10月9日(日)。佐原には何回か行っているが有名な佐原の大祭は今回が初めて。
成田駅から鹿島方面行きの短い車両は祭りの観光客でいっぱいだ。
沿線の民家の屋根の青いシートがやけに目に付く。先週の台風15号の直撃の被害かもしれない。ホリデーパスで成田からの乗り越し料金480円を支払って街中へ。
駅を降りたとたん祭囃子と賑やかな掛け声がどこからか聞こえてくる。
豆知識によると佐原の大祭は毎年、春と秋の2回行われ、秋の祭りは、各町内から
それぞれ工夫した大きな人形山車が14台出る。祭りは毎年10月第二の金土日の三日間
行われ、今日は日曜日なので今日が最終日。秩父の夜祭と同様の曳山祭りであちこちの町内から繰り出した山車が佐原の街中を練り歩き、ところどころで山車を止めて引き手が佐原囃子に合わせて手踊りを披露する。山車には笛や太鼓の年寄りが乗り、方向転換する2本の梃子棒は熟練の若者が操り、力の要る方向転換の綱引きは中学生位の男子が多い。
梃子は祭りの花形
長い綱を引っ張るのはアイスクリーム片手の女の子や若いいなせな母親も多い。
今年の祭りは楠木正成と息子正行(まさつら)の足利尊氏との決戦前の今生の別れ「桜井の別れ」がテーマだと駅のポスターには書いてあったが、楠木正成以外にも大和武尊や義経、さらには浦島太郎など様々な山車人形が出ていて、テーマが良く分からない。要するに何かを主題にして祭りを盛り上げようということなんだろう。
源為朝公ご帰還の図
この祭りは道路の辻で梃子棒を巧みに使って大きな山車を方向転換する「のの字廻し」
など見所が多いと聞いていたが、残念ながらのの字廻しは前日に行われたようで、交差点にはのの字廻しのまん丸な跡がクッキリと残っていた。
のの字廻しの跡
祭り期間中はたくさんの屋台やあちこちに無料の休憩所があり、疲れたら食事をしたり休憩できるのがありがたい。手作りいなりに屋台の焼きそばとビールで昼食を摂る。
佐原の街中を流れる小野川は両岸に柳、蔵造りの町並みが続き、江戸時代にタイムスリップしたような絶好のロケーションが旅情をそそる。川沿いではモデルの撮影会が行われ一眼レフの年配カメラマンが群がり落ち着いた町並みに不似合いな異様な光景。しばらく歩くと小野川を見つめる大勢の人だかりが。嫁入舟だ。小船の先に米俵を積み、紋付袴と高島田の新郎新婦がニコニコ並んでいる。こぎ手は絣のもんぺ姿の女性船頭二人。柳の枝が彩りを添え、見物人の「おめでとう!」の声に思わずニッコリ。祭り当日の結婚式とはなんともおめでたい。
よっ!ご両人!
街中を一回りして山車もたくさん見物したので地元の諏訪神社へ。この大祭はこの諏訪神社の秋祭りだ。石造りの大鳥居をくぐると右手の公園に測量姿の地元の英雄伊能忠敬の像が迎える。55歳で江戸へ出て12年かけて日本全国を回り72歳の没後三年後に弟子たちの手で初めて日本全国の地図が完成。ときに1821年。その苦労とバイタリティに改めて敬服。帰りに利根川沿いを散策してから、成東経由で夜のお楽しみ。いつもの茂原の「はち」でジャコてんこ盛りパスタと地魚三種盛りで一杯。腹もいっぱい。