっても過言では無いでしょう・・・。自分の知る限りでは 先のとおり、「キーロフ級は今現在では 殆ど廃棄同然で実戦状態にあらず」といった内容記載のまま残っている書籍・文体は未だ多く存在しているようです。(現に 自分も色々と検索してみましたが 近年の状況を伝えているものは非常に少ない・・・というよりも 正確には ロシア軍の動向自体 不明瞭な部分が多く、取材が出来ないからではないか? と想像される・・・・)
今回のキーロフ級の動向ですが・・・果たして何処へ向かうのでしょうか?
艦番号からすると 099 ピョートル ヴェリキイ (ピヨトール大帝)・・・
ベトナム?それとも ソマリア沖・・・? はたまた黒海まで遠征航海なのか・・・? 現時点では想像がつきませんが 今後の動向には非常に興味が湧いてきます。 先日終了した米韓合同演習への威嚇行動という事でも無さそうですし、(そんな事のために わざわざキーロフ級は出て来ないだろうし・・・) 一艦船ファンの素人知識で想像するに 黒海艦隊との合同演習への参加? と考えるのが 一番のようです。
※本記事作成後の独自調査?によると 本艦は本年5月17日、 対馬海峡にて単艦で日本海を北東方に向かっていた事が確認されていました。現在、 ピョートル ヴェリキイはムルマンスクを母港とする ロシア北方艦隊旗艦であり 近年ではアフリカ・インドへの遠洋航海(親善訪問)の実施やソマリア沖での治安活動に活躍していたとのことです・・・。 よってソマリア沖から一旦 北上して日本海を通過・・・、ロシア太平洋艦隊司令部のあるウラジオストクに入港・・・、千島列島で実施された軍事演習に参加の後、再び西下している・・・・と推測するののが正直なところ・・・。 航海期間から察するに このままムンマルスクへ向かうものと思われますが 今回はスラヴァ級が1隻同行している、というのが気にかかるところです・・・・。
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以上・・・今日もまた軍事の話題となってしまいましたが、 先日のロシア機の活動といい、今回の艦艇動向といい、まさに「ロシア軍の復活」を語るにふさわしい事件?でした・・・・。
少なくとも、原子力推進の軍用艦艇が日本近海を往来している・・・しかも友好国 アメリカのものでは無い。 ロシアとも友好的であって欲しいものですが どうした事か・・・・このニュースは あまり大きく報道されていない様子。
かつての航空巡洋艦キエフの日本海南下や ノボロジスクとの交代劇を知る世代・・・(古いか?)にとっては マスコミの反応はいまひとつ・・・・なぜなんだろう?
日本近隣諸国との間ではたとえ平時であっても このような軍事的威嚇行為の上に平和が成り立っているのだ、という現実をもっと知らしめる必要性に駆られます。 北朝鮮は勿論のこと、今回のロシアをはじめ、近代化が著しい中国海軍や韓国海軍など 近隣諸国のシーパワーにも目を向ける必要があるのではないでしょうか?
やっぱり民主党政権だからなのか・・・?
それを言っちゃあ おしめぇ~よ~っ・・・。