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政府では、チーム・マイナス6%(国民運動)として、2005年度より、年間30億円弱の予算を用い、マスメディアの多用という、これまでにない手法を用いた普及啓発事業を実施してきた。
また、生活者に対する普及啓発は、その身近にいる地方公共団体の役割が重要であるとして(京都議定書目標達成計画より)、各都道府県への地球温暖化防止普及センター設置、地球温暖化防止普及指導員の任命・研修等を行ってきた。
普及啓発の成果としては、各地域での取組みの活発化や“クールビズ”の普及等がみられ、一定の成果をあげている。しかし、民生部門の二酸化炭素の排出量を削減するために、さらに普及啓発事業の強化・継続が必要とされている。
こうした中、普及啓発に係る実践が重要であることはもちろんであるが、普及啓発が目指すところは何か、その目標達成のための合目的的な施策手法は何か、など戦略性とそれを運用する仕組みの整備が求められる。
私は、環境イノベーションの普及啓発に関する実践と理論を研究課題にしている。このブログでも、研究成果をかいつまんで発信していきたい。
今回は、これまで普及が進んだ環境イノベーションの事例として、クールビズをとりあげる。
■クールビズ
京都議定書による日本の温室効果ガス6%削減の約束を達成するため、とりわけ民生部門での取組みを進めるために実施されている国民運動が、2005年より進められてきた。この運動の名称が「チーム・マイナス6%」である。
同活動の特徴は、冷房等の温度設定、水道の使い方、商品の選び方、自動車の使い方、過剰包装抑制、電気の使い方といった、6つの具体的に行動に絞り、首相以下政府が率先する形で、あらゆる主体に参加を呼びかけることにあった。予算を集中させることで、テレビや新聞等のマスメディアの露出度を多くするという戦略もとられた。
「チーム・マイナス6%」への参加者数は、個人会員が2百万人を超え、団体は1万8千団体となっている(2008年2月末、同HPより)。
この活動の象徴的な成果としては、夏場の軽装により温度設定を下げる「クールビズ(COOL BIZ)」の普及にある。環境省が2006年9月にWEB形式のアンケート調査により、1,200名に実施したアンケート調査によれば、「クールビズ」を知っているとする者は96.1%となっている。
また、1,200名のうち、就業していると答えた548名(会社員・公務員・商工自営業者等)に対して、勤務先がエアコンの温度を高く設定しているか否かを質問し、昨年又は今年から高く設定していると回答した者の割合は4割を超えている。「クールビズ」開始前と比較して、二酸化炭素削減量は、2006年で約114万トン-CO2と推計されている。
また、東京市町村自治調査会が、2006年に実施したWEBアンケートによれば、地球温暖化等の用語の認知状況の内容が、性別・年代別に異なる傾向を確認している。例えば、次のような結果が得られている。
・「京都議定書」は、特に男性の高年齢層で認知率が高い。一方、30 代女性での認知率が突出して低い。
・「チーム・マイナス6%」は、特に20 代・30 代の男性で認知率が高い。同運動の一環として実施されている「クールビズ」は、ほぼ全年代に認知されている。
・「ロハス・スローライフ」や「キャンドルナイト」は、女性の認知度が高い傾向にある。「キャンドルナイト」は、特に20 代女性、40 代女性の認知度が高いことが特筆される。
・「地産地消」、「省エネラベル」、「環境家計簿」は、全体として認知率が低いが、高年齢層ほど認知率が高い傾向にある
「クールビズ」は、これまで環境配慮に対する意識や知識レベルは高くとも、行動が伴わなかった男性層に、行動メニューを提供したといえる。
これに対して、キャンドルナイトやロハスは女性層にこれまでにない行動メニューを提供していると考えられる。
注)
環境イノベーションとは、地球温暖化防止に限らず、環境問題の解決にために普及が望まれる製品・サービス、行動、社会経済システム等のことをさす。
また、生活者に対する普及啓発は、その身近にいる地方公共団体の役割が重要であるとして(京都議定書目標達成計画より)、各都道府県への地球温暖化防止普及センター設置、地球温暖化防止普及指導員の任命・研修等を行ってきた。
普及啓発の成果としては、各地域での取組みの活発化や“クールビズ”の普及等がみられ、一定の成果をあげている。しかし、民生部門の二酸化炭素の排出量を削減するために、さらに普及啓発事業の強化・継続が必要とされている。
こうした中、普及啓発に係る実践が重要であることはもちろんであるが、普及啓発が目指すところは何か、その目標達成のための合目的的な施策手法は何か、など戦略性とそれを運用する仕組みの整備が求められる。
私は、環境イノベーションの普及啓発に関する実践と理論を研究課題にしている。このブログでも、研究成果をかいつまんで発信していきたい。
今回は、これまで普及が進んだ環境イノベーションの事例として、クールビズをとりあげる。
■クールビズ
京都議定書による日本の温室効果ガス6%削減の約束を達成するため、とりわけ民生部門での取組みを進めるために実施されている国民運動が、2005年より進められてきた。この運動の名称が「チーム・マイナス6%」である。
同活動の特徴は、冷房等の温度設定、水道の使い方、商品の選び方、自動車の使い方、過剰包装抑制、電気の使い方といった、6つの具体的に行動に絞り、首相以下政府が率先する形で、あらゆる主体に参加を呼びかけることにあった。予算を集中させることで、テレビや新聞等のマスメディアの露出度を多くするという戦略もとられた。
「チーム・マイナス6%」への参加者数は、個人会員が2百万人を超え、団体は1万8千団体となっている(2008年2月末、同HPより)。
この活動の象徴的な成果としては、夏場の軽装により温度設定を下げる「クールビズ(COOL BIZ)」の普及にある。環境省が2006年9月にWEB形式のアンケート調査により、1,200名に実施したアンケート調査によれば、「クールビズ」を知っているとする者は96.1%となっている。
また、1,200名のうち、就業していると答えた548名(会社員・公務員・商工自営業者等)に対して、勤務先がエアコンの温度を高く設定しているか否かを質問し、昨年又は今年から高く設定していると回答した者の割合は4割を超えている。「クールビズ」開始前と比較して、二酸化炭素削減量は、2006年で約114万トン-CO2と推計されている。
また、東京市町村自治調査会が、2006年に実施したWEBアンケートによれば、地球温暖化等の用語の認知状況の内容が、性別・年代別に異なる傾向を確認している。例えば、次のような結果が得られている。
・「京都議定書」は、特に男性の高年齢層で認知率が高い。一方、30 代女性での認知率が突出して低い。
・「チーム・マイナス6%」は、特に20 代・30 代の男性で認知率が高い。同運動の一環として実施されている「クールビズ」は、ほぼ全年代に認知されている。
・「ロハス・スローライフ」や「キャンドルナイト」は、女性の認知度が高い傾向にある。「キャンドルナイト」は、特に20 代女性、40 代女性の認知度が高いことが特筆される。
・「地産地消」、「省エネラベル」、「環境家計簿」は、全体として認知率が低いが、高年齢層ほど認知率が高い傾向にある
「クールビズ」は、これまで環境配慮に対する意識や知識レベルは高くとも、行動が伴わなかった男性層に、行動メニューを提供したといえる。
これに対して、キャンドルナイトやロハスは女性層にこれまでにない行動メニューを提供していると考えられる。
注)
環境イノベーションとは、地球温暖化防止に限らず、環境問題の解決にために普及が望まれる製品・サービス、行動、社会経済システム等のことをさす。