サードウェイ(第三の道) ~白井信雄のサスティナブル・スタイル

地域の足もとから、持続可能な自立共生社会を目指して

遠野のコーディネイターに学ぶ

2009年09月19日 | 環境と教育・人づくり
写真:荒神様


山村再生事業の研修テキスト作成のため、岩手県遠野市にヒアリングに行った。ヒアリング対象は、元遠野市役所部長で現在NPO法人遠野山・里・暮らしネットワークのマネジャー菊池新一さん。

菊池さんが市役所時代に行ってきた仕事は、道の駅の立ち上げ、中心市街地内の大型店の再生、グリーンリーリズム・ワーキングホリデー、農業体験を付加価値とする合宿型自動車学校の誘致等である。どれも、遠野市の活性化にとって、大きなウエイトを持つ事業ばかりだ。

今回の目的は、個別の事業の調査ではなく、各事業の立ち上げや運営に必要となるコーディネイトをどのように行ってきたか、その秘訣を教えてもらうこと。

ヒアリング結果は研修テキストにまとめるので、全ては書かないが、特に印象に残ったことを記しておく。

例えば、大型店の再生では、中心市街地の後継者達とワークショップを重ね、大型店を構成する店舗のアイディアをつめ、実現させてきた。

産直農産物の売り場とスーパーの売り場を隣接させたり、リサイクルコーナー、老人向けの憩いスペース、市役所の出張所等を共存させたりと、奇妙だけど、工夫が随所に感じられ、人が集う場となっている。

この大型店の再生を計画するときの、ワークショップの方法が面白い。普通、ワークショップというと、他人が出したアイディアを否定せず、相互に尊重しあって、アイディアを膨らませる。

これに対して、菊池さんのワークショップは、アイディアの弱点を指摘し、もっといいアイディアがないかと突き詰めるという方法をとる。そうすることで、真剣な議論がなされ、本当にいいアイディアにたどりつくことができる。

こうしたワークショップに参加した人々には相互の信頼感がうまれる。その信頼感を基盤として、事業の運営段階のコーディネイトが成り立っていく。

「コーディネイトの基本とは、信頼関係を築くこと、そのためには真剣な議論を行う場を設けること」、それが今回の調査で得た最大の教えである。


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