サードウェイ(第三の道) ~白井信雄のサスティナブル・スタイル

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福井県池田町~環境のまちづくりの継続と発展

2011年08月07日 | 環境と教育・人づくり

福井県池田町を3年ぶりにたずねた。この町で注目している点を列挙する。

・環境基本計画を策定する際に、100人委員会を設置し、住民参加を徹底したまちである。1000世帯程度の町だから、総世帯の10分の1が参加したことになる。100人委員会からNPOが設立され、環境関連の通信誌をつくり、町内全戸配布を行っている。環境関連の通信誌が町内全世帯に配布されるという地域は他にないのではないか。

・町内のすべての生ごみ回収を、100人程度の住民ボランティアがローテーションで実施している。回収した生ごみは、町内で堆肥化され、町内の8割の水田で実施されている環境保全型農業で使われている。

・環境NPOは、環境基本計画への参加者を母体としたもの、生ごみ回収を行う住民組織を含めて、町内に4つもある。伝統的な農村において、環境NPOが4つもあるのは珍しいと考えられる。

こうした取り組みが評価され、環境省等の表彰を受け、他の町の住民から「池田町をすごい」といわれることがうれしいという声を、何人かの住民に聞いたことがある。また、教育にも熱心で、教育環境がいいことを自慢する声もある。

池田町の課題もある。1つは、環境関連の取り組みも継続することで、参加者がこう着し、新たな活動テーマを探す必要がでている。2つめは、木質バイオマス利用などの新たな展開があるが、それが地域全体の取り組みとして取り上げられていない。3つめに、地域の課題として、地域うちの就労の場が求められていること(主婦が地域で働けること)、環境面の取り組みもコミュニティ・ビジネス的な展開が期待される。

おりしも、町内に新たにつくった観光客向けのショップ等をビジネスとして確立すべく、ショップの拡張が予定されている。これを拠点として、環境NPOによるビジネスチャレンジの場を提供すること、木質バイオマス(ペレットストーブ、マキストーブ等)を普及させる仕掛けをすることなども考えられよう。

また、池田町の取り組みの実態として、NPOの事務局やキャンドルナイト等のイベントは、行政職員が職務の延長上の手弁当で参加していることが多いとのことで、真に住民主導になっているのかという問題もある。ただ、行政職員が地域内で信頼性される立場であり、コーディネイト力を持っていることは確かである。行政職員が地域住民をコーディネイトする役割を持つことを、池田町方式として、積極的に位置づけてもいいのではないだろうか。

 

 

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