最近、いくつかの市で、環境基本計画の改定支援に関わっている。
地域における環境基本計画は、国の環境基本計画策定と前後して1990年代中盤から第一次計画が作成され始めた。現在は、第二次、あるいは第三次計画を作成している市町村も多い。
環境基本計画に限らず、計画策定においては住民参加のワークショップを行う場合があり、行わない場合もあるが、環境政策の予算制約や環境政策の実効性をあげる上で住民の主体的(能動的)な取り組みが不可欠であることを考えると、住民参加は不可欠である。
この際、住民参加のワークショップもただやればいいというものではない。参加した住民が自ら行う環境活動を考える機会とし、それを実際の計画に位置づけて、予算措置を図るようにしたいところである。
地域における環境関連のNPOも出来てきている地域も多く、また住民も環境政策との関わりの経験を重ねている。行政が主導し、住民に参加を求めるのではなく、行政と住民が一緒に考えて行う、あるいは住民主導の環境活動を行政が支援するような施策は十分に可能である。
ただし、担い手となる熱心な住民が不足している場合もあるし、熱心でない「多くの」住民の参加をどうするかという課題もある。熱心でない住民にワークショップに参加してもらう方法(無作為抽出で参加を呼びかけて行うワークショップ等)もあるが、ワークショップで一時的に議論するだけでは熱心でない住民は動き出さないだろう。
そこで、考えられるのが、一般住民が参加している町内会・自治会、学校父兄会、あるいは地元企業等に、環境をテーマにした活動に取り組んでもらうことである。これは「環境コミュニティ活動」と言ってもよい。特に、町内会・自治会ではミッションを失い、加入率が低下し、近隣関係の希薄化に拍車をかけている場合も多い。町内会・自治体の環境活動のテーマとしては、ごみの集団回収、清掃美化等の従来型のものに加え、身近の里山の活用保全、近隣農業の支援、カーシェアリング、熱中症対策としての安否確認等、様々なアイディアが考えられるだろう。
経験を積んできた熱心な住民、まだまだ参加の機会を持っていない住民、その各々が参加する2つのタイプの「環境コミュニティ活動」を、市町村等が施策に位置付けて、展開しだしたとき、ようやくボトムアップでの変革が動きだす。