序破急

片足棺桶に突っ込みながら劇団芝居屋を主宰している爺です。
主に芝居、時々暮らしの中の出来事を書きます。

劇団芝居屋的演技論・はじめに

2011-04-16 18:24:09 | 演劇

順序か前後しましたが、劇団芝居屋的演技論を展開するにあたり、劇団芝居屋の目指すものの概要を示そうと思います。

劇団芝居屋は、誤解を恐れずに云えば役者の為の芝居創りを模索している劇団です。

私は二十歳の頃からこの演劇の世界に入りました。

以来44年間の私の演劇人生に於いて、積み重なって来た疑問が現在の劇団芝居屋を創り上げる原動力になりました。

その疑問とは、44年の間にいろんな演出法やビジュアルとしての舞台表現の変化に較べ、役者の舞台表現が旧依然とした姿のままで放置されていることでした。

相変わらず、多くの舞台では観客に何を伝えたいかに関係なく、役者は正面を向き、「誰に話しているの」とお笑い芸人に揶揄される様に、隣の人に対する話を客に向かって発しています。

私はそれが全て駄目だと云っている訳ではありません。そうする為の意図と意思が演出的にも演技的にもあればいいのです。でもその様な意識を持っている舞台は極めて少ないようです。

これまで劇団芝居屋は20回の公演をしてきました。そして公演の度に外部から出演者をオーディション&ワークショップという形で募ってきました。

このワークショップに参加してくれた数多くの人は、そのキャリアの長短に拘わらず殆ど全ての人が、無意識の内に正面を向く芝居を披露してくれました。

なので劇団芝居屋の芝居創りの基本を説明し、会話をする相手に正対する事を要求を要求すると、その事を一応納得して再度演技に入っても、相手と正対することが出来ない人が多いのです。

無意識に正面に開くのです。

本人は正対しているつもりなのですがそうはなっていない人が多いのです。

この無意識というのは非常にまずいことなのです。

役者は自分の身体を意識化に置き、演出の要求に対して即応できる自在性を持っていなくてはなりません。

劇団芝居屋の目指す芝居は、自在性持った役者同士がそれぞれの役の人生を唯一無二のものとして創り上げ、ぶつかり合う事によって舞台上に立ち上がる劇性を創り上げる事を目的にしています。

そしてそれを可能に出来る役者を育てたいと思っています。


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