ぷらすわんの子供たち ~ホワイトスイスシェパードと暮らす~

ホワイトスイスシェパードのヴァルターを中心に日常や競技会などを綴った雑記帳。

Bartimaeus

2009年01月18日 | 今夜の一冊
退屈しのぎに(ハードカヴァーとしては)値段が手ごろ、
長編が読めるということで取りあえず1冊だけ買ってみたのが
ジョナサン・ストラウド作「バーティミアスⅠサマルカンドの秘宝」。

一冊600ページはあるからね。
もし面白かったらⅡ・Ⅲと、しばらくは楽しめるかなと。
それなりに面白い程度の期待しかなかったんだけど、
気がつけば予想以上の面白さにしっかりのめり込んでましたねえ。

というわけで2日ごとに本屋に行っては「ゴーレムの目」を買い、
読み終えちゃ「プトレマイオスの門」を買い、瞬く間に読み終えちまいました。
最初から3冊購入すればよかったのに。
はぁ~。

ストーリーの舞台は一昔前のロンドン。
魔術師たちが政府を動かし、帝国を牛耳っている。
一般市民の存在価値は薄くさげすまされた世界で貧しいが故
魔術師の弟子にされた少年が師匠に隠れてバーティミアスという
悪魔を召喚したところから物語は始まる。
少年は自分を軽んじ、辱めた魔術師に復讐しようとするわけだが
それがとんでもない事態を招いてしまう・・・。

というのが1冊目の筋書きなんだけれども、
この少年の臆病で生意気でひねくれた性格と
後先考えなしの行動で何度も取り返しのつかない事態に陥るのが
なんちゅうのか、上手く描かれてるのね。
悪の権現であるべきバーティミアスがなんと可愛く思えることか。(笑)

ここに謎の能力をもった一般人が絡んでくるのだけれど
それは2冊目以降に話が展開するわけで・・・。
2冊目・3冊目と数年後づつ時間も経過してはじめ子供だった少年も17歳、
政界トップ7にまでのし上がってきてます。
ただ自己中心でひねくれた性格はますますひどくなって
バーティミアスは彼に見切りをつけようとするのですが・・・。

今まで何気なく描写されていた伏線が3冊目で徐々に明らかに
なっていくわけです。
それと同時にバーティミアスがいままで言ったセリフや行動、
気持ちや考え方が初めて理解できるんですね。
そして最後は少年とある人物が見事に重なり合い、エンディングは
もうこれしかないだろうって終わりです。

なによりもこれでもう終り、続編はなしという終りが
感動的で心打たれます。
う~ん、凄い。
欲を言えば、子供向けに書かれた本なんだろうけど
大人向けの文章だったらもっと最高。

読んですぐ、もう一度はじめから読み返したくなる3冊です。

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